★ PS3/Xbox 360ゲームファーストインプレッション★
20年の集大成をモダン&クラシックに楽しめる!
懐かしさと新しさを気持ちよく楽しめる最新作
「ソニック ジェネレーションズ 白の時空」
ジャンル:
  • ハイスピードメモリアルアクション
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • PS3
  • Xbox 360
価格:
7,329円
発売日:
2011年12月1日
プレイ人数:
1人
レーティング:
CERO:A(全年齢対象)

 2011年で20周年を迎えた「ソニック」。本作は、その歴史をぎゅっと凝縮し、シリーズ作から様々な名ステージが登場。しかも、そのステージを横スクロールの「クラシックスタイル」と、ダイナミックな3D視点の「モダンスタイル」の2つで楽しめるという、懐かしさと新しさを両方備えたメモリアルなハイスピードアクションとなっている。そんな本作の魅力をインプレッションしていこう。



■ シリーズ主要作品からのステージを「モダン」と「クラシック」の2つのスタイルでプレイする、ソニックのヒストリーを辿る冒険

物語はソニックの誕生日をテイルスたちが祝うところから始まっていく

 物語はソニックの誕生日をテイルスたち仲間が祝うところから始まる。だが、そこに突如として謎のバケモノが現われ、ソニックたちを不思議な渦に巻き込んでしまう。

 ソニックが気がつくとそこは真っ白な世界。仲間たちを探して進むソニックは、そこでかつての自分と出会うのであった。

 と、こうして始まっていく本作。真っ白な世界はステージセレクト画面で、右方向に向かって初代「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」から最新作「ソニック カラーズ」までの様々なステージが並んでいる。

 おそらく「白の時空」というサブタイトルはこの白い世界のことで、謎のバケモノによって色と力を失った歴史を、過去から現代まで駆け抜けていくというイメージなのだろう。プレーヤーはソニックの歴史をたどっていくようにステージを攻略していき、その歴史に“色”を取り戻していく。これが今作の基本的な流れだ。


突如現われた謎のバケモノにテイルスたち仲間は吸い込まれ、ソニックも気がつくと見渡す限り真っ白な空間に。そこには色の失われた「グリーンヒル」が……

本作のポイントになる、モダンなソニックと、クラシックなソニック。2人のソニックを切り替えてステージに挑んでいく

 今作のポイントはタイトル画面やパッケージデザインにあるとおり、ソニックが2人いること。1人は横スクロール時代の丸っこくて頭身の低かった「クラシックスタイル」のソニック。もう1人は近年の作品でおなじみのクールで頭身も高くなった「モダンスタイル」のソニックだ。

 この2人のソニックは見た目の違いだけではなく、プレイスタイル、ひいては「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」というゲームの変化を象徴している。ステージセレクト画面で2人のソニックを切り替えできるようになっていて、「クラシックスタイル」を選べば、プレイするステージは2D横スクロールアクションに、「モダンスタイル」を選べば、高速3Dアクションになる。同じステージでも、特徴が大きく異なるプレイが楽しめる(もちろん、それぞれステージの作りは異なっている)。ACT1がクラシック、ACT2がモダンというようになっていて、どのステージでも2つのソニックを楽しめるという作りだ。

 ステージには初代「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」から「グリーンヒル」、同「2」からは「ケミカルプラント」、3D視点になった「ソニックアドベンチャー」からはスピードハイウェイ、同「2」からはシティエスケープというように、最新作「ソニック カラーズ」までの主要作品から1ステージずつが登場している。

 もちろんステージ中の曲にも、各作品からアレンジされた思い出深いものが使われている。また、コレクションアイテムとして入手した曲にBGMを設定すれば、その曲でステージを遊ぶことができる。


左は横スクロールの「クラシックスタイル」、右は3D視点の「モダンスタイル」だ。どちらもステージ中の演出で視点は変化するが、クラシックではジャンプアクションの良さを、モダンではスピード感やダイナミック感が重視されている

前へ前へとノンストップに突き進んでいく「モダンスタイル」
スピード感抜群でダイナミックな、最近のソニックの魅力が楽しめる

 「モダンスタイル」はソニックを後ろから見る視点で、ダイナミックな演出とスピード感を楽しめるのがポイント。ジェットコースターのようなコースを、前へ前へとハイスピードに駆け抜けていく爽快感重視なスタイルだ。

 「モダンスタイル」は□ボタンで高速ダッシュができる「ブースト」と、ジャンプ中に近くの敵が自動でロックオンされてもう1度ジャンプボタンを押すと体当たりする「ホーミングアタック」が特徴。

 ハイスピードに駆け抜けて、ここだというところでジャンプ! 飛び越えた先に見えた敵へホーミングアタック! 並んでいる敵をテンポよく倒しながら進み、普通では行けない高いところに着地! さらに先へとガンガン突き進んでいく。

 直線になったら一気にブーストでダッシュ! ブースト中は敵にぶつかるだけで倒せるので、道をふさぐようにいる敵をまるでボーリングのピンのように吹き飛ばせる。“ここは全速力で駆け抜けたい!”という場所でブーストを使ってダッシュすると、敵の大群が配置されていたりするのもポイントだ。

 こうした、操作のリズムや感覚的に“ここでジャンプしたくなる”という場所や、“ブーストで全力疾走したくなる”という場所に、ちゃんとそれを見越した作りが用意されいるところが大きな魅力。感覚的に気持ちいいからするんだという操作の先に、そうすることで行けるルートが待っていたりする。操作の手触りをしっかりと考え、それを重視した作り込みや配置がなされているのが嬉しい。

 ノンストップで突き進み、ぐるんとループ状になっている道でさらに加速、空に向かって垂直に伸びる道から一気に空へと飛び上がっていく。高まったスピード感が突き抜けて「気持ちいいな」と思える瞬間が訪れる。

滑って進んでいくレールアクションやホーミングアタック、ブーストダッシュなど、最新のソニックの能力を駆使した魅力が楽しめる

 そんなプレイができるところには、レインボーのサークルやジャンプ台が設置されていることが多く、そこから飛ぶとソニックは空中でポーズ(トリック)を決められるようになる。左アナログスティックの上下左右でポーズを決めるとボーナスの得点が入り、着地間際にL1(LB)/R1(RB)同時押しでフィニッシュを決める。

 気持ちよさを追求してスピードを高め、それを空中へと向かって解放し、さらにゲーム的なテクニックを交えつつ着地していく。スタートからゴールまで、こうした一連の気持ちよさがしっかりと込められている。

 カメラワークを変えての見せ方も良く、時にはまるでイベントシーンのような構図にもなるが、プレイはスムーズにできるのもすごい。何よりも見せ方が非常にかっこよく、「これぞソニック」というセンスを感じられるものだ。

 処理のスムーズさも見事で、1080pのハイクオリティなグラフィックスを超ハイスピードに展開していくというのに、処理落ちやレートの低下がほとんど見られない。一体どうやっているのか? と不思議に思ってしまうぐらいだ。


モダンスタイルでのポイントは、「ブースト(上2枚)」と「ホーミングアタック(下2枚)」。ブーストで加速しつつ、ところどころにいる敵はホーミングアタックでリズミカルに倒し、足場に使ってそのまま進んでいく
虹色のサークルやジャンプ台を通過して高くジャンプをすると、空中でポーズを決められる。ハイスピードで突き抜け空へ飛び出し、華麗なポーズを決めて着地!

横スクロールの「クラシックスタイル」。ソニックならではのスピード感を楽しみつつも、ジャンプアクションの慎重さも求められるスタイルだ

 かたや「クラシックスタイル」はというと、こちらは3Dポリゴンの世界での横スクロールアクションになっている。ジャンプアクションとして上下にも広がっているステージをルートを探しつつ、ギミックを楽しみつつゴールを目指していくというオーソドックスなスタイルだ。

 「クラシックスタイル」は、メガドライブ時代の「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」ぐらいの頃の能力のようで、ホーミングアタックやブーストはできないものの、□ボタンでスピンダッシュができる。ボタン長押しでもある程度チャージされるが、連打だとさらに高速なダッシュができるというアクションだ。

 「クラシックスタイル」はスピード感を楽しむ場面もありつつ、ジャンプアクションとして慎重な操作を求められる場面も多くなっている。スピンジャンプで敵を踏むようにしてリズミカルに進んだり、危険な足場をジャンプで渡っていったりというものだ。

 「モダンスタイル」がダイナミックな爽快感を追求した独特なものなのに対し、「クラシックスタイル」はジャンプアクションとしてオーソドックスで懐かしさを感じられるものとなっている。慎重さが求められる場面がある分、クラシックスタイルのほうが少し難易度が高めに感じられところもあるだろうか。

飛んだり跳ねたりといった動きや、ステージのギミックなどが豊富なのがクラシックスタイルのポイント。横スクロール画面だからこそ活きるギミックが盛り込まれている

 「クラシックスタイル」では、スプリングで飛んだりハネたりといったギミックが重視されているのもポイント。横から画面を広く見ているからこそのギミックで、画面狭しとまるでピンボールのようにはじかれていく仕掛けが満載だ。メガドライブ時代のソニックのユニークなめまぐるしさをしっかり作り上げている。

 ステージの広さやその使い方はモダンスタイルよりも広がりが感じられる。上や下にもルートがあり、どのルートに進むかはプレイ次第。上達すればテクニックを駆使した先のルートにも進んでいける。

 懐かしさばかりでなく新しさもしっかり用意されている。HDクオリティのグラフィックスはもとより、「シティエスケープ」などで、トラックが後ろからだけでなく奥行方向から突っ込んでくるなど、奥行を使った演出は見所だろう。こうした意味では、クラシックとモダンはどちらもまったく違う見せ方になってはいるが、プレイをするとその中間ぐらいにそれぞれの良さを取り入れ合っているという感じがする。

 魅力という点はモダンスタイルと共通していて、スピード感とダイナミックさ、そしてスピード感を損なわないように入ってくるジャンプのタイミングなど、プレーヤーの手触りの良さを重視して丁寧に調整されているのが、びしびしと感じられるのが良さだ。

 「横スクロール時代の名ステージが3D視点で楽しめる」というのはわかりやすい魅力だが、その一方で、「ソニックアドベンチャー以降の3D視点作品のステージを横スクロールでも楽しめる」という逆のところにも魅力がある。

 各ステージにあった“ならではなギミック”が、そのステージのイメージを崩さないようにうまく入れられている。もちろん、そのまた逆もしかりで2D・3D両方でソニックシリーズの中からピックアップされた珠玉の魅力が楽しめるようになっている。


「ソニック」シリーズから印象深いステージが登場する今作。それらを、モダン・クラシック両方のスタイルで楽しめる

 メインのステージ以外にも、「チャレンジ」という要素がある。これはボスステージに進むためにいくつかクリアすることが必須なのだが、いろんなミッションをクリアするという形式のミニステージだ。

 チャレンジには例えば、「テイルスに掴まって空中を飛んでゴールを目指す」というものや、「ナックルズに地面を掘ってもらってメダルを集める」といったものなど様々な種類があって、ソニックシリーズに登場したキャラクターたちとのミッションもあるのがポイント。もちろんこちらも、モダンとクラシックの2種類ある。


2倍のブーストゲージを使って時間内にゴールを目指したり、画像のようにテイルスに掴まって飛んでゴールを目指すというような、特殊な内容なチャレンジになっている

 ステージをクリアして手に入れたショップポイントで、「スキル」を購入することもできる。スキルには「スピードアップ」や、ばらまいたリングが消えるまでの時間が延長される「10秒リング」、ダメージを受けた時にしりもちをつかなくなる「ダウンキャンセル」など、難易度を下げてくれるものやプレイ感をよりスムーズにしてくれるものなどが揃っている。

 スキルは装備できる数がスキルポイント100までと決まっていて、組み合わせは5種類を保存しておける。ステージに入る前にスキルセットを切り替えることができるので、「このステージならこのスキルがあると楽」というように使い分けていく。タイムアタックの鍵を握る要素にもなるだろう。


スキルには、プレイの手助けになってくれるものから、スピードアップなどさらにプレイを面白くしてくれるようなものも。スキルショップの中には「メガドライブのコントローラー」というものも。これを購入するとメガドライブ版の「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」もプレイ可能に!

 ステージセレクト画面の左奥には、「コレクションルーム」という場所がある。ステージやチャレンジをクリアするとコレクションの要素が開放され、ここで楽しめるというわけだ。シーンのリプレイやキャラクター紹介のほか、シリーズ作の秘蔵のアートワーク、シリーズ原作の曲(ステージ曲と差し替え可能)なんかもあって、シリーズファン必見だ。また、ここにはちょっとした裏技的な操作をするといけるような場所も……それについては公式サイトをご覧頂きたい。


20周年記念作品として、秘蔵のデータも閲覧できるコレクション。この画面にはない特殊なものもある?



■ メモリアルな魅力をぎっしり詰め込み、そこから新しさも感じさせるメモリアルな1本

2人のソニック、2つのスタイル、20周年から選りすぐられたステージ。ソニックの歴史とアクションの変化をたっぷり楽しめて、さらに新しさも楽しめる1本だ

 20周年という長く愛され続けているシリーズの魅力をギュッと詰め込んだ本作。HDグラフィックスをハイスピードに駆け抜ける爽快感、ジャンプアクションとしての気持ちよさや上達する面白さをしっかりと重視して手触りが調整されているのを、プレイしているとしっかり感じられる。

 それらを基本として、「クラシックスタイル」の2Dならではの広がりやギミック、「モダンスタイル」の3Dならではのダイナミックさ、そうした両方のソニックを1本で楽しめるのがポイント。ステージにも、懐かしさと新しさを同時に楽しめるメモリアルな魅力が込められている。

 一言で言い表すのが難しいくらいにたくさんの良さが結集されている作品だが、しいて言うなら“ハイスピードメモリアルアクション”という本作のジャンル名がまさにぴったり。20周年ならではの、スペシャル感満載な1本だ。


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(2011年 12月 2日)

[Reported by 山村智美 ]