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これぞ戦うシネマ!「Star Wars バトルフロント」オープンβテストレポート

原作とゲームのファンが交差し、これまでにない面白さが生まれる!

11月19日発売予定

「スター・ウォーズ」の世界に、いざ出撃!

 エレクトロニック・アーツが贈る今年最大規模のFPS「Star Wars バトルフロント」のオープンβテストが、発売までちょうど1カ月となる10月8日から始まり、原作映画のファンとゲームファンの双方が本作の感触を確かめている。

 今回公開されたのは、製品に含まれる多数のゲームモードのうち、対戦型のマルチプレーヤーモードの一部と、ソロ・もしくは2人協力プレイで楽しむミッションモードの一部だ。

 本作のコンセプトは明らかだ。「バトルフィールド(BF)」シリーズゆずりのモダンなFPSゲームのフォーマットを採りつつ、見る者を圧倒する映像美で「スター・ウォーズ(Star Wars)」の世界を描ききる。帝国軍や反乱軍が織りなす各種の戦場に、プレーヤー自身が参加者となれるゲームというわけだ。

「スター・ウォーズ」の世界に自分が居る! 映画ファン感涙のド迫力戦場

小規模戦場で戦う「ドロップゾーン」
目玉の40人対戦で迫力たっぷりに楽しめる「ウォーカー・アサルト」
ルーク・スカイウォーカー!一振りで兵士をなぎ倒す
ダース・ベイダー!至近で姿をみたらまず死ぬ!

 オープンβテストで公開されたオンラインマルチプレイモードは、最大8対8で対戦するチームデスマッチ的な「ドロップゾーン」と、40人対戦が楽しめる「ウォーカー・アサルト」モードの2つ。また、ソロ・協力プレイ向けのモードとしては、WAVE形式で襲い来る帝国軍をひたすら撃退し続けるという「サバイバル」モードを収録。本稿では「BF」シリーズ譲りの大規模戦が楽しめるマルチプレイモードを中心にインプレッションをお届けしよう。

 マルチプレイモードのひとつ「ドロップゾーン」はやや小規模なマップで、純粋に歩兵同士の撃ち合いを楽しむフォーマット。ゲームの基本操作に慣れるまではこれがオススメだ。もうひとつの「ウォーカー・アサルト」はまさに「BF」シリーズのラッシュモードに近いシステムで大規模戦が楽しめるというモードで、おそらく製品版でも1番プレイ時間が長くなりそうなメインモードと言える。

 「ウォーカー・アサルト」では惑星ホスを舞台に、2台の巨大歩行兵器AT-ATが進撃。そのサポートと阻止をめぐり、各種搭乗兵器やジェダイの騎士も交えて帝国軍と反乱軍が激突する。そこに各プレーヤーはいずれかの陣営の兵士として参戦。壮大なる「スター・ウォーズ」の世界を、まずは一兵士の視点から楽しめるというわけだ。

 ゲーム的には、本作は本家「BF」シリーズに比べてグッとカジュアルだ。「BF」シリーズならお決まりのクラスシステムはないし、コマンダーモードや小隊システムもない。画面上には付近のレーダー表示はあれど、全体マップ表示や、出撃地点の選択といったものもない。

 各種の搭乗兵器や、ダース・ベイダーやルーク・スカイウォーカーといったジェダイたちは“スペシャルユニット”扱いで、マップのどこかに落ちているパワーアップアイテムを拾うことで、該当するスペシャルユニットを呼び出して利用できるという仕組み。AT-ATは1分間操縦可能で、AT-STや航空機は破壊されるか降りるまで。ジェダイの騎士は、1度倒されるまで自分自身がジェダイの騎士として戦える。偶然性が高いシステムだが、誰にでもAT-ATやジェダイの騎士をプレイできるチャンスがあるという意味で限りなくフラット。チーム戦ベースのゲームとしてはこれ以上ないほどシンプルなシステムで、映画ファンもゲーマーも平等に楽しめるよう配慮されている印象だ。

 それと同時に、画面に表示されるUI要素も限界までシンプル化されている。画面上にオーバーレイされる情報はミッション目標地点のアイコンくらいのもので、「BF」シリーズにあるような、発見済みの敵を示す敵味方識別用のアイコンすらないのである。こういった綺麗サッパリな絵作りで、本作の画面は“ゲームっぽさ”がかなり薄い。「スター・ウォーズ」の世界を描く緻密な映像体験そのものに、ゲーム体験をググッと寄せているわけだ。

 大規模戦の「ウォーカー・アサルト」で迫るAT-ATを背景に撃ちあう風景は、まさに映画のワンシーン。時にはX-WingやTie-Fithterに乗り、戦場の空を駆け巡る。最前線で撃ちあっていれば、眼前に迫るダース・ベイダーの恐怖、そこに颯爽と現われるルーク・スカイウォーカー。映画ファンなら「いま自分は、『スター・ウォーズ』の世界で戦っているんだ!」と、もう間違いなく感涙モノである。原作付きのゲームとして、これ以上の楽しみはない。

 もっとも、いつも映画のように格好良く決まるわけでもなく、ダース・ベイダーやルーク・スカイウォーカーが登場するなり集中砲火を浴びてアッサリ膝をついたりもするわけだが、それもまたご愛嬌。基本的に「Battlefield」の遺伝子を持つゲームというのはプレイの流れ次第でどのようにも転ぶ。皆のプレイが織りなす偶発的な風景は、格好良くも、抱腹絶倒にもなるものなのだ。

ゲーム的なUI要素を極力排除した画面作りで、戦いのワンシーン、ワンシーンがまるで映画のよう。まずはこの迫力と雰囲気を楽しみたい

映画に寄せた作りの結果、「BF」ゆずりのゲーム性はややスポイル気味か

この画面内に多数のプレーヤーが映っているのだが、アイコン等がないため把握が難しい
アップリンクを起動しようとする反乱軍を帝国軍が迎え撃つという構図
4種の銃は、それほど大きな使い勝手の違いがない。個人的にはショットガン的な武器もほしいところだった
初期状態。武器の選択などが全くできず、戦績的にいちばんつらい時期。最初からある程度アンロックされているほうが映画ファンには良いかも

 このファン感涙の映画に寄せた画面作りは、「スター・ウォーズ」ファンにはたまらない一方で、ゲーム的には副作用も大きいということも指摘しておきたいところだ。

 まず、本家「BF」シリーズには当然あるような戦術上の情報がまるっきりないので、戦いの流れをつかみにくい。特に大きいのは、敵位置等の情報を共有する仕組みがないこと。基本的に肉眼で見えているものしか見えないので、プレーヤー同士の連携も場当たり的になりがちだ。このあたり、戦略的にプレイしにくいところが特にゲーマー層には不評なところであるようだ。

 大規模戦「ウォーカー・アサルト」についてはゲームバランス上の問題もある。マップがだだっ広く、オープンな撃ち合いになりやすいこともあって、攻める側より守る側が圧倒的に有利なのだ。特にこのマップの場合は帝国軍が守り側になるシチュエーションが多く、反乱軍を圧倒しやすい。いまのところ筆者は10戦以上をプレイして、1度も帝国軍で負けたことがないし、反乱軍で勝ったこともない。このあたりはもう真っ先に要調整だろう。

 長期プレイ要素としては「BF」シリーズゆずりの昇進システムもある。βテストの範囲内では上限のプレーヤーレベル5までに4種のメイン武器、7種の補助武器をアンロックし、組み合わせて使用できるようになっていた。特に本作にはクラス制が存在しないため、あらゆる装備を“全員が利用できる”のがポイントだ。メインウェポンの選択と、1度に3種類まで携行できる補助装備の選択次第で、自ずとそれぞれの戦い方が決まってくる。例えばジャンプパックやパーソナルシールドといった「スター・ウォーズ」ならではの装備をどう組み合わせるかで、戦い方がガラリと変わってくるのが面白い。

 とはいえ武器やガジェットの種類は映画の設定に縛られることもあり、戦い方のバリエーションの広さという点では、「BF」シリーズと比べると狭い。特に、数少ないメイン武器がゲーム的にはどれも似たり寄ったりの性能(接近戦から遠距離まで同じようにこなせる)になっているところが、ゲーム的に物足りなさを感じるところだ。

 また、ひととおりの武器や装備がアンロックできるまでは、デフォルト武器1本で頑張るしかないのが少々つらいところでもある。レベル5までの全装備が揃うまでうまくやっても20試合、うまくなければその倍以上はかかる。マルチプレイゲームゆえ、戦い自体は非常にシビアなので、このあたり、ノンゲーマーの映画ファンには厳しいかも。とはいえ、そういう人にはソロ・協力ミッションモードも多数用意されているので、ゲーム全体としてのバランスは取れているかなとも思う。

 1本のゲームで映画ファン、ゲームファンの双方を同時に満足させることは非常に難しい仕事であることは間違いないが、このβテストを通じて得られたフィードバックをもとに、さらなる進化が見られることを期待しよう。製品版に収録される多彩なゲームモードも含め、11月19日の発売が楽しみだ。

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(佐藤カフジ)