バンダイナムコ、DS「ブルードラゴン 異界の巨獣」完成披露発表会
坂口氏「5年かけて1番いいものができた」


10月8日 開催

会場:未来研究所 ファンシアター

【ブルードラゴン 異界の巨獣】

10月9日 発売

価格:6,279円

CEROレーティング:A(全年齢対象)


ミキティは女主人公を意識した衣装で登場した

 株式会社バンダイナムコゲームスは、10月8日に発売するDS「ブルードラゴン 異界の巨獣」の発売を記念し、未来研究所 ファンシアターにおいて完成披露発表会を開催した。本作は、2006年にXbox 360用ソフトとして発売された「ブルードラゴン」の続編。制作スタッフにプロジェクト総監督としてミストウォーカーコーポレーションの坂口博信氏、キャラクターデザインに鳥山 明氏、サウンドは植松伸夫氏、さらにプロデューサーは馬場英雄氏らが名を連ね、話題となった作品だ。

 今回の発表会では、バンダイナムコゲームス取締役社長の鵜之澤 伸氏、そして坂口氏、馬場氏に加え、株式会社集英社 常務取締役の鳥嶋和彦氏、スペシャルゲストとして藤本美貴さんが登壇。トークイベントや本作で最も注力しているというマルチプレイの実演などが行なわれた。


メインイラストマルチプレイのゲーム画面



■ 坂口氏「5年かけて1番いいものができた」

バンダイナムコゲームスの鵜之澤社長
ミストウォーカーの坂口氏
集英社の鳥嶋氏
鵜之澤氏が冷や汗をかくトークセッションとなった

 発表会の進行は、まず鵜之澤氏の挨拶から始まり、馬場氏によるゲームの解説、そして鵜之澤氏の進行による坂口氏、鳥嶋氏とのトークセッションと続いた。ゲームの詳細は過去記事を見ていただきたい。では、トークセッションの模様をお届けしよう。

坂口 ブルードラゴンのプロジェクトは、5年前ですかね。最初に鳥嶋さんに話をして、鳥山さんとスタートして、この作品(異界の巨獣)が、総括的作品として5年間の集大成、という気持ちでやりましたので、思い入れの強いゲームです。

鳥嶋 完成、発売おめでとうございます。もう5年経ったんですね。「ブルードラゴン」は現場の仕事として関わるのは最後になるだろうということで、いろんな思いで関わらせていただきました。

鵜之澤 僕らは1番最後に参戦させていただいたパブリッシャーですので、「ブルードラゴン」誕生のいきさつや秘話とか狙い、野望(笑)みたいなものを聞かせていただきたいのですが。野望に満ちたプロジェクトという感じがありまして……鳥嶋さんが現場を離れて、役員になったころにスタートして、いろいろ周りを巻き込んだという思い出があるんですが、僕も聞きたいんで、お話願えますか?

坂口 僕もスクウェア(当時)を辞めて、3年ぐらい経ったころ……ゲーム作りから離れて、もう1度立ち上がろうかというときに、15年間ぐらいそうだったんですが、ことあるごとに鳥嶋さんに相談したり、しかられたり、「ゲームのここがダメなんだ」と2時間ぐらい説教されながらきたもんですから……そういった相談のなかで、「クロノ・トリガー」で1度鳥山さんとお仕事させていただいてますが、とにかく僕が鳥山さんの絵が好きなので、もう1度鳥山さんとお仕事できないかな、と相談したあたりがきっかけですかね。

鳥嶋 僕もゲームが好きなので、いつも新しいゲームを人より早く遊びたいものですから、坂口さんと組んでやるのであれば、新しい面白いゲームができるんじゃないかなと思って賛同しました。ちょうどそのころ、いろんなゲーム会社が合従連衡でくっついたり離れたりしてまして(鵜之澤:すいません)、たとえばスクウェアとエニックスがいっしょになって、新しいゲームができたか? といえばできているわけじゃなくて、相変わらず「ドラクエ」と「FF」だけのような感じで。ぜんぜん業界にパワーがなかった。だったら、新しいゲームを仕掛けて、選択肢を多くしたほうがいいんじゃないかな、という思いがありました。それで鳥山さんにお願いして、ここにいたるというわけです。

鵜之澤 非常に相変わらず辛らつな(笑)。周りから見ていて大きなプロジェクトに感じましたし、Xbox 360版はハイビジョンの映像を使って、鳥山さんのキャラクタをこう表現するんだ、というのを(見せられて)僕はすごくショックを受けました。やられた、と思った。

坂口 マシンの性能ももちろん、ハイビジョンになったことも大きいですけれども、よりPIXAR的になったというか、画面のなかで立体感があって、粘土細工が動き出すような……実際リアルタイムで動かして作りましたから。僕なりに鳥山先生の絵を画面で出したかった。

鳥嶋 CGが導入されてゲームの表現方法が変わったんですが、逆をいうと、CGで全部描かれていると、全部同じに見えてしまう。漫画家さんがデザインしたキャラクターのあったかさや手触り感がなくなって、こういうゲームばっかりでいいのかな、と思っているところにそういう提案をされたので、そういう意味では自然でした。鳥山先生に昨日電話して、「ブルードラゴン」に関わったことについて感想を求めましたところ、非常に仕事として楽しかったと。「ドラクエ」と仕事が重なってつらい時期もあったそうですが、「ブルードラゴン」はキャラクターやモンスター全部に彼が関わっているので、非常にイメージとしてつかみやすかったし、その分楽しかったとおっしゃっていました。

鵜之澤 (マイクロソフト、AQインタラクティブのあと)3本目でバンダイナムコゲームスが呼ばれた理由は?

鳥嶋 僕としては、ゲームと雑誌とアニメと、すべて連動した形でスケール感を出して、子供たちに楽しんでほしい、という考えがありまして。こういう試みを何回かやってきまして、「ドラクエ」でもやったんですが、やっぱり何かが欠けていて、1カ所でも欠けているとスケール感が出ないということで、今回1番ネックだったアニメをしっかり仕掛けたかった。それには大変申し訳ないんですが、TVでアニメをかけるにはお金がかかるので、お金のある企業を入れないと成立しない。(鵜之澤:か、金ですか……)その辺に理解があって判断が早いのはどこかな、ということでパッと浮かんだのがバンダイナムコさんで、お声がけした次第です(会場笑)。

鵜之澤 非常につらい立場ですね(笑)。特にバンダイはメディアミックスをずっと手がけてきて、僕もお2人に初めてお会いしたのはバンダイビジュアル時代にアニメのプロデュースをやっていたころですから、アニメの作品作りの思い、特に鳥嶋さんが旗を振ってやるというのはめったにないことなんで、快く……でも自分からやりたい、といったのではないことは言っておきたいです(笑)。鳥嶋さんにおどかされたので私たちはやりましたという(笑)。坂口さんはバンダイともナムコとも組んで仕事をされてなかったと思うのですが、馬場は「テイルズ オブ」シリーズを担当してきた人物で、開発ラインもシリーズを担当してきたスタッフを使うということで、この場で聞くのもなんですが、どうでした?

坂口 非常にクオリティの高い仕事だったんですけれども、ちょっと時間がかかりましたね(笑)。調整やマルチプレイのあたりですね。マルチプレイはどうしてもバグが出やすいので、あきらめちゃうことも多いです。Wi-FiにつなぐということはDSではとても難しいんですよ。メインメモリをかなり食うので、ワイヤレスではつなげられるんですが、Wi-Fiでリアルタイムでマルチプレイができるゲームは(特にRPGでは)実はほとんどないんですね。そこにチャレンジしようということで、本当に妥協せずに最後まで……途中“ダメかな?”という時期もあったんですけれども、作りこんでくれた技術陣はすばらしかったです。馬場さんにもご迷惑をおかけしました。

鳥嶋 さっき控え室で3人でマルチプレイをやったんですが、おもしろかったですね。うろうろしている鵜之澤さんと、攻撃だけひたすらしている僕を坂口さんがバランスよく助けてくれたりして。なかなかそれぞれのキャラクターも出ていて、マルチプレイっていうのは“なるほど、みんなで遊ぶとこういう楽しさがあるんだな”というね。

鵜之澤 打ち合わせもなくちょっと3人でやってみよう、ということで(発表会の)段取りの説明が遅れちゃうぐらい夢中になって。(マルチプレイは)非常に簡単で入りやすい感じがありますね。これは新しい流れだし、初めから坂口さんがこだわっていて。最初から坂口さんは“オンラインゲームにするんだ”とおっしゃってましたけれども?

坂口 やっぱりつながって遊ぶのは楽しいですし。最初の仮称は「ブルードラゴンオンライン」でしたからね。開発ではずっと「BDO」と呼んでいて。ワイヤレスで見えている人ではなくて、本当に知らない人と、簡単にチャットしながら遊ぶという、PCゲームではよくありますけれど。“本当に知らない同士がつながる楽しさ”をやってみたかったということです。

鳥嶋 子供たちが、“誰かの家に集まって”ということではなく、一緒に自主的に場所を選択して遊ぶという時代が来ていると思います。そういう意味では非常にわかりやすいコンセプトで、実際に遊んでみると本当に面白いということが伝わるんではないかと思います。

鵜之澤 最後に一言お願いします。

坂口 DSソフトで開発に2年かけるということは本当になかなかなくて、そういう意味ではかなり人も、物も、お金も投入させていただいて、「ブルードラゴン」の最終章といいますか、総括的に、5年かけて1番いいものができたなと思っていますので、手にとっていただけたらな、と強く思います。

鳥嶋 ゲーム業界も成長してきたと思いますけれども、僕はゲームファンとして“果たして本当にゲームはおもしろくなってきたのか?”と疑問に感じることもあって。そういう意味では新しさをなかなか打ち出せないでいる現状だと思うんですね。そういう意味で「ドラクエ」が最初に出てきたときも、出足が悪かったけれども、口コミでじわじわ売れていったという記憶がありますんで、今回の「ブルードラゴン」も、この新しさがじわじわと口コミで伝わっていって、息の長いソフトになることを祈っていますし、そうあってほしいと思っています。



■ ミキティ「初めてでこんなに楽しいとは思わなかった」

マルチプレイでミキティも興奮気味!?

 続いて、スペシャルゲストとして登場したミキティこと藤本さんと、坂口氏、そして馬場氏による実機でのマルチプレイが行なわれた。

 事前に本作をプレイしたというミキティは「先にプレイさせていただいたんですが、すごく楽しかったです。やりがいがありそうなゲームでした。結構敵が強かったりするので、やられちゃったりして倒すのに時間がかかったりしました」と感想を一言。自宅でも旦那様とゲームをプレイしているという。

 マルチプレイ用と思われるダンジョンでのプレイだったが、馬場氏は解説とチャットをしながらサポート役、ミキティが攻撃を担当。そして坂口氏は寡黙にプレイするという、三者三様のプレイスタイル。ミキティが眠らされてしまったが、しっかりフォローして見事勝利。「超うれしいんですけど」とミキティもご満悦。

 坂口氏は「デバッグをしている気分でした。止まらないといいなと。僕もチャットしたかったんですけど、馬場さんのようにうまくできなかった」とコメント。馬場氏は「マルチプレイは実際に体験していただけると楽しさがわかりやすいと思いますので、シングルプレイもそうなんですけれども、ぜひ楽しんでいただきたい。藤本さんはマルチプレイを初めて遊んでいただいたと思うんですけれども、3人で遊ぶ楽しさもちょっとつかんでいただけたんじゃないかな、と思うんですけれども」と話題を振ると、ミキティは「初めてでこんなに楽しいとは思わなかった。興奮しますね。1人では倒せそうもなかったボスも、一緒に遊ぶことで助け合ったりもできるし、こういうゲームが苦手な方も、詳しい方と一緒にプレイすればわかることもあるし、勉強にもなりますね。すごい楽しかったです。開発者の方ともこうやってゲームをプレイできる機会も貴重ですし、ありがとうございました」とコメント。

 ちなみに気に入ったキャラとしては「シュウ」の名前を挙げていた。キャラクターのカスタマイズなどにも興味しんしんで、自分でカスタマイズしたキャラを意識して衣装、髪型を決めてきたという。「もともとゲームが好きな方はもちろん、鳥山さんのファンもそうですし、RPGを遊んだことのない方でも、マルチプレイでワイワイできるし、いろんな方に楽しんでいただきたいですね」と本作への応援コメントでセッションは終了した。


馬場プロデューサーはゲーム説明とサポート役(?)を担当馬場氏、坂口氏と3人でマルチプレイを実機プレイ

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(2009年 10月 7日)

[Reported by 佐伯憲司]