★Xbox 360ゲームレビュー★
マーカス率いるデルタ部隊の戦い、再び 抜群に楽しいマルチプレーヤーモードに注目! 「Gears of War 2」 |
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前作「GoW」から2年あまりを経過し、ファン待望の続編が登場した |
マイクロソフトは、7月30日にXbox 360用アクションアドベンチャー「Gears of War 2」を発売した。米Epic Gamesが開発したこのタイトルは、前作「Gears of War」からおよそ2年以上を経過して、ついに登場した続編となる。
初代作の「Gears of War(以下『GoW』)」は2006年末に欧米で、翌年1月には日本でもリリースされ、世界的な大ヒットとなったタイトルだ。既存の1人称視点シューティングゲーム(FPS)の操作スタイルに、自キャラの肩越しで世界を見るという、いわゆる「ショルダー視点」を導入したことが大きな特徴で、FPS的なシューティングと3人称視点ならではのアクションをうまく融合したゲームシステムが高く評価された。
もちろん、ゲームエンジン開発企業であるEpic Gamesが誇る「Unreal Engine 3」のパワーをいちやはく世界に見せ付けたというのも、「GoW」の功績だ。その続編となる本作「GoW2」では、そのゲーム的な特徴をいちだんとパワーアップし、さらなるスケール感でアクションシューティングの面白さを体感することができる。
「GoW2」では、さらに面白く進化したマルチプレーヤーモードの存在も見逃せないポイントだ。本作におけるマルチプレーヤーの特徴は、「協力プレイ」に新たな光を当てたということだ。特に目玉となっている「HORDE」モードや、「Wingman」モードの存在は、個性的で、とてもやりがいのある、楽しいゲームモードになっている。本稿では、そんな本作の魅力に迫ってみたい。
■ 人類VSローカストの戦い、再び。前作を踏襲しつつ大きくスケールアップした「GoW2」
マーカス・フェニックス。今作でもプレーヤーの分身として激戦の渦中に飛び込む |
前作のラストシーンから6カ月、ローカストに対する新たな戦いが始まった |
本作の舞台は、地球に良く似た惑星セラ。地底からの侵略者「ローカスト」からの突然の攻撃に晒された人類は、互いの争いをやめ、団結してローカストの侵攻に抵抗せざるを得ない状況に追い込まれている。そんな中、「デルタ小隊」を率いるマーカス・フェニックス軍曹は、相棒のドミニク・サンチャゴ(ドム)らとローカストの巣へ乗り込み、戦いに決着をつけたかに見えた……。
ここまでが前作「GoW」のお話だ。「GoW2」では、それから6カ月、ローカストの侵攻が以前よりも激しさを増し、人類が最後の都市「ハシント」に追い詰められた状況からゲームがスタートする。ついに総力戦を仕掛けることを決意した人類の中で、やはり最前線に立つマーカス・フェニックス軍曹。相棒のドムと、新兵ベンジャミン・カーマインからなる「デルタ小隊」が、ローカストとの最終決戦に臨む。
見るからに血の気たっぷりの設定で始まる本作は、暴力的表現の激しさが原因で、日本では発売が危ぶまれていたほどの作品だ。その一方で、しっかりとしたアクションアドベンチャーとしての内容を持ちつつ、大人のハードコアゲーマー向きの演出、ゲーム性、そして骨太のストーリーが提供されている。
本作に搭載されているゲームモードは、上記の設定で始まるストーリーモードと、各種のマルチプレーヤーモードだ。ストーリーモードはひとりでプレイすることも、フレンドを誘って2人で協力プレイを進めることもできる。またマルチプレーヤーモードでは、純粋な対人戦(デスマッチ)だけでなく、数名で協力しながら戦うマッチモード「HORDE」、「WINGMAN」もサポートするなど、協力プレイに焦点を当てた内容が本作の目玉になっている。
「Unreal Engine 3」のパワーで描かれる印象的なグラフィックスも魅力のひとつ。前作にも増して作りこまれた各ステージの風景は、まさに圧巻の一言 |
基本ゲームプレイは「ショルダー視点」で展開するサードパーソンシューティング |
遮蔽物を利用して身を守る、カバーリングアクションが戦いの基本だ |
ミートシールド。ダウンした敵を盾にして戦える |
本作の基本となるゲーム性は、おおむね前作を引き継ぎつつ、さらにスケールアップを図ったというものになっている。ショルダー視点で展開するFPSライクなシューティングのゲーム性に加え、障害物を使って敵の攻撃を回避しつつ戦うという「カバーリング」など、多彩な動きが可能であることが基本的な魅力のひとつだ。
また本作では新たな要素として、グレネードを壁に貼り付けて「近接爆弾トラップ」として使うアクションや、ダウンした敵キャラクターを盾にしながら戦う「ミートシールド」といった、新たな戦法が導入されている。また、ストーリーモードでは様々なスタイルの「乗り物」が登場し、ゲームに変化を加えてくれるなど、続編としての見所も多い。
本作の基本アクションについて簡単に解説しておこう。まず、本作ならではの地形を使った戦法、「カバーリング」は、早めにマスターしておきたいテクニックだ。基本的には、プレーヤーが攻撃を受けても、体力はしばらくすれば自動回復する。しかし、攻撃を受け続ければ回復する間もなくダウンしてしまう。
それを避けるには素早く障害物に身を寄せ、Aボタンを押してカバーポジションを取る必要があるのだ。敵もまた同じ戦法で戦ってくるので、隙を見つけて側面を取ったり、壁越しにグレネードを投擲して倒すとなど、地形をうまく把握した上で様々な戦法を取ることも重要だ。
接近戦ではBボタンで発動する近接攻撃が役に立つ。特に、基本武器のひとつであるアサルトライフル「ランサー」に装備されたチェーンソーによる近接攻撃は、まさに「GoW」シリーズの象徴的な風景を描き出す。たいていの敵であれば一撃で真っ二つにすることができるのだ。
銃をリロードする際は、前作から引き続きの採用となる、RBをタイミングよく2度押しすることでリロードタイムを短縮できる「アクティブリロード」を活用したい。RBを押してリロードを開始し、その直後、各武器ごとに設定されたタイミングにあわせぴったりRBボタンを押せば成功。リロード時間を短縮できる成功パターンと、よりシビアなタイミングながら、ダメージボーナスまでついてしまうパーフェクトなパターンがある。これを活用すれば弾薬の節約になり、敵を素早く排除することが可能だ。
この「アクティブリロード」が面白いのは、特に激しい戦いとなったときに「冷静でいる」ことの難しさを教えてくれるところだ。あわてているときは思わず失敗してしまい、リロードにしくじって余計な時間がかり、混乱に拍車を掛けてしまう。一方、そんな中でも冷静さを保っていられれば、パーフェクトなリロードで効率よく戦える。マルチプレーヤーモードで相手が「リロードをしくじっている」シーンを見れば、今がチャンスと、戦術的なきかっけを与えてくれもするわけだ。
本作のプレイは、カバーリング、射撃、近接攻撃の基本3アクションを組み合わせて展開する。射撃で的確にダメージを与えつつ、敵が近づいてきたらチェーンソウで切りかかる準備を忘れないようにしよう |
もちろん、敵方の「ローカスト」にも様々なバリエーションがある。今作では「ティッカー」なる近づいて自爆する嫌な生物をはじめ、プレーヤーを手こずらせる敵もワンサカ登場 |
■ 新参兵士を迎えたマーカス率いる「デルタ部隊」の物語
ストーリーモードは多種多様な仕掛けでプレーヤーをグイグイ引き込む
妻マリアとの写真を眺めるドム。彼にとって彼女こそが価値ある存在なのだ |
新兵のカーマイン。地獄のデルタ部隊に配属され少々舞い上がっているが、実力が伴っておらず先行きが不安だ |
さて、本作のひとつのメインゲームとなっているストーリーモードは、前作のラストシーンから6カ月後という設定で、マーカス率いる「デルタ小隊」を待ち受ける新たな戦いを描くものとなっている。ボリューム的には前作を大幅に超える内容が提供されており、これだけでも遊び応えは相当なものだ。
今作のストーリーで重要な役割を演じるのは、マーカスの相棒であるドムと、新兵として配属されてきたカーマイン。ドムは行方不明になった最愛の妻マリアが心配でたまらない状態で、最前線に向かうヘリの中でもせつない顔をして、どこか上の空だ。新兵のカーマインのほうは、戦争の英雄であるマーカスに出会って大はしゃぎしているものの、リロードすらうまくできないほどのド素人ぶりで、先が思いやられる。
そのカーマインにマーカスが訓練をつけるシーンが、そのままプレーヤーへの訓練となっており、チュートリアル仕立てのオープニングミッションを経て、いよいよゲームは本番へと突入する。無数のローカストが隊列を組んで行進するシーンや、それに対する人類が総力戦に向かって決起する場面、大量のヘリがマーカス達を含む兵士たちを運んでいくシーンは圧巻だ。映画のような演出で、大いにプレーヤーのやる気を盛り上げてくれる。
ストーリーモードの展開は、基本的に前作と同じく、ステージクリア式で先に進んでいく、演出重視の内容だ。LBを押せば現在のタスクが確認できるので、どこに行けばよいか迷うことはほとんどなく、次々に現われるハリウッドスタイルの演出を楽しみつつ、贅沢なゲームプレイの時間を満喫することができる。
前作との大きな違いは、単なる撃ちあいだけでなく、巨大な乗り物や、動くプラットフォームに乗って戦いを展開するなど、ゲーム性の幅が大きく広がっていることだろう。前述の人類が決起するオープニングを経てすぐに始まるステージでは、早速巨大な「リグ」(歩兵輸送用の巨大装甲車)に乗って、据え置きの銃座を駆使してローカストの大群と渉りあうというダイナミックな戦いが展開するほか、先々のステージでも、様々な仕掛けがプレーヤーを楽しませてくれる。
こうしたステージデザインに関しては、ゲーム全体が遊園地のアトラクション仕立てに見える部分もあって、賛否両論ありそうだが、基本的なゲーム性が壊れない程度にバランス良くネタが仕込まれているのは好感触でもある。地に足のついたシューティングアクションもしっかり楽しめ、バラエティに富んだシチュエーションでも戦える。プレーヤーが消化不良になることなく、贅沢なコンテンツを次々に味わえる印象だ。
様々なテーマのステージ、多種多様なシチュエーションで、大いにプレーヤーを刺激してくれる |
ルート選択場面では、マーカスとドムが別々の道を進む。協力プレイを盛り上げてくれる状況だ |
ダウンしてしまったら即座に味方に近づいて蘇生してもらおう。孤立は死を意味する |
コール登場。この男ノリノリである |
さて、マーカス達はリグ上の激しい空中戦を経て、ヨーロッパ風の廃墟で戦い、地底にもぐりこんでローカストの巣を目指す。本作ではこういった序盤のシーンからも協力プレイを前提としたステージが組み込まれていて、オンラインのフレンドと遊ぶにはうってつけだ。
例えば、「一方がスイッチを操作して道を開け、もう一方が進んでいく」という箇所はそこかしこに登場するし、戦闘でも、先ほどのリグ上の戦いでは、ひとりが固定機関銃を操作し、もうひとりが背後から迫るローカストを排除するといった形で共闘ができる。こういったシーンが盛りだくさんだ。
こういった協力プレイの側面が前作にも増して大胆に組み込まれているのは、本作のストーリーモードを通じてマーカスと行動を共にするドムのAIが、大きく進化したからと言える。2人でプレイする際はひとりがマーカスを、ひとりがドムを担当するわけだが、1人プレイの際は、ドムがAIキャラクターとなる。その際のドムの振る舞いは非常に秀逸で、邪魔にならないどころか、プレーヤーを適切に先導してくれさえするのだ。
したがって、本作の協力プレイはもちろん楽しいし、ソロプレイでも、ドムにきちんとした個性を感じられ、しっかりとプレイできる。「Unreal Engine 3」はグラフィックスや物理処理ばかりに注目されがちだが、このAIにおける進化も特筆すべき点といえそうだ。
そして、本作のストーリーが展開する上で、そのドムの存在はまさに欠かせないものだ。最愛の妻、マリアの手がかりを求めて戦いを続けるなか、プレーヤーは、やがて心を痛めると同時に深い感動を覚えることだろう。本作のシナリオは実によく練られており、大人向けの作品として高いクオリティにある。
その他、新兵カーマインを待ち受ける様々な災難、戦いの途中で出会う前作での仲間達など、本作のシナリオには見所が一杯だ。筆者のお気に入りは、本作究極のお祭り男の黒人兵士コール。開口一番「ハッハー! ぶっつぶせ イエイ ベイビー! くらえくらえ! イエイ!」と縦横無尽に暴れ周り、マーカスと合流するや「スタープレーヤーが戻って嬉しいだろ!」とどこまでも陽気。倒れた仲間を惜しみつつも前向きに、マーカス達の激戦は続くのである。
前作での戦友との再会。頼もしい味方とともに、想像もしなかったような舞台での戦いが展開する |
中盤以降の展開はとくに楽しい。激しい戦闘があったかと思えば、謎解きめいた静かな展開や、乗り物を駆使して大暴れできるようなシーンもあり、テンポよく進行していくプレイが心地よい |
■ 抜群に楽しいマルチプレーヤーモード!
協力プレイをベースとする「HORDE」と「WINGMAN」の2モードは熱中度高し
マルチプレイゲームのマッチングシステムは便利にできており、ワンボタンで簡単にゲームに参加することができる |
さて、次にマルチプレーヤーモードの見所について触れたい。本作のマルチプレーヤーモードは、対戦を重ねて獲得する経験値によって向上していく「ランク」や、ゲーム内の様々な達成に対して「実績」が付与されており、本作をしっかり楽しみたいと考えるプレーヤーにとっては避けて通れない存在だ。
マルチプレーヤーモードのゲームルールとしては、オーソドックスなデスマッチルールをはじめ、全8種の異なるルールがサポートされている。マッチングシステムは基本的に自動となっており、アクセス性は非常に良好。もちろん、フレンドを誘って開始することもできる。なお、「GoW2」国内版のマッチングは日本国内のユーザー同士のみとなっているので、海外のユーザーとマッチングされてネットワークラグの問題に直面するようなことはほとんどなさそうだ。
さて、ゲームの内容について話を進めよう。まず全てのルールに共通して、本作ではダメージを与えて敵が完全に死亡する前に「ダウン」という状態がある。ダウン中は仲間に助けられれば即座に復活できるので、確実に息の根を止めるためには近づいて「処刑スタイル」の方法で止めをさす必要がある。このことが、本作の各マルチプレーヤールールで非常に大きな役割を果たしている。
ここでは、そのうち「協力プレイ」のスタイルを持つ、2つのゲームルールについて詳しくご紹介しよう。
「HORDE」ルールは本作で最も楽しいゲームモードのひとつ。フレンドを誘ってプレイしてみたい |
ウェーブ数が進むと大量のローカストが容赦なく押し寄せてくる。自分を守るためにも、ダウンした味方のフォローも忘れずに |
ウェーブをクリアするごとに活躍度に応じたスコアが与えられる。だが、基本は生き延びることなので、スコアにこだわらないようにプレイしてもいい |
ひとつめは、本作で導入された新ルールの筆頭に上げられる「HORDE」だ。このルールでプレーヤーは最大5人のチームを組み、NPCのローカスト集団を相手に戦うことになる。基本的にはステージクリア型の構造をとっており、数十体のローカストが出現する個々の「ウェーブ」(攻勢)を、全滅することなくしのぎ切ることがゲームの目標だ。
「HORDE」は、対人戦ではなく対NPC戦にフォーカスしたいわば新手のCO-OPモードだが、これが非常に熱中できる。第1の「ウェーブ」は「レッチ」あたりの弱めの敵が10体ほど出てくるなので簡単に撃退できるのだが、第2、第3……とウェーブをクリアしていくにつれて、出現する敵が強く、バリエーションも豊富になってくる。
10個目のウェーブとなれば、敵には「ドローン」、「グレネーディア」、「スナイパー」などの中サイズのローカストがワラワラと沸き、さらに「ブーマー」などの大型ローカストも同時多発的に押し寄せてくる。5人のメンバーが個々に応戦するだけでは、火力が足りずに各個撃破されてしまう始末だ。
強力なウェーブをうまくしのぎ切るため、5人のプレーヤーには緊密な連携と、賢い戦術が求められる。効果的な戦術のひとつは、マップ中にひとつはある、通路が限られた部屋に全員で立てこもり、入り口に「ブーマーシールド」を立ててバリケード化しまうことだ。弾薬補給がしずらいという欠点はあるが、しっかり準備すればほとんどのローカストを水際で撃退できる。
そして、うまく10回目のウェーブをしのぎきれば、敵の体力が倍増しての2順目に突入だ。敵のバリエーションもさらに凶悪なものになっていくので、とにかく個々のマップの特性を把握した上で団結して戦うしかない。チームが完璧に機能していれば、大きな混乱なく20回目のウェーブにも勝利できるだろう。
だが、「ゲームクリア」に相当するのは遠い遠い50ウェーブ目だ。10ウェーブ毎に強化されていくローカストの軍勢は、30ウェーブを超えるとひとつのミスでも全滅につながるほどの凶悪さである。
こういった内容の「HORDE」は、対人戦が苦手なプレーヤーでも大いに楽しめる。また、オートマッチングで組まれる野良パーティでも、協力プレイならではの連携感覚を味わえるのが嬉しい。だが筆者の感覚では、連携が限られた野良パーティでは20ウェーブ台までが限界だ。やはりここは、フレンドを誘い、ボイスチャットで声を掛け合いながら密にプレイしたい。次々に押し寄せるローカストの大群を前に、時間を忘れて熱中すること間違いなしだ。
「HORDE」のクリア条件は、全50の「ウェーブ」をクリアすることだ。20ウェーブくらいから深刻に厳しくなってくるので、4人のチームメンバーの戦いぶりを良く見ながら上手く連携したい。ちなみに、死んでしまってもチームが生き残れば次のウェーブで復活できる。対戦よりも気楽に、しかも繰り返し遊べるという点で抜群の面白さだ |
協力プレイと対戦プレイの面白さが融合する「WINGMAN」ルール。フレンドとペアを組めばとても楽しく遊べる |
ショットガンの一撃で粉砕。ルール上、近距離戦が多発するので、側面や背後を取られないよう、立ち回りに注意が必要だ |
たとえラウンドに勝利できなくても、3ラウンド対戦後の合計スコアがチームスコアとなる。単に長く生き残るだけでなく、敵を沢山倒すことが最優秀チームへの近道だ |
ここで紹介したいもうひとつのルールは「WINGMAN」。2人1組のチーム同士で戦う、変形デスマッチだ。通常のチームデスマッチとは違い、敵を倒すには処刑スタイルの止めを刺すか、強力な武器でワンショットキルを狙う必要がある。ダウンしたプレーヤーは「WINGMAN」の片割れである相方に助け起こされれば即座に戦線復帰ができるからだ。
この単純なルール下で、2人1組のチームが同時に最大5組参戦し、ラウンドの勝利を目指す。実際にプレイしてみると本当に奥が深い。まず、敵チームを倒すためには「2人同時にダウンを奪う」もしくは「どちらかのダウンを奪い、素早く確実に処刑する」、あるいは「ワンショットキルを狙う」のいずれかを実行しなければならない。あるいは、他のチーム同士で削りあうのをコッソリ眺めながら、最後の最後に飛び出して漁夫の利を狙うのもいい。いずれにしても、交戦時は相棒との連携、そして武器の選択が重要だ。中~遠距離ではアサルトライフルで交戦することになるが、それで決着がつくことはまず無い。ダウンをとっても近づいて処刑する前に、敵の相棒に復活させられてしまうからだ。したがって、最も効率的なのは、近づいてショットガンを直撃させ、射撃の硬直が解けた直後に一撃で粉砕すること。それを実現するためには、地形をうまく利用し、接近戦に持ち込む必要がある。
しかも、それを相方のプレーヤーと息を合わせて実行しなければならない。行くか、引くか、待つか、回り込むか。互いのプレーヤーが何を考えているかを即座に判断し、息を合わせてベターな行動を取る。一方が敵の圧力に尻込みして、うまく連携できないこともある。相方がダウンすれば即座に助けられるよう、自分のことだけに集中するわけにもいかない。スムーズに動き回るだけでも、想像するよりもずっと難しい。それだけに、勝利したときの達成感は大きいわけだ。
戦闘が進んで残り2チームとなり、互いに相棒が倒されてしまえば1on1の「サドンデス」となる。勝つか負けるか、下手をすればショットガン1発で決まるシチュエーションだ。相方と2人で作り上げた勝利寸前の状況をムダにしたくないという思いが働くため、異常に緊張する。ここで心臓がバクバク高鳴るのは、実に健全な生理反応だ。
もちろん、2人で固まっていたらグレネード1発でまとめて吹き飛ばされた、というふうにアッサリ負けてしまうこともあるが、それもまた勝負のあやというもので、「WINGMAN」ルールならではの醍醐味でもある。フレンドとチームを組んでプレイすれば大いに盛り上がること間違いなしなので、是非いちどプレイしてみてほしいと思う。
本作には協力プレイの面白さを伝えてくれるゲームルールがいくつもあり、ストーリーモードをひととおりクリアした後にオンラインで繰り返し楽しめる。総合的なコストパフォーマンスは非常に高いといえるだろう |
■ 「現在のXbox 360におけるゲームの水準」を象徴する良質タイトル
シリーズのファンには日本語版特典の追加チャプターも嬉しい
ストーリーモードは、世界観を理解したうえで2週目をプレイするとより楽しめる |
マルチプレイは協力要素に焦点を当てており、対戦が苦手なプレーヤーでも繰り返し遊べる内容に仕上がっている |
本作「Gears of War 2」は、シングルプレーヤーモード、マルチプレーヤーモードの双方で高いレベルの楽しみを与えてくれる良作だ。特にマルチプレーヤーモードは、「HORDE」ルールを筆頭に、多くのプレーヤーが長く遊び続けるものになるだろう。
もちろん、過激な暴力表現、筋骨隆々のキャラクター達、血なまぐさい演出など、好き嫌いのわかれる激しい作風であるだけに、全てのプレーヤーにオススメできるわけではない。しかし、これほど「現在のXbox 360におけるゲームの水準」を良い形で象徴するタイトルを、やらずに捨てておくのはあまりにも惜しい。
それだけに、すくなくとも熱心なXbox 360のゲームファンであれば、ぜひ1度は本作を手にとって欲しいと思える。はじめはマーカス・フェニックスの風貌に抵抗があるとしても、魅力的なゲーム性に触れ、感動的なシナリオを味わうことで、印象はガラリと変わってしまうかもしれない。
また、昨年末に発売されたオリジナル海外版より半年以上を経過しての発売であるため、本作「Gears of War 2」には多数の追加コンテンツがはじめから同梱されるなど、ひとつの商品としてもお買い得なものになっている。海外版ではDLCとして提供された多数のマルチプレーヤーマップや、日本版で独自に収録された追加チャプターがそれだ。
追加チャプター「ネクサスへの道」は、本作の製作途中にカットされてしまったストーリーモードのステージだ。ゲームの終盤を飾るシーンで、マーカスとドムがローカストの本拠地へ向かうところ、いつもとは毛色の違う「潜入」というやりかたを試みるシナリオだ。
おそらく、デルタ小隊の雰囲気にそぐわないなどの理由で本編からカットされたのだろうが、内容としては他のチャプターでは味わえない、ユニークなゲーム展開が楽しめるものになっている。前作からのファンには懐かしいキャラクターも登場するので、本編クリア後に是非プレイしてみよう。
【スクリーンショット】 | ||
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(2009年 8月 1日)