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SCEWWS吉田氏、台湾でPSVRのプロセッサーユニットを語る

VR初の本格レースゲーム「DRIVECLUB VR」は120Hz動作を実現!

1月28日開催



会場:台北世貿一館

 台湾最大規模のゲームショウTaipei Game Showが1月29日開幕した。最大規模のブースを構えるSCEJAの台湾法人SCETの目玉コンテンツはPlayStation VR。会期初日にさっそくSCEWWS吉田修平氏によるステージイベントとインタビューが実施されたので、その模様をお伝えしたい。

Taipei Game Show初参加の喜びを語った吉田氏
PSVRに特化した専用ブース

 いよいよ2016年第2四半期に発売を控えたSCEのVRヘッドセット「PlayStation VR」だが、台湾での出展は今回が初めてで、40台の試遊台と16種類のVRタイトルという最大規模での出展となった。

 PSVRのステージイベントに登場した吉田氏は、「THE DEEP」(SCEWWSロンドンスタ時)、「The London Heist」(SCEWWSロンドンスタジオ)、「RIGS」(SCEWWSCambridgeスタジオ)、「DRIVECLUB VR」(Evolution Studios)、「Until Dawn Rush of Blood」(SUPERMASSIVE GAMES)、「THE PLAYROOM VR」(SCEWWS ジャパンスタジオ)というSCEが誇る自社開発VRタイトルを次々に紹介。とりわけ「RIGS」については、アジア重視の姿勢を示すかのように、特別に中国語ボイスを実装したものを出展していることをアピールした。

【強力なPSVR独占タイトルたち】
PSVRが他のVRシステムと比較して有利なのは、SCEがゲームメーカーであるところ。PSVRでしか遊べないというタイトルが数多くなるのは何にも勝る強みになる

「THE PLAYROOM VR」の説明を担当したプロデューサーのニコラス・ドゥセ氏
台湾アイドル「Dears」のおふたり

 その後、「プレイステーション」とカタカナで書かれたTシャツでPS愛を見せつけた「THE PLAYROOM VR」プロデューサーのニコラス・ドゥセ氏、そして台湾アイドル「Dears」の2人、「New みんなのGOLF」や「The Tomorrow Children」のクリエイターを交え、「THE PLAYROOM VR」のデモンストレーションを実施した。

 デモのハイライトはPSVRとTVに別々の映像を映して楽しむ「MONSTER ESCAPE」。PSVRでソーシャルスクリーンと呼ばれるモードを使ったゲームのひとつであり、これはPSVR独自のプロセッサーユニットを介することで実現している。

 VRは、ともするとシングルプレイ専用のゲームと思われがちだが、実際はむしろ逆で、360度空間で没入感が遙かに増すことから、「RIGS」のようなバーチャル世界でのアバターを介したバトルやコミュニケーション、そして「MONSTER ESCAPE」のようなパーティーゲームも存在する。ビジョンだけでなくすでに具体的なコンテンツで示せているのがPSVRの最大の強みと言える。

 吉田氏とドゥセ氏はデモの締めくくりに、PSVRは1人でもみんなでも楽しめること、世界中でVRゲームが開発されていること、そして2016年に発売されることをアピールしデモを終えた。

【MONSTER ESCAPE】
「MONSTER ESCAPE」はどのイベントでも大盛り上がりする。ソーシャルスクリーンは、PSVRの大きな武器といえる

インタビューに応じる吉田氏とドゥセ氏
PSVRのスペックシート
ソーシャルスクリーン(ミラーモード)
ソーシャルスクリーン(スプリットスクリーン)

 その後に行なわれたメディアインタビューでは、台湾メディアからVR酔いの対策や、ソーシャルスクリーンを実現している技術が何であるかなど、さすがはVRシーンの一角を担うHTC Viveを生んだ地域らしい、ディープな質問が相次いだ。

 まずVR酔いの対策については、傘下デベロッパーによる検証実験のノウハウをシェアし、気持ちよくプレイするための方法論を確立させていることや、フレームレートを維持することなどを取り上げた。

 ソーシャルスクリーンは、「VRの画面と比較してTV画面のフレームレートが低いのではないか?」というツッコミに対しては、さすがの吉田氏も「目が良いですね!」とたじろぎ、PSVRが1080p、120fpsなのに対し、TVモニターの出力は720p、30fpsに落としていることを告白した。

 その上で吉田氏はこぼれ話として、ソーシャルスクリーンはドゥセ氏が企画し、ハードチームを動かすために、PS4のリモートプレイと、PSVita TVを組み合わせてプロトタイプを作ってプレゼンしたことを明かしてくれた。

 そして「ソーシャルスクリーンはマシンパワーをフルに使っているのでは?」という質問に対しては、吉田氏は、快適なVR体験を実現するために、フレームレートを保つVR独自の設計を行ない、その結果120fpsで動作するVRゲームを実現していること、また、60fpsで開発する事でPSVR側で120fpsで動作させるリプロジェクションと呼ばれる機能を備えていることを紹介。

 具体的には「DRIVECLUB VR」は、ベースとなっている「DRIVECLUB」は30fpsのレースゲームだが、「DRIVECLUB VR」の開発チームが、フレームレートを60に引き上げ、PSVR側でリプロジェクション処理を行なうことで、120fpsでの快適な動作を実現しているという。吉田氏は、昔から既存タイトルのVR化には否定的な見解を持っているが、「レースゲームは例外的にVR化に向いているジャンル」と語り、SCEのレースゲームタイトルのVR化の可能性を匂わせていた。

 その上で、ソーシャルスクリーンを実現しているテクノロジーについても回答した。吉田氏は、PSVRはヘッドセットだけでなく、プロセッサーユニットも同梱しており、プロセッサーユニットにはその名のとおり、演算処理を行なうプロセッサーが入っており、映像をVRとTVに分岐して、それぞれ最適な絵を出力するという役割を担っている。また、このプロセッサーユニットは、3Dオーディオ処理も行なっていることを明かしてくれた。なお、120fps相当へのリプロジェクション処理はプロセッサーユニットではなくPS4本体で行なっているという。

 PSVRがプロセッサーユニット標準搭載となると気になるのは価格だが、残念ながら価格を含め、発売日、ローンチタイトル、ビジネスモデルなど、気になる情報は一切明かしてくれなかった。これはやはりGDCか、それ以降になるようだ。ほぼすべての謎が明らかになったPSVR、最後の謎が明らかになるのはいつになるのか楽しみだ。

(中村聖司)