米Blizzard、米国アナハイムにて「Blizzcon 2009」を開催
「Diablo III」の新クラス「Monk」、「WoW」の新拡張ディスク「WoW:Cataclysm」を発表!!

8月21日~22日開催(現地時間)

会場:Anaheim Convention Center

入場料:125ドル


 米Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は、現地時間の8月21日と8月22日の両日、米国カリフォルニア州アナハイムのAnaheim Convention Centerにおいて、プライベートイベント「Blizzcon 2009」を開催した。

 「Blizzcon 2009」は、Blizzardが現在開発している新規コンテンツに関する新情報の発表を筆頭に、開発者たちによる開発秘話、そしてゲーム大会といったユーザーにも楽しめる内容が多数盛り込まれたBlizzard単独のファンイベントである。

 「Blizzcon 2009」では、世界の注目を集めるアクションRPG最新作「Diablo III」の新クラス「Monk」が発表されたほか、MMORPG「World of Warcraft」の3つ目の拡張ディスク「World of Warcraft:Cataclysm」、そして「Starcraft II」の「Battle.net」システムが初公開され、多くの注目を集めた。

 「Blizzcon 2009」レポートを前後編の2本組でお届けしたい。前編では「Blizzcon 2009」全体の模様と「Diablo III」と「World of Warcraft:Cataclysm」(以下、「WoW:C」)の情報。後編では「Starcraft II」の「Battle.net」システムと「Terran」のシングルプレイの内容をお届けする。

【「Diablo III」最新プロモーションムービー】


■ 4度目を迎える「Blizzcon」。発表したての「World of Warcraft:Cataclysm」をいきなりプレイアブル公開

Blizzard Entertainment Vice President of Creative DevelopmentのChris Metzen氏

 「Blizzcon」は、2005年から年に1度のペースで開催されているBlizzard主催の有料のファンイベントだ。Blizzardタイトルの新情報の公開、新作のプレイアブル、eスポーツ大会など、様々なイベントを2日間かけて実施していく。ちなみにBlizzardは、ほぼ同一のイベント構成で「World Wide Invitational」(以下、WWI)という別のプライベートイベントを開催しているが、「Blizzcon」は本社のある米国でのイベントであるのに対し、そして「WWI」はその他の国家で開催されるのが特徴である。

 「Blizzcon 2009」は2005年、2007年、2008年に続き、今回で4度目を迎える。入場券はホームページで2万5千枚限定で発売されたが、BlizzardのCEO Michael Morheim氏の話によればたったの1分で完売されたという。

 会場では、「Barbarian」、「Witch Doctor」、「Wizard」といった3つのクラスがプレイ可能な「Diablo III」の試遊台と、「Terran」のキャンペーンがプレイ可能な「Starcraft II」の試遊台が150台ずつ設置されていた。さらに、その横には黒いヴェールで隠されたゾーンが存在したが、オープニングで「WoW:C」が発表されるとヴェールが剥がされ、「WoW:C」が早速プレイ可能になっていた。出展した全タイトルが試遊可能という徹底的に試遊にこだわったイベントだ。

 オープニングではBlizzard Entertainment Vice President of Creative DevelopmentのChris Metzen氏が登壇し、「Diablo III」の新しいクラス「Monk」と「World of Warcraft」(以下、WoW)の新拡張版「WoW:C」を発表した。オープニングではムービーだけの公開だったが、その後、登壇した開発者たちによるパネルディスカッションで各内容が詳しく紹介された。まずは「Monk」と「WoW:C」について紹介したい。


「Blizzcon 2009」では試遊台がタイトルごと150台ずつ、全部で450台が置かれていた。特に、この場で初公開された「WoW:C」の試遊台は最も人気が高かった


■ 「Diablo III」4番目のクラスは素早い接近戦を得意とする「Monk」

第4のクラス「Monk」のイメージイラスト
敵を集めて「Exploding Palm」を上手く使えば、大量に倒すことができる
「Monk」は防御スキルとして、棒を振り回して敵の魔法を弾くことができるスキル「Impenetrable Defense」を持っている。瞬時に状況を把握して防御スキルを使用するなど、プレーヤーの高いコントロールスキルが要求されそうだ

 「Diablo III」は、Blizzardの人気アクションRPG「Diablo」シリーズの最新作だ。去年の6月に開催された「WWI 2008」で初公開され、大きな話題を集めた。「Diablo III」は前作の拡張版「Diablo II:Lord of Destruction」から20年後の世界を描いており、シリーズ中で重要キャラクターだった賢者Deckard Cainや、大天使Tirielを中心に物語が展開していく。グラフィックスは大幅にグレードアップされているものの、前作同様のトップビューのアクションRPGで、多数のモンスターをパワフルな範囲攻撃で次々と倒していく爽快感抜群のゲーム性に変化はない。なお、発売日と価格は依然としてまったくの未定である。

 「WWI 2008」では全5種類のクラスの内、「Barbarian」と「Witch Doctor」が公開され、去年の10月に開催された「Blizzcon 2008」では3番目のクラス「Wizard」が公開された。初めて試遊台が設置されたのも「Blizzcon 2008」で、3つのクラスをプレイすることができた。

 今回の「Blizzcon 2009」では4番目のクラス「Monk」が始めて公開された。試遊台では、「Blizzcon 2008」と同様に「Barbarian」、「Witch Doctor」、「Wizard」のみプレイ可能なバージョンで、「Monk」は実装されていなかったが、開発者らによるパネルディスカッション「『Diablo III』 Heroes & Monsters Panel」で「Monk」の詳細を確認できた。

 「Monk」は防御力こそ低めだが、素早いスピードと強力なコンボ攻撃が特徴のクラスだ。棒や爪といった武器を使用し、「Diablo II」の「Assassin」や、「World of Warcraft」の「Rogue」を参考にして設計されているという。

 「Monk」の最大の特徴はコンボシステムである。1つのスキルには3つのステージがあり、同じマウスボタンをクリックする度に、各ステージの能力が次々と発動されるシステムだ。例えば、「Way of the Hundred Fists」というスキルの場合、ステージ1では前へダッシュし、その次のステージ2では「ストリートファイター II」のエドモンド本田が使用する“百裂張り手”のような攻撃を行なう。そして最後のステージ3では範囲攻撃を行なうという仕組みだ。

 本イベントで紹介された「Monk」のスキルは「Way of the Hundred Fists」のほかにも「Crippling Wave」、「Exploding Palm」などがある。「Crippling Wave」は敵の能力を低下させるスキルで、ステージ1では移動速度を低下させ、ステージ2では攻撃力を低下、そして、ステージ3では周りの全ての敵の移動速度と攻撃力を低下させる能力だ。「Exploding Palm」はステージ1と2までは通常攻撃と変わらないが、ステージ3では徐々にダメージを与える特殊攻撃を繰り出す。この攻撃がヒットした敵は倒れると同時に爆破し、周りの敵にもダメージを与えるというユニークなスキルになっている。

 また、各スキルのステージを併せることも可能だ。たとえば、ステージ1は「Way of the Hundred Fists」のダッシュを使用し、ステージ2は「Crippling Wave」の攻撃力低下、ステージ3は「Exploding Palm」の爆破攻撃を行なうなど、各スキルのステージを合わせて使用することも可能だ。こういうコンボ攻撃でBlizzardは「Monk」を通じて“格闘ゲーム”のようなプレイ感を味わえるという。上級者になるほど、バラエティ豊かなプレイが期待できそうなクラスだった。


「Crippling Wave」のダッシュはどのスキルの組み合わせでも使われそうだ
エドモンド本田を髣髴とさせる「Way of the Hundred Fists」。最後の範囲攻撃もパワフルだ
7方向に瞬間移動しながら攻撃を行なう「Seven-Sided Strike」


■ 「World of Warcraft:Cataclysm」発表! 破壊者「Deathwing」の復活で、「Azeroth」の大地に異変が!?

「World of Warcraft:Cataclysm」のロゴ

 「WoW:C」は、Blizzardの人気リアルタイムストラテジー「Warcraft」シリーズの膨大な世界観から生まれたMMORPG「WoW」の3つ目の拡張ディスクだ。「WoW」は「Human」、「Elf」といった種族が属するAlliance陣営と「Orc」、「Undead」といった種族が属するHorde陣営の対立を描き、両陣営同士のRvRと、最大40人によるインスタンスダンジョンの攻略などを盛り込んだ、世界でもっとも成功したMMORPGである。

 今まで発売された拡張版は、それぞれ1人の英雄をフィーチャーして作られた。1つ目の拡張版である「World of Warcraft:Burning Crusade」ではNight Elfの裏切り者「Illidan Stormrage」を中心に物語が進み、2つ目の拡張版である「World of Warcraft:Wrath of the Lich King」ではかつて「Human」の王子だった「Lich King Arthas」を中心に物語が進められた。今回、公開された「WoW:C」も「Deathwing」という黒龍をフィーチャーした内容となっている。

 「WoW:C」では遮断された世界に閉じ込められた「Death Wing」が「WoW」の世界「Azeroth」に帰還し、その影響で「Azeroth」に起こった地殻変動を描く内容となっている。「Azeroth」は今までとは異なる姿となり、従来の「Kalimdor」大陸と「Eastern Kingdoms」大陸が大きく変わる。今までストーリーの中でしか登場しなかったUldum、Grim batol、Mountain Hyjal、Sunken City of Vashj'irといった7つの新マップが追加されるほか、従来のエリアも全面的に再調整が施されるという。

 また、今まではNPCでしか登場してなかった「Worgen」と「Goblin」がプレーヤー種族として追加される。Alliance陣営に「Worgen」、Horde陣営に「Goblin」だ。

 「Goblin」は緑の肌色をした小さい種族で、「Azeroth」の地殻の大変動によって現われた「Lost Island」からスタートする。クラスは「Death Knight」、「Hunter」、「Mage」、「Priest」、「Rogue」、「Shaman」、「Warlock」、「Warrior」を選択できる。「Worgen」は狼男の格好をした種族で、「Gilneas」という地域からスタートする。クラスは「Death Knight」、「Druide」、「Hunter」、「Mage」、「Priest」、「Rogue」、「Warlock」、「Warrior」を選択できるという。

 「WoW:C」の最終ボスモンスターとしてフィーチャーされた「Deathwing」は「Warcraft」の世界で最も強いという5大Dragon Aspectsの1人で、そのなかでも最強だと言われる存在だ。元々は大地の守護者「Neltharion」という名前だったが、異界から来たBurning Legionとの戦闘で堕落し、破壊者となったのある。

 他にはレベルキャップが80から85へ拡張され、種族によるクラスの選択もより多く選択できるようになっている。また、専門スキル「Archaeology」(考古学)の追加、新インスタンスダンジョン、新PvPゾーン、ギルドレベルの実装などが盛り込まれている。

 「WoW:C」の発売日と価格は共に未定だが、Blizzard Executive Vice President of Product DevelopmentのFrank Pearce氏の話によれば2010年発売を目指すということだ。

「Deathwing」のイラスト。「Deathwing」は「Warcraft II」で初めて登場したキャラクターだ
「Goblin」(左)と「Worgen」(右)
「WoW:C」の新マップたち。地殻変動が起こった「Azeroth」はどう変わるのだろうか……

暗い雰囲気が漂う「Worgen」の拠点「Gilneas」
地殻変動で現れた島「Lost Island」。「Goblin」の拠点だ


(c)2009 Blizzard Entertainment. All rights reserved.

(2009年 8月 24日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]