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★ PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
かわいいチアリーダーがゾンビ相手に大立ち回り!
「 LOLLIPOP CHAINSAW」
ジャンル:
ハッピー・ゾンビエンターテインメント
発売元:
角川ゲームス
開発元:
グラスホッパー・マニファクチュア
プラットフォーム:
PS3 / Xbox 360
価格:
7,980円
発売日:
6月14日
プレイ人数:
1人
レーティング:
D(17歳以上対象 / 通常版)
Z(18歳以上のみ対象 / PREMIUM EDITION)

 昨年より角川ゲームスが猛烈プッシュをかけている重点タイトル「LOLLIPOP CHAINSAW」。かくいう筆者は、昨年9月掲載のインプレッション記事を書かせていただいた際、その世界観とゲーム性に1発で魅了されてしまった。まだ一部ステージとボスしかプレイできない体験バージョンだったが、タイトルから連想されるポップなキャラクターと色使い、見た目は怖いが言動ともにコミカルなゾンビたち、なによりベタつきが一切ない“あっけらかん”としたプレイ感覚が、なにより心地よかった。

 ここでは、本作の特徴を基本からかいつまんで説明していきたいと思う。気になって仕方がないけどまだ購入にはいたっていない人、ここで初めて知ったという人は、ぜひぜひご一読いただければ幸いだ。なお、本記事の画像はPS3版を使用しており、ボタン表記はPS3版にXbox 360版をカッコ内併記とする。あらかじめご了承願いたい。

 既にご存知の方も多数おられるだろうが、主人公ジュリエットの初期設定ボイスは、PS3版が日笠陽子さん、Xbox 360版が喜多村英梨さんがそれぞれ演じておられる。ゲームではなかなか珍しいダブルキャストとなっており、PREMIUM EDITIONはゲームクリア後に好きなボイスが選択可能になる。声優ファンの方々は、このあたりにも注目しておくといいだろう。


【ストーリー】

 舞台はアメリカ西海岸に位置する地区最大のマンモス校「サン・ロメロハイスクール」。主人公ジュリエットは、チアリーディングをこよなく愛する模範的なサン・ロメロ校の生徒。だが、彼女の家族=スターリング一家は、いにしえより死霊を天国に導くゾンビハンターの家系であった。

 事件はジュリエットのバースデーに巻き起こる。ボーイフレンドとの待ち合わせで学校へ向かうジュリエット。そのジュリエットが漕ぐ自転車が学校の敷地に入ると、そこにはゾンビへと変わり果てたかつての同級生たちが待ち構えていた。


【オープニング 〜導入部〜】
記念すべき18歳の誕生日を台無しにされるジュリエット。ちなみにコスチューム選択はこれらムービーパートにもきちんと反映される

【ジュリエット・スターリング】
CV:日笠陽子さん(初期設定:PS3)、喜多村英梨さん(初期設定:Xbox 360)
主人公。サン・ロメロハイスクールに通い、チアリーダーとして活躍する女子高生。その正体は、いにしえよりゾンビ退治を請け負ってきたゾンビハンター一家の次女。18歳の誕生日に学校でゾンビが大量発生し、事件に巻き込まれる。棒付きキャンディ(ロリポップ)を噛み砕く癖がある

【ニック】
CV:鈴村健一さん
サン・ロメロハイスクールに通う高校生で、ジュリエットのボーイフレンド。何のとりえもない至って普通の生徒だったが、勇気を出してゾンビに立ち向かった際に手首を噛まれてしまい……。好きな食べ物はカリフォルニアロール。趣味はバトミントン

【ロザリンド・スターリング】
CV:伊瀬茉莉也さん
【コーディリア・スターリング】
CV:浅野まゆみさん
【ギデオン・スターリング[パパ]】
CV:中田譲治さん
ジュリエットの妹(三女)でゾンビハンター見習い。サン・ロメロハイスクール在学。破天荒で天真爛漫なトラブルメーカーだが、それが困難な状況の打開につながる点は家族から認められているところもある。趣味はスクラップブックを作ること、歩行者を危険な目にあわせること、雪男の骸骨を集めること ジュリエットの姉(長女)でゾンビハンター。ハンター仲間のなかでも屈指のスナイパーとして知られ、数々の戦いを経験している。三姉妹のなかでも1番のしっかり者で、何事にも冷静沈着。“痺れること”は銃、クエサディラ(メキシカンフード)、敵の銃傷。冷めることは映画館のなかでの会話、青色、海に棲む怪物 ジュリエットの父。通称・ダディ。腕利きのゾンビハンターで、いぶし銀のロックン・ローラー。普段はゾンビハンター組織の仕事でバイクに乗って各地を飛びまわっている。子煩悩だが、ハンターとしての分をわきまえて娘たちと接している。豪快で大胆な性格。好きな食べ物はピーナッツ・バター、ピクルス、サンドイッチ。特技は骨を壊すこと、命をつまむこと、子供をつくること。“みんなに知られていないこと”は、TV番組で犬が死ぬたびに泣くこと

【ジュンジ・モリカワ】
CV:島田敏さん
【スワン】
CV:岡本信彦さん
日系二世のゾンビハンターマスター。下川流空手の達人にして、スシバーのマスターでもある。スシ職人としての腕前も超一流で、その包丁さばきは自身の武術にも取り込まれている。とぼけた味わいの性格で誰からも好かれ、ジュリエットや彼女の家族たちからも常に信頼されている。弟子のジュリエットには、時に厳しく、しかしながら大変に可愛がっている。長年の修行により、さまざまな秘術が使えるようになった。好きな食べ物はウニ、趣味は女性の下着収集 サン・ロメロハイスクール在学中の目立たない生徒。いわゆるいじめられっ子で、性格も屈折してしまっている。ある日、世界を破滅へと導く魔道書「ネクロノ・ミコーン」を手に入れ、ゾンビたちを召喚してしまう。好きな食べ物はタブレット型ラムネ。趣味は動物虐待、携帯ゲームをプレイすること



■ 簡単操作でゾンビ相手に大立ち回り!

 健康的なお色気満載の主人公キャラクター、ジュリエット。基本操作は、左スティックがジュリエットの移動、□(X)がチアアタック、△(Y)がチェーンソーアタック、×(A)がローアタック、○(B)がチアジャンプ、R2(RT)がスターモード、L1(LB)がターゲットロックオンで右スティックで対象の切り替えとなっている。回復アイテムのロリポップを使いたいときは、方向キーのいずれかを入力。特殊操作では、R1(RB)でチェーンソーダッシュ、L2(LT)でチェーンソーブラスター、左スティック押し込みでニックチケットのルーレット発動。特殊操作は登場ステージ or シーン以降で使用可能となっており、周回プレイ時も同様の制限が適用される。

 攻撃は、隙が少なくホーミング性能が高いチアアタック始動が基本。そこからチェーンソーアタックなど各ボタンを連続入力する“コンボ技”で大ダメージを狙っていく。最初から使えるコンボ技は地味でバリエーションも少ないが、ゾンビたちを倒して「ゾンビメダル」を入手し、ステージ中に登場するショップでアイテムを購入する要領で手持ちのコンボ技を増やすことが可能。ジュリエット自身の能力アップも重要だが、その前に使い勝手のいいコンボ技をひとつくらい手に入れておいたほうが、ゾンビとの戦いはぐっと楽になる。


【チアアタック】
攻撃判定の発生が早く、とても使いやすい。ホーミング性能も優秀のひとこと。ここから各種コンボ技につないでいくといい

【チェーンソーアタック】
チアアタックを上回るダメージを与えられるが、攻撃判定の発生がやや遅め。チェーンソーアタック始動のコンボ技は、敵との間合いを見てタイミングよく仕掛けるべし

【ローアタック】
地面を徘徊するゾンビなど一部の敵に有効。チアジャンプからローアタックで地面にチェーンソーを突き立てる攻撃はホーミング性能が抜群で特に狙いをつけやすい

【チアジャンプ】
ガードができない本作においては習得必須のテクニック。困ったときはチアジャンプでぴょんぴょん飛び回るだけでも結構回避できる。チアジャンプがらみのコンボ攻撃は強烈かつ使い勝手のいいものが多い

【コンボ技】
それぞれ範囲、威力、攻撃回数が大きく異なる。一部のコンボ技は後述のスパークルハンティングが狙いやすくとても便利。高難易度では、状況に応じたコンボ技の使い分けが特に重要になってくる


 ゾンビメダル稼ぎのポイントは、なるべく多くのゾンビをまとめて始末すること。一撃で3体以上の敵を同時に倒すと「スパークルハンティング」が成立し、普通に倒したときよりも多くのゾンビメダル、さらにはコスチュームなどボーナス要素のアンロックに必要なプラチナメダルが多く手に入る。ただし、本作のゾンビには耐久性があり、通常はチアアタックやチェーンソーアタックを数回ヒットさせないと倒せない。コンボ技が地味なファーストプレイでは、なかなかスパークルハンティングが狙いづらい。

 ここで重要になってくるのが、特殊操作のスターモード。ゾンビを倒すと画面左下にある半円ゲージが少しずつ増えていき、MAXになるとスターモード準備OK。発動後、ゲージがなくなるまでの一定時間は、一部例外をのぞきゾンビが一撃で倒せるようになる。ゾンビが大量にでてくるシーンまでゲージを維持できれば、どちらのメダルもガッツリ手に入る。ちなみに、体力ゲージがあるゾンビを巻き込むとメダル係数があがり、最大でゾンビメダル99枚、プラチナメダル9枚のボーナスが狙える。

 チェーンソーダッシュは、ステージ2導入部から使えるようになる特殊操作。R1(RB)ボタンを押すと、地面に突き立てたチェーンソーの駆動力を借りて凄まじいスピードで走れるようになる。疾走中は体当たりでザコゾンビを一撃で倒すことが可能。3匹まとめて、もしくは瞬時に巻き込めばスパークルハンティング扱いと非常にお得。連続ダッシュするシーンではルート上にアイテム「燃料」が必ず落ちているため、見逃さないよう注意が必要だ。

 チェーンソーブラスターは、ステージ2後半のゾンビ・ベースボールから使えるようになる特殊操作。L2(LT)を押すとガンシューティングモードになり、ターゲットカーソルで狙いをつけてR2(RT)で射撃。オプションのデフォルトでは、L2(LT)を押した瞬間にターゲッティングが行なわれる仕様で、自分でしっかり狙いをつけたい人はオフにしておくといい。ダイナマイトを大量にまきつけたゾンビ、ドラム缶を利用したゾンビ一掃、フライングゾンビを相手にするときは必要不可欠。残弾が設定されているため、無駄弾で浪費せず丁寧にヒットさせていきたい。余談ながら、ザコ3体をノーミスで素早く撃ち倒すとスパークルハンティング扱いとなる。

 ニックチケットは、アイテム“ニックチケット”がある状態で左スティックを押し込むと、ルーレット形式で特殊攻撃が発動。ゾンビが一撃で気絶するニックポッパーなど“アタリ”が出れば頼もしいが、ゲームを進めるかアイテム購入でアタリマスを増やさないと“ハズレ”マスに止まってしまうこともある。ザコ相手では相当な威力を発揮するが、弱点狙いが基本となるボス戦では回復アイテムを出せるもの以外は役に立たないと考えていい。ゆえに目押しに自信があれば、難易度ベリーハードではとても頼もしい存在となってくれる。


【スターモード】
画面左下のゲージがMAXであれば発動可能。ゲージがなくなるまでの一定時間、大半のゾンビがチェーンソーアタック一撃で倒せるようになる。ゲーム初期にスパークルハンティングを狙うなら、これが1番お手軽

【チェーンソーダッシュ】
猛スピードで移動できる便利な特殊技。燃料ゲージが尽きると、チェーンソーが一定時間オーバーヒート。回復するまで攻撃にも使えなくなるので注意が必要

【チェーンソーブラスター】
アウトレンジの敵を攻撃できる。残弾が設定されているため、アイテムが沸くポイント以外では乱射は避けたい。弾はショップで買うこともできる

【ニックチケット】
スティックを押し込むと発動する特殊技。ルーレットで止まったマスの効果が発動。チケットはステージ中に落ちているが、他のアイテムに比べると数が少ないので基本的にはショップで購入補填することになる。入力形式から、操作に熱中しているときに暴発しがちなので要注意



■ バラエティ豊かなステージ構成 〜屋内外で暴れまくり!〜

 本作は「サン・ロメロハイスクール」からスタート。ゲームが進むと、農場、繁華街のビルなど、変化に富んだステージが登場する。面白いのは、ステージそれぞれに“アクションイベント”が用意されていること。一部内容が重複するものもあるが、大半はそれぞれのステージでしかプレイできないものだ。

 通常、学校が舞台だとステージの内部構成がどうしても似通ってしまい「どこで戦っていても同じような感じだなぁ」となりがちだが、本作はユーザーをあきさせないよう敵の種類や配置、カメラアングル、オブジェクトなどにさまざまな工夫が施されており、そういった感覚に陥ることは皆無といっていい。バトルとバトルのつなぎはもちろん、ちょっとしたゾンビやモブのやりとりなど、常に何らかの“フック”が設定されている。余談ながら、筆者が完成版を初めてプレイした際は「あぁ、ここは昨年の体験版でプレイしたっけ……ってあれ!? 構成が変化して遊びやすくなってる!」といったシーンが続出。東京ゲームショウ2011で体験版をプレイされた方は、恐らく筆者同様に嬉しい悲鳴をあげられることだろう。

 ステージ3の農場には、ゾンビだけでなくゾンビ化した牛や馬がいたり、大型コンバインで麦と一緒にゾンビを刈り取るシュールなミニゲーム、斬ると幻覚ステージにジュリエットをいざなう巨大キノコなど悪ノリ満載。ステージ4のゲームセンターは、イカすBGMとレトロなミニゲームが特徴。ちょっと若年層おいてけぼり感は否めないが、このあたりはクリエイティブディレクターの須田剛一氏(グラスホッパー・マニファクチュア)らしいネタの仕込み方といえる。ネタばれになるので詳しくは触れないが、このあとも“手を変え品を変え”といった具合に、さまざまな難関がプレーヤーを待ち構えている。


【中盤までの一部ステージを紹介!】
ネタバレ厳禁につき、ここでは中盤までのステージ、それもごくごく一部をご紹介。各ステージともプレーヤーをあきさせないよう変化に富んだ構成になっている

【アクションイベント】
いずれもミニゲーム感覚でライトに楽しめる。ただし、ミニゲーム的な内容といえどもミスすると即ゲームオーバーになる点は要注意

【個性的なボスキャラクター】
どのボスキャラも、攻略パターンをきちんと考える必要がある。使えるロリポップが少ない高難易度では慎重かつ的確な操作スキルも重要



■ これ目当ての人も多数!? 〜魅惑のアンロック要素〜

 過去記事で既にご存知の人が圧倒的多数かと思われるが、本作にはさまざまなボーナスコンテンツが用意されている。最大の目玉は、なんといっても主人公ジュリエットのコスチューム。オリジナルはもちろん、「これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド(富士見書房/マテライズ魔法学校)」、「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD(富士見書房)」、「デッドマン・ワンダーランド(角川書店)」、「魔乳秘剣帳(エンターブレイン)」といったコラボ企画など、魅惑のコスチュームが盛りだくさん。一部コスチュームのみPREMIUM EDITION限定の初回特典「パーフェクト・アンロックコード」が必要で、これ目当ての人は間違って通常版に手を伸ばさないよう注意されたい。

 ボイス関連では、冒頭でも触れたダブルジュリエットのほか一部ボスキャラクターの声もクリア後に変更可能となる。シークレットボイスは、完成披露パーティなどで明らかにされたとおり、アーティスト「スネオヘアーさん(ゼッド/ステージ1ボス)」、「ROLLYさん(ジョーズィー/ステージ4ボス)」のふたりに加え、「ジェームス小野田さん(ビッケ/ステージ2ボス)」「KONTAさん(ルイス/ステージ5ボス)」の4人。どちらも「お見事!」というほかない素晴らしい演技を披露されており、ファンならずとも必見の仕上がり。個人的な注目ポイントは、スネオヘアーさんであれば「乱暴な言葉遣いだが、どこか人柄の良さが感じられる声質」、ROLLYさんであれば「これ最初からROLLYさんを意識して作られてたんじゃない?」といったハンパないハマり具合。どちらも1度クリアした後に心ゆくまでご堪能いただきたい。

 アンロック要素は、この他にもBGM、ゲームアートなどが存在するが、すべてゲーム中で獲得した「プラチナメダル」が必要。ジュリエットの能力アップやコンボ技、アイテムなどと同様にショップで購入する仕組みになっており、ゲームを1度クリアしただけではコンプリートできない。クリア後は好きなステージが選べるようになるので、お気に入りのステージを何度も遊んだり、スコアアタックに挑戦することで少しずつアンロック項目が増えていく。こう書くと「うわ、面倒くさそう」と思われるかもしれないが、後述の理由により「面倒」とか「手間」と感じる人は、それほど多くないかと推察される。


集めたプラチナメダルは、恐らく100パーセントに近い確率で“コスチューム最優先”で遣われることだろう。これはもう仕方ない



■ 見た目に反した(?)王道アクション 〜少しずつ上達するのが“楽しい”ハッピー・エンターテイメント〜

 アクションゲームは、アーケード・コンシューマを問わずビデオゲーム黎明期よりゲーマーの心をがっちりとらえて離さない“王道”ジャンルのひとつ。そのアクションゲームも、刻(とき)の流れとともにゲームデザインのトレンドは大きく変化してきた。だが、本作は近年主流のそれではなく“原点的な魅力”に近いものを感じさせてくれる、ちょっと珍しいタイトルとなっている。

 1番のポイントは“スコア稼ぎとプレーヤースキル向上の意識付け”が、適度な手順とテンポで構築されていることだ。最初はクリアだけで精一杯なのだが、慣れるにしたがい「どうしたらゾンビメダルがたくさん手に入るだろうか」など、プレイスタイルが“より高見を目指す方向”に、自然と比重を置くようになる。メダル稼ぎやアンロックを含め、プレイスキル向上や能力アップの上昇曲線のふり幅が実にいい按配で、難易度ベリーハードに至っても「うわ、きっついなー!」と要所で思わせつつ工夫次第でなんとかなりそうな感じがまたいい(まだ達成できていませんが……)。

 昨今はスコア要素が皆無というアクションゲームのほうが多いくらいなので、周回プレイを意識した部分を含め、こうした作りはある意味“古典的”とさえいえる。今時なら「そのへんに注力する工数があったら、ひとつでもステージ数を増やして見た目のボリュームを大きくしたほうがいい」などと判断されかねないのだが、本作は“1個のアクションゲーム”として絶妙にバランスが取れたものになっており、有償DLCの名を借りた“切り身”もない。売れるものは薄めて何でも売れが正義とされる時代だけに、逆に「大丈夫なんですか?」と心配になるくらいだ。

 もうひとつ個人的にツボだったのは、おりおりに挿入されるジュリエットとニックのなにげない会話。終盤以外は他愛ない内容で、それこそどうでもいいような話ばかりなのだが、これがプレイ中の雰囲気作りに物凄く重要な役割を果たしている。ちょっとした会話からふくらんでいく、主人公と恋人の人間性や周辺環境。ふと気づけば、断片的な会話が層をなし、太い幹となってキャラクター像をささえていく。大げさなムービーや筋書きで描くよりもよほど効果的で、このあたり作り手のセンスの良さを感じずにはいられない。

 不満点は、強いてあげるなら「ちょっと長めに感じられるロード」と「ステージ2ボスが他ボスに比べて展開的な厚みに欠ける」ことくらい。ゲームの世界観やキャラクター、ギャグなどのテイストが生理的に合わない人もいるだろうが、そういう方々はパッケージやゾンビ云々の時点で食指が伸びるわけもなく「思っていたのと全然違う!」といったミスマッチは、よほど筋違いな先入観や期待を抱かない限り、ちょっと考えにくい。B級ホラーとアクションゲーム、どちらか一方でも琴線に触れる人は、本作をチェックして損はないはず。両方とも好きなら、いわずもがなだ。


(C) KADOKAWA GAMES / GRASSHOPPER MANUFACTURE

(2012年 6月 14日)

[Reported by 豊臣孝和 ]