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Bethesda、「Fallout 4」を初出展! リアル版Pip-Boyに魅了される

ステージイベントでは存在秘匿やボストン選定の理由などの開発秘話が語られる

会期:6月16日~6月18日(現地時間)



会場:LA Convention Center

 今年初めてE3でプレスカンファレンスを開催したBethesda Softworks。E3初日は、カンファレンスの目玉タイトルとなった「Fallout 4」をプレイするために、我先とBethesdaブースに急ぐ「Fallout 4」ファンの姿が見られたが(なぜ知っているかというと自分もその1人だったからである)、残念ながらお目当ての試遊台の姿はなかった。

 その代わりに、カンファレンスでちょっとしたサプライズとなったモバイルタイトル「Fallout Shelter」の試遊台のほか、Vault Boyの等身大オブジェ、主人公が暮らしていたVault 111の巨大な入り口などが置かれ、入り口には巨大なMrハンディがお出迎えし、来場者に喋りかけていた。また、今年初めて設置されたステージでは、「Fallout 4」のステージイベントが実施され、ほとんどの情報はカンファレンスと共通だったものの、いくつかの新情報を聞くことができたので、ブース風景も含めてレポートしたい。

【Bethesda Softworksブース】
通常出展エリアの約半分を「Fallout 4」に割り当てていたが、肝心の試遊台はなかった。今回の目玉は、リアル版Mrハンディ。ゲーム内のものよりもかなり巨大で、会話機能を持っている。なお、「Fallout Shelter」は、すでにローカライズが完了しており、組み込みが完了次第、日本語版がリリースされる予定

ステージの大型モニターでは繰り返し、カンファレンスの映像を流していた
ステージイベントに登壇した4人のクリエイター。「Fallout 3」から同じメンバーで作り続けているようだ
左側にいるのが声優3人
ブースにいたゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏。日本語版については笑顔で「頑張ります!」と抱負を述べてくれた

 今回「Fallout 4」のプレイアブル出展が見送られた理由は定かではないが、ひとつはまだ十分なパフォーマンスが出ていないこと、もうひとつはゲームの評価を落とすクラッシュバグが存在することと見られる。

 日本語を含むゲームのローカライズはすでにスタートしており、ゲームのシナリオ自体はすでに完成している。あとは巨大なゲームであるがゆえの宿命であるゲームの安定性と、パフォーマンスの向上を目指してひたすら磨きを掛けていくという大変なプロセスが待っている。このプロセスが十分な成果を上げたとき、はじめて我々は「Fallout 4」に触れることができそうだ。

 さて、ステージイベントは、初日と2日目の2回行なわれ、筆者が参加できたのは2日目のイベント。Todd Howard氏を筆頭に、Bethesda Game Studiosのクリエイター総勢4人が参加し、コンセプトレベルでは2008年の「Fallout 3」開発終了後、本格的には2011年の「Skyrim」開発終了後からプロジェクトが本格スタートしたという長期プロジェクト「Fallout 4」に対する想いが語られた。

 Howard氏らから最初に語られたのは、「Fallout 4」の存在そのものの秘匿について。家族にも語れず、社内でも存在を秘匿するためコードネームで呼び合うなど、情報の取り扱いには細心の注意を払っていたようだ。ちなみに「Fallout 4」のコードネームは「Institute(施設、機関)」ということで、コードネームの時点で、「Fallout 4」の方向性が固まっていたことになる。

 今回の舞台は、「Fallout 3」のワシントンDCに続いて、同じアメリカ東海岸のボストンとなる。当然のことながら「Fallout 3」と同じ歴史、時間軸を共有し、物理的にも近いため、「Fallout: New Vegas」以上に、その関連性が期待される。

 舞台の選定については議論に議論を重ね、「Fallout」らしい歴史を感じさせる施設が残っていることや、文化、技術的な背景などを考慮した上で決められたという。その点では、前作でワシントンDCはゲームの舞台としては非常にやりやすかったという。なんといっても首都であり、様々なモニュメントが存在し、ロケーションもいい。この点、ボストンは、ワシントンDCほど簡単ではないものの、独立した都市圏であり、歴史的な建造物や、巨大なダウンタウン、フェンウェイパークのようなランドマークも存在する。

 登壇者はそれぞれ思いっきり語りたいけど、まだ語れないという雰囲気を前面に押し出し、いずれも言葉少なだったが、Howard氏によれば、「アメリカの歴史が感じられ、『Fallout』の舞台にふさわしいハイテクが存在していること」ということで、これらの点を踏まえ最終的に「Fallout 4」の舞台に決定したようだ。

 ただ、「Fallout 3」では、核戦争後200年が経過した世界で、世界の浄化プロジェクトを復活させるために親子がVault 101を飛び出すというストーリーだったのに対し、「Fallout 4」は200年前の平和な地上の暮らしからスタートし、一気に200年飛んでいる。200年後のシーンではVault 111から出るところから始まり、主人公は何者なのか、なぜ主人公が最後の生き残りなのか、肝心の所はトークセッションでも語られなかった。どうやら「Fallout 4」は、“自分探しの旅”が基本的なストーリーラインとなるようだ。

 ステージイベント後半では、「Fallout 4」の声優3人が途中参加し、それぞれの開発秘話を語ってくれた。男性のひとりは「Fallout 4」のプロジェクトに参画したのは4年前で、「Fallout: New Vegas」のDLCや「Skyrim」の声を当てていた時期だという。もうひとりの男性は正確に日時を覚えていて2013年7月9日。大きな仕事だが、タイトルがなんであるかはわからなかったという。声優に対しても情報を秘匿していたことがわかる。

 Howard氏は、4年も前から声優に対して仕事を依頼していたことに苦笑しつつ、素晴らしい仕事だったと振り返った。発売後であれば、個々のキャラクターに対する感想やユーザーの反応などを聞いたりするのだろうが、すべてがネタバレになるため、非常に語りにくそうだった。まだまだ無数の謎を残している「Fallout 4」、次回の情報公開を首を長くして待ちたいところだ。

【リアルPip-Boy(風のケース)】
「Fallout 4」出展コーナーには、「Fallout 4」の特別限定版「Pip-Boyエディション」に同梱されるリアルPip-Boyこと「ウェアラブルPip-Boy」が展示されていた。正直とても欲しい

(中村聖司)