ガスト、PS3「アーシャのアトリエ~黄昏の大地の錬金術士~」完成発表会を開催

開発スタッフや声優さんがゲームのコンセプトや魅力を紹介


6月21日 開催

【PS3「アーシャのアトリエ~黄昏の大地の錬金術士~」】
6月28日 発売予定

価格:7,140円(通常版)
    10.290円(プレミアムボックス)

CEROレーティング:B(12歳以上対象)



限定版パッケージイラスト

 株式会社ガストは、プレイステーション 3用旧約錬金術RPG「アーシャのアトリエ~黄昏の大地の錬金術士~」の完成発表会を、6月21日にコーエーテクモゲームス日吉本社にて開催した。

 PS3「アーシャのアトリエ~黄昏の大地の錬金術士~」は、2011年6月に発売された「メルルのアトリエ~アーランドの錬金術士3~」に続く、「アトリエ」シリーズの最新作。6月28日発売で、価格は通常版が7,140円、特典がセットになったプレミアムボックスは10,290円。CEROレーティングはB(12歳以上対象)。

 この完成発表会は、プレス関係者のほかに一般のファンも招待して行なわれ、開発スタッフによるゲームの紹介や豪華ゲストによるトークが披露された。また、発表会後には、完成したゲームを実際にプレイできるゲーム体験会も行なわれた。



 イベントの開幕に登壇したコーエーテクモホールディングス株式会社の取締役名誉会長の襟川恵子氏は、「アーシャのアトリエ」の冒頭の部分をプレイして、制作者の優しさを感じ、「今この世の中にささくれた心を癒やしてくれる優しさが本当に必要だと思っています。結局は経営統合という形になったのですが、このガストをグループ化してよかったなぁと思っております。(本作に登場する)錬金術師の先生のように少しは(社員にも)優しくしてみようと思いますけど、なかなかそうなれないからこういうゲームに私はあこがれるということです」と挨拶した。

 続いて、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンのプレジデントである河野弘氏は、「プレイステーションのスタッフが、各タイトルをどのくらいの時間プレイしているのかを調べたところ、同シリーズはPS3タイトルの中でも、最後までプレイしている比率が格段に高く、開発スタッフの思いがユーザーに伝わっていることをまざまざと知った」という。「今作でも新たなチャレンジをされていると伺っておりますので、私もSCEJの全員も大変大きな期待を寄せております」とデータを挙げて、「アトリエ」シリーズを高く評価していることを伺わせた。

 完成したゲームの紹介では、ガストのディレクターの岡村佳人氏が登壇。「シリーズ第14作目となる本作では、前作までのアーランドシリーズからは一転し、世界観、ゲームシステム、登場キャラクターを一新した、新シリーズの1作目となります。また、ガストがコーエーテクモグループの一員となって初めての『アトリエ』シリーズということで、イメージの一新、ビジュアルを含めてすべての面でクオリティの向上を目指して開発してまいりました」と本作の位置づけを語った。

コーエーテクモの取締役名誉会長 襟川恵子氏SCEJのプレジデント 河野弘氏ガストのディレクター 岡村佳人氏

 今作で大きく変化したポイントとして、これまでのシステム寄りのゲーム性から、ストーリーを重視したゲーム性にシフトしたことを挙げ、一般のRPGユーザー層へ向けてやりこみ要素を再構築し、これまで複雑化する一方だった錬金術などをシンプルにするとともに、新たなやりこみ要素を盛り込んでいるという。

 イベントシーンでは従来の2Dグラフィックスから、すべて3Dモデルを使った演出になっているほか、ビジュアルについても、前作までのきらびやかな少女漫画のようなビジュアルから一転して、今作では“黄昏の世界”をイメージしたシックで退廃的な世界観に仕上がっているという。

 新たに登場する「想い出システム」は、これまでのシリーズにあった評価システムをよりストーリーに密接に変化させたもので、ゲームのストーリーやイベントの進行に合わせて、ボーナスやヒントなどに反映させるようにしているという。

これまでのシリーズ作品のように、ゲーム中にさまざまな行動をとったり、シナリオ上の目標を達成することで想い出ポイントが溜まる。そのポイントを使って日記を書く
日記を書くことで、調合レシピを入手したり、ボーナスが発生する。日記はアーシャ視点で実際の日記の形式で書かれるので、これを読む楽しみもある

 シリーズおなじみの「調合」については、「これまでは“材料の吟味”に集約されていた作り込みを、“調合の過程”に重点を置いて開発しています。例えば、これまではいい材料を揃えればいいアイテムができるというわかりやすい構造だったが、反面、材料の選択が非常に複雑になり、時間がかかる構造になっていました。それを材料の投入順であったり、調合中に使えるスキルに落とし込むことで、グラフィカルに表現可能となり、視覚的にわかりやすい調合システムになっています」と解説した。

調合の材料は採集して集める。これまでは材料を狙って採集していたが、今作では同時に複数の材料が採集できるように簡略化されている調合を行なうアトリエ。今作では複数の場所で調合ができる
調合システムの基本は前作と変わらない調合に必要な素材を選ぶが、今作では素材の一部は性能が一定となるすべての材料を選ぶと、画面左下に最低限保証されたアイテムの性能が表示される
投入した材料の品質や属性値がアイテムに反映され、さらに結果を向上させる条件が発生する場合があるすべての材料の投入順を決めたら調合開始完成したアイテムの情報は、レーダーチャートで表示される

 戦闘はさらにブラッシュアップした3Dモデルによる演出が施されているほか、戦闘システム自体にも“距離”と“位置”という概念を導入し、より戦略的なバトルが楽しめるようになっている。

前作までのコストターンバトルに、新たに位置関係と距離という要素が追加されたバトルシステムアシスト攻撃やサポート防御のほか、範囲効果のアイテムやスキルなど各キャラの位置関係が重要になる敵の背面から攻撃するとBack Attackとなり、必ずクリティカル攻撃となる

 ゲームシステムの紹介に続いて、キャラクターデザインを担当した左氏と、オープニングムービーのディレクターである株式会社ポイント・ピクチャーズの高津幸央氏が登場。

 左氏は「前作のきらびやかな感じから、シックな感じになったのは、自分の方向性に合っているなと感じました。(ガストさんからの依頼を受けて)迷いはしましたけど、そういった方向転換の話を聞き、シリーズ初期の作品は私も学生の頃にプレイしていたこともあって頑張りたいと思いました」と引き受けた理由を語った。

 岡村氏によると制作過程では、何回もデザインのやり直しが入ったキャラクターがおり、左氏には相当苦労をかけたという。特に主人公アーシャの妹ニオはアーシャよりも先にデザインしたそうで、会場では第1稿から第7稿、そして完成までのデザイン画を紹介し、左氏の苦労の跡がうかがえた。

ニオのキャラクターデザインの変遷。姉のアーシャと共通項を持たせるため、“花”をキーワードにしたことから花が多くあしらわれたデザインになっている。また、姉のアーシャの露出が多めなので、妹のニオは肌を露出しないようにしたという

 オープニングムービーを高津氏に依頼したいきさつについて、岡村氏は「今回はイメージを変えていきたいという話をしまして、これまではキャラクタが前面に出ていたムービーでしたが、今回は世界観、ストーリー性のあるアニメーションにしたいとお願いしました」と述べた。高津氏も「最初オープニングとしていただいた曲はオープニングっぽくなかった」と感じたものの、世界観に合った、しっとりとして優しい曲ということで、そこからイメージを膨らませてムービーを制作したという。

 このムービーを見た第1印象を聞かれた左氏は「色とか雰囲気が非常にきれいだなと思いました。他のオリジナルアニメーションなどのキャラクタ原案などにも携わってきましたが、色の淡さとかアニメーション1つとってもずいぶんと変わるもんだなというのが感想です」と答え、高津氏も「音楽が淡い雰囲気だったのが左さんの絵とマッチして良かったです」と語った。

 さらにオープニングムービーについて、“花”が1つのビジュアルテーマになっていて、例えば花の名前が出ているのは演出の一環で、その1つ1つの花言葉のイメージが、本作の世界だったり、ストーリーの持つテーマに近い物を表現しているという(オープニングムービーは前回の記事を参照)。

アーシャ役の井上麻里奈さんとニオ役の伊瀬茉莉也さん

 続いてスペシャルゲストとして、アーシャ役の井上麻里奈さんとニオ役の伊瀬茉莉也さんが登場。

 井上さんはアーシャの印象について「見た目通りのおっとりした女の子なんですが、すごくシスコンで、ニオのことになると猪突猛進で突っ走ってしまう部分もあったりして、ドジなところもたくさんあって、思わず手助けしてあげたくなる部分がたくさんありつつも、一本筋が通った女の子です」。

 伊瀬さんはニオの印象について「すごくしっかり者なんですけど、お姉ちゃん譲りでちょっと抜けてる部分もあったりして、でも基本はやっぱり天真爛漫で元気で明るくて、すごく健気な女の子です。お姉ちゃんのお手伝いで薬草を取りに行っている最中にいろいろなことに巻き込まれて行方不明になっちゃうんですけど、お姉ちゃんとの再会を夢見て、ずっと待ち続ける、お姉ちゃんに負けず劣らずのシスコンです(笑)」。

 収録の苦労などを聞かれた井上さんは、「普段ゲームの収録では、ゲームの画面にセリフが出るので、なかなか変えるのが難しかったりする部分があるんですが、今回は『井上さんのやりやすいようにしゃべっていただければ、後でこちらが合わせますので』って言っていただけて(良かったです)」と答え、続けて岡村氏が「ガストの収録では声優さんの生の演技が1番大切と考えておりまして、ライターが考えた文字よりも声として出てくるときの言葉を大切にしたいと考えております」とゲーム作りへのこだわりを見せた。

 伊瀬さんが「ニオはアーシャに比べて、セリフ量は少ないほうでした。途中まで行方不明だったので(笑)。また再会前と後ではニオの心情の変化もあるので、そこの演じ分けがポイントでした」と話したのを受けて、岡村氏は「再会した後の話も用意していますので、ニオを助けて終わりではなくて、ニオを助けた後の物語も楽しめる作品になっています」と、ニオを助けた先も話が続くことを明らかにした。

スペシャルゲストとして登場した紗也さん

 本作では多数のボーカル曲が登場するが、そのうちの1曲「Stargazer」を歌う紗也さんが登場。紗也さんは依頼を受けたときの感想を聞かれ、「すごく嬉しかったです。私の歌がゲームの中で流れるということにビックリしました」と答え、「Stargazer」について「とても力強いパワーのある曲で、歌詞には大切な人を助けたいという気持ちが詰まっています。最後の“あなたのもとへ”という一文は、メロディよりもセリフのような気持ちで歌ったので、ぜひ聴いていただきたいです」と語った。

 本作では他にも、オープニングテーマ「花標」(歌:野見山睦未)、エンディングテーマ「Altair」(歌:Annabel)、バトルテーマ「MARIA」(歌:霜月はるか)、アトリエテーマ「夢を織る家」(歌:霜月はるか)、ストーリーテーマ「黄昏」(歌:妙)、キャラクターテーマ「宵の星」(歌:チリヌルヲワカ)、イベントテーマ「いばら」(歌:やなぎなぎ)、ワールドイメージテーマ「Mystic Pendulum」(歌:ルルティア)といったボーカル曲が収録される。

 最後にゲストからファンへの挨拶をまとめて紹介する。

井上さん:「アーシャのアトリエ」という作品は、独特の世界観がとてもすばらしい、あたたかい作品になっていると思います。まだまだ知られていないキャラクタもたくさんいると思うんですけど、ほんとにすべてのキャラクタが個性的で魅力的です。たくさんの方に「アーシャのアトリエ」をプレイしていただいて、アーシャを愛していただけたら嬉しいです。

伊瀬さん:この物語のキーワードの1つに「約束」というのがあるんですけど、例えば日頃の友達だったり、家族だったり、その間で交わされる約束って大切ですよね。物語を通じてそういう大切な物を呼び起こしてもらえるような、心温まるストーリーになっていると思います。たくさんの方にプレイしていただきたいです。

紗也さん:私のことを初めて知ってくださる方も多いと思うんですけど、「アーシャのアトリエ」を楽しむ際に、BGMにも注目していただけたらなと思います。


(C)GUST CO.,LTD. 2012
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(2012年 6月 21日)

[Reported by 滝沢修]