「Blizzcon 2009」レポートその2 「Starcraft II」編
Terranバージョン「Starcraft II:Wings of Liberty」の詳細情報が公開!

8月21日~22日開催(現地時間)

会場:Anaheim Convention Center

入場料:125ドル


 「Blizzcon 2009」レポートその2では、韓国を筆頭に世界のRTSファンから発売を嘱望されているリアルタイムストラテジー「Starcraft II」の最新情報をお届けしよう。

 今回の「Starcraft II」関連の発表における収穫は、2010年に発売が予定されている「Starcraft II」の最初のプロダクト「Starcraft II:Wings of Liberty」のキャンペーンミッションの情報と、マルチプレイ用プラットフォーム「Battle.net」の情報が初公開されたことだ。

 「Starcraft II」は、すでに発表されているように、「Terran」、「Zerg」、「Protoss」という3種族ごとに、別々のパッケージとして発売される予定となっている。それぞれの内容は、3種族いずれかのキャンペーンと、フル機能のマルチプレイ。マルチプレイは3種族のデータがすべて入っており、キャンペーンとは異なる種族を使ってマルチプレイを楽しむことができる。

 Blizzardは「Blizzcon 2009」の開催される直前の8月17日に、「Terran」をフォーカスした1つ目のパッケージ「Starcraft II:Wings of Liberty」を公開し、「Blizzcon 2009」ではいきなり試遊台を設け、実際にプレイできる環境を整えていた。

 また、「Starcraft II」に導入される新しい「Battle.net」は、同社のフラッグシップタイトルであるMMORPG「World of Warcraft」との連動機能を備え、共通のフレンドリスト機能を利用して、お互いが現在どのタイトルで遊んでいるのかを確認したり、ゲームをまたいでフレンドに対してメッセージをやりとりすることができるなど、コミュニティー機能が大幅に拡張されている。

 また、「Starcraft」の人気の秘密であるユーザーが自作した“カスタムマップ”をユーザー間でより共有しやすい仕組みや、作者に対して具体的なベネフィットを与えるような、マーケットプレイスシステムが実装される。さらに、今までは「Battle.net」で1つしか行なわれていなかった「Battle.net」内のリーグ戦が、「Starcraft II」からはプレーヤーのレベルに合わせて7つのリーグが開催されることも合わせて発表された。

【「Starcraft II:Wings of Liberty」最新プロモーションムービー】


■ 「Jim Raynor」が帰ってきた!宇宙戦艦「Hyperion」を率いて、「Zerg」に対抗する彼の戦いが始まる!

「Starcraft II:Wings of Liberty」のロゴ
Jim Raynorがいた惑星Mar Saraから脱出するHyperion

 「Starcraft II」(以下、SC2)は1998年に発売されたBlizzardのリアルタイムストラテジー「Starcraft」の続編だ。宇宙を舞台に「Terran」、「Zerg」、「Protoss」といった種族同士の戦いを描いている。スピーディなゲーム展開とユニット同士の組み合わせに重視された戦略、戦術が面白い作品である。韓国最新オンラインゲームレポートでもたびたびお伝えしてきているが、「Starcraft」は韓国では国民的ゲームとして今なお現役のタイトルであり、その続編として、韓国では発売が大いに期待されている。

 「Starcraft II」は、2007年に開催された「WWI 2007」で発表され、徐々に各種族のユニットの情報が公開された。去年の「Blizzcon 2008」では、「Starcraft II」が3つのプロダクトに分けて発売されることが発表された。具体的には、「Terran」のキャンペーンを盛り込んだ「Starcraft II:Wings of Liberty」(以下、『SC2:WoL』)、「Zerg」のキャンペーンを盛り込んだ「Starcraft II:Heart of the Swarm」、「Protoss」のキャンペーンを盛り込んだ「Starcraft II:Legacy of the Void」と3つに分けて順次発売される。「Blizzcon 2009」では、「SC2:WoL」のキャンペーン概要が明らかにされた。なお、「SC2:WoL」のみ2010年発売予定と発表され、その他の2つのタイトルの発売時期は未定だ。

 「SC2:WoL」は、「Zerg」の勝利で終わった「Starcraft:Brood War」の5年後の世界が描かれる。「Starcraft」の実質的な主人公に相当するJim Raynorを中心にしたストーリーだ。Jim Raynorは「Starcraft:Brood War」ではTerranの皇帝Arcturus Mengskに反乱者として追放され、Protoss側に加わってZergと戦った。「SC2:WoL」ではJim Raynorが宇宙戦艦Hyperionと共に、Terran皇帝Arcturus Mengskに対する復讐と、Zergに再び対抗するというストーリーが展開される。

 「SC2:WoL」のキャンペーンは、Hyperionの内部からスタートする。Hyperion内部ではJim Raynorとその仲間たちがおり、彼らをクリックして話を聞くことができる。また、TVといったオブジェクトをクリックすることでニュース放送などを視聴することができる。

 「SC2:WoL」のキャンペーンは28個のミッションにわかれ、選択肢によって複数のルートに分かれるマルチシナリオ方式が採用されている。キャンペーンのみの特色としては、「Starcraft」に登場したユニットが再登場することが挙げられる。具体的には「Firebat」や「Medic」などが登場するという。マルチプレイでは登場しないキャンペーンだけのゲストユニットとして登場するわけだ。

 各ミッションではメイン目標とボーナス目標があり、メイン目標を達成すれば、ミッションクリアとなる。ミッションをクリアするとお金を報酬として獲得でき、ボーナス目標を達成すれば、さらに追加の報酬を貰える仕組みだ。ミッションで獲得したお金は、「Hyperion」内部で使用できる。具体的にはユニットのアップグレードを行なったり、資源採集ユニット「SCV」の資源採取量の増加や、施設の建設コストを下げたり、防御建物の攻撃力追加といったものができる。


「Hyperion」の内部はブリッジ、研究所、武器庫、休憩室の4つに構成されている。実際に自分が動いて行くわけではなく、マウスクリックすることで機能を利用する
「SC2」はワイド画面をサポート、ゲームプレイをAVIといった動画ファイルで録画することも可能だ
キャンペーンではZergやProtossだけでなく、Terran同士の戦いも展開されるようだ
マルチプレイでは登場しないというユニット「Medic」と「Firebat」はキャンペーンだけ登場する


■ 新しくなった「Battle.net」。より強化されたフレンド機能に注目!

新しい「Battle.net」のロゴ
「Battle.net」のログイン画面。ログインしてプレイすることでキャンペーンのセーブデータを「Battle.net」に保存できる

 「Blizzcon 2009」のパネルディスカッション「『Starcraft II』Battle.net Discussion Panel」では「SC2」で実装される新しい「Battle.net」の概要が公開された。「Battle.net」はBlizzardのマルチプレイ用プラットフォームで、「Diablo」、「Starcraft」、「Warcraft」の各シリーズにおいて採用されている。

 今回発表された「Battle.net」は、既存の「Battle.net」とはまた別のサービスで、「Starcraft II」と「World of Warcraft」で採用されることが確定している。未発表ながら、「Diablo III」での採用も濃厚と考えていいだろう。

 「Starcraft II」において「Battle.net」は、ValveのSteamのようなゲームの玄関口として活用される。具体的には、マルチプレイの際にログインするだけでなく、今回はシングルプレイキャンペーンでも利用される。

 「SC2」を起動すると、「Battle.net」のログイン画面が表示される。ログインしなくてもキャンペーンは楽しめるが、「Battle.net」にログインしてからキャンペーンをプレイするとセーブデータが「Battle.net」に保存され、オンラインゲームのようにどのPCからでもサーバーからセーブデータを読み取って継続プレイが可能になる。

 また、MMORPG「World of Warcraft」と連動して、共通のフレンドリスト機能を使って両タイトルのユーザーとシームレスなコミュニケーションが可能となっている。フレンドリストに登録したユーザーのプレイ中のゲーム、キャラクター、サーバーを全て確認することができ、メッセージのやり取りをすることができる。「SC2」の対戦中でも使用することが可能だ。

 新しい「Battle.net」では、対戦結果によって報酬ポイントが貰える。貰ったポイントで「Battle.net」のアバターや、ゲーム内で利用できるステッカーを購入することができる。また、“『Marine』100人を生産”といった特定の目標を達成することで解除されるいわゆる実績システムを通じてもポイントが獲得できる。

 カスタムマップ利用者にとって嬉しい要素が、カスタムマップマーケットプレイスだ。「Starcraft」や「Warcraft III」は、ユーザー自作したマップをカスタムマップとして自由に配布することができた。しかし、ゲーム側にマップに自作する機能はあっても配布する機能はなかったため、カスタムマップの入手はそれなりの手間暇が掛かってしまうのがネックだった。新しくなった「Battle.net」では、カスタムマップを配布する機能をカスタムマップマーケットプレイスという形で実装し、すべての「Starcraft II」ユーザーが、より簡単にカスタムマップを利用/配布できるようになった。

 カスタムマップマーケットプレイスは、AppleのApp Storeに近いサービスを提供する。カスタムマップ制作者はマーケットプレイスに登録して、自由にマップを配信することができる。プレイス内では登録されたカスタムマップがリストアップされ、検索しながら選ぶことができる。ユーザーたちはマップにコメントを残したり、人気投票することが可能だ。

 これらのサービスは基本的には無料で利用できるが、「Warcraft III」の「Defense of the Ancients」のような人気マップはプレミアムマップとして扱われ、有料で販売されるという。詳しいビジネスモデルに関してはまだ明らかになってないが、仮に作者が任意で価格が設定できるようなシステムが導入されれば、App Storeのようにマップの人気によってはカスタムマップ制作者にも利益を得ることが可能になるわけだ。Blizzardはカスタムマップマーケットプレイスで「SC II」の寿命を伸ばし、より活発的なコミュニティーを期待するという。

 最後に、改良されたラダーシステムを紹介したい。ラダーシステムは前作「Starcraft」の「Battle.net」でも採用されていたシステムだ。1対1の試合を対象に、試合結果によってラダーポイントを増加減して、自動的に順位を決めるシステムである。新しい「Battle.net」では、Pro League、Platinum League、Gold League、Silver League、Bronze League、Copper League、Practice Leagueに分かれた7つのリーグが用意されている。プレイの実力が認められれば、上位のリーグへ移動できる仕組みだ。

 各リーグは100人制限で行なわれる。そして、シーズンの最後にはリーグ別に上位ランクのユーザー同士で、最終トーナメントを行なう。上位入賞者にはBlizzardから賞金が贈られ、一説によればBlizzardは現在約3,800万ドル規模のリーグを準備しているという。プロだけのeスポーツではなく、皆が楽しめるeスポーツが期待できるようだ。「SC2」の一刻も早い完成に期待したいところだ。


ゲーム中でもフレンドに登録されたユーザーたちの状態でき、メッセージのやり取りもできる。右の画面は少しわかりにくいが「World of Warcraft」でフレンドリストの状況を確認しているところ。フレンドの1人が「Starcraft II」をプレイしていることが確認できる
プレーヤーの成績によって報酬が貰える実績システム。報酬で「Battle.net」用のアバターアイテムや、建物などに貼って個性を発揮できるステッカーを購入することができる

対戦相手をプレーヤーのレベルに合わせて自動的に検索してくれるという。また、カスタムゲームを作るとき人気マップもリストアップされて、マップをダウンロードする手間を省いた

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(2009年 8月 27日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]