有限会社グレフは5月20日、弾幕対戦アクションシューティング「旋光の輪舞」シリーズの最新作である「旋光の輪舞DUO」を発売した。本作は、現在アーケードで稼動中の同名タイトルの移植作となっており、アーケードモードはもちろん、ネットワークでの対戦や、アーケードでは明らかになっていなかったシナリオが楽しめるストーリーモードなど、さまざまなモードを追加した内容となっている。
ここからは本作の内容について、基本的なゲームの内容はもちろん、追加されたモードの詳細や気になるネットワーク対戦のプレイフィールについても合わせて紹介していこう。
■ さまざまな武装を組み合わせて攻撃する戦術と
B.O.S.S.モードと支援攻撃をいつ使うかの戦略性を合わせ持つ
1画面の中を2機のランダーがところ狭しと動き回り撃ちまくる。画面上にあるのがそれぞれのアーマーゲージとチャージゲージ。アーマーゲージはランダーの体力を表し、時間で回復するチャージゲージは弾幕攻撃をしたりバリアを使用することで消費されていく |
まずは、弾幕対戦アクションシューティングという、あまり聞き覚えのないジャンルとなっている本作の、基本的なゲーム性について、改めて紹介していこう。
本作は、ランダーと呼ばれるロボットを操り、1対1で戦闘を行なう対戦アクションシューティングゲーム。相手の攻撃を回避したり防御したり打ち消したりしながら、メインウェポン攻撃とサブウェポン攻撃、接近時に出せる近接攻撃のほか、チャージゲージを消費して繰り出す弾幕技を組み合わせて相手を攻撃していき、相手のアーマーゲージを先に0にしたほうが勝ちとなる。
相手の攻撃に対してはアクションボタンで行なえるダッシュでの回避やバリアでの防御、相手の弾を打ち消す能力のある特殊近接攻撃で身を守っていく。バリアでの防御はわずかにダメージを受けてしまい、特殊近接攻撃は出した後に大きなスキができるため、移動やダッシュによる回避をメインに考えていきたいが、ダッシュでは避けられない攻撃を受けそうなときには、バリアや特殊近接攻撃のほうが有効な場合もある。
相手との距離が接近した場合は、射撃攻撃の代わりに自動的にメイン・サブ近接攻撃が発動するようになる。近接攻撃には射撃と同様にメイン近接攻撃・サブ近接攻撃・特殊近接攻撃の3つがあり、それぞれが3すくみの関係になっている。近接攻撃の出し合いになった際には、相手の近接攻撃の種類を読んで裏をかいていこう。
射撃戦がメインであるだけに、相手との間合いを見計らいながら、一瞬のスキをついて近接攻撃を仕掛け、見事に成功したときの爽快感はたまらない。ランダーの操作に自信がついてきたら、近接攻撃を仕掛けることも選択肢の1つとして考えておくと、戦術に幅が出るので試してもらいたい。
B.O.S.S.モードを発動すると巨大なランダーへと換装して、シューティングゲームのボス戦のような様相になる。B.O.S.S.モード中は時間が止まるため、タイムアップで負けそうなときには迷わずに使っていこう |
さらに、シューティングゲームにおけるボムのように使える攻撃として、「B.O.S.S.モード」と「支援攻撃」という攻撃方法も用意されている。B.O.S.S.モードを発動すると、巨大なランダーへと換装して非常に強力な攻撃が可能となる。B.O.S.S.モードを発動するには、画面下に表示されている「Bストック」が必要となるため、連発はできないものの、劣勢から一気に逆転することもできるため、ここぞという場面で使いたい。
なお、B.O.S.S.モード発動時のアーマーゲージはチャージゲージの量に比例して多くなる。さらに、B.O.S.S.モード終了時にランダーのアーマーゲージよりB.O.S.S.モードのアーマーゲージが多い場合は、余剰分の何割かがランダーのアーマーゲージに変換されるので、回復するためにB.O.S.S.モードを使うのもアリだ。
支援攻撃は1ラウンド中に1回のみという制限があるものの、選択したパートナーによって爆撃・攻撃・防御・ナパームの4種類の中から強力な支援を受けられる。なお相手のB.O.S.S.モード中に支援攻撃を発動すると、ボム攻撃へと変化するので覚えておこう。支援攻撃は各ラウンドごとに回復するため、忘れずに使っていこう。
最初のプレイヤーセレクトでは、2タイプ・14人のキャラクターと12人のパートナーの中から、コンビを選ぶことになる。キャラクターの能力に合わせて、パートナーを選ぶのが基本だが、まずは好みで選んでみてもいいだろう |
豊富なキャラクターとパートナーの組み合わせにより、さまざまな戦い方が生まれるのも本作が持つ面白さの1つ。相手の攻撃に対しては一定の回避方法があるものの、射撃攻撃の相殺関係など、相手ランダーとの相性によって戦法を大きく変える必要があり、パターン化した戦法だけではなかなか勝てないのも本作の持つ魅力といえるだろう。
各キャラクターのランダーだけを見ても、攻撃の違いはもちろん、個性的な性能や特別な技を持っている場合もあり、いろいろなランダーを操作しているだけでも新鮮な楽しみがある。実際に、よく知らないキャラクターや苦手なキャラクターが出てきた際に、「そのキャラクターがやられるとイヤなことはなんだろう……」と触っているうちに、いつの間にかそのキャラクターを動かすことが楽しくなっていることがしばしばあった。
結果、1つのキャラクターを突き詰めるにはいたらず、ネットワーク対戦などでも負けが先行してしまっているが、これはこれで楽しめている。ほかの機体を触ることで、苦手な機体に対する攻略法が見つかることもあるので、「自分の愛機はコイツだ!」と決めている人も、たまには別の機体にさわってみてほしい。きっと新たな発見があるはずだ。
■ Xbox 360版独自の操作方法コマンドスタイル
パートナーとなってCPU自機を指示して勝利を目指せ!
ランダーの周囲に出ている黄色の矢印が移動方向の指定、画面左下にあるのが現在指定している行動命令だ。この2つのスティックの組み合わせでキャラクターを操作していこう。行動命令の下には現在の友好度を示すゲージとキャラクターの感情モードのアイコンも表示されている |
アーケード版と同じ操作方法のノーマルスタイルのほかにも、Xbox 360版独自の操作方法としてコマンドスタイルと呼ばれる操作方法も用意されている。コマンドスタイルでは、プレーヤーがパートナーとなって、キャラクターに指示を出して操作していく。
具体的な操作としては、左スティックによる移動方向の指定と、右スティックによる回避・防御・攻撃・弾幕の指示が基本となる。キャラクターは自動で動き、細かい操作はできないため、熟練したプレーヤーはやきもきすることもあるだろう。しかし、各キャラクターの攻撃の性質や特徴を知らなくても指示を出すだけでそれなりに戦えるので、「旋光の輪舞」シリーズは初めてという初心者は、コマンドスタイルでプレイしてみるといいかもしれない。
なお、コマンドスタイルでは、両スティックによる指示のほかに、キャラクターに対してRBで応援したり、右トリガーで叱咤したりすることもできる。応援や叱咤はキャラクターの感情が変化し、ご機嫌モードになるとこちらの指示によく従ってくれるようになるが、反対に怒りモードになるとあまり攻撃頻度があがったりしてしまう。応援と叱咤を使い分けて、キャラクターの感情をコントロールすることが、コマンドスタイルで勝つコツだ。
RBで応援、右トリガーで叱咤することで、キャラクターの感情モードが変化し、行動命令に対する反応に変化が起こることも。状況に合わせて適度に応援と叱咤を使っていこう | 支援攻撃とB.O.S.S.モードの発動タイミングは、コマンダースタイルでもプレーヤーが任意に発動することが可能だ。状況に合わせて、ここぞという場面で使いたい |
■ ローカル・ネットワーク対戦はもちろん
1人でも楽しめる多数のゲームモードを用意
本作にはアーケード版と同様にCPUと対戦していくアーケードモードのほかにも、シナリオが楽しめるストーリーモードや、高得点を目指して戦っていくスコアアタックモードなど、さまざまなゲームモードが用意されている。ここからは、これらの豊富なゲームモードについて、紹介していこう。
● ネットワーク越しに乱入待ちうけもできるアーケードモードと
ローカル対戦に特化したバーサスモード
アーケードモードでは一通りCPUを倒していくと、最終ボスとの戦闘がプレーヤーを待っている。常にB.O.S.S.状態の敵で激しい攻撃が待っているが、ここまでこれた人なら行動パターンを見極めればきっとクリアできるはずだ |
アーケードモードは、その名の通りアーケード版と同様にCPU戦を楽しめるモードだ。待ちうけ設定をすることで、CPU戦をしながら、ネットワーク上のほかのプレーヤーが乱入できるように設定することも可能だ。まずはCPU戦でゲームについて知りたいという人や、CPU戦で練習しながら対戦もしたいという人に最適なモードといえるだろう。
ローカル対戦に特化したモードがバーサスモード。CPU戦に移行することなく次々と対戦することができるので、友達と対戦のみをしたいときに便利なモードといえる。ランクマッチ以外の対戦モードでは、制限時間やラウンド数の設定のほか、ハンディキャップの設定もできるので、腕の差に合わせてハンディキャップ戦を楽しむことも可能だ。
● ネットワークモードではネットワーク対戦のほかに
ランキングの表示やリプレイデータのダウンロードも可能
クイックマッチでは、現在セッションを作っているプレーヤーを検索できる。快適に対戦したい人は、回線状況のいいプレーヤーのセッションに参加しよう |
ネットワークモードでは、ネットワーク越しにさまざまなプレーヤーと対戦できるほか、ランクマッチやスコアアタックのランキングを見たり、ランキング上位者のリプレイデータをダウンロードすることができる。
ネットワーク対戦のマッチングは、勝敗によってランキングがつけられるランクマッチと、単純に対戦を行なうプレイヤーマッチの2種類。ランクマッチではプレイ内容によってポイントがあたえられ、ポイントによりランキングに登録されるようになっている。
気になるネットワーク対戦のプレイフィールについては、相手との回線状況によって、快適なプレイのできる・できないが大きく左右される印象。アンテナ線が3本立っている相手とは、ラグがほとんどない快適な対戦を楽しむことができるが、アンテナ線が2本以下の相手との対戦では、ラグが発生してしまいゲームスピードが遅くなってしまう。また、ラグが起こっている最中にはボタン入力を受けつけないため、誤操作が起こりやすく、とてもではないが思ったとおりにランダーを操作することはできないのが残念なところだ。
リアルタイム性の高いゲームのため、ある程度は仕方のないことといえるが、快適なネットワーク対戦を楽しみたいならば、最低でも快適な通信環境を用意したいところ。不安定な通信環境では、残念ながらネットワーク対戦は十分に楽しめないと思われるので、ネットワーク対戦に魅力を感じる人は、注意してほしい。
カスタムマッチでは、接続品質などの条件にあったセッションを検索することが可能だ | ランクマッチでは、勝敗によってグレードが変化していき、グレードの高いプレーヤーが上位にランキングされる | ランキングでは、グレードランキングのほかにも、キャラクターごとのスコアアタックランキングも閲覧できる |
● 戦術の研究に最適なリプレイモード
対戦後には、リプレイデータを保存するかどうか選択することができる。保存したデータは、このリプレイモードで見直すことが可能だ。さらに、リプレイデータをネットワーク上にアップロードすることや、ほかのプレーヤーのリプレイデータをダウンロードすることもできる。
リプレイモードでは単純に再生するだけではなく、コマ送りや早送り、各ラウンドの開始時にスキップするなど、さまざまな見かたができるのが嬉しい。ランキング上位者や自分のリプレイデータを見直して、戦術を研究したいときに利用するといいだろう。
● ネットワークランキングもあるスコアアタックモード
専用のルールを把握して高得点を目指せ!
Xbox 360版で追加されたスコアアタックモードは、1人でCPUを次々と倒しながら高得点を目指していくのが目的となる。アーケードモードのCPU戦と違って、勝利時のアーマーゲージが一定量しか回復せず、敵にダメージを与えた際に出るチップをとることで、チャージゲージが回復するという独自のルールとなっている。アーマーゲージの回復量が少ないため、なるべく被弾したくないが、多少の被弾を覚悟しつつチップをよりとることで、チャージゲージが回復するため戦闘を有利に運びやすい。
スコアアタックで出したスコアは、キャラクターごとにネットワーク上のランキングに登録されるため、ほかのプレーヤーとスコアを競い合うのもいいだろう。シューティングゲームなどでスコアを競い合うことが好きな、スコアラータイプの人にオススメのモードだ。
● ストーリーモードでは「旋光の輪舞」の世界観を存分に楽しめる
ストーリーは、キャラクターの1人であるレーフがハルモニア義勇軍に所属するところからスタート。重要な場面では専用のイラストも表示される |
「旋光の輪舞」の世界観が楽しめるストーリーモードは、スコアアタックモードと同じく1人でプレイすることになる。シナリオを選択しつつときおり現われるミッションをクリアしていく形で進行していく。ハルモニア義勇軍、G.S.O.、S.S.S.とその他の勢力に分かれてシナリオが進行し、同じ時系列の中をそれぞれの勢力の視点から見るザッピング形式で進んでいく。
アーケード版では詳しく紹介されなかった、登場するキャラクターたちの置かれている状況や、会話が楽しめるので、「旋光の輪舞」シリーズのファンにはたまらないモードだろう。また、通常のCPU戦とは違い、そのシナリオで主人公となるキャラクターを操作することになるので、結果的にすべてのキャラクターに対する理解を深めることもできる。キャラクターの関係はコマンダースタイルの友好度にも影響をおよぼすため、「旋光の輪舞」についてあまり詳しくないという人は、このストーリーモードを一通りプレイしておくといいだろう。
アーケードモードなどとは違うミッションが用意されているのも、ストーリーモードの特徴だ。ミッションの目的は、単純に敵機を倒せばいいものが多いが、中には相手をバニッシュ状態にしてタイムアップまで逃げ切れといった、回避や防御などの腕が求められる、特殊なものも用意されている。
各ミッションには難易度が設定されており、後半にはなかなかクリアできない高難度のミッションも用意されているが、1度失敗したミッションの難易度は下げることができる。ゲームがあまり得意でない人は、難易度を下げてシナリオを進めることができるので安心してほしい。
ミッション開始時には、難易度とクリア条件が表示される。このミッションでは、単にバニッシュ状態にならずに逃げればいいと思いきや、いざスタートするとすべての武装が使用不可と告げられてしまう。相手の攻撃を相殺することができないため、回避と防御のみでタイムアップまで耐え切る腕が要求される |
● 効率的に練習できるトレーニングモードも用意
対戦ゲームには欠かせないトレーニングモードももちろん用意されている。トレーニングモードでは、アーマーゲージやチャージゲージ、Bストック数などを自動的に回復するように設定できるので、これらの残量にとらわれることなく連係攻撃の練習が可能だ。
また、相手についても攻撃するかしないかはもちろん、CPUの難易度や、B.O.S.S.モードを連続して発動するように設定することもできる。苦手なキャラクターのB.O.S.S.モードの回避方法を練習したいときなどに役立つことだろう。
アーマーゲージやチャージゲージを自動的に回復するように設定できるので、弾幕技を含めた連係攻撃やB.O.S.S.モードでの攻撃を連続して練習することもできる | 相手の攻撃に対する避け方を知っておくことも、本作で強くなるには必要だ。相手のB.O.S.S.モードの攻撃を回避する練習もしやすくなっている |
■ 対戦アクションシューティングという珍しいゲーム性が楽しめる
シューティングや対戦ゲームが好きな人にもオススメの1本
ゲームを続けることでアンロックされていくギャラリーモードでは、キャラクターの支援攻撃発動時やFINAL B.O.S.S.モード発動時のカットインのイラストのほか、各ランダーの設定資料などが閲覧できる |
対戦アクションシューティングという、ほかにあまりないゲーム性が楽しめる「旋光の輪舞」シリーズだが、個性が強すぎるゆえか、アーケード版の稼動店舗数も豊富とはいえず、プレイするには遠出をしなければならなかったり、対戦相手が少なくて対戦する機会があまりなかった人もいるのではないだろうか。その点、通信環境により通信対戦の快適さが大きく左右されるものの、本作があれば条件が整えば快適なネットワーク対戦ができるため、対戦しにくかった人にとっては、気軽に対戦できるのは何よりも嬉しいのではないだろうか。
相手の射撃を避けながら攻撃するシューティングゲームの要素と、相手の動きを見ながら間合いを計り攻撃をしかけていく、対戦格闘ゲームのような面白さが融合したゲーム性の本作は、一見すると単純にロボットが撃ちあうだけのゲームに見えるかもしれないが、プレイしていくとチャージゲージの使い方とB.O.S.S.モードをいつ使用するかの駆け引きなどがわかり、戦略性が高いことにも気づかされることだろう。
ほかにあまりないゲーム性のため、とっつきにくいのも確かだが、ほかのゲームにはない面白さもあるため、シューティングゲームや対戦ゲームが好きな人には、食わず嫌いをせずにぜひ1度触れてみてほしいタイトルだ。
ただし、残念な点として、現状、いくつかの不具合があることが挙げられる。ランクマッチの勝利数が255勝を超えると1桁に戻ってしまう、ちょっとした表示に関するバグはともかく、ネットワーク対戦時にボタン同時押しコマンドを受け付けなくなる場合があったり、ランキングを閲覧しているとフリーズするなど、いくつかのバグが公式ブログにて報告されているので、すでに購入している人は1度チェックしてほしい。これらのバグはアップデートにより修正予定とのことだが、今後もより徹底したデバッグを願うばかりだ。
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□「旋光の輪舞DUO」のホームページ
http://www.grev.co.jp/ronde2/
(2010年6月4日)