Wii Uゲームレビュー

バットマン:アーカム・シティ アーマード・エディション

Wii U GamePadが生む新たな“バットマン体験”
犯罪都市で進行する陰謀を阻止せよ

ジャンル:
  • アクション
発売元:
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
開発元:
  • Warner Bros. Entertainment Inc.
プラットフォーム:
  • Wii U
価格:
5,980円
発売日:
2012年12月8日
プレイ人数:
1人
レーティング:
CERO:C(15歳以上対象)

 ワーナー・ホーム・ビデオは、Wii U用アクション「バットマン:アーカム・シティ アーマード・エディション」をWii U本体のリリースと同日の12月8日に発売した。価格は5,980円でCEROレーティングはC(15歳以上対象)。

 前回のレポートでは少しだけ本作に触れてみたが、今回はさらに深く「バットマン:アーカム・シティ アーマード・エディション」をプレイすることができた。より詳しく本作ならではの特徴を紹介し、感触を語っていきたい。

 本作の最大の魅力は“バットマンになりきれるところ”にある。闇に紛れて街を飛び回り、悪人達に恐怖を与えながら倒していく。どんな逆境も、最新技術のガジェットと、鍛え上げた肉体、そして知恵と勇気で克服する。本作でプレーヤーは“ダークナイト”バットマンとして、思う存分活躍できる。Wii U GamePadにより、バットマンとの一体感は、従来のゲーム以上に高められているのだ。

プロトコル10とは何か? ヴィラン総出演、犯罪都市でのバットマンの冒険

ブルースからバットマンに変身。アーカム・シティを舞台とした冒険が始まる
B.A.T.モード発動。戦闘力が増加する
広大なアーカム・シティを飛び回る
キャットウーマンのスーツにもB.A.T.モードが搭載されている

 「バットマン:アーカム・シティ アーマード・エディション」では最初にバットマン以外のキャラクターをプレイすることとなる。まずキャットウーマン、次にバットマンの“正体”であるブルース・ウェインがプレーヤーキャラクターになる。ブルースは何者かに捕らわれており、プレーヤーはまず椅子に縛り付けられたブルースをいかに逃がすか努力することとなる。

 バットマンは超能力を持っていないヒーローだ。己の肉体を極限まで鍛え上げ、ウェイン・エンタープライズの有り余る富を使って現代の技術の結晶ともいうべき数々のガジェットで戦う。ふだん正体は隠してはいても、ブルースは強いのだ。縛り付けられており、敵に囲まれていても、ブルースはその肉体で逆境をはね除け、敵から逃れてアルフレッドとの通信に成功する。何とか建物の上に逃れると、ぴったりのタイミングで上空からバットスーツが送られてくる。スーツをまとい、バットマンとなったブルースはアーカム・シティの探索を開始する……。

 このアルフレッドとの通信が、Wii Uならではの演出で迎えてくれる。バットマンに通信をしてくる声は、Wii U GamePadから聞こえてくるのだ。最初Wii U GamePadから音が出たときは驚かされた。アルフレッドに限らず、様々な通信は同じようにゲームパッドから聞こえてくる。

 そして、バットマンに変身してからは、Wii U GamePadはスーツの左腕についているバットコンピューターとなる。劇中、様々な機能を使うとき、画面には「Wii U GamePadを見る」と表示が出る。ここでプレーヤーは実際にゲームパッドを操作するのだが、合わせて画面内のバットマンもタッチパネルを操作している演出が楽しい。

 ブルースを捕らえたドクター・ヒューゴ・ストレンジは「プロトコル10」と呼ばれる謎の計画を進めているようだ。ジョーカーもこの計画の何かを知っているらしい。バットマンはまず、ジョーカーの行方を追うことにする。バットマンは“探偵”と呼ばれることもある。彼のスーツには様々な分析装置が内蔵されており、打ち込まれた弾痕から敵が撃ってきた方向を探したり、かすかに残った血痕を追ったりできる。バットマンのセンサーは壁を透かして敵の姿を見つけることもできる事も可能だ。

 バットマンは無敵のヒーローではない。強靱な肉体は持っているものの、銃で撃たれたらあっという間に倒されてしまう。このため、銃を持ち、警戒している敵を倒すには慎重に挑まねばならない。壁を透かして敵の位置を確認し、ワイヤーを発射する「グラップルガン」で高いところを移動する。高いところから一気に敵に襲いかかり気絶させたり、背後から忍び寄り首を絞めたり、1人ずつ敵を減らしていく。仲間が減っていく状況にパニックを起こす悪漢達。“悪人に恐怖をもたらすコウモリの怪人”であるバットマンならではの戦い方を、本作は見事に再現している。

 バットマンの活躍を可能にするのが、様々な秘密道具、「ガジェット」である。スプレー式の爆薬「爆破ジェル」を仕掛けて爆発に巻き込んだり、手裏剣の「バットラング」で敵をひるませることもできる。そして本作では、Wii Uならではの要素が多数盛りこまれている。こちらは後述していきたい。本作での敵との戦いは、緊張感が常にある。いかにバットマンらしく華麗に戦えるか、ここに挑戦する価値がある。

 正面から殴り合う「格闘要素」も面白いところだ。バットマンは時として、10人以上の敵に囲まれる。うまく立ち回れば、この人数にもバットマンは勝てるのだ。基本は攻撃とカウンターだが、これも繋げると強力になっていく。ここからさらに他のボタンを組み合わせることでガジェットなども活用した攻撃になる。武器を持った敵との戦いは単純なボタン連打では倒せない。敵の攻撃を瞬間的に判断し、的確な攻撃を繰り出し、どこまで繋げていけるか。これは自分との戦いにもなる。

 「バットマン:アーカム・シティ アーマード・エディション」のバットスーツは「B.A.T.モード」という、本作ならではの機能を持っている。このシステムは攻撃を与えたり、攻撃を受けるとエネルギーが溜まり、このエネルギーを使うことで、発動可能となる。

 B.A.T.モード発動時は視界が変わり、格闘の攻撃力が上がり、カウンターしやすくなり、コンボが繋がりやすくなる。B.A.T.モードを搭載したバットスーツのメタリックな質感も注目だろう。本作では強敵との格闘シーンも多い。B.A.T.モードは心強い能力だと言えるだろう。ちなみに、キャットウーマンのスーツにもB.A.T.モードは搭載されている。

 そして、ペンギンやベイン、トゥーフェイス、ミスターフリーズといったヴィラン(悪役)達も注目だ。メインシナリオでは彼等の思惑が絡まり合っている。バットマンは、時にはその対立を利用し、ヴィラン達の野望をくじいていく。メインシナリオだけでなく、サブシナリオでもヴィランは登場する。

 ミスター・ザズーや、カレンダーマンといった、バットマンファンならばさらに楽しめるヴィランも登場する。アメコミファンにとって、作品ごとにヴィランがどう描かれているかを見るのはファンとして楽しいところ。今作でどう描かれているか注目して欲しい。バットマンはアーカム・シティで彼等との戦いの中、やがてプロトコル10は恐ろしい真の姿を現わしていく。バットマンはゴッサム・シティを救えるのだろうか?

【B.A.T.モード】

ブルースは鍛え上げた肉体でピンチを脱し、バットマンとしてアーカム・シティを探索する
アーカム・シティは様々な場所がある。危険な場所も多い
時には隠れ、時には正面から殴り合い、悪漢どもと戦っていく
多彩なヴィランの登場が本作の注目ポイントだ。コアなファンをうならせる渋いキャラクターも
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(勝田哲也)