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★ ブラウザゲームレビュー★
キャラクター作成の自由度は史上最高?
世界で1人だけの英雄を作り出そう
「英雄クロニクル」
ジャンル:
創造WEBブラウザシミュレーションRPG
開発元・発売元:
サクセス
プラットフォーム:
ブラウザゲーム
価格:
基本プレイ無料(アイテム課金制)
サービス開始日:
9月29日(サービス中)

 株式会社サクセスが自社サイトとハンゲーム、mixiでサービスしているブラウザゲーム、創造WEBブラウザシミュレーションRPG「英雄クロニクル」は、「創造」という単語が示すように無限の広がりを持つ奥深いゲームだ。

 本作は、5つの勢力のいずれかに所属して、他の勢力と戦うシミュレーションRPG。最大の特徴は、他のプレーヤーを傭兵として雇い、オリジナルの部隊を作れるところだ。チップキャラの代わりにキャラクターのアイコンが並ぶ戦闘画面は、一見すると地味に見えるかもしれない。しかし実はこの顔アイコンこそ、かつてないほどに自由度の高いキャラクター作成に欠かせない本作最大の特徴なのだ。

 このレビューでは、一見しただけでは見えにくい「英雄クロニクル」の奥深いキャラクター作成を中心に、本作のインプレッションを紹介していきたい。


■ TRPGから受け継いだ、アナログに負けない自由度を誇るキャラクター作成

世界の外側で、プレーヤーを導いてくれる謎の存在「グレイ・クレイマン」
キャラクターをイメージで作れる「かんたん作成」
ずらりと並ぶキャラクター設定画面。しかも設定できる項目はこれだけではない

 コンピューターゲームのRPGを過去へとたどると、テーブルトークRPG(TRPG)にいきつく。TRPGはゲームマスターと数人のプレーヤーが、ルールブックとキャラクターシートを基に、会話とサイコロを使って遊ぶアナログなゲーム。自由度は非常に高く、例えはプレーヤーキャラクターの情報が書かれた「キャラクターシート」には、ステータスやスキルなどの基本事項を書き込むが、人によってはそのキャラクターの性格や生い立ち、現在の状況や裏設定などをこと細かく作りこんでいたり、キャラクターのイラストを添えていることもある。「英雄クロニクル」はそんなTRPGのキャラクターメイキングを、かなり原型に近い形でブラウザゲームに盛り込んでいる。

 キャラクター作成はたいていゲームの冒頭に行なうものだが、本作ではあまりの奥深さゆえに、手探り状態のゲームプレイ当初に納得のいくキャラクターを作るのは難しい。そのため、キャラクター作成には「カスタム作成」と「かんたん作成」の2つのモードが用意されている。

 「かんたん作成」は、いくつかの質問に答えるだけで、能力値やアイテム、属性などが自動的に決まるというモード。まずはこちらのモードで手早く作って、チュートリアルを進めたほうがいいだろう。キャラクターの情報はゲームがスタートした後にも変更のチャンスがあるので、最初はアバウトに決めてまずは試してみた方がいい。

 もう1つのモード「カスタム作成」では、名前、能力値の割り振り、特殊能力、スキル、初期装備、属性などを事細かに決められる。

 特殊能力は、例えば「HP上昇」のような能力強化や特殊攻撃など、キャラクター固有の能力。取得できる最大数は10個。能力には性能ごとに「コスト」という数値が決められていて、性能の高い能力はコストも高い。キャラクターが使えるコストは最大800なので、その範囲内で能力を割り振ることになる。

 ここで面白いのは「弱点」というキャラクターを弱体化させる能力があることだ。例えば命中回避にマイナス補正をつける能力はコストも「-5」と減算される。これを利用して、たくさんの弱点をつけてコストを増やし、何か1つに特化したキャラクターを作れる。例えば、足が遅くて回復力もなく、侵入できる地形に制限があるが、防御力だけは異常に高いといった偏ったキャラクターが作れるわけだ。

 スキルは「近接」、「射撃」、「魔術」、「隠密」、「攻撃」、「防御」、「その他」、「コマンド系」の8ジャンルに分かれていて、たくさんある中から2つを選択できる。RPGではおなじみの必殺技や回復や蘇生、他のキャラクターへの支援などを行なうアクティブスキルと、覚えていれば自動的に発動したり、キャラクターの能力値を上げたりするパッシブスキルがここに含まれる。

 使用できる武器は、剣、槌、槍、斧、格闘、弓、銃で魔法には攻撃系の黒魔法と、回復系の白魔法があり、この中から主武装と副武装の2つを装備できる。「属性」は闇、光、地、火、水、風の6種類がある。属性には、例えば「火」属性は「水」に弱く「風」に強いといった相関関係があり、戦闘の相性に関係してくる。

 これらを組み合わせることで、自分が思い描くキャラクターを作れる。足早に説明したが、ご覧の通り設定項目が非常に多く、しっかりしたイメージがなければ、なかなか思い通りのキャラクターは作れない。たくさんあるスキルも、どのスキルがどう効果的なのか、戦闘をしたこともない時点ではピンとこないだろう。それをつかむ助けになってくれるのが、懇切丁寧なチュートリアルだ。



■ じっくり読みたいストーリー仕立てのチュートリアル

いきなり現われてプレーヤーを助けてくれるNPC「パシュト」。その後NPCとの会話でチュートリアルが進行していく

 「英雄クロニクル」には、初心者向けに丁寧なチュートリアルが用意されている。ストーリー仕立てになっており、次々に登場するNPCの会話でゲームシステムだけではなく、世界設定もわかるようになっている。

 本作の舞台となるブリアティルトという世界には5つの国があり、その5つの国が覇権を争っているという設定。NPCとの会話の中で、それぞれの国の事情や支配者の噂を知ることができる。

 この設定は戦闘に関係するものというよりは、ロールプレイのためのエッセンスとしての意味合いが多く、戦闘の合間にアドベンチャーゲーム形式で挿入されるNPCとの会話は読み飛ばしてもゲーム進行に支障はない。実際かなりのボリュームがあって、途中で読むのが面倒になるかもしれない。しかし、作品世界の裏設定はその作品を楽しむうえで欠かせないと筆者は信じているので、ぜひじっくり読んで欲しい。

 チュートリアルでは他にも、ステータスの上げ方から部隊の組み方、各種武器やスキルの使い方などを手取り足取り教えてくれる。ただ、覚えることが多すぎて、シミュレーションRPGはこんなものだという、基礎知識がなければ混乱してしまうかもしれない。それでも6回の戦闘を終えるころには、部隊で戦闘するのに困らないレベルにはなった。

 チュートリアルの終わり辺りには、キャラクターを再作成するチャンスがある。ここまでで得た知識を活かして、キャラクターを作成してボスと戦い、その結果をフィードバックして微調整しつつ再び戦闘を繰り返すことが可能だ。


チュートリアルのカットシーン。ストーリーを読めば、各陣営のこともわかるようになっている


■ どこまでも作りこめる奥深いキャラクターカスタマイズ

キャラクターのデータは、「キャラクターシート」にまとめられている。自由記入欄には画像を張り付けることもできる
アップロードページには、ユーザーが作ったたくさんの画像が上げられている

 所属勢力を選んで、キャラクター作成を終えると、ようやくゲーム本編が始まる。ここまで来ると、ようやくステータス以外の要素をカスタマイズできるようになる。これ以降でカスタマイズできるのは、主に設定の部分だ。

 キャラクターの通り名、説明、戦闘中に挿入される各種セリフ、武器や装備の名称などが変更できる。また有料のサービスになるが、使うスキルの名前も変えられる。和風のキャラクターならスキル名や武器をすべて和風にしたり、自分の名前を付けた必殺技名に変えたりと、「らしさ」を追求できる。

 キャラクターにはテキストや画像を自由にアップロードできる「自由記入欄」という項目があり、そこに自キャラのイラストや、作成コンセプト、信条や漫画、小説などを掲載できる。

 グラフィックス的にも、キャラクターの顔アイコンや、必殺技を出す時に挿入されるカットインを変更できる。あらかじめ運営側が用意している数種類から選ぶだけではなく、専用のアップローダーに自分の描いたイラストをアップロードして使うこともできる。アップローダーにはいつも、イラストだけではなく、3DCGやGIFアニメなど多彩なアイコンが上がっている。他人が上げた画像でもストック可能になっているものについては、自分のアイコンとして使える。

 中にはかなりギリギリ感のある二次創作なども混じっていて、運営が苦慮している姿が想像できる。著作権問題だけではなく、ユーザーの自由度を増やせば、ハラスメントなど注意しなければならない要因が増えるため、運営の手間も増える。だからと言って縛ってしまえば本作の魅力は半減する。

 自由度の高い楽しい遊び場を維持するには、ユーザー自身の節度が重要な意味を持つ。そしてこれはユーザーコミュニティの醸成と相関関係を持つ。いい雰囲気のコミュニティができあがれば、その中に自然と規範ができあがる。

 「英雄クロニクル」にはコミュニケーションを図るための掲示板やチャットが多数用意されている。基本は勢力単位で、ユーザーイベントの告知をしたり、わからないところを質問しあったり、雑談をしたりと自由に使われている。そしてこのコミュニティにSNS的な要素を加味しているのが、次に紹介する「絆システム」だ。



■ 陣営内の最強キャラを自分も使える「絆システム」

マッカ連邦王国の傭兵リスト
雇った傭兵は、部隊に編制して自ユニットとして操作できる

 これだけ気合いを入れて作ったキャラクターなのだから、自分で使うだけではなく人にも見せたり、その性能を試してほしいと思うのは自然な流れだ。本作では、他人のキャラクターを「傭兵」として雇い入れ、部隊のメンバーとして操作することができる。

 傭兵には性能に応じてコストと雇用価格が決まっている。1回の戦闘に連れていけるユニット数の上限は10人だが、コストは全ユニットの合計で上限が1,000なので、コストの高いキャラクターを入れると参加できるユニットが減ることになる。

 チュートリアルの時に行動を共にしていたNPCは、レベルは上げられるがカスタマイズはできないので、どんどん戦闘を重ねていくと、もっとこういうことができる兵士が欲しいと思うようになる。そんな時には、「傭兵を探す」というボタンから、他のプレーヤーのキャラクターを検索して希望に合うキャラクターを探し出す。

 通常この手の検索だと、職業などで探すことが多いが、本作にはそもそも職業というわかりやすい切り分けがないので、ソートはキャラクターの階級や持っている特殊技能の名前、レベル、雇用費用、コスト、絆補正、転生などで行なう。

 キャラクターの階級は、所属国への貢献度に応じて入る「功績ポイント」で上がっていき、様々なボーナスがつく。「絆補正」はたくさんのプレーヤーに雇われることで命中と回避にボーナスがついている状態。「転生」はキャラクターがレベル30に達すると、ボーナスを付けた状態でレベル1に戻れる仕組み。いずれもキャラクターの強さに関わる項目だ。

 もちろん自分が雇われる側になる可能性もある。そのキャラクターが誰に雇われているかは一覧で見られるが、たくさんの人に雇われているキャラクターはみな個性的で、能力も設定もしっかりと作りこまれていることが多い。

 雇用したキャラクターは、その時の状態が保存されて成長もしないが、元のキャラクターが成長していた場合、再雇用することでステータスを更新できる。ステータスだけでなく、セリフやグラフィックスが変化していることもあり、そちらは再雇用しなくても変更が反映されるので、変化のあるプレイが楽しめる。

 例えば、仲良くなったプレーヤーに雇用してしてもらうときに、そのキャラクター専用のセリフやイラストを用意したり、「寒くなりましたね」と時候の挨拶を入れたりすることもできる。アイデア次第で、様々な遊び方が生まれるわけだ。



■ 毎回違う敵の配置と構成が飽きのこない戦闘を作る

戦闘はターン性のシミュレーションバトル

 ここまでキャラクター作成について説明してきたが、今度はそのキャラクターを使った戦闘について紹介したい。本作の戦闘は「行動ポイント」を消費して行なうアクション「遠征」としてカテゴライズされている。

 行動ポイントは1度に最大3ポイントまで使えて、一定時間で回復する。選択できる行動には、周囲を探索してお金やアイテムを集める「探索」、経験値を稼ぐ「訓練」、装備の耐久を回復させる「アイテム整備」があり、どれもワンクリックで結果が出る。

 「遠征」は自分たち以外の4陣営に所属するキャラクターを攻めるコマンドで、選んだキャラクターの領地へ進軍する。領地には、そのキャラクターのプレーヤーが作った防衛部隊が待ち構えている。敵の操作はAIだが、構成や配置は各プレーヤーが設定したものなので、毎回趣向の違う戦闘を楽しめる。

 ユニットを順番に移動して戦闘するというシステム自体は非常にベーシックで、行動範囲や攻撃範囲なども見やすく戦いやすい。シミュレーションバトルは時間がかかるというイメージがあるが、本作は、筆者が戦った範囲内では、長時間に及ぶ戦いはほとんど経験しなかった。むしろ、最初の1ターン目で、お互いに早くも何体かを倒して、その後もターンごとにどんどん敵の数を減らしてしまうという速攻が多かった。ブラウザゲームに気軽さを求めている人には、このスピードはありがたいだろう。

 だがやりこみ要素が希薄なわけではない。筆者は防御に特化した防衛部隊に大変苦戦した。その部隊は3人構成で、1人は仲間をかばう「護衛」と防御力を高める「鉄壁」というスキルを入れており、ほかのキャラクターを攻撃しようにもすべてその壁役が受け止めてしまう。壁役を削ろうにも後ろに控えた回復役がどんどん回復させてしまい、何ターンやっても決着がつかなかった。

 本作の戦闘ではこれに限らず、何かに特化したキャラクターが猛威をふるっており、それらのキャラクターに対する攻略法を考えるプレーヤー同士の知恵比べがやりこみ要素になっていた。それらに対抗しうるキャラクターを作成し、構成を考えて挑むのが本作のバトルの面白さだ。


スキルを使うとカットシーンが挿入されたり、セリフが入ったりと地味にならないよう工夫されている。BGMとSEは最初オフになっているが、音を出せば迫力倍増だ



■ コミュニティへの積極的な参加が、ゲームを楽しくする!

「英雄戦」は誰でもリプレイを見られる

 本作はシーズン制をとっており、3カ月に1度クライマックスを迎えた後、キャラクターデータの一部を残してリセットされる。そのクライマックスが、プレーヤーの中から選りすぐられた4人の「英雄」による「英雄戦」だ。英雄同志が数回戦った結果で、5つの国の趨勢が決定する。英雄戦の結果はリプレイで見られる。

 どんなオンラインゲームにも上級者と初心者、コアユーザーとライトユーザーがいるが、たまに拠点で姿を見かける以外には接点なく遊んでいることのほうが多いのではないだろうか。だが「英雄クロニクル」では、コアな上級者が育てたキャラクターをライトなユーザーが雇用して使える。そのため英雄戦も、普段自分が使っている兵士の戦いとして見ることだってできる。

 強いプレーヤーへの敬意はどんなゲームにでもあるだろうが、なかなかネット上では表立つことが少なく、ともすれば羨望や嫉妬などネガティブな感情が表に出たりもする。だが本作では、強いキャラクターは強大な敵か、または頼りになる味方で、だれもが自分が主役のゲームを楽しんでいるように思える。

 第1期シーズンは、通常よりも短い2カ月という期間だったこともあり、ストーリー的な盛り上がりに欠ける部分があった。他の国と競り合う目的となる要素が薄く、陣営対抗というよりもキャラクター作成のノウハウ作りに比重が置かれていたように思う。

 第1シーズンは11月で終了し、12月1日からは第2シーズンがスタートする。すでに発表されている情報によれば、新スキルや新特殊能力が実装され、国の歴史を左右するような新しいストーリークエストも入るらしい。シーズンの終了に備えて、陣営掲示板では第1シーズンの名勝負のログを保存するトピックや、来期のキャラクター作成を相談するトピックなどが立って、にぎやかコミュニケーションが行なわれている。

 このゲームはプレーヤーが積極的に参加すればするほど、面白くなっていく。もし、来期から参加を検討している方がいるなら、どこの陣営に所属したとしても、まずは陣営掲示板で挨拶をして、積極的に輪の中に入っていって欲しい。そうすることで、本作は2倍にも3倍にも楽しくなるはずだ。


 

(2011年 12月 1日)

[Reported by 石井聡 ]