スクエニ、「FF XI」のオフイベント「ヴァナ★フェス2010」を開催
“バトルエリア拡張コンテンツ”「アビセア」シリーズ3本を発表
「FF XIV」は3月11日にβテスト専用サイトをオープン


2月28日開催

会場:日本青年館大ホール

入場料:無料


会場となったのは神宮球場近くの日本青年館大ホール。1,300名近くの来場者ですし詰めとなった

 株式会社スクウェア・エニックスは2月28日、日本青年館大ホールにおいて、「ファイナルファンタジー XI」のオフラインイベント「ヴァナ★フェス2010 ~8周年だョ!全員集合」を開催した。

 「ヴァナ★フェス2010 ~8周年だョ!全員集合」は、「ファイナルファンタジー XI」単独のオフラインイベントとしては国内で3度目となるファン感謝祭。2008年11月22日に開催された「ヴァナ★フェス2008」以来、実に約1年半ぶりの開催となる。過去2度のイベントはいずれも有料となっていたが、今回は来場者全員に対してβテスト参加権を与えるサプライズを用意していたため、無料の抽選制とし、「ファイナルファンタジー XI」のファンなら誰でも参加の機会が与えられる形に変更された。

 「ヴァナ★フェス」は、即席のパーティーによるチャレンジバトルや、ディープな情報を軽妙な掛け合いと共に紹介するトークセッション、そして「FF XI」の作曲家らによるミニコンサートなど、ファン感謝祭としての体裁を強く意識したイベントとなっているが、同時に毎回来場者の高い注目を集めるのは、開発者が現在開発中のアップデートや拡張ディスク等について語るデベロッパーズパネルやサプライズ発表である。

 今回のイベントでもファンの期待を裏切らない充実した発表が行なわれた。本稿では速報として、当日サプライズ発表された新規コンテンツの情報と、現在開発中の姉妹作である「ファイナルファンタジー XIV」の最新情報についてお伝えしたい。気になるデベロッパーズパネルの詳細を含むイベント全体の模様については、別途詳報という形でお伝えするつもりだ。


今年のサブタイトルは「8周年だョ!全員集合」ということでドリフネタてんこ盛りだった。白眉だったのは、「ファイナルファンタジー XI/XIV」プロデューサーの田中弘道氏と、スペシャルゲストとして登場した「ファイナルファンタジー XIV」作曲担当の植松伸夫氏の大物2人によるヒゲダンス



■ 「FF XIV」はついにオープニングムービーが完成! 3月11日にβテスト専用サイトをオープン

「ファイナルファンタジー XIV」の発表を行なったプロデューサーの田中氏(左)と、ディレクターの河本信昭氏(右)
時間にしてわずか1分足らずだったが、実機による最新映像も公開された

 まずは、「FF XIV」情報からお伝えしたい。今回、公式サイトに「ヴァナ★フェス」で新情報の発表があることを事前告知していた「FF XIV」だが、ついに「FF XI」ファンに向けて具体的な発表が行なわれた。

 ただ、今回はあくまでも「ヴァナ★フェス」であり、「FF XI」のイベントということで、具体的なゲーム内容については踏み込まなかったものの、そのかわりに1週間前に完成したばかりという「FF XIV」のオープニングムービーを丸々披露し、時間的にはわずかだったものの、ステージ上の大型モニタを通じて実機による開発中の映像も公開。また、来場者全員に先行αテストを含む、βテストへの参加権を与えるなど、ファンサービスに余念がなかった。

 今回の「ヴァナ★フェス」では、イベントの模様を丸々ストリーミングで生中継するという試みを行なっていたが、「FF XIV」のオープニングムービーだけは公開されず、来場者だけの限定公開となっていた。内容的には、E3等で公開されたプロモーションムービーのプリレンダー部分のフルサイズバージョンという印象で、ネタバレになるために詳細は伏せたいが、ムービーそのものに、通しで見て初めてわかるちょっとした仕掛けがある。ぜひβテスト等で実際に見てみて欲しい。

 田中氏、河本氏によれば、βテストの当選者の発表は本日2月28日以降順次行なっていくということで、初回はごく一部に限るということだが、徐々に対象者を広げ、最終的には応募者全員が参加できるようなオープンテストに準ずるところまで持っていきたいという。気になるβテストの日程については、現在デバッグ中ということで明言を避けたが、3月11日にβテスター専用サイトをオープンし、この日をもって本格始動することを明らかにした。

 今後の展開としては、先行αテスト、数次に渡るクローズドβテスト、そして正式サービスとなるが、予想される先行αテストの開始時期は、後述するバトルエリア拡張コンテンツの第1弾の発売が6月に予定されていることから、4月か5月になる可能性が高い。デバッグ作業が順調にいけば3月中ということも十分考えられる。いよいよ目前に迫った「FF XIV」のβテスト。今後の発表を期待したいところだ。


その後、スペシャルゲストとして「FF XIV」で作曲を担当する植松伸夫氏が登場。今回植松氏は「FF XIV」の全曲の作曲を担当し、80以上の曲を手がけたという。1999年の「ファイナルファンタジー IX」以来の全曲担当ということで、田中氏に手応えを聞かれ、「FFって重いじゃん? いい加減にやりにくい仕事(笑)。全曲ひとりでやるのは久々だったこともあって、結構気合い入ったなあ」とコメント。ミニコンサートの後は、「結構自信作。未発表だけど主題歌もある。個人的にお気に入りのものができましたので、ぜひ期待してください」と自信を覗かせた



■ 「FF XI」では新機軸の“バトルエリア拡張コンテンツ”3本を次々回バージョンアップより順次リリース

サプライズ発表されたバトルエリア拡張コンテンツ「アビセア」シリーズ3作品
「アトルガンの秘宝」以来となる開発ロードマップ。「アビセア」シリーズは次々回以降のバージョンアップごとの投入が予定されている。価格は各980円

 メインの「FF XI」については、「アルタナの神兵」の今後の展開に始まり、レベルキャップの開放宣言、メリットポイントに続く新たな成長システム「メイジャンの試練」、ワールド統合の告知等々、これでもかというぐらい様々な情報が発表された。すべて紹介していくと膨大な量になってしまうので、それらについては詳報をお待ちいただくとして、ここでは新規コンテンツに限って紹介したい。

 今回発表されたのは、拡張ディスクではなく、昨年3本リリースされた追加シナリオでもない、新たなカテゴリーとなる「バトルエリア拡張コンテンツ」と呼ばれる3本の新コンテンツ。イベント第二部の冒頭に、2008年の「ヴァナ★フェス」で追加シナリオを発表した際と同じような形で、ゲームタイトルを唐突に発表し、会場を沸かせた。

 発表されたのは、「禁断の地アビセア」(初夏発売予定)、「アビセアの死闘」(発売未定)、「アビセアの覇者」(発売未定)の「アビセア」シリーズ3タイトル。タイトル紹介を受けて田中氏は、「アドオンという形で展開していく3作品で、バトルエリアを拡張していく『アビセア』シリーズです」と紹介した。

 続けて田中氏は、「アビセアは、ヴァナ・ディールとパラレルの関係で、デュナミスみたいな感じになるのですが、巨大なノートリアスモンスターや不思議な姿のモンスター、あるいは新グラフィックスのHNMなど様々なモンスターが登場します。今回は強敵との戦闘や装備品集めを楽しんでいただきます」と基本コンセプトを披露した。

 2009年に3本リリースされた追加シナリオは、既存エリアを用いた外伝的エピソード集という扱いで、クリアすると報酬が得られるというものだったが、今回発表されたバトルエリア拡張コンテンツは、新規エリアの実装と新規エリアによるバトルコンテンツが柱となる。エリアの数は各コンテンツごとに「数エリアずつ」(田中氏)ということで、それぞれかなり広いようだ。

 気になるモチベーション(報酬)の部分については、「正式名称は決まっていないが“AF3”に相当するもの」(田中氏)とコメントし、会場は大きな拍手に包まれた。その後、早速ナイトと黒魔道士の“AF3”が公開された。取得条件は不明ながら、これは大きなモチベーションになり得る要素だ。

 今回は、新規エリアの具体的な内容については残念ながら明らかにされなかったが、奥行きのあるバトルコンテンツでありながら、パーティー(6人)規模で継続的に楽しむことができ、デュナミスのように常に長時間拘束されるのではなく、短時間でも場合によっては1人でも遊べるなど敷居の低さを強調。

 発表された情報を総合する限りでは、デュナミスやリンバスのエッセンスを取り入れた小規模でも楽しめるスケーラビリティの高いバトルコンテンツといった印象を受けた。ナイズル島アサルトを上回る人気コンテンツになるのかどうか、今後の情報公開を待ちたいところだ。

「アビセア」シリーズのタイトルロゴとイメージイラスト(末弥純氏)。末弥氏のイラストには、会場で発表されたナイトと黒魔道士以外の“AF3”の姿も確認できる

「アビセア」シリーズの報酬として発表された「“AF3”のようなもの」のデザイン。左がナイトで、右が黒魔道士

「アビセア」シリーズに登場する新モンスターたち

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(2010年 3月 1日)

[Reported by 中村聖司]