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【特別企画】「メガドライブメガトロン」開発者インタビュー
MDソフトでは「ダライアスII」、「エイリアンソルジャー」、「レイノス」が好き。依田氏のゲームへのこだわり
(2014/8/13 00:00)
MDソフトでは「ダライアスII」、「エイリアンソルジャー」、「レイノス」が好き。依田氏のゲームへのこだわり
――「メガドライブメガトロン」は胸につくカートリッジが「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」なのは、メガドライブファンにはぐっときますね。
依田氏: どのソフトが良いかはいろいろ考えました。セガさんともどうせならメガドライブを代表するタイトルにしようとお話をさせていただいて『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に決定しました。
――デザインの部分で特にお気に入りのところはありますか?
依田氏: タカラトミーの開発チームともロボット時のデザインについて相談をさせていただき、初期デザインと比べて足を長く変更しています。最初のデザインはもっとごつかったんです。“今風”のロボットデザインを取り入れて、足を長くするなどのデザイン調整を行ないました。
――他に、今はまだ秘密のギミックとかはありますか?
依田氏: 実は……残念ながらないですねえ(笑)。現状ではメガCDとの合体機能は仕込まれていません(笑)。メガドライブに変形した時の“小ささ”があって、拡張できる部分を入れ込む隙間を持たせられなかったです。たぶん手にとっていただけるとわかるんですが、「え?」と思う位に本当にコンパクトに、ぎっしり詰まるようになるんですよ。
カートリッジ差込口に乗せることはできるかもしれないですけどね、「32X」を乗っけるとか。ただ、現状ではまだ想定していません。面白いところでは、コントローラーのボタンは押すことができます。コントローラーを初期の3ボタンのものにしたのは、僕自身の商品化へのこだわりで、ゲーム機を立体化するのならばやはり最初期の型番のものを再現したいというのがあります。これは「コンボイ フューチャリング オリジナルプレイステーション」でも同様で、初代プレイステーションでも最初期のSCPH-1000を再現しています。
――デザインから実際変形を実現するモデルを作っていく際、苦労した点はどこでしょうか?
依田氏: 大久保さんにはしっかり変形を想定したデザインをしていただいてるんですが、デザインから設計の段階で強度を考慮するとプラスチックの厚みなどはどうしてもデザイン通りにはいきません。そのため耐久性や変形のスムーズさを考えたアレンジが必要になってきます。ぎゅっと詰まったメガドライブから、足が長くなる変形機構などは、金型アップ後も微調整が必要になってくると思います。
玩具メーカーとしてのモノづくりのバランス、ホビーブランドとしてのモノづくりのバランスという意味でもアプローチは異なっていきます。商品としての対象年齢の違いもある。そういう意味ではタカラトミーの「トランスフォーマー」のフォーマットに完全に合致しているかというと、そうではない部分も多々あります。ただ、ホビー商品にありがちな何度も変形させるのが面倒臭くなるようなバランスでもなくて、ちょうど中間のバランスが実現できたらと思っています。
ゲーム機形態での詰め込み具合は本家の「トランスフォーマー」でもここまではしていないという密度になっています。スイッチやボリューム部分が動くというギミックこそ再現をしてはいませんが、メガドライブとしての意匠の再現……例えばヘッドフォンボリュームや本体上の印刷の再現などにはこだわっています。これは僕がゲームハードのミニチュア商品を手がけているのと共通していて、すべて僕自身が実機を計測してすべてのデータを作成しています。とくにメガドライブは「16-bit」の金色の文字とか、セガさんのハードは意匠が面白い。実機をお持ちだったら、ぜひ見比べて欲しいですね。
僕自身、商談会でお見せした試作品が上がって来るまでドキドキでした。図面ではチェックしていたものの、メガドライブ形態の大きさから考えて、あの大きさのメガトロンにちゃんと変形できるかどうか不安だったんですよ。アップしてきた試作は、関節などもしっかり組み込まれていて驚きました。これまでのイベントで展示させていただいている試作品では今後の調整を考えて関接は緩めに作っていますが、製品版に向けてしっかり調整していきます。残念ながら今回のワンフェスには間に合いませんでしたが、8月上旬には工場からのファーストショット(金型ができて最初のサンプル)が届く予定です。ここからが勝負です。
当初発表では発売を9月下旬と設定していましたが、残念ながら10月発売へと延期させていただきました。ギミックに対しての調整がやはり重要で、少しお時間を頂くことになってしまい申し訳なく思っています。同様に「ミクロマンアーツ」もリリースが遅れてしまっていまして、お待ちいただいている皆様には大変ご迷惑をおかけしています。
――依田さん自身のメガドライブへの想いはどのようなものがありますか。
依田氏: セガさんのハードは大好きでしたね。当時よく遊んでいたアーケードゲームやPCゲームの移植が多かったところもお気に入りでした。僕が大学生の頃1番遊んだゲームハードの1つで、思い入れが深いです。「ダライアスII」とか、「エイリアンソルジャー」が特に好きでした。「エクスランザー」や「グラナダ」、「ジノーグ」、「サンダーフォースⅣ」……他にもたくさんあります。特に「重装騎兵レイノス」は、大学の部室でもの凄く遊び込みましたね。
――NEXTAブランドでは今後はどのようなアイテムが出てくるでしょうか
依田氏: 「トランスフォーマー」に関してはタカラトミーと相談しながら、相乗効果が出るような企画を商品化できたらいいなと考えています。「メガドライブメガトロン」の商品化において、耐久性やバランスなど、私たちの今後の商品の基準となる部分は見えてきたと思います。
「メガドライブメガトロン」に関しては、海外、東アジアでの販売も視野に入れています。ただ、北米市場では「日本での価格設定が1万円のトランスフォーマー」を販売することは容易ではありません。例えば海外のファンイベント限定などで販売することができればいいな、と考えています。
――ビジネス、という意味で「メガドライブメガトロン」の反響を受けて、タカラトミーアーツの戦略は変化しましたか?
依田氏: タカラトミーアーツの前身であったユージンでホビービジネスを展開していた頃と比べ、ホビー業界の変化を感じています。美少女フィギュアは競合が多く、中途半端なものを作っても厳しい。一方で、海外メーカーを含めきちんとしたものを作れば評価される。特にメカものはコストがかかる割には単なる立体化では受け入れられず、ターゲットとするユーザーをしっかり想定して、商品化のモチーフを考えていかなければなりません。
NEXTAのターゲットは30歳以上の男性を想定していて、ハイクオリティを目指すとともにユーザーの琴線に触れるモチーフは何か?ということを重視しています。適正数量や適正価格なども徐々に見えてきて、今は次に商品化するコンテンツやキャラクターをチョイスしている段階です。想定しているコアターゲットが体験したもの、楽しんだものが商品化のヒントになると考えています。その中で僕自身は、自分の世代が情熱を注いだビデオゲームコンテンツの商品化を中心にしつつ、今後はまったく違ったジャンルの商品化など、幅を広げていきたいと考えています。
――次回作である「コンボイ フューチャリング オリジナルプレイステーション」についても少し情報をお願いします。
依田氏: ゲーム機形態としてのプレイステーションの形状はソニー・コンピュータエンタテインメント様にしっかり監修していただいています。例えばロボットへの変形のためにディスクトレイのフタに線が入ってしまうところなどは、かなりハードルが高いかと思いましたが、変形後のロボット形態でのデザインの必燃性から承諾していただきました。
――ユーザーへのメッセージをお願いします。
依田氏: これからも僕たちはNEXTAブランドとして様々なホビー商品を展開していきます。進捗状況などは、公式ブログなど通してリアルタイムでお知らせしていきますので、何か気になることやご要望があればお気軽にご意見をお寄せください。NEXTAらしいもの、他社では決して作らないようなものをいろいろ水面下で進行中です。もちろん「ミクロマンアーツ」シリーズもしっかり展開していきますので、今回のワンフェスで発表させていただいた新商品も含め、ぜひお楽しみにお待ちください!