「HGBF はいぱーギャン子」レビュー

HGBF 1/144 はいぱーギャン子

“ガンプラフィギュア”第3弾の完成度に、バンダイの“本気”を見た

ジャンル:
  • プラモデル
発売元:
  • バンダイ
開発元:
  • バンダイ
価格:
2,592円(税込)
発売日:
2017年8月26日

 バンダイより「HGBF 1/144 はいぱーギャン子」が、8月26日に発売された。「ガンダムビルドファイターズ」より、モビルスーツとキャラクターを融合した独自の設定を持つガンプラ「HGBF 1/144 すーぱーふみな」の発売から2年弱が経過し、同様のアプローチの製品は限定品を除きこの「はいぱーギャン子」で4体目となる。弊誌の今年の静岡ホビーショーレポートでも大きな注目を集めた最新のガンプラフィギュアの製品版の出来映えについてレビューしていこう。

「HGBF 1/144 はいぱーギャン子」パッケージ。現在配信中の「ガンダムビルドファイターズ バトローグ」のロゴがあり、今後の登場に期待したい

「HGBF 1/144 はいぱーギャン子」パッケージ。現在配信中の「ガンダムビルドファイターズ バトローグ」のロゴがあり、今後の登場に期待したい

 アニメ「ガンダムビルドファイターズ」シリーズに登場する、モビルスーツのギャンを愛するサザキ家の次男坊サザキ・タテオが、劇中のガンダムバトル専門誌主催のコンテストに向けて、「ギャン子」こと姉のサザキ・カオルコをモデルにして制作したガンプラが、この「はいぱーギャン子」である。

 重……ならぬ“柔”量級のド迫力で相手をたたみ込んでいくバトルスタイルは、タテオが姉に叱られるときの実体験を元にしているという。パッケージには最新シリーズ「ガンダムビルドファイターズ バトローグ」のロゴがあるが、現在配信中の第2話までは登場していない、オリジナルのガンプラである。

【HGBFはいぱーギャン子 パーツ】
A、Bパーツ。脚の関節パーツとロングシールドアームのパーツ群。ともに半分以上使用しない
C、Dパーツ。Dパーツはパープルとレッドがある。ミサイルシールド他のパーツ群
G1、G2パーツ。主に胴体のパーツ群。白いパーツは少し柔らかい
N1、Y1、Y2、BA-0パーツ。肌色は少なく、意外にも肌の露出が少ないこともわかる

魅惑的な体形もバッチリ再現、キットの構造は比較的シンプル

 劇中でのサザキ家の活躍により、ギャンをベースとしたガンプラがHGBFシリーズでいくつか発売される中で、このキットも機体を象徴する2枚の「ミサイルシールド」や大きな三角形のスカート、ツノのあるカチューシャなど、ギャンを思わせる意匠が目を引くデザインとなっている。そしてギャン子本人の魅惑的な体形もバッチリ再現されているので、フィギュアとして楽しむこともできるだろう。

シール。瞳のシールは正面と左右向きで10セット分ある

 HGBFシリーズで衝撃の「すーぱーふみな」が発売されて以降、そのバリエーションキット「すーぱーふみなアクシズエンジェル Ver.」、そして完全新規設計の「チナッガイ」と「はいぱーギャン子」が、この7~8月に連続して発売となった。最新の2種は前評判通りユーザーからの反応もよく、実際に作ってみると、「すーぱーふみな」以上にフィギュア寄りの設計になっていることもわかった。

 この「はいぱーギャン子」は前述の通り、劇中のギャン子の体形を再現することにかなり力が入っているように感じられる。「ガンダムビルドファイターズトライ」での制服姿と同様に、豊かなバストや丸みのあるヒップなど女性的なラインがこのキットでもかなり強調されていて、これをプラモデルとしてニッパー1つで作れるという事実には結構感動する。

 キットの構造は比較的シンプルで、パーツ数もそれほど多くはない。にも関わらず色分けはかなり優秀で、「すーぱーふみな」と比較すると色分けのためのシールもかなり少なく、素組みでもより見栄えが良くなっている。

【HGBFはいぱーギャン子の組み立て1】
胸の組み立て。襟は別パーツで、モールドがあるので塗装もしやすい
お腹のパーツを接続。襟の柄はシールでも見栄えがいいので、綺麗に貼るようにしよう
瞳のパーツは長いもの(左)と短いもの(右)がある。クリアパーツを使う場合は右を使う
睫毛のあるシールを使用した。睫毛のモールドを塗装すれば瞳のシールだけでもいいだろう
胸の組み立て。襟は別パーツで、モールドがあるので塗装もしやすい
髪の毛とアクセサリーを組み立てて顔が完成。ミサイルシールドの髪留めはシールで色分けする
腕の組み立て。平手と拳の2種類が付属する。未使用パーツに装甲のない手があり、それも使える
胴体に腕と頭を取り付けると上半身の完成だ。胸像のような雰囲気がある

 静岡ホビーショーの記事でもお伝えしたように、顔の原型は「すーぱーふみな」や「フィギュアライズバスト」などを手掛けている田中冬志氏の手によるもので、原型を3Dスキャンしたものを製品に反映している。劇中のギャン子よりも若干優しい印象もあるが、フミナやチナとはまた違う、切れ長の目が魅力的な顔に仕上がっている。

 顔のパーツはアゴの下のパーティングラインとゲート跡が若干目立つので、塗装やクリアスプレーで仕上げるときはペーパーがけしておくのがベストだろう。ちなみにピンクや薄いブラウンなどで口にスミ入れをすると表情が一気に豊かになるので、ぜひ試してみてほしい。

【HGBFはいぱーギャン子の組み立て2】
ブーツはギャンのヒザを模したデザイン。丸い部分も別パーツで色分けされる
太もも、すね、ブーツを接続。すねの部分に合わせ目があるが、ほとんど目立たない
腰のパーツに両足をはめ込んで下半身の完成
スカートは前が2枚、後ろが1枚あり、ボールジョイントで接続する
スカートを挟んで上半身と下半身を接続して、ギャン子本体が完成
バックパックに接続するアーム。2つのアームをジョイントで組み立てる
ミサイルシールドは2つ組み立てる。丸い穴の中にあるハイドボンブも塗装しやすい
バックパックにアームを接続し、シールドを取り付ける。もちろん自在に可動する
ギャン独自の光刃が太いビームサーベルが2本付属する

専用手首で“ギャン度”アップ! 今後は可動にも期待

本体にバックパックを取り付けて完成。スタンドも付属する
まゆ毛は別のパーツで色分けされている。瞳のシールは左右向きのものもある

 顔パーツの中でも特に重要な瞳は、「すーぱーふみなアクシズエンジェル Ver.」以降、組み立てパターンが増えていて、シールは予備も含めて数が増えている(「はいぱーギャン子」の場合は10セット)。作例ではクリアパーツは使わず、白い瞳パーツを組んで、その上から睫毛のあるシールを貼っているが、選択肢はたくさんあるので納得いくまで試してみるといいだろう。

 ギャンをモチーフにしているということで、武装はかなりシンプルで、「ロングシールドアーム」でバックパックに接続されたミサイルシールド2枚の存在感が目立つもののぞれ以外に付属する武器はビームサーベル2本だけだ。

 もっとも本キットは「ガンダムビルドファイターズ」のカテゴリにあるので、別売りのHGBCシリーズのパーツや、HGBFの「R・ギャギャ」や「ギャンスロット」などからパーツを拝借して、自分だけのギャン子を作ってみるのも楽しいはず。ちなみにミサイルシールドは手持ち用のパーツも付属し、これを使ってポージングするとギャン子の“ギャン度”がグッとアップすることもお知らせしておきたい。

【HGBFはいぱーギャン子完成】
トレードマークのツインテールは独立して前後にスイングする
腕は二重関節なのでここまで曲がる。肩関節はわずかに引き出せる
ヒザは二重関節で曲がるが、足はあまり開かない。腰の構造が原因だ
“女の子座り”もできるが、スカートでお尻が浮いてしまう
ミサイルシールドのグリップを使うと、手に持たせることができる

普段はスカートに隠れているヒップラインも完全再現している
本体にバックパックを取り付けて完成。スタンドも付属する

 少し残念だったのは、可動がまだプラモデルの域を出ていないということ。ヒジやヒザの二重関節や引き出し式の肩、太ももの“絶対領域”によるロールなど、よく動く部分もあるものの顔をあまり上に向けられなかったり、足を前に出せなかったりして、動かしているとどうしても“硬い”という印象を受ける。

 これを1/144スケールのガンプラと考えれば十分な可動を実現していると言えるのだが、フィギュアのように楽しもうと思うと、もう少し柔軟に動かしてみたいという気にもなる。当然そのバランス取りはバンダイも考えているかと思うので、次以降の製品にも注目しておきたいところだ。

 モビルスーツとキャラクターのハイブリッド感覚が面白く、その完成度もこの「はいぱーギャン子」でより高まってきた観がある。現在配信中の「バトローグ」の展開と同様、今後のラインナップも楽しみにしていきたい。

【HGBFはいぱーギャン子ポーズ集】