オンラインゲームレビュー

「Z」の時代まで描くオンラインシムが始動!
移り行く戦場に自慢の最強部隊で参戦せよ

「ガンダムネットワークオペレーション3」

  • ジャンル:オンラインシミュレーションゲーム
  • 発売元:バンダイナムコオンライン
  • 開発元:ヴァンガード
  • 利用料金:パッケージ価格:7,329円/月額:1,155円
  • 対応OS:Windows XP/vista/7
  • 発売日:3月1日正式サービス開始


  •  バンダイナムコオンラインは、PC向けオンラインシミュレーションゲーム「ガンダムネットワークオペレーション3(GNO3)」の正式サービスを3月1日より開始した。「GNO3」は「ガンダムネットワークオペレーション」シリーズの最新作であり、初代ガンダムの舞台となった「一年戦争」だけでなく、「機動戦士Zガンダム」の時代も含めた作品だ。

     「GNO3」ではプレーヤーはジオン軍、連邦軍にわかれて戦うだけでなく、その後エゥーゴ、ティターンズ、アクシズ(ジオン共和国)に所属し、三つ巴の戦いを繰り広げることとなる。ゲーム内では刻々と時間が変化し、オデッサ、ジャブロー、ソロモンと戦場も変化していく。その中でプレーヤーはどう戦っているだろうか。今回は、スタートからソロモン攻略まで、ゲーム前半の感触をお伝えしたい。



    ■ こだわりで選ぶモビルスーツとパイロット。「ガンダム」ならではの楽しさ

    部隊長は習得するスキルで大きく性格が異なる。さらにスキルの習得順番を変えることも可能だ
    どこで戦いが起きているかわかるマップ画面。プレーヤーは部隊を率いて激戦地に飛びこんでいく

     「GNO3」ではプレーヤーはモビルスーツ(MS)チームを率いる「部隊長」となり、敵勢力と戦っていく。刻々と変わっていく戦況とザクやグフ、ジム、ガンダムなど日々進化していく最新MSのラインナップ、そして多彩な能力を持ったパイロットからチョイスし、自分なりの最強部隊を作り上げていくのだ。

     プレーヤーキャラクターの分身である部隊長も様々な成長パターンがある。部隊長は他のメンバーと比べるとレベルが高く、また能力も高い。彼をどこに配置するかで部隊の特色は変わっていく。回避を最重要にして「壁」にするか、それとも攻撃に特化して敵を減らすか。それによって乗せるMSも変わっていく。攻撃力を高くすればドムなどの攻撃力が高いMSに乗せ、部隊の後方から射撃させるのがいいし、回避が高いならば、盾を持ち、機動性の高いグフなどで最前線に配置する。

     部隊長の特色、MSを起点に、他のメンバーを配置していく。「GNO3」では前方のMSが敵の攻撃を引き受け、後方のMSで敵を攻撃するというスタイルが最もポピュラーだ。筆者は、今回ジオン軍で参加してみた。部隊長を最前列に配置し、グフやゲルググなどの盾を持ったMSに乗せ、後方のメンバーにはザクやドムでバズーカによる攻撃を担当させた。

     部隊には「搭載値」が設定されており、このポイント内で出撃するMSを決める。部隊のフォーメーションには5機構成と4機構成の2パターンがある。戦争初期はザクや旧ザクなど搭載値の低い機体が多いため、5機編成で戦うことができるが、MSのラインナップが充実してくるに従って1機当たりの搭載値コストも上がり、4機構成でもコストのやりくりも難しくなる。

     今回のプレイで面白かったのが、連邦の機体であるボールの需要がジオン側で高かったことだ。「GNO3」では鹵獲(ろかく:敵の機体を奪って使うこと)した機体を得ることができるのだが、作業用ポッドに大砲をつけただけの、劇中ではやられキャラの代名詞であるボールが大人気だったのである。コストが低く、大砲の攻撃力が侮れないという性能を持つ上、ジオン側はモビルアーマー(MA)というコストの高い機体が多く登場するため、ボールで人数と攻撃力を確保しつつ、大型のMAで戦う、という部隊も多く見られた。

     次に基本的なゲーム展開を紹介したい。「GNO3」はゲーム内にログインできる時間が少なくても戦争に参加できるオンラインゲームである。キャラクターを作り、部隊を設定しておけば、クライアントを立ち上げていなくてもデータ上で数分に1度敵部隊と戦闘が行なわれ、次回ログインすると部隊の経験値が溜まり、開発や補給のポイントが貯まる。

     ただし、ずっとログインして戦闘を繰り返しているコアプレーヤーと、たまにしかログインできないプレーヤーでは成長速度に大きな差が出る。筆者がまだザクで部隊を組んでいても、協力してくれる部隊は水陸両用のモビルスーツや最新モビルスーツを使っていた。戦闘に積極的な部隊、優秀な部隊にはどんどん最新鋭機が投入され、そうでない部隊は2線級のMSで戦場に出されるという、“下っ端の哀しみ”の様なものも少し感じた。

     そんな状況でも、やはり「ガンダム」は楽しい。作品の知識が、仲間と供給されるMSで戦う“我らの部隊”というロールプレイをより楽しくしてくれる。「ガンダム」の持つMSのイメージや、作品に登場する地名、雰囲気が独得のプレイ感をもたらすからだ。最新と比べると見劣りするかもしれないが、「オレのMS部隊」というのは特別な思い入れをもたらす。

     もちろんただイメージで補完するだけでなく、努力も怠らない。自分の資産でやりくりし、マーケットに出されている機体で補強してもらう、他ゲームのギルドに当たる「チーム」のメンバーに安価で最新鋭機を譲ってもらうなど、アプローチはいくらでもある。今回、コアプレーヤーと比べて、プレイ時間が少ないプレイスタイルを体験することで、「GNO3」の面白さを改めて実感できた。


    モビルスーツを選び、フォーメーションを設定し、役割に合わせたパイロットを配置していく。パイロットは1日に1度補充が可能で、自分の目的にあったパイロットを揃えていく
    他のプレーヤーと任務をこなすことで、モビルスーツの運用の仕方も学べる。チャットで相談するのも良いだろう。右はニュータイプの素質を持つキャラクターが一定の確率で発動できる攻撃だ
    地上、宇宙、様々なシチュエーションで戦う。ジオン軍は一年戦争後半からニュータイプ専用機を戦場に投入する



    ■ より強い部隊を目指して、他プレーヤーとともに積極的に任務をこなせ

    任務のリスト。様々なシチュエーションがあり、得られるポイントが異なる

     フォーメーションにMSとパイロットを設定し、戦闘を繰り返すのが「GNO3」の基本的なプレイスタイルだが、「任務」を習得することでプレーヤーはより強くキャラクターを育て、ポイントを得ることができる。コアプレーヤーはこの任務を繰り返すことで他プレーヤーに大きく差をつけるのだ。

     任務には様々な種類がある。長期間戦闘を繰り返すことで通常のログオフ時よりボーナスが得られる「長期任務」、3回の戦闘を行なう「通常任務」、そして様々なシチュエーションで戦い特典も得られる「特殊任務」だ。任務には最大3部隊参加できる。特殊任務には制限があり、1プレーヤーは1日に限られた回数しか取得できないが、他プレーヤーの任務を支援することで何度も任務をこなすことができるのだ。

     任務には様々なシチュエーションがあり、特に特殊任務は多彩だ。また得られるポイントの種類も変化する。「補給基地攻撃・防衛任務」では機体を購入できる補給ポイントが多くゲットできる。「生産施設襲撃・救援任務」、「輸送部隊襲撃・護衛任務」では開発ポイントが増える。襲撃任務の場合は低確率で敵の機体を鹵獲できる。ランキングに関わるミッションポイント(MP)が多く入る任務もあるし、階級の上がる“戦功”が得やすい任務もある。

     階級が上がれば搭載値が上がり、多くの補給ポイントが得られるなど特典がある。開発ポイントを得ればより多くのMSを開発できる。鹵獲機体目的でひたすら輸送部隊を襲うプレーヤーも多い。任務をひたすらやりこむコアプレーヤーもプレイスタイルによって様々なタイプにわかれてくる。ただ、任務とポイントの関係がゲームの中ではわかりにくい。シリーズ経験者は最初から知っており、チーム内でも教えてもらえたのだが、初心者向けにもっとフォローをしてもらいたいと感じた。

     特殊任務の中には、期間限定で連邦とジオンで競う「競合任務」が発生する。競合任務は成功数を陣営で競い、その結果により世界全体への影響が現われるというものだ。「機動戦士ガンダム」では倒されてしまったキャラクターが生き残ったり、行なわれる作戦が遂行できなかったりする。

     競合任務の楽しさは「原作のキャラクターが登場する」ところだろう。アムロやカイやハヤト、シャアなど原作のキャラクターがNPCとして登場し、プレーヤーの前に立ちはだかったり、味方として登場する。今回はジオン側だったため、アムロは怖く、シャアは頼もしかった。また一年戦争以降の時代を描いた「機動戦士ガンダム0083」や「機動戦士Zガンダム」のキャラクターが登場する任務もある。原作では語られない一年戦争時代の彼らの活躍を“補完”できる点も面白く感じた。


    敵の施設を攻撃したり、基地を守ったり、敵MSは速いペースで変わっていく。プレーヤー側もできるだけ最新鋭機で対抗したいところだ
    カイがガンタンクに乗る原作の1エピソードを題材にした競合任務。グラブロに乗っていたブーンがズゴッグに乗るというゲームに合わせたアレンジがされている
    連邦の新兵器ソーラーレイの発動を阻止する。原作では全くなかったシチュエーションだ



    ■ 最新MSをどうやって入手するか。先を見越した開発プランと、協力要素

    手に入るポイントと比べて、要求されるコストは高い。プレーヤーが多くのMSを独力で開発するのは難しい
    マーケットでは1世代前のものが取引できる。最新鋭機や鹵獲機体の取引は個別チャットで行なわなくてはいけない

     「GNO3」では各プレーヤーが開発プランを管理する。MSの開発はツリー形式になっており、ここに開発ポイントをつぎ込んで自分なりの開発計画を進めていく。このため、ポイントのやりくりには常に悩まされる。プレイ時間が少ないと、やはり開発のMSは限られる。今回、筆者はポイントが足りなすぎて水陸両用のMSも、ドムも開発できなかった。

     そんな中、筆者がポイントをつぎ込んだのがゲルググだ。しかしどうも今回のゲルググは性能が低いように感じた。「戦争末期の傑作機」というイメージが高かったのだが、ゲーム内ではザクより少し性能が高いという程度で、なけなしの開発ポイントをつぎ込んだのに、パッとしなかった。他のモビルスーツとの兼ね合いということだと思うが、ファンとしてはもう少し強くても良いんじゃないかと思った。

     開発には通常のものの他に、「開発予約」という形でポイントを抑えての開発もできる。通常の開発はポイントを大量に消費する代わりに技術レベルが上がると比較的早く開発できるが、予約の場合は次の技術レベルが上昇するまで待たなくてはならない。開発レベルは1週間で上昇するため、予約で開発した機体はどうしても型落ちになる。とはいえ、機体は何も自分の開発にこだわることはない。マーケットで手に入れたり、チャットで募集を募り交渉しても良い。

     ただ1プレーヤーごとの生産数は限られており、取引は自分の開発に比べずっと高価だ。コアプレーヤーは潤沢な資金を持ち、最新鋭機を高価で取引しているため、取引チャットはまるで雲の上の会話のように感じることもある。自分の資産、開発ポイントと相談しながらやりくりする楽しさは独得のものだ。型落ちの機体は安価で取引されている場合もあり、ジレンマと闘いながら自軍を強化していく。機体を市場価格より安く提供してくれるチームの存在は本当にありがたかった。

     ゲームでは「地上」と「宇宙」の2つの戦場があり、刻々と“旬”の戦場は変化する。MSには宇宙用と地上用の機体があるため、手駒でフレキシブルに対応するというのは難しい。グフをようやく生産できるようになり、多少高くてもドムを手に入れられたとき、「これで何とか地上戦はこなせるな」という実感を得られたのだが、宇宙での競合任務が発生したときには、全く参加できなかった。

     また、地上のジャブローから宇宙のソロモンへ戦いが移る展開では、最初のころは安価な型落ちの機体で、形だけ揃えて出撃した。変化する戦場に合わせてコストをやりくりする苦労と楽しさがある。今回、水陸両用のモビルスーツを全く使えなかったのには小さな後悔がある。「Z」時代にはあまり優れた水陸両用のMSがいた記憶もないが、どんなバランスになるかは注目したい。

     「GNO3」は数カ月で結果がリセットされ、また一年戦争からゲームがスタートする。また、ゲームバランスやルールは刻々と変化する。その変わる状況の中、自軍を育てていくか。どんな機体を開発するかでまったくゲームの感触が変わってくると感じた。現在はまだまだゲームはこれからというところだが、次のスパンではどんな展開になるかも思わず考えてしまう。また、今後は「Zガンダム」時代の機体が登場するが、開発コストはさらに高騰しそうだ。筆者の部隊はどのように開発を進めていくか、考えていきたいところだ。


    様々なMS。部隊のパイロット、プレーヤーの目指す戦い方で使用する機体は変わってくる。かなり速いペースで機体を変える必要があるのが「ガンダム」らしいところだと感じた。



    ■ 原作の“史実”を変えられるか? 名場面に飛びこむ大規模任務

    大規模任務は週末にスタートする。その数日前に、作戦案が提示されるのだ
    シャアのズゴックがGMを一撃で仕留めるおなじみの名場面

     「GNO3」で最も原作の要素が色濃く出るのが週末に行なわれる「大規模任務」だ。現在は毎週土曜日の23:30から開催されている。このとき大規模任務への参加を希望し、ログインしているプレーヤー全てが敵勢力のプレーヤーとの戦いに参加する。さらにこの戦いで選出された優秀プレーヤー達はゲームの名場面を再現した特別な戦場で戦える。他のプレーヤーは彼らの戦いを観戦することができる。

     大規模任務では、ガルマの部隊とホワイトベースの戦いや、黒い三連星の登場など、「機動戦士ガンダム」の名場面がモチーフとなる。選出されたプレーヤーはその戦場に参戦していくのだ。今回、筆者は3月20日の「ジャブロー降下作戦」と3月27日の「ソロモン攻略戦」に参加することができた。

     大規模任務では、まず最初に大規模任務に参加を表明したプレーヤー達がランダムでチーム分けされ、ジオンと連邦のプレーヤーによる3対3の戦いが3回連続で行なわれる。ここで優秀な成績をおさめた上位者などが「最終決戦」に参加できる。最終戦はこれまでの“部隊”ではなく、リーダーである部隊長キャラクターだけが出場する。

     最終決戦では、NPCの対決に両陣のプレーヤーが飛びこむ形になる。ジャブローでのアムロとシャアの対決、ソロモンでのビグ・ザムにのるドズルとアムロの戦い。アニメの名場面が展開する中、トッププレーヤー達がぶつかりあうことになるのだ。

     筆者の場合は、3対3の戦いには参加できたが、最終決戦には出場できなかった。やはりプレイ時間の少なさから、コアプレーヤーと比べるとレベルが低く、機体も最新鋭のものではないので、正直連邦側のプレーヤーには歯が立たなかった。こちらの攻撃は当たらず、向こうに体力を減らされ、自分の力のなさを痛感した。もっともっと力をつけたいと思った瞬間だった。

     最終決戦は戦いを見守るだけだったが、アニメの名場面が目の前で展開するのはやはりテンションが上がる。チャットでも多くのプレーヤーが自軍のプレーヤーを応援していた。ただ、多くのチームが部隊長を盾役にしているようで、攻撃力が低く、プレーヤーキャラクター同士の戦いは膠着してしまった。結果としてNPCのゲームとしての性格付けが勝敗に色濃く出るバランスになっていた。

     この最終決戦で参戦できるプレーヤーキャラクターは部隊長のみだ。多くのチームが部隊長を盾役にしているようで、攻撃力が低く、プレーヤーキャラクター同士の戦いは膠着してしまった。結果としてNPCがどう動くかで戦いの結果が決まりやすい。

     その影響がもろに出てしまったのがソロモンの戦いだった。アムロはひたすらビグ・ザムを攻撃するのに、ドズルのビグ・ザムはプレーヤーキャラクターを狙ったのだ。プレーヤーキャラクターは回避重視のためダメージが少なく、ビグ・ザムだけがアムロに撃たれ体力を削られていく。結局このアルゴリズムが原因で、連邦側が勝利となってしまった。あらかじめ勝敗が決まってるかのような設定に、ジオン側のプレーヤーの多くは不満の声を上げていた。

     ビグ・ザム戦はジオンがはっきりと不利だった。名場面を再現し、キャラクター性を演出しながら公平な戦いを展開する難しさを感じた。また、回避重視キャラクターばかりの膠着した展開は、今のところ、部隊長を盾役にするのが最良のゲームバランスのため仕方がないといえる。こちらの点も例えば予選を突破したプレーヤーは出場キャラクターを選べるという形にするなど、アプローチの仕方もあると思う。

     とはいえ、「GNO3」の最大のセールスポイントがこの大規模任務である。普段はログイン時間がバラバラのプレーヤー達が一堂に会し、自軍のトッププレーヤーに声援を送るこの展開は非情に面白い。今後さらに完成度を上げてプレーヤー達の力量、戦術の巧みさが楽しめる戦いになって欲しいと感じた。「ガンダム」の世界に長いスパンで“参戦”できるゲームである。ファンには特にオススメしたい。


    ジャブローでの対決。G3ガンダムや、複数のゾックがいたり、ゲルググがいたりと、原作の時代設定を越えたプレーヤー達の構成だ
    シャアとアムロの対決に介入していく選抜プレーヤー達。シャアは驚異的なほど強く、連邦の不利は否めないバランスだった
    ソロモンでの前哨戦にはガトーが登場。一定の確率でNPCとして参加するのだが、「ガトーがいれば勝てる」というほど強かった。反対にNPCとしてシャトルがいると、あっという間に撃破され、数で勝る連邦軍に包囲されるはめに
    プレーヤーキャラクターを狙うビグ・ザム、ビグ・ザムしか狙わないガンダム。プレーヤーキャラクターは補充されるのに対して、ビグ・ザムが倒れれば即敗北なため、ジオン側が勝つことはかなり難しいと感じた


    (C)創通・サンライズ

    (2010年4月7日)

    [Reported by 勝田哲也 ]