2017年9月19日 11:59
バンダイより「HGBF 1/144 はいぱーギャン子」が、8月26日に発売された。「ガンダムビルドファイターズ」より、モビルスーツとキャラクターを融合した独自の設定を持つガンプラ「HGBF 1/144 すーぱーふみな」の発売から2年弱が経過し、同様のアプローチの製品は限定品を除きこの「はいぱーギャン子」で4体目となる。弊誌の今年の静岡ホビーショーレポートでも大きな注目を集めた最新のガンプラフィギュアの製品版の出来映えについてレビューしていこう。
「HGBF 1/144 はいぱーギャン子」パッケージ。現在配信中の「ガンダムビルドファイターズ バトローグ」のロゴがあり、今後の登場に期待したい
アニメ「ガンダムビルドファイターズ」シリーズに登場する、モビルスーツのギャンを愛するサザキ家の次男坊サザキ・タテオが、劇中のガンダムバトル専門誌主催のコンテストに向けて、「ギャン子」こと姉のサザキ・カオルコをモデルにして制作したガンプラが、この「はいぱーギャン子」である。
重……ならぬ“柔”量級のド迫力で相手をたたみ込んでいくバトルスタイルは、タテオが姉に叱られるときの実体験を元にしているという。パッケージには最新シリーズ「ガンダムビルドファイターズ バトローグ」のロゴがあるが、現在配信中の第2話までは登場していない、オリジナルのガンプラである。
魅惑的な体形もバッチリ再現、キットの構造は比較的シンプル
劇中でのサザキ家の活躍により、ギャンをベースとしたガンプラがHGBFシリーズでいくつか発売される中で、このキットも機体を象徴する2枚の「ミサイルシールド」や大きな三角形のスカート、ツノのあるカチューシャなど、ギャンを思わせる意匠が目を引くデザインとなっている。そしてギャン子本人の魅惑的な体形もバッチリ再現されているので、フィギュアとして楽しむこともできるだろう。
HGBFシリーズで衝撃の「すーぱーふみな」が発売されて以降、そのバリエーションキット「すーぱーふみなアクシズエンジェル Ver.」、そして完全新規設計の「チナッガイ」と「はいぱーギャン子」が、この7~8月に連続して発売となった。最新の2種は前評判通りユーザーからの反応もよく、実際に作ってみると、「すーぱーふみな」以上にフィギュア寄りの設計になっていることもわかった。
この「はいぱーギャン子」は前述の通り、劇中のギャン子の体形を再現することにかなり力が入っているように感じられる。「ガンダムビルドファイターズトライ」での制服姿と同様に、豊かなバストや丸みのあるヒップなど女性的なラインがこのキットでもかなり強調されていて、これをプラモデルとしてニッパー1つで作れるという事実には結構感動する。
キットの構造は比較的シンプルで、パーツ数もそれほど多くはない。にも関わらず色分けはかなり優秀で、「すーぱーふみな」と比較すると色分けのためのシールもかなり少なく、素組みでもより見栄えが良くなっている。
静岡ホビーショーの記事でもお伝えしたように、顔の原型は「すーぱーふみな」や「フィギュアライズバスト」などを手掛けている田中冬志氏の手によるもので、原型を3Dスキャンしたものを製品に反映している。劇中のギャン子よりも若干優しい印象もあるが、フミナやチナとはまた違う、切れ長の目が魅力的な顔に仕上がっている。
顔のパーツはアゴの下のパーティングラインとゲート跡が若干目立つので、塗装やクリアスプレーで仕上げるときはペーパーがけしておくのがベストだろう。ちなみにピンクや薄いブラウンなどで口にスミ入れをすると表情が一気に豊かになるので、ぜひ試してみてほしい。
専用手首で“ギャン度”アップ! 今後は可動にも期待
顔パーツの中でも特に重要な瞳は、「すーぱーふみなアクシズエンジェル Ver.」以降、組み立てパターンが増えていて、シールは予備も含めて数が増えている(「はいぱーギャン子」の場合は10セット)。作例ではクリアパーツは使わず、白い瞳パーツを組んで、その上から睫毛のあるシールを貼っているが、選択肢はたくさんあるので納得いくまで試してみるといいだろう。
ギャンをモチーフにしているということで、武装はかなりシンプルで、「ロングシールドアーム」でバックパックに接続されたミサイルシールド2枚の存在感が目立つもののぞれ以外に付属する武器はビームサーベル2本だけだ。
もっとも本キットは「ガンダムビルドファイターズ」のカテゴリにあるので、別売りのHGBCシリーズのパーツや、HGBFの「R・ギャギャ」や「ギャンスロット」などからパーツを拝借して、自分だけのギャン子を作ってみるのも楽しいはず。ちなみにミサイルシールドは手持ち用のパーツも付属し、これを使ってポージングするとギャン子の“ギャン度”がグッとアップすることもお知らせしておきたい。
少し残念だったのは、可動がまだプラモデルの域を出ていないということ。ヒジやヒザの二重関節や引き出し式の肩、太ももの“絶対領域”によるロールなど、よく動く部分もあるものの顔をあまり上に向けられなかったり、足を前に出せなかったりして、動かしているとどうしても“硬い”という印象を受ける。
これを1/144スケールのガンプラと考えれば十分な可動を実現していると言えるのだが、フィギュアのように楽しもうと思うと、もう少し柔軟に動かしてみたいという気にもなる。当然そのバランス取りはバンダイも考えているかと思うので、次以降の製品にも注目しておきたいところだ。
モビルスーツとキャラクターのハイブリッド感覚が面白く、その完成度もこの「はいぱーギャン子」でより高まってきた観がある。現在配信中の「バトローグ」の展開と同様、今後のラインナップも楽しみにしていきたい。
(C)創通・サンライズ