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「Deus Ex: Mankind Divided」開発者インタビュー

ステルス、力押し、プレーヤーのアプローチでゲーム展開が大きく変化

会期:6月16日~6月18日(現地時間)

会場:LA Convention Centre

 「Deus Ex: Mankind Divided」はスクウェア・エニックスが北米で2016年に発売を予定しているアクションRPG。主人公は「DEUS EX:HUMAN REVOLUTION」から引き続きアダム・ジェンセン。今回はゲームプレイディレクターを務めるPatric Fortier氏に話を聞いた。

【Deus Ex: Mankind Divided – E3 2015 Trailer】
ゲームプレイディレクターを務めるPatric Fortier氏
前作から2年後、主人公は前作から引き続きアダム・ジェンセンだ
プラハでアダムはテロ事件に遭遇する
左手には様々な武器が仕込まれている
フィールドの表現の細かさもセールスポイントだ

 前作では自分の意思ではないところでオーグメンテーション(サイボーグ)手術を受けさせられてしまい悩んでいたアダムだが、2年後を描く「Deus Ex: Mankind Divided」では前向きに自分を受け止めている。今回はゲームの展開をダイジェストにしたデモプレイも見ることができた。タスクフォースに所属するアダムはテロで厳しい警戒態勢の中にあるプラハに調査に赴く。しかし彼はそこで爆破テロに遭遇してしまう。

 このテロの黒幕は誰なのか? アダム達タスクフォースは「タロス」という1人の男を突き止める。アダムは彼が潜む場所に単身突入し、タロスの元にたどり着くが説得に失敗、彼はアダムの目の前でオーグメンテーションの暴走により死亡する。それと同時に警報が鳴り響き脱出を余儀なくされる。デモプレイのラストは、逃亡するアダムを強力さを感じさせる1人の男が見上げているシーン。彼とはいずれ対決することになるだろう……。

 「このゲームで最も語りたいテーマは何か?」。Fortier氏はこの質問を受けて「このゲームのメインのテーマは前作から引き続き“自由であること”だ」と応えた。「Deus Ex」シリーズはプレーヤーの選択の幅をできるだけ広くしようとチャレンジしている。目的地に力押しで侵入することも誰からも気づかれずにステルスで潜入することも可能だ。

 例えばデモプレイでのタロスはそのステージの“ボス”にあたるが、今回は説得を試みて失敗してしまった。もし会話の選択がうまくいけば警報は鳴らなかったかもしれないし、彼が持つ秘密の鍵をもらえたかもしれないという。

 「今回は自由度と、プレーヤーの選択がゲームの展開に大きな影響を与えるのでぜひ注意深くプレイしてください」とFortier氏は語った。「自由度」は前作から続くテーマだが、「Deus Ex: Mankind Divided」は前作の反省を活かし、自由度の高さをより目指した作品になるという。

 オーグメンテーションの選択もより流動的になった。前作は戦闘よりもステルス性に比重がよっていたが、今作では戦闘面が強化され正面から戦いを挑むことも可能となっている。武器弾薬の調整はもちろん、「ナノブレード」、「タイタンシールド」といった新オーグメンテーションも登場する。ナノブレードはナノマシンによりナイフを生成し、それを目標に発射することで敵を暗殺できる。ナノブレードはレベルアップさせることで壁に突き刺した後爆発させ破片で敵を倒すことも可能だ。

 タイタンシールドはナノマシンの装甲を身にまとい、一定時間ダメージを軽減する。ちなみに前作は装備を使うとバッテリーを消費してしまい、バッテリーの回復がなかったためにせっかくのオーグメンテーションが使えない状況が多かったが、今作のエネルギーは一定時間で回復する。また前作からの引き継ぎ要素はないという。今作ではアダムのオーグメンテーションは「2.0」と呼べるほどに進化しているとのことだ。

 ナノブレードなどの武器は「ガンアーム」と呼ばれる左手から発射される。また「エイムアシスト」の機能でアダムの戦いをサポートする機能もある。「テスラガン」という電撃を発射して敵を気絶させる武器も内蔵されている。テスラガンは最大4人をロックオンできるという。もちろん戦闘だけではないとFortier氏は語る。ステルス能力に特化したアップグレードも可能で、ゲームの最初から最後まで1人も殺さないプレイも可能だ。

 最後にファンへのメッセージとしてFortier氏は、「私も含め開発スタッフの多くが日本のゲームを子供の頃からプレイしていました。それらの経験がゲームに活きています。日本でこのゲームを待っている人たちに、ぜひお届けできればと思っています」と語った。

 前作はステルス性が強く求められているのにボス戦は力押しを求められたり、せっかくパワーアップしてもエネルギーの回復手段がないためにむやみに使えなかったりと、小さなところでの不満点があった。最も気になっていたバッテリー関連は大きく手が加わり、より高い自由度を実現し、ゲームとしての幅を持たせたというFortier氏の言葉は大いに期待させられる。日本版の発売が楽しみだ。

(勝田哲也)