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【E3 2013】SCE Worldwideプレジデント 吉田修平氏インタビュー その2

「PlayStation Camera」を同梱しなかった狙いや、日本ユーザー向けの情報を聞く

6月11日〜13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 6月10日(現地時間)各社のプレスカンファレンスが開催され、多くの新情報や新作タイトルの情報が発表され、E3が行なわれるロサンゼルスの街は大いに盛り上がった。

 特にSony Computer Entertainment AmericaのプレスカンファレンスではPS4のローンチタイトルや、多くのゲーマーの懸念点であった中古ゲームにも対応する事が正式に発表され、ソニーコールが起こるほどの熱狂ぶりだった。

 弊誌ではプレスカンファレンス当日にもSCE Worldwide Studio プレジデントの吉田修平氏にインタビューを行ない、情報をお伝えしているが、プレスカンファレンスから一夜明けた今日、「PlayStation Camera」を同梱しなかった狙いや、日本ユーザー向けの情報などについて更にお話を伺えたのでお伝えする。

「PlayStation Camera」がなくても様々な遊び方ができる。導入すると遊び方の幅がもっと広がる

SCE Worldwide Studio プレジデントの吉田修平氏
組み合わせることで遊び方の幅が広がる「DUALSHOCK 4」と「PlayStation Camera」

――6月10日のプレスカンファレンスで発表されたPS4本体には「PlayStation Camera」が同梱されていませんでした。

PS4と「PlayStation Camera」の連携が魅力の1つと感じているのですが、別売りにするとオプション扱いになってしまい勿体無くありませんか?

吉田修平氏:PS4はできることが凄く多いので、必ずしも全てのゲームが全ての周辺機器の全ての機能を使いきる必要はないと思っています。

 カメラはPS3の途中から導入したのですが、カメラを導入することで面白くなるジャンルのゲームと、そうでないジャンルに分かれることがわかりました。

 ですので全てのプレーヤーに買ってもらうのではなく、そういう遊び方で楽しみたいプレーヤーに買って頂ければと思います。また別売りにすることで本体価格を下げ、より手頃な価格にできるという利点もあります。

 確かに「DUALSHOCK 4」にはライトバーがついていて、「PlayStation Camera」を組み合わせると位置情報の認識などの機能が使えますが、「DUALSHOCK 4」単体でも、プレーヤー毎にライトの色を変えたり、ダメージを受けた時にライトを光らせるなど様々な使い方ができます。ですので必須と言うよりも導入することで遊び方が広がるというイメージですね。

――発表された価格を見ると「PlayStation Camera」の価格は比較的安価ですし、全ての本体に同梱してモーションでテレビを操作できるようなシステムがあっても良いのではと思ったのですが……

吉田氏:個人的な意見なのですが、技術は普遍的に使われるためには、ある程度の成熟が必要だと考えています。

 例えばタッチパネルもかなり昔からATMなどの一部の機械では使われていましたが、今のスマートフォンやタブレットの様に使いやすいものではありませんでしたよね。

 今後もこの様なナチュラルユーザーインターフェイスは広がっていくと思いますが、どの時点で何を使うかは見極めが必要だと考えています。

――これまでのハードのように、「PlayStation Camera」を同梱するパックと、同梱しないパックなど別のパッケージで発売される可能性はありますか?

吉田氏:昨日の発表はあくまでも「欧米向けに、この値段で、こういうサービスのパッケージが発売されます」という発表でしたので、それ以外の販売方法などについては今はなんとも申し上げられません。

――ちなみに昨日のプレスカンファレンスで発表されたタイトルの中に「PlayStation Camera」対応のタイトルは含まれていますか?

吉田氏:まだその点については詳しく言えないので今後の発表をお待ち頂ければと思います。

【The PlayRoom】
プレスカンファレンス後に公開された、「DUALSHOCK 4」と「PlayStation Camera」を連携したAR技術のデモ。組み合わせることで遊び方が更に広がっていくという一例だ

「Knack」や「KILLZONE SHADOW FALL」といったファースパーティタイトルは日本でもローンチ予定

「Knack」や「KILLZONE SHADOW FALL」といったファースパーティタイトルは日本でもローンチされることが明らかになった

――昨日の発表は全世界のユーザー向けの情報発信としてローンチタイトルや価格などが発表されましたが、日本のユーザー向けに今発表できる情報はありますか?

吉田氏:今回はE3ということでワールドワイドに向けた情報発信という位置づけでしたので、アメリカとヨーロッパでの価格と発売時期について発表させて頂きました。

日本の市場に向けた情報発信ははまた改めて行ないますので、タイトルラインナップも含めて別途機会を設ける予定です。

 とは言っても、昨日発表した「Knack」や「KILLZONE SHADOW FALL」といったファーストパーティタイトルは日本で発売されます。

 その中でも特に「Knack」は「クラッシュ・バンディクー」シリーズなどを手がけたマーク・サニーが手がけていますし、「サルゲッチュ」を作ったチームが手がけていますので、日本のユーザーの皆様にオススメしたいです。特にストーリーにもかなり力を入れているので、そちらにも注目して頂ければと思います。

――プレスカンファレンスではPS4向けに100タイトルをローンチする予定と発表されていました。日本もほぼ同じラインナップで展開されると考えても差し支えないですか?

吉田氏:どれだけ地域間の壁を取り除けるかと、パブリッシャーの取り組みによります。全てのタイトルが日本で発売されるわけではないので、そういう意味で日本向けにいくつのタイトルが展開されるかというのがはっきりとはまだ固まっているわけではないです。

 そこも含めて、お伝えできるような準備を今進めています。

――日本での発売時期や価格についての発表がありませんでしたが、欧米とほぼ同じと考えてもよろしいでしょうか?

吉田氏:製造が始まって、おおよその生産数が予測できて、どの地域でどのくらい需要があるか……といった情報が集まらないと数が読めないので、全てについて予定を立てるのは時期尚早かな、と思っています。

 ですので現時点では日本が欧米と同時なのかといった情報はまだ言えません。ただ遅くとも東京ゲームショウまでには正式に発表できると思います。

――プレスカンファレンスでは多くのインディーズタイトルのローンチが発表されていましたが、日本向けにもローンチされるのでしょうか?

吉田氏:先程も申し上げたとおりタイトルラインナップについては改めてお知らせいたしますが、インディーズゲームでは面白い発想や尖ったゲームが沢山出ているので、日本のユーザーさんにも届けていけるように努力を今進めています。

「大鷲のトリコ」は現在開発中。気になるマルチプレイは基本的にPS Plusが必要に

PS4でのオンラインマルチプレイはPS Plusが必要になるが、「フリープレイ」やベータ版へのアクセスといったコンテンツにもアクセスできる

――PS4の特徴の1つとして「SHARE」ボタンが挙げられると思います。昨日のカンファレンスで発表がなかったのですが、何か新たな情報はありますか?

吉田氏:昨日ご紹介した「DRIVE CLUB」というタイトルですと、スマートフォンやタブレット端末を使って他のプレーヤーのレースを見たり、オリジナルのレースのルールを作って他のプレーヤーに送るといった遊び方が可能になります。

 もちろんPS4本体でも操作できるのですが、スマートフォンやタブレット端末を使うことで、どこにいてもいつでもゲームの状況がわかるという仕組みです。まだお話できない部分も含め、他のタイトルにもそういった連携サービスが用意されています。

――PS4のマルチプレイには「PS Plus」のサブスクリプションが必要になるそうですが、PS3やPS Vitaでも有料になるのでしょうか?

吉田氏:PS3とPS Vitaは無料のままです。

 PS4ではオンラインでの新しいサービスや、先ほどもお話した「SHARE」など、クラウド側のデバイスやモバイルを使った遊びに力を入れています。そしてこれからも投資を続けていく予定なのですが、無料でサービスを運営するとどうしてもコストを削減する方向に進んでしまい、投資していく方針と相容れないんですね。ですのでPS4でしっかりとオンラインプレイを遊ばれる方からはその分の投資を頂きたいので今回の様な仕様にしました。

 ユーザーさんに金銭的な負担をおかけしますので、その代わりというわけではないですが、PS3/PS Vitaで提供している「フリープレイ」やベータ版への早期アクセス、ディスカウントなどはPS4でも提供していく予定です。

 また「DRIVE CLUB」では少しだけ機能を削減した特別なエディションをPS Plus会員向けに無料で配信する予定です。

――PS4では全てのアカウントが有料になるのでしょうか?

吉田氏:無料サービスのアカウントもあります。先ほどの「DRIVE CLUB」の場合はリアルタイムで対戦はできないのですが、他のプレーヤーから情報をを受け取るといった非同期のオンラインプレイは無料で提供されます。

――プレスカンファレンスでは「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」や「The Elder Scrolls Online」といったオンラインゲームも発表されましたが、こちらもオンラインでプレイするためにはPS Plusのサブスクリプションが必要なのでしょうか?

吉田氏:基本的にPS4でオンラインマルチプレイを楽しむ際は必要になります。

 ですが基本プレイ無料のタイトルにつきましてはパブリッシャーの判断によって必要ではないものもあります。既に発表されているタイトルですと「Planetside 2」や「DC Universe Online」といったタイトルはPS Plusの会員でなくてもプレイできます。

――PS4にリージョンロックはありますか?

吉田氏:リージョンについてはPS3と同じく制限はありません。ですが、国向けのサービスなどもありますので、できれば自国のハードをご購入頂ければと思います。

――プレスカンファレンスでは「大鷲のトリコ」の情報が出ていなかったのですが、今の状況を教えて頂けますか?

吉田氏:開発は進めていますので、もう少しちゃんと話せるタイミングが来たら情報を発表させて頂きます。

――クラウドゲームの開発状況について教えて下さい。

吉田氏:クラウド部分は良い感じで進んでいる。ローンチと同時ではありませんが、来年のどこかのタイミングで北米サービスからスタートし、最初はPS3、PS4のユーザーが対象で少し遅れてからVita向けに。タイトルはPS3のコンテンツを提供する予定です。

 今色んな検討をしていて、どの地域の、どのプラットフォームを対象に、どのコンテンツを提供しようかを考えている段階です。将来的にはPS3以外も遊べるようになる予定で、全てのプレイステーションのゲームが、全てのデバイスで遊べるようにする理想があります。

――最後に日本でのPS4発売を楽しみにしているユーザー向けに、メッセージを頂けますか?

吉田氏:今回はE3ということでアメリカ・ヨーロッパ向けへの発表がメインとなりました。

 日本のユーザーに向けては今情報を整理しているので、できるだけ近いタイミングで発表したいと考えていますので、まずは発表されたタイトルの情報や、PS4でどんなことができるのかを見て頂いて、次の発表を楽しみにして頂ければと思います。

 またマーク・サニーが率いる、SCEのジャパンスタジオもよろしくお願いします。

(八橋亜機)