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【特別企画】ゼントラーディのザコメカ、「HI-METAL R リガード」レビュー

「安価で非人道的な大量生産兵器」を体現するイカしたデザインを堪能!

2月27日発売

7,344円(税込)

 バンダイはアクションフィギュア「HI-METAL R リガード」を2月27日に発売した。筆者はこの日を待ちわびていた。「DX超合金 マクロス」シリーズをきっかけに、「マクロス」シリーズの魅力を再確認していた筆者にとって「リガード」という、“ゼントラーディ軍のザコメカ”は気になる存在だった。その最新の立体物が手に入るのだ!

 今回、購入した製品版の写真と共に、製品の魅力、そしてリガードという兵器の面白さを語ってみたい。可変戦闘機「バルキリー」がフォーカスされることが多い「マクロス」メカだが、「HI-METAL R」では「グラージ」や「デストロイド モンスター」など他のメカも立体化される。今後の期待も含めて、注目の商品である。

【HI-METAL R リガード】
トリ脚型の戦闘ポッド。地球人の兵器と大きく異なるデザイン。この機体の胴体部分に10mの巨人が体を押し込んでいるという意外さが楽しい

巨人・ゼントラーディがギチギチになって乗り込む、居住性最悪な戦闘ポッド

 まず、「リガード」の設定を紹介したい。「リガード」はアニメ「超時空要塞マクロス」に登場する“敵の一般兵の搭乗兵器”である。「ガンダム」における「ザク」に当たる存在だが、デザイン、設定的には「ボール」に近い。長い足に球形の胴体が付いた“首なしのダチョウ”を思わせるデザインだが、この胴体部分に身長10m近い“巨人”が乗り込む戦闘ポッドなのである。

公式ページでは監修を行なったメカデザイナーの宮武氏がインタビューでデザインを絶賛している。インタビューはこちらで見ることができる
足首までよく動く。これだけクオリティの高いリガードの立体物は過去例がない

 リガードは体の大きな巨人が無理矢理体を押し込んで操縦する。居住性は“劣悪”きわまりない。……というか、設定的にはゼントラーディ人のでかい体はコクピットに入らないというのがアニメ放送時期からのツッコミどころであった。巨人が無理矢理体を押し込んでいるため防御力も低く、簡単に破壊されてしまう。重力下では飛行はできず歩行とホバリングで移動する。

 しかし、宇宙空間での機動力は高く、何よりも“数”で敵を圧倒する。リガードの最大の兵器としての強みはシンプル故に操縦しやすく、何よりも低コストのため、大量生産が可能なところだ。このため、戦闘力に優れたゼントラーディ人の標準的な“武装”となっており、ゼントラーディを象徴する兵器でもある。偵察型やミサイルポッドを装備した武装強化型など、様々なタイプも登場した。

 筆者にとってはアニメを見ていた当時は正直リガードの魅力はわからなかった。悪役メカだし、見た目も貧弱だし……。しかし年をとって価値観が多様になった今では、このいかにも“異星人の兵器”らしいデザインの異質さ、巨人が無理矢理中に入って操縦するという非人道的な雰囲気、最小限の装備で戦闘種族ゼントラーディの能力を活かすために作られた大量生産兵器という設定が気に入った。「リガードって、結構深い設定の兵器だな。ある意味カッコ良いぞ」と思うようになったのだ。

 しかし、リガードは長らく立体化に恵まれなかった。なによりアニメに登場しなかったのだ。「超時空要塞マクロス」以降の作品でのメカ描写は初代以上にバルキリーが中心になっていて、ゼントラーディの兵器の登場自体が少なかった。「マクロスF」では、ゼントラーディ人が植民しようとする惑星で反乱を起こすエピソードがあるのだが、ここではパワードスーツである「クアドラン」シリーズが使われていた。スタッフのオーディオコメンタリーでは「本当はリガードを使いたかったけど、コストの問題もあり、他で使われていたクアドランのCGモデル流用した」といった発言があった。

 しかし、最新作「マクロスΔ(デルタ)」では、PVからリガードのCGモデルが確認でき、先行放映された第1話でも登場しているのである! CGモデルが作成されたということは、4月から放映されるアニメ本編での活躍もあるのではないだろうか? だからこそ、この時期に発売された「HI-METAL R リガード」は、要注目の商品といえる。商品を手に、「マクロスΔ」での活躍を期待したいところだ。

【「マクロスΔ(デルタ)」特報】
ビッグウエストによる特報映像。一瞬CGモデルのリガードが映る

グリグリ動く足、詳細なディテール表現……コクピットの作り込みも注目!

 いよいよ商品のレビューをしていこう。「HI-METAL R リガード」は、ゼントラーディ人がすっぽり入れるボディにトリ型の足、という異様なデザインをきちんと再現している。ディテールのはっきりした新品そのままの姿は独特の迫力を生んでいるが、一方でちょっと物足りなくも感じた。

購入したリガードを撮影してみる。予約からかなり待たされた商品であり、いじっていてかなり楽しい
ビーム砲はボールジョイントでグリグリ動く
開発者のこだわりが伝わってくるコクピット内部
足の可動は非常に優秀で、様々なポーズがとれる
他の「HI-METAL R」シリーズと同一スケールのため、組み合わせて遊べるのは大きなセールスポイントだ

 正直“きれいすぎる”のだ。ゼントラーディは修理という概念がなく、彼らは自動兵器工場で無尽蔵に生産され続ける“新品”を乗りつぶして戦うため、フィギュアの新品の雰囲気はある意味リアルなのだが、贅沢を言えば、やはり汚し塗装が入ったミリタリーテイストのアレンジが欲しいとも思った。

 リガードそのものの出来には大満足だ。特にデザインの再現度がうれしい。足が極端に細く、長いデザインは、地上での運動性の高さを感じさせられる。ただし、その分コクピットは激しく揺れるだろうな、という感じさせられる。「パイロット自身の足で走った方がましなんじゃないの?」と当時のファンにも言われ、乗り心地の悪さを想像させられる。戦闘に特化したゼントラーディ人なら平気かもしれないが、常人なら酔うどころではなさそうだ。宇宙での戦いはともかく、これで歩きながらの射撃なんてできるんだろうか?

 武装としては小さな対人向け機銃がボディ下部に、前面には巨大なビーム砲、ボディ後部には対空機銃が各2門ずつ取り付けられている。対人機銃は固定で、ビーム砲はボールジョイントになっており、グリグリと幅広く動く。対空機銃は基部が回転するようになっており、上を向けることも可能だ。歩きながら、もしくは宇宙を進みながら弾をばらまく戦闘スタイルが想像できる。

 ボディ中央にはカメラアイがある。上下にまぶたを思わせる黒いカバーがあり、赤いクリアパーツがまるでこちらをにらんでいるようにも見える。生物っぽさも感じさせ、悪役らしい“目つき”を表現している。また、ボディ側面のスラスターは360度回転し、宇宙空間を進んだり、ジャンプをしようとしたり、急速に方向転換をしようとする時をイメージした表情付けが可能だ。

 足は基部がクリック関節になっている上、左右に引き出すことで可動範囲を広げることもできる。膝は3重の関節な上に引き出し機能もあり、深く折り曲げることができる。太もも部分にロール関節があるのでハの字に足を開いた形にもできる。

 つま先部分の可動も優秀で、足の甲とすね部分と足の甲を直線にした宇宙空間を進む時の足の形も再現できる。専用の台座でリガードを浮かせた形でディスプレイできるので、宇宙でのリガードをイメージした飾り方、足を激しく動かして進むイメージでの飾り付けもできる。リガードの様々な姿を再現できるのだ。

 背中のハッチを開くことでコクピットをのぞき込むことができる。ライトを当てて中をのぞき込むとかなりよくできているのがわかる。緑のクリアパーツのスクリーンや、レーザー砲を操作するハンドル、スラスターを動かすであろうレバーを見ることができる。かなり作り込んであって、製作スタッフの力のいれグアイにかなり感心させられるが……狭い、狭すぎる。ここに人が入って操作するのはきつすぎる。改めてリガードの居住性の最悪さを実感させられる。

 さらに足を折りたたみ、コクピットハッチギミックと合わせれば“駐機状態”も再現できる。工場や基地ではこの状態で格納されているんだろうなと感じさせられる。足を折りたたんだ姿はちょっとしたかわいらしさもある気がする。ここから一気に立ち上がり、発進する姿を想像させられる。

 そして「HI-METAL R リガード」の最大の魅力は他の「HI-METAL R」シリーズと同一スケールのため、シリーズの商品と組み合わせて遊べるところだ。今回は第1弾である「HI-METAL R VF-1J アーマードバルキリー」の装甲をまとってない状態のバルキリーと組み合わせてみた。リガードはザコメカだけにやられるポーズも似合う。ラインナップが充実すればさらに遊びの幅が広がりそうだ。

 「HI-METAL R リガード」はこれまであまりスポットが当てられなかったリガードの決定版と言えるアイテムだ。デザインの斬新さ、鳥脚型メカの独特の魅力、「走る棺桶」と言える安全性を無視した“ゲテモノ兵器”そのものの設定と外見が楽しい。“わかる人にはわかる”アイテムかもしれないが、この魅力はできるだけ多くの人に気がついて欲しいし、ぜひ手にとって欲しい。おもちゃとの出会いは一期一会である。この機会を逃すのは、惜しい。

【HI-METAL R リガード】
目の部分はクリアパーツ。悪役っぽい目つきだ
対空機銃は基部を回転させることで上に向けることができる
3重の膝関節。深く折り曲げられる
股関節は引き出して可動範囲を広げることができる
駐機姿勢。ちょっとかわいらしい?
側面のスラスターは回転させられる
専用の台座を使っての飾り付けも楽しい
バルキリーとの対決シーンをイメージ。やられポーズも似合う

(勝田哲也)