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ついにゲームのディテールが明らかに! 「Quantum Break」体験レポート
“時を操る”、その新しいゲーム性と、実写との華麗なる融合に注目!
(2016/3/23 20:42)
Xbox One/Windows 10用アクションアドベンチャー「Quantum Break」がいよいよ4月7日に発売される。今回、発売に先がけメディア向け体験会が行なわれた。体験会ではゲーム序盤を体験することができた。
「Quantum Break」は、「アラン ウェイク」を製作したRemedy Entertainmentが手がけたアクションアドベンチャーゲーム。Xbox Oneの発表と同時にキラータイトルとして提示されたタイトルであり、Remedyならではの緊迫感をもったストーリー性、“時間を操る”というゲーム性は提示されたものの、その後ディテールは明らかにならないままだった。
「Quantum Break」はどのようなゲームなのか? 時を操るとはどういったものか? その謎がついに解かれる。筆者は「アラン ウェイク」で強く魅了され、Remedyの次回作を心待ちにしていた。そしてその期待は見事にかなえられた。まだ序盤を触っただけだが、本作のストーリー、雰囲気、ゲーム性……すべての要素が魅力的で、ゲームの世界にグググッと引きこまれた。今回体験した要素を語っていこう。
時を操る! 圧倒的な力で華麗に戦う
「Quantum Break」は“時が壊れてしまった世界”が舞台となる。主人公ジャック・ジョイスはタイムマシンの事故に巻き込まれ、世界全体の時の動きがおかしくなっていく中、事件の真相に迫っていく……という概要は紹介されているものの、実は今回も物語の始まりは伏せられていたのだ。体験会はプロローグが終わった後、兄のウィリアムに先導され大学構内を進む、というところからスタートする。
「Quantum Break」は大きなストーリーの区切りとなる「章」と、章を構成するいくつかの「パート」という形式でステージが組み立てられている。今回は第1章のパート1をあえて飛ばし、パート2からのプレイとなった。物語が始まったときにはいきなりウィリアムに促されている。
このため、筆者達には置かれた状況すらわからない。ウィリアムとジャックはどうやら久しぶりに会ったようだとか、ジャック達がいる大学は突然武装集団に制圧されていること、彼らはモナークソリューションという企業の兵士のようだということがゲームを進みながら見えてくる。しかし正直謎解きどころではない。モナークの兵士達はジャックの姿を見かけると突然撃ってくるのだ!
ここでジャックの特殊能力が発動する。ジャックはすでに何らかの理由で時を操る能力を得ている。そして徐々に様々な能力に目覚めていくのだ。最初に使えるのが「タイムビジョン」という能力。特定の場所でしか使えないが、その場所の過去の映像を見ることができる能力。時には過去の自分の姿すら見ることができる。また戦闘中にこの能力を使うと、壁や障害物を透かして敵を見つけることができる。このほか収集アイテムなどもハイライトで示されるので、とても便利な能力だ。
次に目覚めるのが「タイムストップ」。ポインターで指示した地点にドーム状に広がる空間を作り出す。この空間に触れた人や物は一定時間時が止められてしまう。この空間に敵を触れさせ、動きを止まった敵に銃弾を撃ち込むことで一方的に攻撃できる。さらに時を止めて前方にダッシュする「タイムドッジ」、自分の周りに静止空間を展開する「タイムシールド」といった能力も覚醒する。
ゲームではこれらの時を操る能力を使って敵と戦っていく。「Quantum Break」は序盤から敵の数が多く、そして攻撃が激しい。時を操る能力を使わなければあっという間に倒されてしまう。タイムビジョンで敵の位置を確かめ、タイムストップで敵の動きを止め、銃弾をたたき込む。敵に囲まれたらタイムシールドで吹っ飛ばす……。
こう書くとかなりカッコイイのだが、初めてのプレイだけにかなり悪戦苦闘した。タイムストップは狙った場所に発動させるのが難しく、しかも効果が短い。敵が多く戦っていても側面に回り込まれてしまう。なすすべもなく倒されることも多かった。「アラン ウェイク」同様、歯ごたえのある戦いを楽しめる作品だと感じた。
使っていて爽快だったのはタイムドッジ。一定の距離をダッシュし、その後数秒間時間の流れがゆっくりになる。このダッシュで敵に突進すると敵はスローモーションで吹っ飛ばされる。この敵に銃弾を当てて倒すというのはとてもかっこよかった。もっと戦いに習熟できればかなり凝った戦いができそうである。またタイムシールドの中にいればダメージの回復が早くなる。こちらもうまく活用したい能力だ。
Remedyは2001年に製作したTPS「Max Payne」で注目を浴びたスタジオである。「Max Payne」で革新的だったのは時の動きが一時的にゆっくりとなる“バレットタイム”という手法をアクションシューティングに持ち込んだことで、このシステムは以降様々な作品に導入された。また、「アラン ウェイク」では敵の“闇のシールドをはがす”というゲーム性を盛り込み新しい戦闘シーンを作り出した。「Quantum Break」では“新世紀のバレットタイム”と言える、新しい戦いを実現しようとしている。
時を止めるというのは強力だが、今回はうまく使いこなせなかった。製品版ではぜひ練習を重ね、時を止めて身動きできない敵を相手に、こちらは縦横無尽に動き回り敵を瞬殺するような戦いを展開したい。とにかくやり込んでみたいと感じさせる戦闘システムだった。
実写が生むドラマ性。プレーヤーの選択で物語は変化する
「Quantum Break」の大きな魅力はゲーム性と共に、ストーリーにある。今回はパート1を飛ばしたため、「冒頭がわからない」といういわば目隠しされたような状態だったが、謎めいた伏線が多数提示されており物語にグッと引きこまれた。ウィリアムは何かを知っているようなのだが、こちらに多くを語ってくれないのだ。
そしてプレイした1章のクライマックスはジャックの親友であったというポールの出現で一変する。ジャックは時を操る能力を使いこなしモナークの包囲を突破しようとするのだが、ポールは彼を阻む。
ポールはジャックと同じ能力を獲得しており、その能力でジャックを圧倒するのである。そしてウィリアムと謎めいた会話をした後瞬間移動をする。その時、ウィリアムの上にがれきが落ちてきて、彼の姿は見えなくなる。絶叫するジャックはモナークの兵士に取り押さえられ気絶させられてしまう。
プレーヤーの視点はここでジャックからポールに移る。どうやらポールはある目的のためにモナークに協力しているようなのだ。そしてポール(プレーヤー)は選択を迫られる。1つは「PR作戦」、もう1つは「強行策」というもの。このときポールはまるで未来を見透かすような“ビジョン”を見る。そしてポールの決断が今後のゲームの展開を変えるのだ。
「PR作戦」は現在拘束している事件の目撃者である女子大生を脅迫して従わせ、彼女を広報としてジャックをテロリストだと世間にアピールする。「強行策」は目撃者の口を徹底的にふさいでしまう作戦だ。今回は「PR作戦」を選んでみた。
ここから「Quantum Break」は“実写”となる。本作はゲームの合間に合計2時間以上の実写ムービーが盛り込まれているという。本作のキャラクターは実際の役者を起用しており、実写パートでは彼らの演技が楽しめる。ムービーではモナークの指揮官であるマーティンが淡々と女子大生を脅すシーンが描かれる。屈服する女にマーティンは冷たい視線を送る。そして女子大生を巻き込むやり方に不満を持っているような動揺を見せる現場指揮官を諭し、一旦家に帰るように指示する。
ドラマではさらに現場指揮官である男が家に帰るシーンが描かれる。彼の妻は夫が帰ってきていないことに強い不安を持っている。男は妻を抱きしめ妻は一旦安心したような顔を見せるが、男の携帯電話が鳴り、男は再び現場に戻らなくてはならなくなる。男を見つめる妻の不安な表情が映し出される……。
「Quantum Break」はゲームプレイシーンでも実写のようなリアルで質感豊かなグラフィックスを実現している。しかしいざ実写と比べるとその差がはっきりと出る。憔悴した女子大生の表情や、不安げな妻の仕草など、CGでは表現できない“リアリティ”がそこにはあり、独特の緊迫感を生んでいる。「Quantum Break」はゲームと実写ムービーが交互に展開し、章の間には20分以上の実写パートが用意されているという。もちろんプレーヤーの選択によってムービーの内容も変化する。ゲームと実写を高いクオリティで融合させているのである。
「アラン ウェイク」も実際に役者を起用し、彼らの演技を活かすゲームとなっていた。劇中の架空のテレビドラマにも実写が取り入れられ、外伝である「Alan Wake's American Nightmare」では実写ドラマも取り入れられた。「Quantum Break」はさらにここから進み、ゲームと実写をより積極的に組み合わせていると感じた。
今回、筆者はほんの数時間「Quantum Break」に触っただけである。しかし、ゲーム性、ストーリー性、そして演出に深く感心させられた。早く本作をガッツリプレイしたい。「Quantum Break」は要注目のゲームであることを強く主張したい。本当にプレイするのが楽しみなゲームだ。