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【スマホアプリ今日の1本】「Fallout」ユニバースがスマホに! 「Fallout Shelter」
実験場や廃墟ではない人々の理想の“Vault”をあなたの手で!
(2015/6/22 16:26)
E3 2015の注目作だった「Fallout 4」は、E3の前日に開催されたBethesdaのプライベートカンファレンスで無事公開され、ディレクターのTodd Howard氏より詳細なプレゼンテーションが行なわれた。その45分ほどのプレゼンの中で、サプライズとして発表されたのが、「Fallout」シリーズとしては初のスマートフォン向けタイトルとなる「Fallout Shelter」だ。しかも、発表会が行なわれた日に、即日配信開始するというから驚かされた。発表から早1週間が経過し、もう多くの「Fallout」ファンがプレイしていることと思うが、その作品の魅力をあらためて紹介しておきたい。
「Fallout Shelter」は、「Fallout」シリーズのキー要素である核シェルター「Vault」を建設し、住民を増やしていくシミュレーションゲーム。「Fallout Shelter」のプレゼンテーションをTodd Howard氏から聞いたとき、「Fallout」ファンは「何だこれは?」と驚いたはずだ。なぜなら、「Fallout Shelter」は、「Fallout」ユニバース本来の世界設定とはかなりかけ離れているからだ。
Vaultは、核戦争の危機が迫る中、米国と契約を結ぶ軍需企業Vault-Tecによって生み出された核シェルターだが、Vaultの設立の狙いは、米国人を核戦争の後遺症である放射能汚染から守ることではなく、入居者に様々なストレスを与え、人体実験を行なう実験施設だった。この悲惨な事実は「Fallout 3」の長い長い物語により暴かれることになる。
これに対し、Vault-TecのVault住民募集のポスターは底抜けに明るい。このギャップこそが「Fallout」のストーリーを二重三重に深めているゆえんでもあるが、「Fallout」ファンにとってはVaultとは忌まわしい過去の記憶そのものであり、架空の物語だからこそ書きうる人類の恥といったものだが、「Fallout Shelter」は、そういった設定を半ば、あるいは全部無視して、Vaultの物理的な設定のみを活かし、VaultをモチーフにしたVault育成シミュレーションに仕上げている。言わば、あまり細かい設定は横に置いておいて、「Fallout」の雰囲気を味わいながらVault建設を楽しみましょうというゲームだ。
都市育成ゲームとしての「Fallout Shelter」は、「Fallout」同様、非常にシビアなバランスになっている。Vaultは、施設も資源も最小限の状態からはじまり、少しずつ施設を増やしながら、資源を増やしていく。そうこうしているうちに、Vaultの入り口に人が待っているので、どんどん中に引き入れ、Vaultの住人を増やして行く。ちなみに住人は、ラジオステーションや住人同士が子育てを行なうことでも増えていく。
ゲームには、電力、食料、水という3種類のリソースがあり、電力は施設を動かすため、残りひとつは、施設を稼働させる住人が暮らすために必要となる。これら3つのリソースバーがイエローの状態のまま維持できればベストなのだが、これがなかなかうまくいかない。Vaultの中では火災が発生したり、ゴキブリが出現したり、Vaultの外からは敵が侵入してVaultの中を荒らし回るからだ。
その都度Vaultは疲弊し、住民の幸福度も下がり、ヒットポイントが低下して、しまいには死んでいく。基本プレイ無料のゲームの基本として、かなり小まめに遊ばないとじり貧になっていく。この不慮の事故が重なることによる“じり貧感”は、インディーの快作「This War of Mine」にも似たところがあり、率直に言ってゲームの難易度はかなり高いと言える。
事態を好転させる要素のひとつが、「Fallout 3」のように、住人をVaultの外に出し、冒険させることだ。これにより、敵の侵入から身を守る武器や防具、お金などが手に入るが、厳しい外の世界に耐えかねのたれ死にすることもある。
もうひとつの方法はいわゆるガチャだ。Vault-Tec謹製のランチボックスを1つ120円で買うことができ、このランチボックスにはカードが4枚入っていて、お金やリソース、武器、防具、そしてレアな住民がランダムで手に入る。とりわけ、レアな住民は強力で、状況を一変させることもあるため、ついついランチボックスを開けたくなる。このランチボックスは、オブジェクティブをクリアすることでも手に入るが、課金を引き出すうまい撒き餌になっていると思う。
ゲームとしてはかなりシビアなバランスの「Fallout Shelter」だが、Vault-Boy風のキャラクターたちが、Vault内を動き回り、生き残るために懸命に生きる姿を見守るのは楽しい。
筆者が何度かやり直した上で体得したコツは、最初からあまりVaultを広げないことだ。3つの資源は基本足らなくなるため、広げてしまうとその分維持費が上がり、トラブルに対処できなくなるからだ。課金圧力がかなり強めのタイトルだが、課金しなくても遊べる難易度にはなっていると思う。
ゲームがリアルタイムで進行するため、小まめに状況を確認する必要があるため、正直な所、万人にお勧めできるゲームではないが、「Fallout」ファンや関心のある人は1度プレイしてみるといいだろう。なお、後日、日本語版の提供も予定されているので、英語が苦手な方はそれを待つというのも手だろう。