「ストリートファイター X 鉄拳」ChinaJoy大会開催、小野氏の前で中国No.1が決定
PS Vita版のアジアでの発売は10月23日、“ジェスチャー”による新情報も!?
ChinaJoy会期3日目の7月28日、SCE Asiaブースでは、「ストリートファイター X 鉄拳」のプロデューサーを務めるカプコンの小野義徳氏が会場を訪れた。
会場には小野氏のファンが集まり、大歓声を上げた。小野氏は会場で、PS Vita版「ストリートファイター X 鉄拳」の特徴を語り、軽妙な口調で会場に語りかけた。そして小野氏の前で、前日より行なわれていた「ストリートファイター X 鉄拳」の決勝戦が行なわれた。本稿ではイベントの模様と、その後に行なわれたメディア向けインタビューも合わせてお伝えしたい。
■ 台湾Gamer Bee氏がトーナメントの覇者に。ファンの大歓迎に小野氏はノリノリ
「ストリートファイター X 鉄拳」のプロデューサーを務める、カプコンの小野義徳氏 |
PS Vita版のアジアでの発売は10月23日に決定したことが発表された。 |
手を伸ばすファンを指名する小野氏。ファンはステージに登りそうな勢いだ |
イベントに登場した小野氏は、最初に「ここに来ている人は、みんな知っていると思うけど、少しだけお仕事をさせて下さい」と断った後、PS3版「ストリートファイター X 鉄拳」及び、PS Vita版「ストリートファイター X 鉄拳」の説明を行なった。
PS3版「ストリートファイター X 鉄拳」は、「ストリートファイター」シリーズと、「鉄拳」シリーズのキャラクター50人以上がぶつかる対戦格闘で、今後もバランス調整やキャラクターの追加を行なう。そして“簡体字”の中国語版はPS3版のみに収録されているという。この情報に、中国ユーザーは大きく喜びの声を上げた。
続いて小野氏は、PS Vita版「ストリートファイター X 鉄拳」が10月23日にアジア地域で発売される事を明らかにした。本作の最大の特徴は、PS3版「ストリートファイター X 鉄拳」と対戦することができることだ。タッチパネルで技を出すなど、PS Vita版ならではの機能が搭載され、初心者にもプレイしやすい間口の広いものとなるという。
また、プレーヤーデータはPS3版、PS Vita版で共有することができ、家ではPS3で、外ではPS Vitaで遊ぶこともできる。対戦ではWi-Fiでの通信速度はもちろん、3G回戦でもきちんとできるようにチューニングを行なっているという。
小野氏はさらに、「今年は『ストリートファイター』は25周年となります。『ストリートファイター X 鉄拳』は25周年を記念したものの1つですが、他にもまだまだ色々なことをしていきます。情報は中国語版Twitterの『Sina Weibo』でも発信していきます」と語った。そして、今日のWeiboに載せる写真として、集まったファンに、「昇竜拳!」の声と共に拳を突き上げてもらい、その様子を撮影した。
この後、PS3版「ストリートファイター X 鉄拳」の対戦大会の決勝戦が行なわれた。この対戦大会は、前日との2回行なわれており、28日は台湾のプロゲーマーGamer Bee氏も参戦した。Gamer Bee氏は28日のトーナメントに勝ち進み、前日のトーナメントを勝ち進んできた中国のArgle氏とぶつかった。Gamer Bee氏は春麗とジュリア、Argle氏は春麗とリュウを使った。
試合は非常に緊張感のあるものだった。お互いが一瞬の隙を突き、技を最大限に使って大ダメージを狙う。歴戦のGamer Bee氏に対し、Argle氏も果敢に攻め、技を繋げていく。1戦目はタイムアウトまで相手の技をガードし続ける攻防が続いた。Gamer Bee氏は特にジュリアで上下の攻撃を激しく切り換え、Argle氏を翻弄する。試合が長引くにつれ緊張が切れてきたのか、Gamer Bee氏の攻撃が多くなり、そのまま勝利となった。
小野氏は試合に関して、「中国のユーザーも練習量がものすごいのがよくわかった。実力の高さにも感心させられたし、練習をここまでしてくれて感謝しています。ただ、そろそろ美人女性プレーヤーも登場して欲しいかな(笑)」と語った。
この後はクイズを出して答えたプレーヤーにプレゼントを渡す、というものだったが、ファンはその瞬間ステージの前に殺到し、必死に小野氏に手を伸ばした。スタッフの制止も耳に入らない勢いで、改めて中国ファンの勢いを見せつけられた。小野氏はそういったファンのノリが大好きなようで、嬉しそうにファンにプレゼントを渡していた。
【China Joy大会 決勝】 |
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左は「昇竜拳」を叫ぶファン、中央が台湾のプロゲーマーGamer Bee氏、右が2位のArgle氏 |
■ PS Vita版の繋がる楽しさを強調、ジェスチャーで秘密の機能を公開
中国メディアからの質問に答える小野氏 |
これから公開される機能をジェスチャーで。手元から離された目線に注目 |
続いて行なわれたメディア向けインタビューでは、小野氏は改めてPS Vita版「ストリートファイター X 鉄拳」ならではの特徴を語った。「PS Vitaは携帯機です。そうなると、60分の1秒の操作を正確に行なうのは難しい部分がある。だからこそタッチパネルによる、より簡単な操作をできる要素を入れました」。
さらに、タッチ要素は他機種版でもあるが、PS VitaはPS3版と戦えるというのが大きいと小野氏は語る。タッチでのプレイでゲームを楽しむライトユーザーが、コアプレーヤーと対戦したり、協力プレイができることこそ、PS Vita版ではの要素だ。Wi-fi、3G、さらにアドホックでも繋がることができ、マッチングもいつでも可能だ。
PS Vita版と、PS3版では要求されるゲーム性が異なっている部分もあり、“本気で実力を確かめ合う”という場合には、やはり操作性の違いが大きく影響してくる。小野氏はマッチングはあくまで楽しめる要素であり、新しい体験ができる要素で、高みを目指す人達には、マッチングだけではないそれぞれのランキングなども用意していくという。
「今後の情報に関してはまだしゃべれないんですが……」と考えていた小野氏は、“ジェスチャー”で情報を公開することにした。設置されている機械にスイッチを入れるような仕草、そして、手に持ったものを目を向けながら操作する仕草をした後、その手元の機械をのぞき込んでいた目を前に向け、手元を見ずに、手元の機械の表面をこするような仕草をした。あたかもPS3版をPS Vitaで操作しているようなジェスチャーだった。このジェスチャーが何を意味するかは、今後の情報を待ちたい。
小野氏は、PS Vita版「ストリートファイター X 鉄拳」は、PS Vita版が持つ機能を全ての“楽しい経験”を楽しめるゲームであり、PS Vitaを楽しめるゲームだと語った。そして、「これだけ言えば、今夜の(SCEさんとの)食事にフカヒレが追加されるに違いありません」と語り、会場に笑いを誘った。
そして、「今後、さらに他のゲームとクロスした作品を出すか」、という質問に関しては、これまで日本語で喋っていた小野氏はわざと英語に切り替え、「実は怒ってることがあるんですよ、『PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE』の発売がPS Vita版と同じ日なんです。なんでそうするのか信じられない。せめて数週間ずらせなかったのか」と語った。そこから口調を改めて日本語に戻してから、「クロスに関しては抵抗感はない。要望さえもらえれば努力しますし、将来もチャンスがあればなんでもやっていきたいです」と語った。
今回の会場については、ゲームを通じてコミュニティが形成されていく楽しさ、可能性を改めて感じたとのこと。「中国でオフィシャルなゲーム大会はできるか?」という質問に対しては、「現状ではタイトルベースでは難しいかもしれないが、PS3などが普及すれば、ソニーさんとカプコンでできるかもしれない」と小野氏は答えた。
小野氏はこのイベントより前に、Twitterに加え、「Sina Weibo」で中国ファンとも交流できる楽しさを体験しているという。しかし、国民感情として政治的発言も多いようで、政治ではなく、ファイティングゲームとして、あくまでエンターテイメントとして繋がりを楽しんで欲しいと心がけているとのことだ。
中国メディアは先日「小野氏が過労で入院した」というニュースを聞いており、小野しの体を心配する発言もあった。小野氏は健康になったこと、そして「小野がカプコンを辞めることはありません」と語った。小野氏は、China Joyは3年振りとのことだが、感想を聞かれると、「China Joyはメーカーが威信をかけて出展し、ファンがそれをお祭りとして楽しむ。今回はその傾向がさらに強まっていると感じました」と語った。
(2012年 7月 29日)