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【E3 2013】SCE Worldwideプレジデント 吉田修平氏インタビュー
プレカン直後に聞くPS4とローンチタイトルの戦略。中古ゲーム対応話も
(2013/6/11 18:58)
Sony Computer Entertainment Americaは、6月10日(現地時間)にE3直前のプレスカンファレンス「Sony PlayStation E3 Press Conference」を開催した。
カンファレンスでは、注目の次世代機プレイステーション 4やそのローンチタイトル、またそれ以降のタイトルに至るまで、様々な話題が提供された。とりわけ注目度の高いものは既に速報としてお伝えしているが、今回は会場の興奮冷めやらぬ中、カンファレンスで登壇もしていたSCE Worldwide Studio プレジデントの吉田修平氏に直接お話を伺うことができた。
吉田氏は発表内容と会場の反応に満足している様子で、DUAL SHOCK 4の機能から中古ゲーム許容に至るまで、終始にこやかに質問に答えてくれた。
PS4発表は年末までノンストップ。日本発売の情報、Vitaとの関連などは今後
――タイトルのラインナップにはインディーズからローンチタイトルまで多くありましたが、この日のためにどのような準備をしましたか?
吉田修平氏: 2月のイベントに向けて頑張っていた、というのが最初なのですが、準備というよりは、2月で映像があったらE3では実機デモだよね、とずっと連続しているような感じです。今後もgamescomがあり、東京ゲームショウがあることを考えると、ノンストップでやり続けていますね。
特に2月については、PS4はゲームが中心なんだということをちゃんと伝えたかったというのがありました。今回のE3でもそのコンセプトは変わらないのですが、PS3でも映像サービスやNetflix(オンラインのDVDレンタルサービス)を使用しているユーザーが多くいらしたので、映像サービス周りをPS4でもやることをお伝えしました。
今回ソニー・ピクチャーズの社長にも出ていただきましたが、ソニーの社長に平井一夫さんが就任してから、ソニーグループ同志の付き合いがかなり親密になっています。例えば、ソニー・ピクチャーズの新しいテレビショウをプレイステーションで出しましょう、といったことがあります。ソニーのコンテンツは自然とPS4に向かうということを、追加のメッセージとしてお伝えしました。
――日本でのPS4の発売は、今後情報が出てくるのでしょうか?
吉田氏: はい。今回はあくまでアメリカでのPS4のお話だったので、そうなります。
――PlayStation Vitaとの連動や、PlayStation 4 Eyeの具体的な動きはまだ見えていないのですが、これも今後ということでしょうか?
吉田氏: その通りです。チームも基本の部分から作っていますし、その他の部分だとスマートフォンやタブレットを使った遊びも考えています。今回発表した「DRIVECLUB」はかなりそこが中心になっていて、どのデバイスからでも参加しているクラブの状況がわかったり、友人にチャレンジしたりということができます。これらはもう少ししたらお見せできると思います。
――PS4の姿が今回初めて公開されましたが、手応えはいかがですか?
吉田氏: 実は本体を見たのは、2月のイベントの後なんです。個人的には本体にはあまり興味がなくて(笑)。あればいいじゃん、というか、普段もあまり気にしません。
デザインはそれなりになるのだろうなと予測はしていましたが、初めて見た時はその薄さが印象的で、PS3の2世代目とほぼ同じなんです。初代で2世代目ができるのはすごいなあと感心して、そこは私たちのハードチームは大したものだなと思いました。本体は立たせるとPS2の2世代目らしくもなっていて、そこも意識したそうですよ。
ただDUAL SHOCK 4はめちゃくちゃ最初からこだわっていて、何もない頃からPS4のコントローラーはどこを改善しようとか、開発者に向けてはどんなデバイスを扱うようになるとか、何年も話し合いをして徐々に作っていきました。
――そのDUAL SHOCK 4ですが、「タッチパッド」の部分がクリックできるようになっていました。こちらの用途は?
吉田氏: これは決定ボタンの役割をします。タッチしてアイテムなどを選択した際に、クリックすることで決定されるということです。なので、ライトバー部分にいくつか違うものを表示させて、触った場所とクリックによって反応を変えるということもできます。
――Start、Selectのボタンがなくなっていますが、こちらの意図は?
吉田氏: 実際のゲームだとどちらのボタンもあまり使わないので、なくてもいいんじゃない、ということで1つにしました。それよりSHAREボタンを増やしたかったので、1個置き換えるということにしました。
――DUAL SHOCK 4の開発側からの反応はいかがですか?
吉田氏: とてもいいですよ。やはりWorldwide Studioが最初から開発に関わっていて、PS Vitaの時と同じように何度も何度も検討してこだわっているので、最初から評判がいいです。特に評判がいいのが、アナログスティックが少し固めになっていて、中心の精度が高いというところで、これによって割と細かい動きができます。それとR2、L2ボタンの先が少し反っていて、指に引っかかりやすくなっています。これは「グランツーリスモ」チームのこだわりですね。
ローンチタイトルはまだまだある。中古ゲームの“シェア”の仕方も自ら披露
――サンタモニカスタジオの「THE ORDER 1886」がすごく気になるのですが、どのようなタイトルか教えていただいていいですか?
吉田氏: あれはまだ雰囲気を感じていただくということで(笑)。ただ、舞台はイギリスで、1886年ということは19世紀。しかし、モンスターがいるじゃないかと。
――SFに出てきそうな武器も持っていました。
吉田氏: 19世紀なのにこの武器? という辺りをお見せしたかったんです。それと見てわかるとおりアクションシューターというのは間違いないのですが、設定やストーリーが面白いものになるのではと思います。
――そこはサンタモニカスタジオが頑張っていると。
吉田氏: 制作しているチームは、PS3版の「ゴッド・オブ・ウォー」でサンタモニカスタジオが忙しい時に、PSP版「ゴッド・オブ・ウォー」を作ったところです。それで今回上のチャレンジをしてみる? となりました。彼らは元々ベテランの集まりで、小さいスタジオだったのですが、人数を増やしてコンソールタイトルの制作ができるくらいになっています。
――他では、「THE DARK SOCERER」のムービーが面白かったです。
吉田氏: あれはQuantic Dreamが作った全長12分の技術デモ映像です。彼らはいつもタイトル制作の前に技術的にこうしたいというデモ映像を制作するのですが、今回挑戦しているのは「笑い」です。文化の違いもあって難しいとは思いますが、PS4のレベルになって微妙な表情のニュアンスを出すという次のチャレンジですね。
ですので、「THE DARK SOCERER」については既に完成していて、11日からSCEAのブースで全編見ることができます。
――ローンチタイトルの発表は今回は4本でしたが、今後増えますか?
吉田氏: 数はたくさんあると思います。今回はその数を言うか言うまいか直前まで話し合っていたのですが、発売までわからないところがあるので。今回発表したのは、サードパーティ含めて100タイトルを1年以内、そのうち20タイトルがファースト、中でも3タイトルは初日になっています。でもそれだけかというと、そうでもない、ということです。すべてのタイトルを明らかにしているわけではありませんので。
――会場でとても盛り上がっていたのが、中古のゲームに対応するということです。この判断の意図は?
吉田氏: 私たちは以前から、PS3の時と同じだよねという考えでした。確かに時代はデジタルに移行してはいるのですが、未だに根強くディスクが好きという方はいますので、PS4の時代に徐々に移行が進むのかなと考えていました。
ところがなぜか大事になっていて(笑)。ただものすごく盛り上がりがあって、私のTwitterに「Sony、Do the right thing(正しきことをしなさい)!」というのがぶわーっと来るわけですよ。そのため、ここできちんとお伝えしようと。
それで昨日思いついて、Youtubeに「PS4ソフトのシェアの仕方」というものを上げています。私がアダム(Adam Boys氏のこと)に「KILLZONE」のパッケージを渡して、ニカッと笑う、というものです。これが結構話題になっていますよ(笑)。
――お忙しい中ありがとうございました。