ニュース
「FINAL FANTASY零式HD」イベントで語られた、田畑氏の熱い想い
アジア圏へ向けた、新しい方向性を持った「ファイナルファンタジー」を!
(2015/2/2 00:00)
Taipei Game Show 2015の最終日である2月1日、SCETブースでは、「ファイナルファンタジー零式HD」、「FINAL FANTASY XV」のイベントが行なわれ、2つの作品のディレクターを担当しているスクウェア・エニックスの田畑端氏と、マーケティングマネージャーの大藤昭夫氏が登壇し、作品の魅力を紹介した。
なお、「ファイナルファンタジーXV」は別稿で詳しく取り上げ、今回は「FINAL FANTASY零式HD」のみをレポートしたい。
アクション性とシリーズの戦略性の高さを融合! 日本にはない特典も
「ファイナルファンタジー零式HD」は日本では3月19日発売予定のプレイステーション 4/Xbox One向けアクションRPGだ。オリジナルであるPSP版は2011年に発売されている。元々は、「ファイナルファンタジー アギトXIII」というタイトルで開発がスタートし、その後、「FFXIII」との関連性がなくなり、アクション性の高いゲームでありながら、「ファイナルファンタジー」シリーズならではの奥深い戦略性を持った戦いを実現、さらにハードなストーリーで人気を集めた。
「ファイナルファンタジー零式HD」は好評を博したPSP版のHDリマスターとなる。メインキャラクターのクオリティをアップ、新しいライティングを導入することで劇的に美しく生まれ変わった。アナログスティックやボタンの増加に伴う操作性の見直しなども行なった。クリアしやすいイージーモードの追加や、バトルバランスの調整なども行なっている。
「ファイナルファンタジー零式HD」は実は海外ユーザーの要望が多かったことから開発が実現したという。台湾では繁体字中国語版で日本より2日早い3月17日に発売となる。PSP版はローカライズしていなかったため、PS4版が初の中国語版となる。「ファイナルファンタジー零式HD」はこの作品に初めて触れる人向けにも最適なタイトルとなっている。
開発に着手した際には「ファイナルファンタジーXV」の開発はスタートしており、PS4ならではのグラフィックス表現などの技術は生まれており、単なる見た目の高解像度化ではなく、物理演算による影の生成など、「ファイナルファンタジー零式HD」はこうした様々な最新技術を注ぎ込まれていると田畑氏は語った。
続けて行われたデモプレイでは、本作ならではのスピーディで爽快感のあるアクションによる戦闘が紹介された。様々なキャラクターの特性を活かした戦い、ロックオン中強力な攻撃を行なう「キルサイト」といったシステムや、ゲームをクリアしてからもやり込めるなど、様々な魅力が詰まっている。
そしてもう1つの大きな特徴が、本作の特典として「ファイナルファンタジーXV -EPISODE DUSCAE-」のDLCコードが同梱される。発売に先駈けて「FFXV」を体験できる。さらに日本では入手できない絵柄のアルミ製のスチールブックがついてくる。この絵柄はイベントでの初公開となる。
イベントの最後に、大藤氏は「最後にどうしても、田畑と一緒に台湾の皆さんに感謝したいことがある」と語った。2011年の東日本大震災の時、台湾の人々が手をさしのべてくれたことを、強く覚えており、どうしても直接お礼を言いたかったという。「このご恩は絶対忘れません。皆さん本当にありがとうございました」。2人はこう言い、イベントを締めくくった。
メディア向けインタビューでは田畑氏の作品作りの熱い想いを聞くことができた。「ファイナルファンタジー零式HD」のHD化での追加要素に関して、田畑氏は「PSP版をクリアした人も楽しめる要素を入れてある」という。戦闘に関してあらゆる要素をチューンナップした。戦いがおもしろくなるだけでなく、評価の高かったストーリーを誰でも楽しめるイージーモードも追加している。
「ファイナルファンタジー零式HD」と「ファイナルファンタジーXV」には共通点があるか、という質問には、「零式」は「FF」らしさを重視しながら、従来のターンベースの戦いからアクションゲームへと大きく舵を切った作品で、「FFXV」も同じような方向性のアクション性重視の戦いを実現している。システムは全く違うが方向性は似ている。
今回、「ファイナルファンタジーXV-EPISODE DUSCAE-」を付属させたのは、まず「零式HD」でアクション性を重視した「FFならではの戦闘」を本編で体験してもらい、「-EPISODE DUSCAE-」で、本当の意味での次世代の戦いを確認してほしいからだという。
本作のHD化はこれまでのPS3向けのHD化とは異なる。従来のHD化は、単なる高解像度化であり、グラフィックスの強化にすぎない。しかしPS4になり、物理ベースのグラフィックス表現が可能となった。ライティングを計算で行なうこともその1つで、テクスチャに影を書き込むような以前のものではなく、よりリアルな世界を作れるようになった。
アジア地域への“戦略”という意味では繁体字中国語のローカライズが挙げられるという。この作品の誕生自体、アジア圏のユーザーの要望が実現した結果だ。「ファイナルファンタジー零式」というタイトルは、これをシリーズ初挑戦にしてほしい、本作をきっかけに「ファイナルファンタジー」を知ってほしいという想いも込められている。PS4のシェア機能への対応に関しても、「台湾はSNSの人気が高いので、シェア機能も人気が出ると思います」と語った。
「零式」というタイトルの意味に対しては、漢字にしたかった、アジアで通じる名前にしたかった、という想いがあったという。これまでのシリーズの流れではなく、「ファイナルファンタジー」に意欲を持たなかった人にも遊んでもらいたいという想いを込めている。より刺激的で、よりスピーディで、新しい方向性を持った作品になってほしいという想いを込め、「零式」というタイトルをつけたと、田畑氏は語った。