★Wiiゲームレビュー★

「ワンピース」のオリジナルストーリーが楽しめる
アクションアドベンチャーの完結編

「ワンピース:アンリミテッドクルーズ エピソード2 - 目覚める勇者」


 2月26日、株式会社バンダイナムコゲームスから「ワンピース:アンリミテッドクルーズ エピソード2 - 目覚める勇者」(以下エピソード2)が発売された。本作は、昨年9月11日に発売された「ワンピース:アンリミテッドクルーズ エピソード1 - 波に揺れる秘宝」(以下エピソード1)の続編。「エピソード1」と「エピソード2」をセットで楽しむことを前提として制作されているが、前作のダイジェスト映像が用意されているなどの配慮もされている。


■ 多彩なアクションや技の成長など、やり込み要素満載のアクションアドベンチャー

前作のダイジェスト映像が用意されているので、本作から始める人も大まかな話の流れはわかるようになっている

 まずは、簡単にどのようなゲームか概要を紹介したい。本作は、キャラクターを育成しながら、ストーリーを進めるアクションアドベンチャー。9人のキャラクターを切り替えながらプレイすることになる。アクション操作は簡単で、複雑なコマンド入力はなく、誰でもプレイできるだろう。また、多少の差異はあるものの、キャラクターの操作方法はほぼ共通なので、1キャラクターの操作を覚えれば、すんなりと全キャラクターを扱える。

 最も重要となるのが、アイテム集め。ストーリーを進めるのに必要なガブリポイントと呼ばれるポイントは、アイテムをガブリポイントに変換することでしか得られないし、HPやSP(ダッシュ移動や必殺技に必要なポイント)の上限を増やすのに、素材となるアイテムを調理して摂取する必要があるからだ。

 戦闘では、キャラクターの技が成長していく。技ごとに熟練度が設定されており、使い込むと技のレベルが上がったり、新たな技を閃いたりする。強化したい技があれば、その技だけをひたすら使えばいいというわけだ。

 1~2人で遊べる対戦モードも用意されている。対戦モードでは、複数のキャラクターでチームを組んでバトルする「チームバトル」、1キャラクターで大勢の敵とバトルする「サバイバル」の2種類が遊べる。使用できるキャラクターは特定の条件を満たすことで増えていく。

 前作との主な違いは、キャラクター/技/アイテム/ステージの追加、成長上限の開放など。グラフィックスや操作方法に大きな違いはない。また、前作のデータがあれば、修得した技/スキル、HP/SP、調合/調理/開発の一部のレシピ、対戦モードで増えたキャラクターを引き継ぐことができる。引き継ぐデータの成長具合によっては、難易度と成長上限が高いHARDを最初から選択できる。


左が前作である「エピソード1」の画面、右が本作「エピソード2」の画面。グラフィックや表示周りに大きな違いがないことがわかるだろう。前作をプレイしていた人なら、そのままの操作感でプレイできる「エピソード1」のデータがあれば、育てたキャラクターなどを引き継げる
複数のキャラクターでチームを組んでプレイするチームバトル。各キャラクターにはコストが設定されていて、合計コストが10になるようにチームメンバーを決定する一度ゲームをクリアすると遊べるようになるサバイバル。一定数の敵を倒すまでの時間を競うモードだ


■ 「ワンピース」のゲーム史上過去最高数のキャラクターが登場するオリジナルストーリー

 ルフィ達を救うため力を使い果たしてしまったガブリ……自分を捨てて逃げるように言うガブリにルフィが言い放つ!
「仲間は捨てねぇ」麦わら海賊団はガブリを救うため、禍々しく姿を変えた島々に船を向ける!
果たしてガブリを救うことができるのか! そして、その冒険の先に待つものは!?

 全2作にわたるアンリミテッドクルーズの壮大なストーリーは本作にて完結する。どんな展開になるのかはプレイしてのお楽しみだ。

 「ワンピース」のゲーム史上過去最高数のキャラクターが登場する本作。「エピソード2」では、海軍大将でピカピカの実の能力者「黄猿」、白ひげ海賊団二番隊隊長でメラメラの実の能力者「エース」、黒ひげ海賊団船長でヤミヤミの実の能力者「黒ひげ」なども登場する。



■ 様々な能力を持った9人のキャラクターと成長していく技

 プレーヤーが操作するのは「ルフィ」、「ゾロ」、「ナミ」、「ウソップ」、「サンジ」、「チョッパー」、「ロビン」、「フランキー」、「ブルック」の9人。キャラクター毎に能力が異なるものの、特定のキャラクターでないとストーリーを進められないということはないので、好みのキャラクターだけを使ってプレイすることも可能。ただ、複数のキャラクターを育成しておけば、使っているキャラクターがやられても、次に強いキャラクターが出せるので、いざという時に安心だ。

 基本的にキャラクターの技コマンドは共通で、簡単なものになっている。「A」、「AA」、「Wiiリモコンを振る」、「空中でA」、「ダッシュ中にA」、「C+A」などだ。中には、「AA(溜め)」や「AA(連打)」など、多少異なるものもあるが、ほぼ同じなので、どのキャラクターを使っても、1キャラクターの操作に慣れれば、全キャラクターを操作できるだろう。

9人のキャラクターを切り替えながらプレイする。キャラクターの切り替えは、いつでもどこでも可能。全てのキャラクターを試して、自分に合ったキャラクターを探すことをオススメする操作は簡単なものばかり。2つのボタンの同時押しが最も難しい部類に入るほどだ。ゲーム序盤では、プレイしながら操作方法を修得できるようになっている

 キャラクターが持つ技は、使い込むほど熟練度が上がり、パワーアップしていく。一定の条件を満たすと、新たな技を閃くこともある。閃く条件は、メニューから確認できるようになっている。新たに閃いた技が、現在持っている技と同じコマンドの時は、メニューで技を切り替える必要がある。

技は使えば使うほどレベルが上がり、強くなっていく。技のレベルを上げれば、戦闘が楽になるので、強くしたい技を積極的に使っていこう特定の条件を満たせば新技を修得できる。新技はすぐにでも使って、性能を確認することをオススメする技以外にスキルを修得することも。技の威力が上がるものや能力が上がるものなど、スキルの効果は様々

 通常の技以外に必殺技もある。必殺技も通常の技と同様に熟練度があり、使えば使うほど強力になっていく。ただし、必殺技を使うと、ダッシュなどで必要になるSPゲージを消費する。ダッシュの場合、時間でSPゲージが回復していくが、必殺技を使った場合だと、時間が経過してもゲージが回復しない。回復するには、アイテムを使ったり、拠点となるサウザンド・サニー号へ戻る必要がある。

派手なカットイン演出から始まる必殺技。どの必殺技も見た目に相応しい威力を持っている。いざという時に備えて、しっかり熟練度を上げておきたい

 さらに、2人以上のキャラクターのSPゲージを消費して出せる合体技も存在する。合体技で得た熟練度は、技に参加したキャラクター全員が獲得できる。この合体技を出すには「ステータスの必殺技欄に合体技を設定している」、「合体技を出すメンバーが戦闘不能になっていない」、「合体技に必要なSPがある」の3つの条件を満たす必要がある。SPの消費は大きい分、威力も高いので、ここぞという場面では使っていきたい。

ルフィ/ゾロ/サンジの3人が協力して繰り出す羊肉JET六百煩悩攻城砲。「エピソード2」で、どんな新合体技が追加されたのか探すのも楽しい

 本作での特徴的なシステムとして、「Break Rush」がある。「Break Rush」には制限時間があるものの、敵に大ダメージを与えられたり、倒した敵が必ずアイテムやHP/SPを回復する回復玉を落とすというメリットがある。欲しいアイテムを落とす敵に合わせて、技リストにある技を残り1つにしておくと、効率よくアイテムを収集できる。発動条件は、画面右に表示された技リストを全て敵に当てるだけと簡単だ。さらに、HP/SPを回復する回復玉を落とすことを考えて、「Break Rush」発動後すぐに必殺技や合体技を出して敵を倒せば、消費したSPを瞬時に回復できる。必殺技や合体技の熟練度上げに重宝する。

敵にダウンさせられると、「Break Rush」のための技リストがリセットされてしまい、やり直しになってしまうことに注意したい「Break Rush」中に必殺技を出し、敵が落とした回復玉でSPを回復。これを繰り返せば、どんどん必殺技や合体技を出していける。HPの回復もできるので、ピンチの時にも「Break Rush」は活躍する

 ここからは、あくまで筆者が受けた印象ながら、9人のキャラクター性能を紹介する。

・近距離タイプ:「ルフィ」、「ゾロ」、「サンジ」、「フランキー」、「ブルック」

 これらのキャラクターは、どんな局面でも戦えるバランスの良さを持っている。中でもゾロとサンジは、出の早い技や攻撃範囲の広い技があるので使い勝手がいい。

・遠距離タイプ:「ウソップ」

 ウソップは遠距離から攻撃できる唯一のキャラクター。A(溜め)で出せる「必殺 アトラス彗星」は、敵を貫通する性能を持ち、溜めながら撃つ方向を調節できるので使いやすい。

・特殊タイプ
  「ナミ」、「チョッパー」、「ロビン」

 この3キャラクターは他のキャラクターとは異なり特殊な性能を持つ。それぞれのキャラクターについて詳しく紹介したい。

 ナミは、敵からアイテムを盗むことが可能。敵からアイテムを盗み、その敵を倒さずに一定以上距離を離してから戻ってくることで、再度同じ敵からアイテムを盗める。普通に倒しても敵はたまにしかアイテムを落とさないので、ドロップアイテム集めに最適なキャラといえるだろう。

 チョッパーは、近距離バランスタイプの性能を持ちつつも、体力回復など特殊な必殺技を持っている。特筆すべきは、7段変形を可能にする必殺技・ランブルボール。Aボタンを連打していれば、大ダメージを与えながら、オートでガードして被ダメージを減らしてくれる。ランブルボールはSPゲージが無くなるまで効果を発揮するので、ランブルボール→SPゲージが無くなり、ランブルボールの効果が消える→SP回復アイテムを使う→ランブルボール→……と繰り返せば、これだけでボスを攻略できるだろう。

 ロビンは、複数の敵を同時に攻撃できる技を持っている。ボス戦以外では、大抵複数同時に相手をしなければならないので、多くの場面で活躍してくれる。

敵からアイテムを盗む技である旋風が使えるナミ。アイテム収集が楽になる優秀な技だボス戦で大活躍してくれるチョッパーのランブルボール。回復アイテムをある程度用意していれば、対ボス戦で楽に戦えるだろう1度に複数の相手を攻撃できるロビン。多少距離があっても、まとめて敵を倒せる強みがある


■ どこまでもやり込めるアイテム収集とアイテム作成

 本作は、ストーリーを進めること、キャラクターを強化すること、アイテム収集の3つがメインのフィーチャーだと筆者は感じている。島で採取したり、敵から拾うことができるアイテムは、これら全てに共通する重要なものだ。

 ストーリーの要所では、ガブリポイントが無いと進めることができない。ガブリポイントは、ガブリにアイテムを食べさせることによって溜まるポイントで、青/緑/赤/白/黒/金の6種類がある。アイテムによって、増やせるガブリポイントの量や色が異なる。どのアイテムで、どのガブリポイントが増やせるのか覚えておけば、スムーズにストーリーを進められるだろう。

 アイテム入手方法は、主に「マップで拾う」、「虫取りアミで捕まえる」、「釣りざおで釣る」、「アイテム作成で作る」の4つ。

 ・マップで拾う
 島には、岩や植物などが点在している。ツルハシを使えば岩を壊して鉱石が取れ、木を叩けば生っている実が取れる。特定の岩は、後述の開発で作成できる特殊なツルハシが必要になる。

 ・虫取りアミで捕まえる
 島には多くの虫や動物が生息している。虫取りアミを使えば、これらの生物を捕獲できる。ただし、一部の虫を捕まえるには、開発で作れる特殊な虫取りアミが必要になる。捕獲した虫はアイテム作成やガブリポイントを溜めるのに有用。さらに、捕まえた虫は最大捕獲サイズが保存される。大きさによって、特に何かあるわけではないが、どれだけ大きな虫を捕まえられるかトライするのもいいだろう。

虫を見つけたら、ゆっくりと近づく。あせって走って近寄ると逃げてしまうので注意が必要だ。距離を詰めたら、Wiiリモコンを振り下ろして、虫取りアミを使う。木に止まっているの場合は、虫がいる向きに合わせてWiiリモコンを横に振るといい。他にもトラップを使って虫を捕獲することもできる。トラップは、設置後に一定時間の経過を待つ必要がある

 ・釣りざおで釣る
 マップにある釣り場やサウザンド・サニー号では釣りざおを使って、釣りができる。開発で釣りざおを強化すると、長い距離をキャストできるようになったり、釣りざおの耐久度が上がって魚を逃がしにくくなる。さらに開発を進めると、海王類と呼ばれる巨大な生物を釣れる釣りざおも作れるようになる。釣った魚は、調理などで使うことになる。虫取りアミで捕獲した生物と同様に、最大捕獲サイズも保存される。また、サウザンド・サニー号の生簀に魚(海王類を除く)を入れておけば、いつでも取り出せる上に、アクアリウムバーで鑑賞できる。

「Fishing!」と表示されている場所で、釣りざおを構えると釣りができる。Wiiリモコンを振り下ろせば、釣りざおを振ってキャストする。同じ釣り場でもキャストした距離によって釣れる魚が異なる。画面上のゲージがなくなるまでに釣り上げられないと失敗となってしまうので、魚の動きに合わせて釣りざおを左右に振りつつ、釣り糸を巻き取って釣り上げよう。ゲージがなくなってきたら、巻き取りを止めたり、Aボタンを小刻みに押してみるのも手だ。何回挑戦してもうまくいかない場合は、釣りざおの強化をオススメする

 ・敵からのドロップ
 敵は必ずアイテムを落とす訳ではない。敵からのドロップアイテムが必要なら、先に紹介した「Break Rush」中に敵を倒したり、ナミを使って盗むのがいいだろう。

 ・アイテム作成で作る
 各島への移動、回復、セーブと冒険の拠点になるサウザンド・サニー号ではアイテム作成ができる。アイテム作成は、料理/調合/開発の3種類。

 料理は、キャラクターの最大HP/SPを増やすことができる。先に紹介したとおり、技は使うことで強化されるものの、最大HP/SPは料理でしか増やすことができない。キャラクター強化には必須だ。初期状態では、「エピソード1」からデータを引き継いでいない限り、必殺技を閃いてもSPが足りなくて使えないなんてことが起きてしまう。必要な素材を集めて、積極的に料理していきたい。

料理はHPやSPの上限を増やす唯一の方法。HPだけが増える、SPだけが増える、HPとSP両方が増える、と作った料理によって効果が異なる

 調合は、回復アイテムや敵への状態変化を与えるアイテムなどが作成できる。チョッパーの技の一部も調合で修得することになる。回復アイテムは、強敵との戦いでは欠かせない。中でもHP/SP両方を同時に回復してくれるミックス系アイテムは使い勝手がいい。

 開発は、特定のポイントから上陸地点まで戻ることができるもの、魚を釣るのに必要な釣竿の強化、技の修得などができる。開発で作成できるアイテムは、ストーリーを進めたり、アイテム収集に必要なものなど、重要なものが多い。

調合では、回復アイテムの他に、相手を状態異常に陥らせるアイテムなども作ることが可能開発は、釣りざおやツルハシの強化、島の特定ポイントから上陸地点まで戻ることができる新兵器 クワガタなど、様々なアイテムを作ることができる
衣装変更、島の特定ポイントまで飛ばしてくれるナンデモ砲、釣った魚を鑑賞できるアクアリウムなど、サウザンド・サニー号には様々な施設が用意されている


■ 最後に

 ストーリーだけを楽しみたい人や、アクションが得意な人なら、比較的短い時間でクリアできるだろう。「黄猿」や「キッド」など、旬なキャラクターも登場するので、アニメファンにも楽しめるストーリーになっている。ただし、何もかも集めてコンプリートするとなると、かなりの時間が必要。そう簡単にはいかないのだ。マップの踏破率、全アイテムの作成、釣りや虫取りでの全生物捕獲、全難易度のクリア、全技を最高レベルまで上げるなど、やることはたくさんある。このように本作は収集を楽しむタイトルであるといえるだろう。「モンスターハンター」のようなイメージだ。何度も同じ島に上陸して、アイテムを収集することになるので、効率のよいアイテム収集方法を考えながらプレイするといい。

 戦闘は簡単にプレイできる分、やればやるほど……というものにはなっていない。ガードなどもないので、移動やジャンプで相手の攻撃をかわしながら、攻撃を当てていくだけでいい。

 原作ファンやアイテム収集ゲームをプレイしたい人にオススメしたいタイトルだ。データが引き継げることもあるので、ストーリーを楽しむために「エピソード1」を遊んでから、「エピソード2」を遊ぶことをオススメする。


本作には体を“光”に変え、自在に操る「ピカピカの実」の能力者「黄猿」、通称“11人の超新星”の1人「キッド」も登場する

(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション (C)2009 NBGI

(2009年 5月 8日)

[Reported by 木原卓 ]