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PS3ゲームレビュー

ディープな“ゲイムギョウ界”パロディ作品!
萌えとゲームネタのサブカル全開な意欲作

「超次元ゲイム ネプテューヌ 通常版」

  • ジャンル:RPG
  • 発売元:コンパイルハート
  • 価格:通常版 7,329円
  • プラットフォーム:プレイステーション 3
  • 発売日:発売中(2010年8月19日 発売)
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:B(12歳以上対象)


 タブーとも思える禁断のテーマ“ゲーム業界”を、“萌え”と“擬人化”で包み込んだ大胆な作品がこの「超次元ゲイム ネプテューヌ」だ(擬人化とは、あらゆるものをイメージを元にキャラクター表現すること)。現在主流のゲームハードを擬人化した“守護女神”たちが、世界の覇権争い(シェア争い)を繰り広げているという、妙に現実的な世界観のRPG作品になっている。

 世界観以外にも、ゲーム関係のパロディネタが満載。現実のゲーム業界やゲームタイトル、いわゆるネット上にあるネタやスラングなども、たくさん散りばめられている。こうした一点突破に見えるタイトルだけに、実際のところゲームとしてはどうなのか?というのは気になるところ。このレビューではそうしたところも含めてお伝えしていこう。


― Story ―

四人の女神達によって守護されている
異世界ゲイムギョウ界。
神界で争う女神達を余所に、
下界は先代の女神マジェコンヌによって
モンスターで溢れかえっていた。

マジェコンヌの陰謀・・・

世界の全てを知る史書イストワール・・・

他の女神たちを仲間にできるのか、

ゲイムギョウ界の行方は

そしてネプテューヌの運命は。






■ 4人の守護女神(ゲームハード)が守護する「異世界ゲイムギョウ界」

史書イストワールによって語られる世界の構造。4人の守護女神は人々の信仰によって力を得て、戦いを続けている
決着の付かない戦いのなか、「4人のうちまず1人減らしてみよう」という提案がなされ、ネプテューヌが狙われてしまう

 上にストーリーを載せているが、そもそもこの内容からしてかなりとがっている。神界で守護女神こと、擬人化されたゲームハードたちが争っている一方、下界では先代の女神マジェコンヌによってモンスターで溢れかえっていたということで、ゲーム関係のネタというか話題に傾倒している方なら、これだけで本作の方向というかパロディの度合いみたいなものがみえてくるのではないかなと思う。

 逆にいうと、このストーリー紹介で「あ、そういうことね」と気づけないというか、「マジェコンヌって何のパロディ?」というような具合でわからない方だと、本作のパロディ度合いを楽しむのは苦労するかもしれない。こう言い切ってしまうほど、本作はディープなゲーム業界パロディネタで構成されている。

 世界は4つの大陸からなっていて、それぞれを守護女神(ハード)と呼ばれる4人の女神が守護している。そこに住む人々は守護女神を信仰し、その信仰心がまた守護女神に力を与えているという世界だ。守護女神の読みからしてストレートに「ハード」となっているわけで、ゲームハードとそのファン(スラング的にはハード信者)の構図がそのままファンタジーっぽい世界設定に使われている。

 4人の女神は、主人公の「ネプテューヌ」こと「守護女神パープルハート」だけは架空のゲームハード(これも幻のゲーム機が元ネタ)をモチーフにしているが、ほか3人は現在主流のゲームハードをどことなく連想させる。

 “リーンボックス”を守護する「グリーンハート」、“ルウィー”を守護する「ホワイトハート」、“ラステイション”を守護する「ブラックハート」だ。彼女たちは名前はもちろんとして、外見の印象的なカラーも現実のゲームハードを連想させるものになっている。また、性格等のゲーム内での設定周りも、現実のゲームハードのイメージ(あくまでイメージ)をそれらしく活用している。このあたりも各ゲームハードのことをよく知っているとより楽しめるポイントだ。

 本作の物語は4人の女神たちが未来永劫と続いている争いの様子から始まっていく。決着のつかない戦いの最中、「まず手を組んで誰か1人を倒し、女神を3人に減らしてしまおう」という提案がなされる。互いの考えがネプテューヌ抜きで話し合われ、最初に脱落させる女神はネプテューヌに決まってしまう。こうしてネプテューヌは3人の女神と戦い、倒されてしまう。


【4人の守護女神たち】
主人公のパープルハートことネプテューヌ。大陸プラネテューヌを守護している “ラステイション”を守護する「ブラックハート」
“ルウィー”を守護する「ホワイトハート」 “リーンボックス”を守護する「グリーンハート」


3人の守護女神を同時に相手にするネプテューヌ。強力な攻撃を立て続けに喰らい、意識を失ってしまう


下界のプラネテューヌに住むコンパという女の子に助けられたネプテューヌだが、記憶を失っていた。イストワールの言葉を聞き、世界を救う旅に出発する

 意識を失ったネプテューヌに、史書イストワールという謎の存在が語りかけてくる。イストワールは世界のどこかに閉じこめられていて、イストワールは世界の全てであり、イストワールを救うことが世界を救うことにも繋がる、ということだった。

 ネプテューヌが目覚めるとそこはコンパという女の子の部屋だった。コンパは看護学校に通う女の子で、天から降ってきたネプテューヌを部屋に運び看病してくれていたのだという。ネプテューヌは記憶のほとんどを失っていたが、目覚める直前にイストワールが話していたことの記憶は残っていた。そして下界の世界はモンスターが氾濫し危機に陥っているという話を聞き、モンスターを倒して世界を救うため旅立つことを決意する。

 会話のやりとり等の全体的な雰囲気は、簡単に言うと萌え系アドベンチャーゲームのテイスト。主要な登場人物は全て女の子で、会話シーンの見せ方も基本は立ち絵で、何かハプニングが起こるとイベントシーン的な一枚絵が出たりする。そうしたところや会話のノリも含めて、いわゆるギャルゲーテイストを感じさせる。そして、そうした会話の中にもゲーム系のネットスラングというかネタがふんだんに盛り込まれている。本作のカラーは、どこまでも“萌え”と“ゲームネタ”だ。

 ゲームハード以外にも、ゲームメーカーを擬人化したキャラクターも登場する。当然、全員女の子だ。「コンパ」はコンパイルハート、「アイエフ」はアイデアファクトリー、「がすとちゃん 」はガスト、「日本一ちゃん」は日本一ソフトウェアとなる。本作にはセガも参加していて、セガの擬人化キャラクターこそは出てこないものの、特殊な攻撃方法にセガ作品が実名で登場している。


ゲームメーカーを擬人化したキャラクターがネプテューヌの仲間として登場する。左上の「アイエフ」はアイデアファクトリー、右上の「コンパ」はコンパイルハート、左下の「がすとちゃん 」はガスト、右下の「日本一ちゃん」は日本一ソフトウェアのキャラクターとなっている



■ 情報を集め、ダンジョンを探索していくゲーム本編。アドベンチャーゲームテイストが強めの構成

大陸の全容が映し出されているこの画面が、メイン画面になる。「ショップ」、「情報収集」、「探索」ができる

 本作のジャンルはRPGとなってはいるが、プレイした感覚で言うと「RPGパート(ダンジョン探索)があるアドベンチャーゲーム」といったほうがしっくりくる。フィールドエリアや街といった概念はなく、大陸が表示されているメインメニューの画面から項目を選んで進めることが基本だ。

 メインメニュー画面には、「ショップ」、「情報収集」、「探索」の3つの項目があり、「ショップ」で装備品やアイテムを購入し準備を整え、「情報収集」で会話イベント等をみて物語を進行させ、それによって出現した目的地のダンジョンへと「探索」から入っていく。ゲームの基本的な流れはこのようになる。

 情報収集で項目を選ぶと、アドベンチャー風のイベントシーンで旅先での1シーンが展開されるのだが、メインシナリオ以外にゲームパロディネタもたくさんある。例えば、道ばたで様々な人種の格闘家が素手で車を壊していたり、運送業者が様々な形をした荷物をキレイに積んでいって、最後に細長く空いた隙間に縦長の荷物をピッタリ収めていたり。そうした、「あ、アレね(笑)」と思わず反応してしまうゲームネタに、旅先のネプテューヌたちがツッコミを入れたりといったコミカルなシーンが楽しめる。

 情報収集から進展していくシナリオの進行は、フリーシナリオ的な作りになっている。1つの大陸で新しい情報が出てこなくなっても、他の大陸で情報収集していれば新たな情報が発生していく。新しい情報やイベントの進展がないか4つの大陸を行き来しつつ手探りでプレイしていく感覚は、遊びがいがあって単調さも和らぐ。

 ただその分、話にぶつ切り感があって話の繋がりや状況がちょっと掴みづらいところがあったようにも思える。本来はネプテューヌたちの会話のやり取りでそうした部分が補われるといいのだが、なにしろ萌え系のノリで飛ばしている会話が多く、うまく間を補完しているとは感じられなかった。


左から順に、「ショップ画面」、「大陸接近情報」、「ダンジョン探索」の画面。4つの大陸を行き来しつつ、情報収集から発生したクエストへ挑んでいく
情報収集には、ゲームパロディのネタも満載。旅先の1シーンとして、ゲーム業界にまつわる話や、有名ゲームタイトルを思わせる場面やネタが登場する


ダンジョン探索画面は、画像のように3Dキャラクターを操作する方式。戦闘はランダムエンカウント方式

 探索で訪れるのはランダムエンカウント方式で戦闘が発生する3Dダンジョンになっている。指定の場所にたどり着いたり、出口を目指したり、特定のモンスターを倒したりといったことが目的になる。

 ネプテューヌたちはそれぞれにダンジョン内で使える特殊能力があって、ネプテューヌは破壊できる壁を壊す、コンパはモンスターを呼び込むといったものだ。そうした能力を使いつつ、ダンジョン内の宝箱を獲得しつつ、目的を達成していく。

 残念ながらこのダンジョンのパターンはかなり少なく、どこもほとんど似たような作りをしている。そのためどうしても、物語を進めるために作業的に進む感じになってしまった。

 また、このダンジョンでの操作は、キャラクターの動きが非常にもったりとしていて、遊んでいるとけだるい感覚になってくる。プレイ感覚に直結してくる操作レスポンスやテンポが鈍いのは辛い。もっとキビキビとした感触が欲しかったように思う。

戦闘画面。画面の右上に行動順が表示される方式で、APがなくなるまで連続して行動できる

 戦闘は右上に表示されている行動順に攻撃する方式。パーティーメンバーは前衛3人が戦い、後衛に3人を待機させておける。行動時は、△ボタンで武器での攻撃、○ボタンで体術での攻撃、×ボタンで射撃、□ボタンで防御という操作になっていて、APのぶんだけ連続して行動できる。

 攻撃は基本的に4連続のコンボになっていて、組み合わせは自由。メニュー画面からコンボで発動する技を自由に組み替えられるようになっていて、コンボ名も自由に設定できる。様々な技があってレベルアップすることで習得していくものもあるが、中でも特殊なものとして、コンボリンク、バトンタッチ、R/Wディスクといったものが挙げられる。

 コンボリンクは次のコンボに技を繋げてAPも若干回復するというすぐれもので、攻撃回数が圧倒的に増える。使わない手はないと言えるほど強力だ。バトンタッチは行動後に後衛のキャラクターとチェンジするというもので、前衛後衛を入れ替えるにはこのスキルを使うほかないため、どこかに仕込んでおきたい。

 R/WディスクはいわゆるCDをかざして属性効果のある技を繰り出すというもの。これはちょっと遊び心のあるスキルになっていて、絵柄をPS3のフォトに保存してある画像に変更したり、ディスクの名前を設定できる。エディットできるディスク以外に、「ファンタジーゾーン」等のセガの実在するゲームタイトル名がついたディスクもあって、それの攻撃演出はそのタイトルの代表的なキャラクターが召喚されるなど凝っている。


3種類のボタンの組み合わせで4連続攻撃のコンボを放っていく。コンボに組み込む技も、コンボリストで技を自由に設定可能だ
特殊効果のある技のひとつ「R/Wディスク」。ディスクからキャラクターを召喚して攻撃するというもので、自分で絵柄をエディットできるブランクディスク以外に、セガの実在するゲームタイトルのディスクもある。画像はファンタジーゾーンのディスクで、オパオパを召喚して攻撃する


コンボリストの編集画面。ツリー式にコンボが表示され、そのひとつひとつを全て変更できる。ただ、もう少し簡易なものにするか、見せ方が工夫されていたら、とっつきが良かったかもしれない
コンボが繋がってAPも回復する「コンボリンク」。他の技と比べると非常に強力で効率的な攻撃方法になっている
ネプテューヌたち守護女神は「変身」をコンボに組み込むことで女神の姿に変身できる

 こうした多彩なスキルを自由に組んで戦えるのは面白いのだが、ゲーム開始時からコンボリスト編集画面に3ボタンの全組み合わせがズラッと並んでいる唐突感と、組み合わせを1画面に羅列したインターフェイスには少しとまどってしまう。見せ方にもう一工夫欲しかったところだ。ゲーム内のガイドだけではシステムに関して説明不足なところもあって、ちょっととっつきが悪く感じられた。

 コンボリストは仕組みを理解して慣れてくると、自分好みにいろいろなコンボを組めて面白いのだが、仕組みがわかってくると同時に効率的なコンボもわかってくる。そして、効率的なものとそうでないものの差が大きい。その代表がコンボリンクで、他のスキルと実用性に差があるため、コンボリンクばかり使うようになってしまった。モンスターの体勢を崩して大ダメージを与えられるようになる「ガードブレイク」も、手数が多ければ多いほど狙っていけるところもあって、コンボリンクが非常に有効だった。

 操作の面でも、コンボ後のコンボリンクを繋ぐかどうかの決定操作が○ボタンなので、○ボタンを連打する操作に1番効率的なコンボリンクのコンボを組むことになりがち。反対に、×ボタンを基本にしたコンボはコンボリンク繋ぎの決定をキャンセルしてしまうため、操作しづらいものになってしまっていた。

 レベルが上がってAPが増えてくると、コンボリンクを絡めて数十のコンボを途切れなく繰り出せるようになっていく。これはけっこう爽快で気持ちいいのだが、その回数分ボタンを押しているわけで、そのためもあって、○ボタン連打で済むコンボだけを使うようになってしまう。これはこれで有りと思えたのだが、そのぶん他の操作には、もっと戦略性を入れたりといった工夫が欲しかったように思う。

 ネプテューヌをはじめとした守護女神だと、コンボに「変身」を組み込むことで女神に変身できる。女神は外見の変化もさることながら、人間時の装備品に追加のパーツが加わってさらにステータスアップするというもので、デメリットや制限等は何もないので、積極的に使っていきたい。

 戦闘時の行動が攻撃3種と防御のみになっているが、本作のHP回復は戦闘中のスキル自動発動で行なうというちょっと変わった方式。メニュー画面で回復スキルの発動確率をポイント割り振りで設定し、その確率でスキルが発動したときに回復できる。スキルの発動タイミングはいずれもバトル中で手動での回復手段はなく、フィールド画面でも回復はできない。

 これがかなりクセのあるシステムで、戦闘終了後にHPが減っていても、次の戦闘で攻撃を喰らったあとに回復スキルが自動発動するまで回復できない。特に序盤はスキル発動確率に割り振れるポイントが少なく、スキル発動の運次第な状況が続いてしまうので、難しい印象を与えてしまっている。

 レベルアップして発動確率を高く設定できるようになってくれば安定してくるのだが、それでも手動で回復できない“わずらわしさ”のようなものはついてまわる。戦闘中はまだしも、フィールドでは手動での回復ができたほうが遊びやすかったかもしれない。


ネプテューヌの変身シーン。プロセッサユニットという追加装備を装着し、ステータスが大幅にアップする。デメリットや制限は特にないので、積極的に使っていきたい
回復方法はスキルの自動発動に任せるほかない。画像左の画面でスキルの発動率を割り振り、その発動率に応じてモンスターから攻撃を喰らったときにスキルが発動する。手動で回復する手段はなく、かなり独特なシステムだ



■ ゲーム内容はちょっとクセがあるが、サブカルチャーの魅力は存分に詰まっている

イベントシーンの1枚絵にはこんな画面も。萌え系キャラクターが好きで、かつゲームも好きだ、という方なら本作を存分に楽しめる

 “萌え系のテイスト”と、“ゲーム業界ネタやゲームパロディ”の2軸を全面に出している(その2軸だけで突き抜けているような)、非常に独特なゲームだ。まず前提としてこの2つが受け入れられないなら、本作を楽しむのは厳しいように思える。逆に言うと、この2つが好みであれば他にない魅力を持ったユニークなゲームとして楽しめる。

 キャラクターのかわいらしさや多彩さ、ディープなところまで攻めているゲーム業界ネタの面白さはツボを抑えていて、そのあたりはある意味クオリティが高い。独特のテーマをうまくパロディでまとめているところは好印象だ。メジャーな面白さではなく、B級な魅力というかちょっと同人的というか、そうしたサブカルチャー全開な魅力を持っている。

 ゲームとしては前述した通り、操作レスポンスやテンポがもう1歩といった感覚を受けたが、戦闘に関しては自由にコンボを組んで連続的に繰り出していくところは爽快感が感じられた。システムにクセはあるが、最初の取っ付きの悪さと独特なシステムさえ乗り越えれば、最初の印象とはうってかわってハマってしまうところもあった。遊ぶ人によって評価が大きく変わるタイトルだろう。

 ゲーム全体のボリュームもかなりあり、戦闘の歯ごたえもそこそこにある。戦闘システムのクセも含めて試行錯誤していくような不思議な楽しさがあった。なお、ダウンロードコンテンツによるシステムのバージョンアップやコスチューム等の配信も予定されているので、プレイ感覚の改善やキャラクターの魅力をより味わえるような展開に期待したいところだ。

(C)SEGA (C)GUST CO.,LTD. (C)Nippon Ichi Software, Inc. (C)2010 IDEA FACTORY
(C)2010 COMPILE HEART

(2010年9月8日)

[Reported by 山村智美 ]