ゲーミングPCレビュー

NEXTGEAR-MICRO 10周年モデル「1401NG-im550BA2-SP-GW」

コンパクトなボディにパワフルなゲーミングPC
噂の「バトルフィールド4」など最新FPSを大画面で快適にプレイできる

ジャンル:
発売元:
  • マウスコンピューター
開発元:
  • マウスコンピューター
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発売日:

 2004年1月。マウスコンピューターはゲーミングブランドのG-Tuneシリーズの展開を開始した。ゲーム用のPCは高価なパーツが組み込まれているため高価で手を出しづらい。ゲームをPCで遊びたいけれど、どんなPCを購入してよいかわからない。こんなユーザーが多かった当時、どんなPCを買えばよいかわかりやすいように、ゲーム推奨モデルを打ち出し、ゲーミングPCを安価に購入できるようにしたのがG-Tuneシリーズだ。2014年1月28日、G-Tuneシリーズは展開を開始してから10年を迎える。その記念すべき10周年モデルとしてGAME Watchとコラボして発売されたのが、今回レビューをお届けする、「G-Tune NEXTGEAR-MICRO im550BA2-SP-GW」。通称「NEXTGEAR-MICRO 10周年モデル」だ。

ゲーミングPCとして必要な性能を安価に実現

 今も昔もPCゲームの事情として変わらないもの。それが、使用するPCに高スペックを要求することだ。最新のゲームをストレスなくプレイするにはある程度の性能を持ったPCが必要となる。あれこれ考えずに、ビデオカード搭載のハイエンドPCを購入すれば、最新ゲームをプレイすることはできるが、コストがかかり過ぎるのが問題だ。最高のCPUや容量の大きなSSD、大量のメモリ、ウルトラハイエンドクラスのビデオカードなどを搭載したPCの価格は20万円オーバーが相場となってしまう。最新ゲームをプレイしたい。しかし、もっと気軽に購入できるような安価なPCはないかと探している読者諸氏にピッタリなのが、今回紹介する「NEXTGEAR-MICRO 10周年モデル」だ。

 この「NEXTGEAR-MICRO 10周年モデル」は、最新ゲームをストレスなくプレイすることができるのを目的にデザインされたゲーミングPC。最高の性能を追求したモデルではないが、現在販売されている3Dゲームタイトルなら、動作環境としては過不足ない性能だ。まず、その仕様を見ていこうと思うが、主なものを表にまとめてみた。

G-Tune NEXTGEAR-MICRO im550BA2-SP-GW
CPUCore i7-4770
マザーボードIntel H81 Expressチップセット採用マザーボード
メモリPC-12800 DDR3 SDRAM(8GB×1)
ビデオカードGeForce GTX 760
ストレージ(HDD)1TB、7200rpm、Serial ATA 3.0
光学ドライブDVD±R 2層書き込み対応22倍速DVDスーパーマルチドライブ
PCケースNEXTGEAR-MICRO
電源ATX 500W
OSWindows 8.1 64bit版
その他G-Tuneブランド キーボード・マウスセット、17メディア対応マルチカードリーダー

G-Tuneシリーズが10周年ということで、価格を税抜きで「100,000円ぽっきり!」という企画で仕様を策定した

 CPUにはハイエンドシリーズのCore i7シリーズから、Core i7-4770がチョイスされている。Core i7-4770は、今回紹介するLGA1150プラットフォームの対応CPUとしてかなり上位の製品。4つのコアを搭載しており、3.4GHzで動作。ターボブースト時には、3.9GHzで駆動する。これよりも上位のCPUにはCore i7-4771やCore i7-4770Kがあるが、通常時の動作周波数が3.5GHzであることと、Core i7-4770Kで倍率変更によるオーバークロック(OC)ができることを除けば、性能的には、ほとんど変わらない。

 マザーボードはIntelのミドルレンジクラスであるIntel H81を採用した製品。上位のIntel Z87はOCや、ビデオカードを複数搭載するSLIやCrossFireXといった構成を視野に入れた仕様になるため、妥当な選択と言えるだろう。

 ゲーミングPCのキモとなるビデオカードにはNVIDIAのGeForce GTX 760を搭載したカードを採用している。ビデオメモリは2GBのGDDR5を使用したモデルで、現行のゲームを楽しむためには十分な性能を持ったビデオカードだ。無論、最上位というわけではなく、上位のビデオカードにはGeForce GTX TITANやGeForce GTX 780 Ti/780/770などが存在している。しかし、これらのビデオカードの相場価格は、GeForce GTX 770でも4万円以上。ハイエンドでは、15万円を超える製品もちらほら見かける。本機に搭載されるGeForce GTX 760は3万円前後が相場となっており、価格を抑えつつも性能を意識したコストパフォーマンスの高いモデルだ。

 メモリはPC-12800 DDR3 SDRAMの8GBモジュールが1枚搭載されている。筆者としては、同じ8GBでもデュアルチャンネルを有効にするために、4GBモジュールを2枚搭載することをお勧めしたいが、こちらもコストカットの影響と思われる。実際問題、以前に紹介させていただいた同じマウスコンピューターのPC Watchモデルでも同様のメモリ構成であったが、検証の結果、ゲームなどの実行時にはほとんど差が出ないことがわかっているため、問題はないだろう。

高すぎず、かといって仕様的にもゲーミングPCとして十分必要要素を押さえている

 ストレージには7,200rpmの1TB HDDが採用されている。SSDの組み込まれたモデルの多いハイエンドPCだが、ゲームは一旦ゲーム画面に入ってしまえば、描画速度のほうが重要だ。ゲームの起動やデータの読み出しなどに差は出そうだが、プレイに大きな支障はないだろう。

 特筆すべきなのはPCケースだ。「NEXTGEAR-MICRO」の名前のとおり、本機に搭載されているマザーボードはmicroATX仕様の製品。当然PCケースもmicroATX用のものを採用しており、ケースが非常にコンパクトだ。サイズの大きくなりがちなゲーミングPCだが、この大きさは設置場所に難儀する日本の住宅事情としてはうれしいところ。後ほど写真で紹介するが、このサイズでありながら搭載ファンも大型で数も多く冷却能力に優れている。microATXといえども、ゲーミングPCという使いみちにあったケース選択だ。

 電源は500W対応の製品が搭載されている。こちらは、搭載されているパーツの構成を考えると妥当なところだ。ビデオカードの換装やパーツの追加などによる拡張を行なう場合にはこころもとない部分もあるが、そのまま使う分にはまったく問題はない。

 OSにはWindows 8.1の64bit版が選択されている。Windows 8は登場当初、対応していないゲームも少なからずあったが、登場から1年近くが経過し、Windows 8.1にアップグレードされた今、ゲームメーカーの対応もほとんど問題がなくなってきている。
 そのほかにも、G-Tuneブランドのキーボードやマウス、17メディアに対応したメモリカードリーダーが付属している。キーボードやマウスはゲーマー向けのG-Tuneオリジナルの製品で、高価なゲーマー向けのものと比べると見劣りするが、十分に使用に堪えるものだ。

 仕様を見て思うのはところどころコストダウンの跡が見られること。要所を抑えたコストダウンのため、それほど大きな性能ダウンが見られる部分は多くないだろう。ただ、ゲーミングPCとして見た場合に、大きな差が出るのは、ビデオカードとストレージの部分だ。ストレージ部分に関しては前述のとおり、ゲームデータなどの読み出し時間に影響をおよぼすことがあるが、プレイそのものには支障がないと言える。また、ビデオカードも上位製品と見比べるとどうしても見劣りする。ただ、現状のゲームをプレイするためには十分だ。価格と性能のバランスを考えた場合、使用用途から考えると非常によくできた構成であると言えるだろう。

写真でみる内部構成

 今回、実機をお借りしているため、分解して中を確認することができた。マウスコンピューターのG-Tuneはメーカー製PCではあるが、基板からオリジナルの設計を行なってPCをデザインしているわけではない。市場に出回っていない製品もあるが、各パーツベンダーの提供するOEM製品を組み込んで作成されている。マウスコンピューターとしては、それらのパーツ構成を検討し、相性の問題などの不安要素が取り除かれた完動品を、OSがインストールされた状態でユーザーに提供する。また、各パーツではなく、PCとしてのユーザーサポートも請け負っているという大きな安心感があるのだ。

 話が少しそれたが、そのような事情からG-Tuneに使われているパーツがどのメーカーのどのような製品であるのかという興味がある方も多いはずだ。ここではそれを写真で紹介していこう。ちょっと注意してほしいのが、今回写真で紹介するパーツが必ず使われているかと言われると、そういうわけではないこと。各パーツベンダーの製品の生産状況により、同じパーツが使えなくなることもあるからだ。その場合、マウスコンピューターのようなOEM生産を行なっているPCベンダーは、同じような性能のほかのパーツを利用して、同型のPCを販売し続けることもある。このようなケースもあるということを念頭に、以降の記事を読んでもらいたい。

【PCケース】
【フロントパネル】
PCケースはIn Win製のBR-665を採用している。micro ATXを採用しているため、高さと奥行きはコンパクト。設置場所を考え上で、ATXケースと比較すると自由度が大きい。横幅が大きめだが、これは大型のファンを搭載するための設計と推測される。大きめのビデオカードが搭載可能で冷却力も高く、ゲーミングPC用のケースとしてはベストチョイスと言えるだろう
フロントパネルには1番上の5インチベイにDVDスーパーマルチドライブが用意されている。そのすぐ下の3.5インチベイにはマルチカードリーダー、さらにその下にはUSB 3.0やUSB 2.0、オーディオ端子があり、その下に電源やリセットボタン、電源ランプとHDDのアクセスランプが並ぶ。ゲーミングPCとしてはあまり関係ない機能だが、メモリカードリーダーは、デジカメ全盛の昨今にあって、あるとうれしい機能の1つだ

【Core i7-4770】
【CPUクーラー】
Intelの上位シリーズCore i7シリーズのIntel Core i7-4770.通常動作クロックは3.4GHz、ターボブースト時には3.9GHzで動作する。4コア構成のCPUはHyper-Threadingにも対応しており、8命令の同時実行が可能。キャッシュは8MBを搭載しており、さらに上位のCPUと比較してもほとんど見劣りしない。ちなみに上位のCore i7-4770KとCore i7-4771は動作クロックが3.5GHzでターボブースト時は同クロック。Core i7-4770Kでは倍率変更によるOCが可能になる。さらにCore i7-4770Kはグラフィックスコアの動作クロックが少し高いという特徴もあるが、ビデオカードを搭載した本機においては、意味のない違いだ
Cooler Masterのシールが張られたCPUクーラー。高クロックの状態が長く続くゲーミングPCという本機ではリテールクーラーよりも安心できる構成だ

【マザーボードはGIGA-BYTE製】
マザーボードにはGIGA-BYTEのGA-H81M-DV3-JPが採用されている。市場では見ない型番のため、OEM用のモデルと思われるが、コンパクトでムダのないサイズだ。実装されている機能やスロットは少なめに見えるが、ゲーミングPCとして必要な機能は十分に有している。PCI Express x1ポートが利用可能な状態で、大きな拡張を前提としないなら、まったく問題がない

【ビデオカード】
【Serial ATA端子】
ビデオカードはNVIDIAのGeForce 760を搭載。リファレンスデザインと見られるが、MSIのシールが張られているのが見て取れる。ポート部分はDVI端子が2つ、HDMI端子とDisplayPort端子が1つずつ用意されており、DVI→HDMIの変換端子も付属している
Serial ATAの端子は白い6Gと黒い3Gのポートが2つずつ用意されている。それぞれ、HDDと光学ドライブで1つずつ使用済みで、6Gと3Gのポートが1つずつ利用可能な状態だ

【バックパネル】
【ストレージのケージ】
バックパネルには、USB 2.0ポートが2つ、USB 3.0ポートが2つ、PS/2端子、LANポート、オーディオ端子が用意されている。USB 3.0ポートはフロントパネルへの引き出しのため、1つ使用済みのため、バックパネルで利用可能なUSB 3.0端子は実質1つだ。また、外部映像出力端子はDVIとDsub 15ピンが用意されている。少しさびしげだがUSB 3.0端子はフロントパネルと合わせれば2つ使用できるし、USB 2.0は合計で4つ。その上USBハブを利用するという選択肢もある。外部映像出力はビデオカードを利用しているので、マザーボード側のポートを使うことはない。以上のことを考えると十分な構成だろう
ストレージのケージは2つ用意されており、そのうち1つはHDDが挿し込まれている。ケージにはもう1つ利用可能なスペースが残されており、取り付け用のレールも付属品に用意されている。ただし、ケース内が狭いため、ケージのストレージを抜き挿しするためには電源を1度取り外す必要がある。ただ、頻繁にケージからストレージを抜き挿しすることはないだろうし、容量的に問題がなければ追加そのものも必要ない。どちらにしても、とくに大きな問題にはならないだろう

【4つ用意されたケースファン】
ケースファンはフロントパネル中央と下部に1つずつ、背面に1つ、天板部分に1つの合計4つ。前面下部は8cm角、背面は9cm角で、前面中央と天板部分は14cm角と大型のものが採用されている。とくにフロントファンは直接ビデオカードを冷却できる位置に取り付けられており、間に遮蔽物もないため、1番熱が発生する部分を効率よく冷却する構造だ

【ハードディスク】
【電源ユニット】
HDDにはWestern Digital製のWD Blue WD10EZEXが採用されている。回転数が7,200rpmのモデルで、容量は1TB。ゲームプレイに利用するという意味では容量的に問題はまったくないだろう
電源ユニットにはFPS Groupの500W電源を採用。製品には80PLUS Silver認証を取得していることを表わすシールが張られている。80PLIS認証とは、電源の変換効率のよい製品が取得できるもので、電源ユニットの性能の指標となっている

【裏面にまとめられたケーブル】
小さいながらも本機のPCケースでは裏面配線を採用している。使用していないケーブルなどを含め、ケーブルはまとめられており、PCケース内の作業スペースを確保しているため、メンテナンス性が高く作業がしやすくなっている。また、ケーブルがビデオカードまわりの空気の流れの妨げになることもない

ゲーミングPCとしての性能をテスト

 では、せっかく実機が手元にあるのでベンチマークテストを行なってみよう。ベンチマークを行なったのは、以下の6項目。その下に各ベンチマークの結果を掲載している。

・3DMark

 3D性能を測るのだったらこれをおいてほかにないと言われるほど有名なFuturemarkのベンチマークソフト。スマートホンやタブレットなどの性能も計測できるIce Storm、ごく一般的なPC向けのCloud Gate、ゲーミングPC向けのFire Strikeの3つのテストが行なえる。

テスト項目数値
Ice Storm146,672
Cloud Gate20,048
Fire Strike5,518

詳細はクリック

・PCMark 8

 Futuremarkの最新ベンチマークソフト。PCの全体的な性能をチェックすることができる。

テスト項目数値
PCMark score5,005

詳細はクリック

・PCMark 7

 PCMark 8と同じくPC全体の性能をチェックするためのベンチマークソフト。PCMark 8の1世代前のソフトだが、比較できるサンプルを持っている読者も持っている方が多いと思われるため、参考用に計測して掲載した。

テスト項目数値
PCMark score4,109

詳細はクリック

・CINEBENCH R15

 CPUの性能を見ることができるベンチマークソフト。レンダリングをCPUで行なう際の処理能力を見ることができるのだが、シングルコアでの処理とマルチコアでの処理時の比較も行なうことができる。

テスト項目数値
CPU750
CPU(シングルコア)155

・「バトルフィールド4」(平均fps)

 多くのファンを持つEAの最新FPS。キャンペーンの再プレイを利用し、TASHGARを開始。戦艦の場面のデータ読み込みが終わり、主人公たちが車で移動しているシーンが開始されたら、平均フレームレートをFrapsで1分間計測している。設定を最高にした場合と高の場合で2つの計測を行なった。

テスト項目数値
設定:最高43.733
設定:高65.267

・「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」ベンチマーク キャラクター編

 スクウェア・エニックスの人気国産MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」(FFXIV)のベンチマークソフト。プレイの前に利用することで動作環境を満たしているか、どれくらい快適にプレイできるのかをチェックすることができる。テストは、最高設定で、フルHD、フルスクリーン表示にて行なった。

テスト項目数値
スコア9,620(非常に快適)

3Dゲームのエントリーマシンとしてぴったり。機能を強化したいのならBTOも可能

GAME Watchコラボモデルということで、先着100名様にステッカーが同梱されます。是非ともご使用ください!!

 ここまで読んで、本機の実力がわかってもらえただろうか。「NECTGEAR-MICRO 10周年モデル」には、このほかにも、新PCへの移行を簡単にする、ファイナルパソコンデータ引越し9plusがプレインストールされており、PCの買い換えの際にも移行がスムーズに行なえるようになっている。そして、先に少し書いたように、自作PCと違って、手厚いサポートが得られるという安心感も大きい。

 「NECTGEAR-MICRO 10周年モデル」は、機器の構成やベンチ結果から見た場合、必ずしも最高のゲーミングPCと言えるわけではない。しかし、削るべきところを削り、必要な部分は強化されているという、非常にシェイプアップされたアスリートのようなマシンであることがわかる。このシェイプアップにより価格を抑え、最高のコストパフォーマンスを実現しており、現在の3Dゲームをプレイするための環境を安価に提供してくれるというのが、本機の特徴だろう。

 ヘビーなゲームユーザーにはちょっともの足りない部分はあるかもしれないが、ライトゲーマーを卒業し、ちょっと踏み込んで3Dゲームをプレイしたいと思っている人にはぴったりだ。出費としてもお試し価格の範疇であり、筆者としてはそんなユーザーの3Dゲームの入り口として、本機をお勧めしたい。

 また、G-Tuneシリーズはカスタマイズの可能なBTO方式での販売も行なっている。たとえばだが、メモリ容量をもう少し増やしたい、CPUをもうワンランク上のものに変更したいといったカスタマイズも可能だ。強化したい機能があるのなら、どのような変更が可能かチェックし、自分の目的にあったPCを予算に応じてカスタマイズすることもできるので、1度は目を通しておくとよいだろう。

(山本倫弘)