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「G-Tune NEXTGEAR-NOTE i71000シリーズ」特別レポート

VR開発者をターゲットにしたハイエンドノートPC

G-Tune NEXTGEAR-NOTE i71000シリーズ「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」
発売中

価格:269,800円(税別)~

 今、ゲーム業界をはじめIT関連で熱いのはバーチャルリアリティ(VR)デバイスだ。VRデバイスはヘッドマウントディスプレイ(HMD)や歩行入力など、広範囲におよぶが最近とくに話題になっているのが、販売が開始されたばかりのOculus Riftだろう。Oculus Riftはヘッドマウント型のVRディスプレイだが、ここで問題になるのがPCの性能だ。実のところ、Oculus Riftを動かすためには、かなりのマシンパワーが必要なのだ。マウスコンピューターが展開するゲーミングPCブランドのG-TuneにはVRにターゲットを絞って開発したノートPCがあると言う。そのG-Tuneの担当者にお話を聞くことができたので紹介しよう。

話題のVRにはハイエンドPCが必要!?

 PCの世界では2012年頃からOculusの開発が始まり、その頃から話題に上るようになった。一方で、2014年にはGoogleがGoogle Cardboardを発表し、スマートフォンを利用し安価なことから、VRをグッと身近なものにしてくれた。

 コンシューマの世界でも開発段階ではProject Morpheusと呼ばれていたプレイステーション 4用VRデバイスが、正式にPlayStation VR(PS VR)と決定し、発売時期と価格も発表されて大きな話題を呼んでいる。

 前述のOculusやHTC Vive、PS VR、SteamVR、FOVE、StarVRといったヘッドマウント型のディスプレイだけでなく、装着型の手袋や歩行入力デバイスといったさまざまなVR製品が発表されており、ゲーマーの期待度は高まるばかりだろう。

 ここで問題になるのが、そのVR機器を動作させるPCの性能だ。Oculusが発表したPCに求める性能はかなり高いものとなっている。

【Oculus Riftの推奨環境】

グラフィックスNVIDIA GeForce GTX 970/AMD Radeon R9 290以上
CPUCore i5-4590以上
メモリ8GB以上
映像出力HDMI 1.3以上
入力端子USB 3.0×3+USB 2.0×1
OSWindows 7 SP1 64bit版以降

 この内容を見ると、CPUはCore i5と、ほぼハイエンドCPUで、GPUもハイエンドと言ってよいレベルの性能を要求しているのが見て取れる。このクラスの性能を備えたPCと言えば、実質的にゲーマー向けのPCだけと言ってもよいだろう。

 そんな状況を見抜いてか、早くからVR技術に目を付けていたブランドがある、それがマウスコンピューターの「G-Tune」だ。今回、マウスコンピューターでG-Tuneのマーケティングを担当している、コンシューマ営業統括部、コンシューママーケティング室 室長の杉澤竜也氏よりお話を聞くことができた。

コンシューマ営業統括部 コンシューママーケティング室 室長 杉澤竜也氏

 杉澤氏によると、G-Tuneでは、早くからVRに注目していたそうで、具体的にはOculus Development Kitが登場した頃だと言う。Development KitはOculusの初期型の開発バージョンで、当時は「DK1」と呼ばれ、開発者向けに2012年12月ごろ出荷され始めたものだ。その後、2014年3月発表のDevelopment Kit 2(DK2)と続き、製品版としてConsumer versionのOculus Rift(CV1と呼ばれている)が今年3月から出荷を開始している。

 さて、その開発段階にあったDK2だが、ここで問題が起こっていた。NVIDIAのGPUとDK2の相性問題だ。NVIDIAのノートPC向けGPUには、GPUとCPU内蔵のGPUを切り換えながら使うことができるNVIDIA Optimusという機能が用意されている。この機能のあるGPUでは、DK2の映像出力の遅延を抑えるDirectモードを利用できなくなるというトラブルが発生したのだ。

 実のところ、当時のOculusの用途としては、開発中ということもあり、VRを使ったデモが多かった。実際に量販店の店頭などでデモを見た読者も多いかと思われるが、店頭やホビーショーなどのブースへの持ち込んで使うことが多いため、大きなデスクトップPCでは不便だったのだ。

 これを受けてG-Tuneから2015年1月に発売されたのが「NEXTGEAR-NOTE i5702」シリーズだ。i5702では、デスクトップPC向けのCPUを採用したことで、NVIDIAのモバイル向けGPUのOptimus機能が無効になる。このため、Optimusによる相性問題から解放されたのだ。

取材時に筆者がHMDをかぶり、VRを体験しているところ。Tuneちゃんのデモは、Tuneちゃんの○○ツが映ってしまうので絵面的に勘弁願いたい。足しか映っていなくてよかった

 そして2015年9月に発売されたのがコンパクトで持ち運びのできる小型デスクトップPC、「LITTLEGEAR」シリーズだ。デスクトップPCということで当然デスクトップ向けのCPUやGPUを搭載しており、この問題に対処。その上、コンパクトで取っ手もついており、バッグのようにぶら下げて持ち歩くこともできる。「LITTLEGEAR」シリーズは、VRデモの用途だけでなく、コンパクトで高性能なPCを求めているPCゲーマーにも好評を得ているそうだ。

 しかしながら、ここで歩みを止めないのがG-Tuneだ。「NEXTGEAR-NOTE i5702」シリーズでは、CPUこそデスクトップ向けのパーツを採用しているものの、GPUはモバイル向けのNVIDIA GeForce GTX 970Mだ。モバイル向けとしてはハイエンドクラスとなるが、1番上位のGeForce GTX 980Mを採用したとしても、デスクトップ向けのGeForce GTX 970にさえ性能はおよばない。そして完成したのが、CPUだけでなくGPUもデスクトップ向けのパーツをノートPCに組み込んだ「NEXTGEAR-NOTE i71000」だ。「NEXTGEAR-NOTE i71000」はCPUにCore i7-6700やCore i7-6700Kを選択でき、GPUにGeForce GTX 980を搭載したモンスターノートPCとなっている。

 このように、G-TuneではブランドをあげてVRに向けた製品を精力的に世に送り出している。筆者は、杉澤氏から「NEXTGEAR-NOTE i71000」とOculus Riftを使ったデモをいくつか体験させていただいた。1つはG-TuneとしてはおなじみのG-TuneちゃんがHMDをかぶった体験者の前に現われるというもの。頭を上げると顔面を踏まれ、頭を下げると許してくれるというちょっとお茶目なデモだ。このほか、スキーのジャンプ競技を体験できるデモなど、G-Tuneオリジナルのものを開発しており、G-Tuneが製品だけではなくソフトウェア面でもVR開発団体オキュフェスとの連携によりVRを応援しているのがわかる。

 「NEXTGEAR-NOTE i71000」の売れ行きは予想よりも好調で、VR用途だけでなく映像関係のクリエイティブな現場でも受け入れられているとのことだ。

VRだけじゃない! ゲーム用途でも十分使える高性能な主要パーツ

 さて、今回はG-Tuneから、「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズの実機、「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」をお借りすることができた。このモデルは「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズのミドルクラスモデルで、スタンダードモデルの1ランク上のグレード。さらに上のグレードには下からハイスペックモデル、ハイエンドモデル、ハイエンドカスタムモデルと用意されており、主にメモリやストレージのほか、CPUの構成によってグレード分けされている。

 個人でVR用途に利用する方は、それほど多くいるわけではないと思うが、「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズは、ゲーム用途としても十分な性能を備えていることが、パーツ構成から考えてもすぐにわかる。GAME Watchという媒体でもあるので、ここからはスペックやベンチ結果などを含めて紹介していこう。また、筆者がお借りした「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」についても写真で紹介して、実機だからこそわかる情報なども書き添えている。

 以下が主な仕様の一覧だ。真ん中は今回お借りした「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」、参考として左にスタンダードモデルの「NEXTGEAR-NOTE i71000BA1」、右にハイエンドカスタムモデルの「NEXTGEAR-NOTE i71000PA2-SP」の構成も掲載した。

【「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズ】

 NEXTGEAR-NOTE i71000BA2 (スタンダードモデル)NEXTGEAR-NOTE i71000SA2 (ミドルクラスモデル)NEXTGEAR-NOTE i71000PA2-SP (ハイエンドカスタムモデル)
CPUCore i7-6700(4コア8スレッド、3.4GHzTurbo Boost時 最大4GHz)Core i7-6700K(4コア8スレッド、4GHzTurbo Boost時 最大4.2GHz)
GPUGeForce GTX 980(8GB GDDR5)
チップセットIntel Z170 Express
液晶パネル17.3型フルHD IPS方式ノングレア液晶 (1,920×1,080、LEDバックライト)
メモリPC4-17000 DDR SO-DIMM 16GB (8GB×2)PC4-17000 DDR SO-DIMM 64GB (16GB×4)
ストレージ120GB SSD (Serial ATA 6Gbps)256GB M.2 (PCI Express 3.0 x4接続)、HDD、1TB (Serial ATA 6.0Gbps)1TB M.2 (PCI Express 3.0 x4接続、512GB×2のRAID 0ストライピング構成)、HDD、2TB (Serial ATA 6.0Gbps)
ネットワーク機能1000BASE-T (Killer E2400)、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth v4.0
サイズ(W×D×H)418×295.3×40.9mm
重量約3.9kg
OSWindows 10 Home 64bit
価格269,800円(税抜き)309,800円(税抜き)449,800円(税抜き)

 ここで1つ理解しておきたいのがBTOという販売方式だ。マウスコンピューターの取り扱うPCは、BTOによる注文時のカスタマイズが可能になっている。例に出したスタンダードモデル以外にもモデルがあるのは前述したとおりだ。自分の予算や必要なスペックなどをモデルで見てそのまま購入してもよいが、さらにそこからカスタマイズ可能なのがBTOの良いところ。スタンダードモデルを選んでも、メモリだけ容量を増やしたり、ストレージの内容を変更したりすることもできる。その分価格は変わるが、自分にとって必要な部分が強化できるのがBTOの強みだ。

【BTOによるカスタマイズ】
マウスコンピューターの販売するPCはBTOが特徴だ。G-Tuneブランドでもカスタマイズが可能で、注文時に自分のニーズにより合った製品を手に入れることができる

 改めて、「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」を中心にスペックシートを見ていこう。目立つのは、やはりIntelのCore i7-6700KとNVIDIAのGeForce GTX 980の2つだ。これら2つはデスクトップ用のコンシューマ向けでは、ハイエンドクラスのパーツだ。もちろん、CPU、GPUともにこれよりも上位の製品はある。CPUでは、プラットフォームが変わってしまうもののLGA2011-v3の製品が、GPUにはGeForce GTX 980 Tiや、GeForce GTX TITANなど、それぞれにウルトラハイエンド向けのものがあるのも事実だ。しかしながら、ノートPCにデスクトップ向けのCore i7-6700KやGeForce GTX 980を搭載したという意味は大きい。上に示したとおり、ノートPCにこの性能を詰め込んだということに意義があるのだ。

 「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」に搭載されているCore i7-6700KはSkylakeという開発コードネームで呼ばれていたIntelの最新CPU。2015年8月に登場した製品で、前世代と比較して、性能が向上し、省電力化もされている。4つのCPUコアを備えHyper-Threadingにより、1つのコアが2つ同時に処理を行なうことができるため、8つの処理を同時に行なうことができるハイエンドクラスのCPUだ。動作周波数は4GHzとなっているが、CPUの処理負荷が高まったときには、最大4.2GHzで動作するTurbo Boostという仕組を備えている。

 スタンダードモデルの「NEXTGEAR-NOTE i71000BA2」に搭載されているのは無印のCore i7-6700だ。「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」以上のグレードに搭載されているK付きのCore i7-6700Kと何が違うかと言うと、オーバークロック(OC)ができるかどうかと、周波数になる。「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズにはIntel Z170という上位版のチップセットが組み合わされているので、“K”付きモデルであれば、OCも可能だ。より、高い処理能力が欲しい場合はOCして処理能力を向上させることもできるというわけだ。

 さて、次にGPUだが、NVIDIAのGeForce GTX 980は、Maxwellアーキテクチャを採用した、最新の製品だ。CUDAコアと呼ばれるGPUエンジンは合計2,048個備えられ、ベースクロックが1,126MHz、高負荷時には1,216MHzで動作する。NVIDIAの公開しているスペック上では、消費電力が165Wとなっており、ノートPCに組み込むGPUとしては向いていないということがわかるだろう。CPUのIntel Core i7-6700のTDP(Thermal Design Power)は65W、Core i7-6700Kでは91Wとなっているため、CPUとGPUだけで230~256Wの電力が必要になる。また、消費電力が大きいということはその分発熱も大きくなる。このため、ノートPCのような筐体に組み込むには、大電力の供給と排熱処理を考慮してデザインしなければならなくなる。これらがノートPCのボディに内蔵できているのは高い技術力の証明だろう。

バランスのよい構成で、多様なニーズに応える

 さて、引き続き仕様を見ていこう。モニタには17.3型のIPS方式を採用したノングレア液晶を搭載している。17型超となるため、ノートPCとしてはほぼ最大級だ。だいたいのサイズとしては横幅が42cm、奥行きが30cmほど。厚みは約4cmで重量は約3.9kgと、かなり大型であることがわかる。気軽なモバイルノートPCとして持ち運んで使うといった用途には向かないが、車での移動などなら楽だし、まったく持ち運ぶことのできない大きさでもない。前述したデモなどで利用したい場合には、移動できるというありがたみを感じることができるだろう。ノートPCなので家庭内でも、ちょっとした部屋の移動が可能。使わないときにはモニタを閉じて引き出しにしまったり、立てかけたりして省スペース利用することもできる。

【CPUとGPUの情報】
搭載されているCPUとGPUの情報をユーティリティソフトで確認したもの。搭載されているのは紛れもなくデスクトップ向けのパーツだ
【天板部分】
天板部分を後ろから見たところ。手前側の端子部の左右にあるメッシュはスピーカーだ
【左から本体手前、背面、左側面、右側面】
本体の背面や側面には多くのインターフェイスを備える。背面には、DisplayPortが2つ、HDMIポートが1つ用意されており、円形のインターフェイスはACアダプタの接続ポートだ。左側面には1000BASE-Tや2つのUSB 3.0ポート、メモリカードリーダーのほか、eSATA兼用のUSBポートとThunderbolt端子を備える。右側面にはUSB 3.0ポートを1つと各種オーディオ端子が用意されていた

 メモリは8GBのPC4-17000 DDR4 SO-DIMMを2枚搭載している。合計で16GBとなるため、ゲームや映像関連のマルチメディア編集PCとしても十分な容量だ。「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」には、ストレージとして256GBのM.2 SSDと1TBのHDDが搭載されている。M.2は広帯域のPCI Express 3.0 x4接続仕様のものが採用されており、Serial ATA 3.0よりもさらにハイスピードなデータ転送能力を持っている。昨今のハイエンドPCでは注目のデバイスだ。サブストレージとして1TBのHDDが用意されており、こちらもゲーミングPCとして最適なスペックだといえる。データ量の多い3Dゲームなどの場合、容量の小さなSSDだけでは容量不足に陥ることが多いためだ。サブストレージとしてHDDが用意されていれば、頻繁にプレイするタイトルはSSDへ、そうでないものはHDDにインストールしておくといったやり方もできる。ハイエンドカスタムモデルの「NEXTGEAR-NOTE i71000PA2-SP」を見るとM.2がRAID構成になっており、「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズには2つのM.2を搭載できることもわかり、ストレージ用だけを見ても豊富なインターフェイスを備えているのが見て取れる。

 ネットワーク機能としては、1000BASE-Tの有線LANのほか、IEEE802.11b/g/n、Bluetoothが備えられている。特筆すべきなのは1000BASE-Tの有線機能で、ゲーマー向けのLANチップとして有名なKiller E2400が採用されている。Killer E2400はネットワーク対応のFPSなど、高い応答性が必要とされるゲーム環境に向けて開発されたチップで、ゲーマー向けのマザーボードなどでは定番のものだ。

 OSはWindows 10 Home 64bitだが、BTOでWindows 10 Pro 64bit版に変更も可能だ。

【本体底面部】
本体の底面を開けた状態。CPUは中央寄りの右側のヒートパイプの下右側にGPUがある。左のシロッコファンの下に見えるのがPCI Express 3.0 x4接続のM.2。右下にあるのが2.5インチHDDだ。メモリは搭載されていないように見えるが、実際には基板の内側の見えない部分に2枚搭載されており、写真に写っている部分は空きスロット。写真で見る限りでは2.5インチドライブももう1台増設できそうで、M.2用の空きスロットも確認することができた。中央やや下寄りに見える銀色の円形のパーツはスピーカーで、低音を底面から響かせる仕組
【CPUとGPUのアップ】
左のヒートパイプの下にはCPUが搭載されている。GPUはドーターカードのような状態で基板上にあるインターフェイスに接続されている
【ACアダプタ】
【バッテリ】
強力なデスクトップ向けCPUとGPUを動作させるため、ACアダプタは非常に大きい。Webサイトでの仕様上は、330W出力だ
このサイズのノートPCとしては意外なほど小型のバッテリ。容量については詳しく書かれていないが、メーカー仕様によると、バッテリ駆動時間は2時間となっている。長時間のバッテリ駆動は前提とされていないようだ
【M.2とHDD】
M.2はPCI Express 3.0 x4接続をサポートするSamsung製で容量は256GB。HDDはstern DigitalのWD Blue WD10JPVXだ。WD10JPVXは容量が1TBで5,400rpmとなっている

 BTOにはパーツのアップグレードのほか、さまざまなオプションも用意されているため、購入時にはぜひ一通りチェックしておきたい。

 「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」のスペックを一通り見てきたが、読者のみなさんはどう感じただろうか。強力なCPUとGPUを備え、Killer E2400を採用したLANチップなど、基本的なスペックとしては、ゲーマー向けの要素を十分備えているということが分かるだろう。本製品ではVR用途に絞ったとメーカー側が訴えるように、オーバークロック(OC)のための倍率の変更ができないモデルを選択できる上、モニタはG-SYNCにも対応していない。

 「NEXTGEAR-NOTE i71000」の場合、お借りした「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」では税込みで334,584円だが、スタンダードモデルなら税込みでも291,384円と30万円を切っている。この価格は、税制上の少額減価償却資産の特例(※)から社内の稟議に通りやすいというものだ。

【※少額減価償却資産の特例】

 従来は10万円を超える備品の場合、減価償却処理を行なうため、全額を購入した年度に経費として計上できないが、30万円未満の備品を減価償却の必要なく購入した年度に経費として計上できるというもの。期間限定で白色申告では特例を受けられない、年間合計金額や会社規模、計上年度に使用していることなど、さまざまな条件があり注意が必要。

【キーボード部】
キーボードはゲーマー向けになっており、ゲームでよく使われる「WASD」が目立つようになったもの。また、ユーティリティソフトを使用して、バックライトを好きな色で光らせることもできる

ベンチマークで性能をテスト

 本製品はパーツ構成から考えれば、デスクトップPCと比較しても遜色のない高いパフォーマンスを持ったノートPCであることは間違いない。ゲーム用途としても十分に使える性能を持っているはずだ。ここでは、実機の「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」を用いてベンチマークソフトを使った性能テストを行なってみよう。

 ちなみにPCMark 8と3DMarkに関してはWebブラウザで詳細な結果を見ることのできるリンクを用意してあるので、ベンチマークソフトにある程度詳しいのであれば、そちらを確認することもできる。興味のある方はリンク先に飛んで、各テストの詳細な結果を見てみるとよいだろう。

PCMark 8

 PCMark 8はFuturemarkのベンチマークソフトで、PC全体の性能とそのバランスをチェックできるものだ。結果は約5,000ポイントとノートPCだけでなく、デスクトップPCとしても非常に高い数値を叩き出した。通常、CPUやGPUが強力なだけのゲーマー向けのPCの場合、4,700ポイント程度にとどまることが多い。これは、強力なCPUとGPUもさることながら、潤沢なメモリと高速なストレージによるものが大きいと考えられる。

「PCMark 8」テスト項目OC前
数値4,956

詳細はクリック

3DMark

 3DMarkも、PCMark 8と同様にFuturemarkのベンチマークソフト。こちらは3Dゲームで使う機能を中心にテストを行ない、性能を数値として指標化できる。ベンチ結果には4つのテスト結果をすべて掲載しているが、GPUを搭載したゲーマー向けのPCの場合重要となるのが、DirectX 11や処理負荷の大きな物理演算を行なうFire Strikeの結果だ。Fire Strikeは11,257ポイントをマークしており、ハイエンドクラスのゲーマー向けデスクトップPCレベルの性能を持っていることがわかる。

テスト項目数値
Fire Strike11,257
Sky Drive28,745
Cloud Gate30,150
Ice Storm177,819

CINEBENCH R15

 CINEBENCHはCPUの性能を見ることのできるベンチマークソフトだ。実際の映画スタジオなどでも使われている3Dレンダリング用エンジンを利用したテストを行なう。結果はマルチコア処理を行なった際のCPUが872、シングルコア性能を見るためのCPU(Single Core)が167となっている。これは、市場にあるIntel Core i7-6700Kとほとんど同じ結果だ。ノートPCと言うプラットフォームに足を引っ張られることなく、CPUの性能を引き出していることがわかる。

テスト項目数値
CPU872
CPU(シングルコア)167

CrystalDiskMark 5.0.2

 CrystalDiskMarkはストレージの性能を見るためのベンチマークソフトだ。「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」にはPCI Express 3.0 x4接続のM.2とSerial ATA 6Gbps接続のHDDが搭載されているため、両方テストしている。HDDの結果はそれなりのものだが、M.2はPCI Express 3.0 x4の広帯域インターフェイスで接続されているため、非常に高速なアクセス速度を実現している。通常のSerial ATA接続のSSDでは、シーケンシャルリード(Seq Q32T1のRead)が500MB/s~600MB/sであるのに対し、本機のM.2では2,171MB/sと桁違いの結果だ。

【左がHDD、右がM.2の結果】

VR開発者はもちろん、ゲーマーにもお勧めできる高性能なゲーミングノートPC

 「NEXTGEAR-NOTE i71000SA2」の実力はベンチマークの結果を見ていただければわかっていただけたと思う。スペックによるパーツ構成だけでなく、画像による紹介でもわかるとおり、ベースマシンはゲーミングノートPCと断言してもよいだろう。

 デスクトップと同等のCPUやGPUを採用することによって得られる強力な処理能力はVRの開発環境やデモだけでなく、ゲーミングPCとしての用件を十分に満たしている。この性能であればハードな3DゲームにはまっているFPSシューターでも納得できるはずだ。ノートPCという形態であれば省スペース化も可能で、場合によっては友人宅に持ち込んで一緒にゲームをプレイするLANパーティを行なうこともできる。

 大容量のメモリを搭載しているため、マルチメディア用途としても非常に優秀なポテンシャルを持っており、動画編集などをよく行なうお父さんにもお勧めだ。解像度が高く、広い画面は書類を作るのにも向いている。WebブラウザやPDFなどの資料を開いた状態でも、書類の編集画面のジャマにならないからだ。ビジネス面においては30万円を切る価格で提供されるスタンダードモデルがあることも1つの魅力となる。1台でさまざまなことをこなせるため、家族みんなで共有するのもよいだろう。

 どんな用途でもオールラウンドに活躍できるたくさんの魅力を持ったゲーミングノートPC、それが、「NEXTGEAR-NOTE i71000」シリーズだ。

(山本倫弘)