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“Militaria層”に向けた「World of Tanks」ヒストリカルバトルモードの真意とは?
Wargamingタイトルの進化はMilitaria層がキーポイント。「World of Warships」情報もチラリ
(2014/5/9 17:08)
ウォーゲーミングジャパンは、オンライン戦車ゲーム「World of Tanks」に実装された新コンテンツ「ヒストリカルバトル」に関するメディア説明会を開催した。
「ヒストリカルバトル」は、4月17日のアップデート9.0で実装された新ゲームモードで、第二次世界大戦の歴史的戦いをベースとした戦車戦がプレイできるというもの。今回は「ヒストリカルバトル」の実装に至った背景が説明され、説明会を通してWargaming.netとしての今後の運営方針や「ヒストリカルバトル」に込められた真意が明らかになった。
Wargamingが重視するターゲット層「Militaria」とは?
説明会では、ウォーゲーミングジャパン ミリタリーアドバイザーの宮永忠将氏が登壇した。Wargaming.netでは、世界的な方針としてゲームユーザーと共に「Militaria」をターゲットとした展開を2014年以降の方針として目指しているという。
「Militaria」とは軍事関連のファン・マニアのこと。「World of Tanks」をはじめとしたWargamingタイトルはゲームなのでゲーマー層がメインターゲットではあるものの、ゲーマー層とはまた違ったMilitariaをゲームに呼びこむことが、今後のWargamingタイトルの発展にも重要と考えている。
というのも、Wargamingタイトルの制作には、膨大な資料集めと専門家のアドバイスが必要で、これらの作業があるからこそWargaming独自の高いクオリティが保たれている。これまではコンテンツを配信し、プレイしたゲームユーザーからのフィードバックをもらってゲームに反映していくというサイクルだったが、ゲームをプレイしないMilitariaに新たな刺激を与え、そういった人にもゲームをプレイしてもらうことで、専門的なフィードバックをより多く得たいという。
実際の展開として、最近ではドイツ軍の超重戦車「VIII号戦車マウス」の復元プロジェクトや、ドイツ軍の軽爆撃機「Dornier 17」を海底から回収して修復、イギリス空軍博物館に展示するプロジェクトなどを進行させている。ちなみに宮永氏の夢は、未だ沈没したままになっている大和型戦艦三番艦を改造した空母「信濃」を発見すること。本社に提案してみたが「億単位の資金がかかるので考えさせて」と言われたという。
Wargamingではこうした軍事技術の保存活動を進めることで、ミリタリーファンの関心を集め、ゲームのプレイへと繋げ、多くのMilitariaがゲームに関わることを想定している。これらを推し進めることで、唯一無二の「ミリタリーエンターテイメント」を確立していきたい、と宮永氏は話した。
課題もある「ヒストリカルバトル」はさらなるブラッシュアップを
そして本題の「ヒストリカルバトル」は、その一環としてMilitaria向けのゲームモードとして実装された。現在実装されているのは「クルクスの戦い」、「バルジの戦い」、「春の目覚め作戦」の3つで、いずれも第二次大戦時のドイツ軍と連合軍の戦いが元となっている。
詳しい歴史の状況はここでは省くが、「ヒストリカルバトル」をプレイする際にそれぞれの軍の状況を知っておくことで、ランダム戦とはまた違った思いで戦いに臨める。ただし宮永氏の中での課題もあり、特殊な勲章があるというわけでもなく、史実の敗者側で敢えてプレイしたり、非力な車両を選ぶメリットがないためプレイへの動機が弱かったり、車両ごとの本来の運用術が反映されない点を挙げた。
一方で「World of Tanks」はこれらの問題点を解消できるポテンシャルを十分に持っているとも話し、「Militariaの積極的な関与と意見交換を得て、魅力的なコンテンツになるように磨きたい」とした。
なお今後のMilitaria向けのモードは、ひとまずは「ヒストリカルバトル」をブラッシュアップしていくことになるという。ユーザーからの意見も採り入れつつ、ゲームとして面白くした上で新たなマップ・状況を導入していくそうだ。
宮永氏は今後専用のFacebookページを立ち上げ、ゲームに限らないミリタリー関連の情報を発信していくという。そのような場所を使って、「ゲーマーだけでなく、Militariaも喚起して意見をもらいたい」と述べ、また「思うことがあったり、してほしいことがあったらどんどん言ってほしい。ミリタリーとゲームを融合させていきたい」とした。
ちなみにこぼれ話だが、Wargamingでは絶賛「World of Warships」を開発中で、日本の軍艦が主役級の扱いになるという。宮永氏によると先日もロシアのスタッフが呉の大和ミュージアムにこもって大量の資料を持ち帰ったそうで、その熱量に今から期待が持てる。すでに海外でサービスがスタートしている「World of Warplanes」と合わせて、新しい情報を待ちたい。