ニュース

【特別企画】ホビー商品、この1年を振り返る

濃くて、ユニーク、斬新な2014年商品をピックアップ

 ホビーは毎年、様々な開発者によってユニークな商品が生まれている。キャラクターの表現方法、遊び方、既存の商品のアレンジなどアプローチは様々だが、多くの商品に込められた開発者の想いが見るものを強く揺さぶる。

 さて、2014年末にあたり、本稿ではGAMEWatchホビー担当である筆者が2014年のニュースで“グッときた”商品を取り上げていきたいと思う。結構コアなものもあるが、どれもユニークな取り組みの商品であり、来年はまたどんなものが生まれてくるか、楽しみである。

バンダイ「DX超合金 YF-30 クロノス」

2014年8月9日発売

価格:21,600円(税込)

VF-25と多くの共通点を持ちながら、全く別なシルエットとなっている

 トップバッターは「DX超合金 YF-30 クロノス」。8月9日に発売された、可変戦闘機「バルキリー」をモチーフにしたDX超合金シリーズの最新作だ。ゲーム「マクロス30 銀河を繋ぐ歌声」に登場する最新鋭機をモチーフにしており、機体のデザイン、シリーズの技術の進化という両面で注目の商品だ。

 11月に開催されたイベント「マクロス×魂ネイション 超時空超合金展」での「超時空超合金展 マクロストークショー」で「マクロス」シリーズを生み出した河森正治監督が語っていたが、YF-30は「VF-25はできるだけ簡単な変形を心がけたが、思ったより複雑になってしまった。YF-30はだからこそ玩具として誰でも変形させられるようなデザインにした」と語っていた。

 「DX超合金 YF-30 クロノス」はVF-25と共通点を多く持ちながら、各部の変形がよりシンプルになり、それでいながらコクピットブロックの変形方法が全く異なり、巨大なミサイルポッドが現われるという、VF-25とは全く異なるシルエットを形成している。特にバトロイド形態は、頭の上のポッドと、スマートな下半身で、初代「超時空要塞マクロス」に登場した“敵メカ”の「リガード」を思わせるデザインが面白い。2015年も「マクロス」の商品は多彩に展開していく。今後の進化も楽しみだ。

【DX超合金 YF-30 クロノス】
変形システムの見直しなど、シリーズの進化を強く感じさせる

関連記事
【特別企画】バンダイ、「DX超合金 YF-30 クロノス」レビュー

バンダイ「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」

2014年3月発売

価格:5,775円(税込)

バットモービルとしてのスタイリングと、ケースの実用性を両立

 2つめは、この商品を挙げたい。「超合金 ハローキティ」「超合金 太陽の塔のロボ」「S.H.Figuarts ルイージ」などなど、バンダイに絞ってみても取り上げ、語りたいアイテムばかりだが、「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」は“大人が持ち歩けるかっこいいフィギュア”を目指したというところで、バンダイの“意地”を感じさせる。

 「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」はiPhone5/5S向けケースで、映画「ダークナイト トリロジー」に登場したバットモービルを細かい部分まで再現しながら、iPhoneケースとしての実用性を実現している。バットポッドの分離を意識した前輪のスライドギミックで、電源や音量の操作、カメラ部分の取り出しもできる。コロ走行もしそうなデザインだが、「iPhoneが滑っては大変」とケースとしての機能性を重視しているところが実に「本気」だ。

 バンダイを含め、昨今のホビーメーカーは、コアなファンが夢想していたアイテムを、高い精度とリアルな感触で再現してくれる。様々なアプローチでエッジの効いたユニークな商品が出てきた。キャラクター商品であり、かっこよさを失わず、実用性も追求する「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」は、バンダイだからこそ作れた商品だと思う。来年もこういった濃くて、わくわくするアイテムが出て欲しい。

【Crazy Case BATMOBILE TUMBLER】
カメラ機能もきちんとフォロー。後部は「バットシグナル」を映し出す機能が

関連記事
【特別企画】「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」企画担当K氏インタビュー

京商 「クワッドジェットファイター」

2014年1月発売

価格:12,600円(税別)

 ジャイロセンサーの発達により、現在は様々なヘリラジコンがホビーメーカー各社から発売されている。リッチで多機能なものから、数cmの極小ラジコンヘリなどもあるが、京商の「クワッドジェットファイター」はぶっちゃければ“ガワが戦闘機”というモノなのだが、これが良いんである。

 飛んでいるイメージが全く違うのだ。ハリアーや、F-35Bなどの垂直離着陸機に見えるんである。操縦している感触として、「戦闘機」というのが楽しいのだ。このガワが生み出すイメージは、本商品をとても魅力的にしてくれる。「ヘリはもう持ってるから良いけど、コレなら欲しいかな」と思わせてしまうのは“戦闘機へのあこがれ”だからだと思う。発想の転換が楽しい商品だ。

【クワッドジェットファイター】
戦闘機風のボディが楽しい

関連記事
京商、ラジコン「クワッドジェットファイター」を2014年1月に発売

ウェーブ 「空飛ぶ円盤 アダムスキータイプ」

2014年4月発売

価格:4,104円(税別)

 ホビーイベントで見かけて強く心を動かされたのが、ウェーブのプラモデル「空飛ぶ円盤 アダムスキータイプ」だ。まさに教科書にでてくるような空飛ぶ円盤。釣り竿に糸を着けてトリック写真を撮りたくなるような「アダムスキー型円盤」のプラモデルなのである。このプラモデルを商品化した企画者に、筆者は心から拍手を送りたい。

 しかもさらにウェーブは「空飛ぶ円盤 ハウニブ タイプ」として、“ドイツ軍の秘密兵器風”のプラモデルまで発売しているのだ。オカルトファン、UFOファンはもう楽しくてたまらない商品だ。ウェーブはアーケードゲームの筐体や、「スペースコロニー」のプラモデルなど、モチーフが面白い商品を多数販売している。今後も応援したいメーカーである。

【空飛ぶ円盤 アダムスキータイプ】
内部まで“いかにも”な感じがするのがいい

関連記事
金星人のUFO、ウェーブよりプラモデル化

タカラトミーアーツ 「ルミデコネイル」

2014年4月24日発売

価格:各1,200円(税抜)

 これはホビー商品か? というと少し微妙だが、筆者にとって2014年で最も衝撃的な商品が「ルミデコネイル」である。女の子が使う爪に貼るシールで、厚さ0.5mm。最大の特徴はLEDが内蔵されており“光る”のだ。びっくりするのはシールに電源は搭載されておらず、カードリーダーや、おサイフケータイの電波を受けて光るのである。

 この薄さで光る! しかも最新技術をおしゃれアイテムとして使う玩具メーカーならではの発想も面白かった。この製品は4月に発売されたが、残念ながら筆者の想像と違い、あまりムーブメントを起こさなかったようである。しかし無電源で光るこのメカニズムは斬新であり、今後様々なアイテムに使われてくるのではないだろうか。注目したいメカニズムだ。

【ルミデコネイル】
女性向けおしゃれアイテムだが、その技術には未来が感じられる

関連記事
T-ARTS、LED内蔵で電波を受けて“光る”ネイル「ルミデコネイル」発表

(勝田哲也)