★ダウンロードコンテンツショートレビュー★
対戦ボリュームを倍増する大型DLCが無料公開! 目玉は“ずーっとフィナーレ”の「サバイバルモード」 「Left 4 Dead Survival Pack」 |
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DLCショートレビューとして、今回は4月21日にリリースされた「Left 4 Dead(L4D)」の大型追加コンテンツ「Survival Pack」をご紹介したい。「Left 4 Dead」は、Xbox 360版だけでもすでに世界で250万本以上を売り上げたと伝えられており、世界的に最も成功したFPSタイトルのひとつになっている。そして今回、PCとXbox 360版の両方に「Survival Pack」と題する追加コンテンツがリリースされ、新たなゲームモードや対戦マップの大拡張がなんと無料で全ユーザーに届けられた。
無料コンテンツとは言っても、「Survival Pack」のボリュームは、他タイトルであれば有料であってもおかしくないほどだ。内容としては「L4D」のメインともいえる対戦モードの拡張に注力しており、対戦用のエピソードが2種追加されたほか、今回初実装のゲームモードとして「サバイバルモード」が追加されている。
その他、「Survival Pack」では、対戦モードにおける無数の調整が組み込まれており、対戦をやりすぎてマンネリ化していたヘビーユーザーでも、また熱くなれるだけの内容を備えている。筆者の周辺でも再び「L4D」熱が再燃してきたところだ。さて、どんな内容が楽しめるのかを本稿でご紹介しよう。
【Survival Pack】 | |
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■ もっと濃密にゾンビと戯れたい方へ、Valveからの大きなプレゼント
「サバイバルモード」をはじめ、たくさんの更新が含まれる追加コンテンツ |
新規対戦エピソード「デス・トール」 |
新規対戦エピソード「デッド・エア」 |
「Survival Pack」で追加されるコンテンツの概要は冒頭で触れた通りだが、数週間置きに細かくアップデートが行なわれてきたPC版に比べ、Xbox 360版に関しては2月以来のアップデートになる。それまでPC版で蓄積されてきた多数のアップデート内容が累積的に今回のDLCに組み込まれている。そのためXbox 360版における変更点は1度にご紹介しきれないほど多岐にわたる。ひとまず、ここではゲームのコア部分に対する重要な変更点に絞ってリストアップしてみよう。
Xbox 360版のユーザーにとってはこういった更新内容が一気に適用されるというわけで、ゲームバランスの変化に対応するだけでも数日のプレイを要することになりそうだ。それに加えて対戦マップの追加と新ゲームモードの追加である。それだけ「Survival Pack」のインパクトは大きい。
ゲームバランスの調整の中でも大きな点は、生存者にとってもっとも効果的な防御手段であった「殴り」攻撃に体力の概念が導入されたことだ。「殴り」を連打していると、数回目で殴るスピードが鈍り始め、さらに照準点の周りに表示される円形のメーターが満ちるまで殴ることができなくなる。
これにより、部屋の隅で固まってキャンプするにしても、大量のゾンビを押しのけながら強引に前進するにしても、「殴り」はこれまで以上に的確に使う必要がある。むやみに連打していると、ハンターに飛び乗られた仲間を助けようとしても、体力切れでしばらく殴れない、ということになりかねず、うまいこと射撃を織り交ぜて敵を撃退する必要に迫られるのだ。これは対戦モードのプレイをより繊細なものにする上で、非常に効果を発揮している。
そして今回、これまでは協力プレイ専用だった2つのエピソード「デス・トール」と「デッド・エア」の対戦モードバージョンが追加された。これらのエピソードは、対戦モードのゲームバランスを考慮して、協力プレイ用マップに無数の変更を加えたものとなっている。具体的には、マップ中の各所にゾンビが隠れられる場所や、よじ登れる場所などが多数追加されているほか、生存者側が安全にキャンプできてしまうような場所は徹底的に消されており、生存者側、ゾンビ側の双方にとって手ごたえのあるマップに仕上がっている。
個別にマップの特徴をご紹介しよう。対戦用として追加されたエピソードのうち、「デス・トール」は割合生存者側がプレイしやすいエピソードだ。フィナーレにあたる水辺の小屋の戦いは、キャンプ可能な場所が徹底的に消されているため大抵ひどく混乱した戦いになるものの、それを除けば見通しのよいマップが多いため、スピーディにプレイできる。ただし、タンクが殴り飛ばせるオブジェクトの配置が割合多めな点に注意だ。射線が通りやすいだけに、油断すればワンパンチでゲームが終わることもある。
後者の「デッド・エア」は複雑で立体的、見通しの悪いシーンが多いエピソードだ。第1のステージからいきなり、足場の悪いシーンが登場するので、移動操作がおぼつかないユーザーは要注意。開始早々、キャットウォーク状の足場にぶら下がり状態となり、散々な目に遭うこと請け合いである。ゾンビ側にしても、意外なところに面白い待ち伏せスポットが存在するので、非常にマップ研究のしがいがあるエピソードだと言える。
「Survival Pack」で追加されたこれらの対戦エピソードの“ボリューム”を語るのは難しいが、「L4D」の対戦をすでに楽しめているユーザーなら、間違いなく今後数週間は新しい発見の連続で、連日連夜面白い対戦が楽しめることだろう。
■ 0.1秒でも長く生き延びろ! エンドレスの壮絶ラッシュが続く「サバイバルモード」
「サバイバル」専用マップ「灯台」。スイッチを押せばエンドレスの地獄がやってくる |
壁という壁が壊れる!逃げ場はないぞ! |
スタート地点には武器・弾薬、投げ物その他の補給品が揃っている。しかし、ラッシュ中は取りに戻る暇がほとんどないのも現実 |
休む間も無く次々にタンクが現われる。ゾンビラッシュと同時なのでとってもキツイ |
さて、「Survival Pack」で追加されたもうひとつの目玉が「サバイバルモード」である。このゲームモードのルールはとてもシンプルで、永久に続くゾンビラッシュの中を「とにかく長く生き残れ!」というものだ。利用できるマップは、協力プレイモードの4つのキャンペーンから局所だけを抜き出した15種類と、「サバイバルモード」専用に作られた新マップ「灯台」の全16種類。基本的には協力プレイモードの延長なので、同時プレイ人数は最大4人だ。
至極単純なルールではあるものの、「サバイバルモード」は非常に面白い。永久に発生し続けるゾンビラッシュは、通常モードの“フィナーレ”のシーンよりも強烈だ。特殊感染者の数が多く設定されているため、スモーカー4匹の舌攻撃コンボで一挙全滅などという大惨事も頻繁に起こりうる。その上タンクは1分置きに沸き続け、その間も間断なく通常のゾンビラッシュが起こり続けるので、対処に追われるプレーヤーは本当に休む暇もない。
この「サバイバルモード」では、「どれだけ持ちこたえたか」を示す生存タイムがそのままスコアとなる。生存タイムはブロンズメダル(4分)、シルバーメダル(7分)、ゴールドメダル(10分)の3段階に格付けされており、プレーヤーはとにかくゴールド越えの新記録を目指してプレイを繰り返すことになる。1プレイセッションはせいぜい3分から10分で、初回のプレイでは1、2分で全滅してあたりまえという激しいバランスだ。
スタート時、マップ内にはかなり多くの鎮痛剤、全員分のファーストエイドキット、そして大量の火炎瓶・パイプ爆弾、その他ガスボンベやポリタンクが配置されている。ゾンビラッシュはプレーヤーが特定のスイッチを押すまでは始まらないので、その間に武器・アイテム類を揃え、ガスボンベやポリタンクをキャンプポイント周辺に配置し、プレーヤー同士で作戦を話し合うことができる。
だが、マップの多くは「これが正解」というキャンプポイントがなく、どこで戦うにしてもプレーヤーの立ち回りが重要だ。大抵は、戦いやすい場所ほど弾薬やファーストエイドキットの補給が困難だったりするので、補給のしやすさを見越して、あえて多少不利な位置で戦うというのも戦術のひとつになっている。その中でも「灯台」マップは、家屋のほとんどあらゆる壁が破壊されてしまうので、どこにも逃げ場がなく、難しいマップだ。それでも平均以上の連携プレイができれば、ブロンズ、シルバー水準のタイムは記録できるはず。ただし、ゴールド獲得は多少の運もないと難しい。
そして、各メダル獲得の基準タイムをクリアするごとに、ゾンビラッシュの濃度がさらに高まるというのも「サバイバル」のポイントである。ブロンズメダル基準の4分を超えたあたりからは、タンクが2体同時に出現するという強烈なラッシュが始まるので、4人のプレーヤーが完全に息を合わせて戦わない限り絶対に突破できなくなる。シルバー基準の7分を過ぎると特殊感染者が間断なく出現するようになり、3~4匹のハンター、スモーカーが常時出ているという状態になる。こうなると一瞬でもチームワークが乱れれば、どんな状況からでも即座の全滅がありうる。それでもゴールドメダルは「達成可能」なので、何度もチャレンジして攻略の方法を見つけよう。
というわけで、「サバイバルモード」は、「L4D」の協力プレイや対戦モードの1~2時間という長いプレイ時間と対照的に、ごく短い時間で楽しめるゲームモードとなっている。「対戦は長いからなあ」と思って敬遠していたプレーヤーも、これなら気軽にプレイできるはずだ。
難易度的には、四方八方から延々ゾンビラッシュを受け、同時にタンクも頻繁に出てくるという内容のため、素早く的確な射撃が重要であり、マウスかゲームパッドかというエイミングの部分でPC版よりもXbox 360版のほうが体感的に難しく感じられた。筆者はPC版のほうが慣れ親しんでいるため、フレンドだけの息の合ったチームであれば、数回のチャレンジでゴールドメダルを獲得できたが、Xbox 360版では同じ条件でも、かなりポジティブな展開が続かない限り、同等の結果を得ることができなかった。特にタンク2体の同時沸きは鬼門である。
そして、どちらのプラットフォームでも共通するのは、「サバイバルモード」は他のゲームモードに増して、フレンドとの内輪プレイが楽しいということだ。逆に、意思疎通がしにくい野良プレイでは、おそらくこのモードの深いところの魅力に到達することは難しいかもしれない。「サバイバルモード」を楽しむためには、是非フレンドを4人集めて、作戦を話しあいながらプレイしよう。せっかく立てた作戦が想定外の事件でぶちこわしになるのは何度やっても笑えるものだし、作戦がうまくいけばもっと楽しい。
この「サバイバルモード」のクリアタイムは、SteamもしくはXbox LIVE上のランキングシステムに統合されており、いつでもフレンドの記録を確認することができる。自分より長く生き残ったフレンドがいれば、誘って一緒にゲームをやるもよし、記録更新を目指して別メンバーとがんばってみるのもよし、しばらくは夢中に遊べそうである。筆者は全16マップでのゴールドメダル獲得を目指し、さらにスコアを極めるために毎夜プレイにいそしんでいる状況だ。
■ Valveらしい太っ腹な拡張パックで、世界の「L4D」熱が再燃必至
これを機に、また「L4D」を楽しもう |
PC、Xbox 360の両プラットフォーム向けに同時リリースされた「Survival Pack」は、Valveが自社タイトルに供給する本格的なDLCとしては、昨年「Team Fotress 2」向けにリリースされた大型アップデートを越え、過去最大規模のボリュームを備えている。
ただ、「L4D」はあくまでコンテンツ消費型のゲームではなく、協力プレイや対戦プレイを繰り返してプレイすることが本質にあるゲームなので、これを長く長く楽しめる人もいれば、数回で飽きてしまう人もいるだろう。その点で評価が難しい部分はあるものの、 「新モードの追加は有料」ということがデファクトスタンダードになりつつある状況下で、こういった水準のDLCが無料で公開されたことは、全てのユーザーにとって嬉しいことだ。
その背景を考えてみると、Valveが持つSteamという独自の流通システムに行き着く。Steamは、パッケージ販売と異なり、物理的な制約にとらわれることなくロングテールのゲーム販売が行なえる事が強みだ。販売価格を柔軟に変えられるというのも特徴で、SteamではPC版「L4D」の半額セールを「Survival Pack」のリリースに合わせて実施した。その結果、「L4D」の売り上げは通常時平均の30倍を達成、ローンチ時以上の勢いで販売本数を伸ばしたというレポートが海外で報じられている。
つまり、Valveは追加コンテンツの投入により、タイトルそのものの販売数を伸ばすというアプローチでビジネスを展開しているわけだ。その結果として、ハイクオリティなDLCが無料で配布されるということになる。これは、対戦プレイが主軸のゲームタイトルの売り方としては、かなり理想に近いのではないだろうか。おそらく、今後も継続的に良質なDLCが無料でリリースされることになるだろう。
そんな背景に思いをいたしつつ、良質な追加コンテンツである「Survival Pack」を楽しんでみるのも悪くない。筆者の周囲では、燃えつきかけていた「L4D」への熱が再燃しつつあり、新しい対戦マップや、「サバイバルモード」の新鮮なゲーム体験を楽しんでいる。皆さんも是非これを機会に「L4D」でゾンビと戯れて欲しい。
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(2009年 5月 8日)