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SCE、PS4用VRヘッドセット「Project Morpheus」を2016年上半期に発売
衝撃のネイティブ120fps対応! 新スペックの新型試作機をGDCで公開
(2015/3/4 10:57)
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)はGDC2日目にあたる現地時間の3月4日、プレスカンファレンスを開催し、SCE World Wide Studios(WWS)が開発しているプレイステーション 4用VRヘッドセット「Project Morpheus」の新型試作機を公開すると共に、その発売時期を2016年上半期と告知した。本稿では取り急ぎ、今回発表された内容を紹介したい。
昨年のGDCで話題を集めたPS4専用VRソリューション「Project Morpheus」だが、1年ぶりにプロジェクトに関して具体的なアップデートが行なわれた。プレゼンターを務めたのはSCEWWSプレジデントの吉田修平氏。
吉田氏は笑顔で挨拶しながら、昨年のGDCでの発表以降、E3やGamescom、TGSなどのゲームイベントを通じて「Project Morpheus」の試作機を出展したことで、ゲーム産業をはじめとした様々な産業に刺激を与えると同時に、VR関連のスタートアップも促し、VR産業に大きなインパクトを与えたことをアピール。また、この間、SCEWWSでは、試遊したユーザーやプロトタイプを元にVRのゲームの開発に着手しているデベロッパーから様々なフィードバックを得ながら、高い要求に応えるべく製品版の開発に向けて注力してきたという。
今回改めて公開した試作機は、現行のプロトタイプからあらゆる面で性能が向上し、ほぼ製品版と言っても過言ではない完成度となった。モニターは5.7インチのフルHD(1,920ピクセル×RGB×1,080ピクセル)OLEDディスプレイ(片眼あたり960ピクセル×RGB×1,080ピクセル)を採用し、視野角は100度、リフレッシュレートは一挙に倍のネイティブ120fpsを実現し、一気にOculus超えを狙ってきた。この120fps対応は、うるさ型の多いメディアも想定外の性能向上で、メディア席からも「Wow!」という歓声が上がり、吉田氏も嬉しそうだった。また、応答速度も18ms以下まで低減し、VR特有のVR酔いを防ぎながら、快適にVR世界が堪能できる。
ちなみにこのスペックは、VRヘッドセットの代名詞「Oculus RIFT」を解像度以外は全面的に上回る性能だ。もちろん「Oculus RIFT」はまだ最終仕様ではないため、「Project Morpheus」に追いつく、あるいは勝ってくる可能性はあるが、今回のスペックアップにより、VR世界が、一挙に現実に近づいてきたといえる。
PS4側がヘッドトラッキングを行なうためのLEDは9カ所。ライトは前モデルより若干明るくなり、見た目のサイバー感が増していると同時に、おそらくPS4側の検知能力も向上しているものと見られる。本体デザインそのものは、前モデルからほとんど変化はないが、全体のバランスが変わりより本体を支えやすい頭頂部にバランスを変えたため、長時間装着しやすくなっている。
吉田氏は製品版のリリース時期について2016年前半と告知。発売に向けてE3をはじめ、各種海外イベントで随時行なっていく方針だという。残念ながら価格については明らかにされなかった。
今回新たに公開されたデモは、「London Heist」、「The Deep」、「Magic Controller」、「Bedroom Robots」の4種類。「London Heist」はLondon Studiosが開発しているPS Moveと合わせてプレイするアクションシューティング。「The Deep」は、現在公開されているもののアップデート版で、新たに120fpsにアップスケールされ、新しいギミックが追加されている。「Magic Controller」、「Bedroom Robots」はJapan Studiosが開発しているもので、「Magic Controller」は、PS Cameraのデモンストレーションソフト「PlayRoom」のVR版、「Bedroom Robots」は、可愛いロボット達がミニチュア世界を動き回る鑑賞ソフト的な内容。
発表会後に行なわれた試遊会では、「The Deep」をプレイすることができた。「The Deep」は潜水服を来て金網の中に潜って、水中探索を行なう最中に様々なアクシデントが……という、アトラクションタイプのゲーム。もともとはコントローラーを持って潜水服のキャラクターを操作するFPSゲームだったが、新しいバージョンはコントローラーは持たず、ヘッドトラッキングだけで向きを変えて楽しむより手軽なものに進化していた。
筆者は結構VR酔いするタイプで、前バージョンは、金網と共にゆっくり沈降している状態では何も問題ないのだが、サメが襲いかかりガンガン金網が揺れるとかなり酔う印象があった。新バージョンでは120fpsにアップスケールされているためか、描写が実に滑らかで、画面が激しく動いてもまったく酔いを感じなかったのがかなり好印象だった。
小さなモニターを目の前で見ることから来る網目感は多少感じたものの、グラフィックスはかなり向上し、海底に沈む潜水艦や、岩から吹き出す溶岩など鑑賞するのが楽しかった。そして今回はサメが襲いかかってくるだけでなく、上部から巨岩がいくつも振ってくる。1つ目はきわどく避けたものの、2つ目は直撃し、アームが切れるのかと思われるぐらい激しく揺れる。そしてサメの襲撃もより派手になっていて、繰り返し襲撃された結果金網が破壊されもう一撃で噛み殺される! というところまで迫る。
デモはそこで終了となったが、1年前と比較して、遊びやすさ、装着感、ゲーム性、そして没入感などあらゆる点で進化が見られ、「Project Morpheus」そのものがPS4の巨大なキラーコンテンツになるのは間違いないと感じられた。そのほかのデモのインプレッションや「Project Morpheus」そのものの詳報については後ほど改めてお伝えするつもりなのでお楽しみに。