★ PC/PS2/Xboxゲームレビュー★

スター・ウォーズの世界をFPSで完全再現!!
ジェダイと共に戦い、銀河に平和をもたらせ

スター・ウォーズ バトルフロント


 2005年に公開予定であるEpisode IIIに先駆けて、Episode IV~VIを封入したDVD-Boxも発売され、さらに関連商品や新情報も続々出てきていやがおうにも盛り上がりつつあるスター・ウォーズワールド。ゲームに関しても今年のE3で一部レポートされていたように、スター・ウォーズ関連タイトルが次々にリリースされる。今回紹介する「スター・ウォーズ バトルフロント」は、そんなEpisode IIIに向けたメディア戦略の一角を担うタイトルだ。

 とはいっても、「ジェダイナイト」シリーズを初めとしたスター・ウォーズ関連のタイトルが映画のストーリーを補完したり、世界観そのものを広げる事を目的としていたのに対し、「スター・ウォーズ バトルフロント」は純粋に“スター・ウォーズごっこ”がやりたいファン向けのタイトルといっても過言ではない。


■ 「バトルフィールド」シリーズのゲームシステムを使った「スター・ウォーズ バトルフロント」

 「スター・ウォーズ バトルフロント」で描かれる時代は大きく分けて2つ。EpisodeI~IIIにかけて起こった「クローン戦争」に至る時代と、Episode IV~VIで繰り広げられた「銀河内乱」に至る時代だ。ゲーム中ではこの2つの時代で起こった戦いを描いている。

 たとえばクローン戦争ではナブーやジオノーシスでの戦い、銀河内乱であればホスやエンドアでの戦いが舞台となる。そして、登場する陣営はクローン戦争であれば共和国vs独立星系連合であり、銀河内乱であれば反乱同盟軍vs帝国軍という図式になる。プレーヤーはこの4陣営が抱える兵士として戦いに挑むことになる。ジオノーシスでの戦いにおいて共和国兵士として参加すればクローントルーパー、独立星系連合ならばドロイドの1人としてゲームに参加して、敵と戦うわけだ。

Episode IIとEpisode IIIの間に行なわれるクローン戦争に登場する氷の惑星「レン・ヴァー」。雪が多いホスと違い、こちらは氷と岩石で埋め尽くされた世界。洞窟内の氷の透明感が素晴らしい

クローントルーパーを生み出すための施設がある惑星「カミーノ」。1年中雨が降りしきる水の惑星だが、その建物の内部は薄暗い外に反するかのように明るい

Episode VIでおなじみ「エンドア」。大きい葉をもった木々が生い茂り、その木を渡すようにイウォークの通路がかかっている。スピーダーバイクで走り回ることもできるが、思うように操縦するのにはかなりのテクニックが要求される

すべての始まりの星でもあるタトゥイーン。映画内で登場していたモス・アイズリーの町並みも完全に再現されているが、そのためマップ全体が迷路のようになっている。上手くすればショートカットできる道も探せそうだ

右下に表示されているのがコマンドメニュー。F1~F4キーを使うことで、周囲の味方ユニットに対して指示を出すことができる
 「スター・ウォーズ バトルフロント」の基本的なゲームシステムは、MOFPS(多人数参加型FPS)のムーブメントの火付け役である「バトルフィールド」シリーズでも採用された、「コンクエストモード」を採用している。コンクエストモードは、端的に言ってしまえば「陣地を奪い合って自陣の勢力を増加させる」ゲームモードだ。勢力は兵力数という形で数値化されており、プレーヤーや乗り物がRe-Spawn(復活)する際に必要となる。この兵力数を0にするか、マップ内に点在する陣地を全部占領すれば自陣の勝ちとなる。

 陣地はプレーヤーを初めとした各種ユニット(兵士であったり乗り物であったり)が復活する地点であるわけだが、自陣が増えるほど陣地を守るために戦力を裂かなければいけなくなり、敵は残り少ない陣地から一斉に再出撃してくることになる。

 大量の敵に対抗するために後方の陣地の戦力を前線に回せば、敵に回り込まれて手空きになった自陣を落とされる。フィールドが広いために、敵陣を包囲殲滅するにしても限界がある、という具合にこのコンクエストモードは「最後の最後まであがける」ゲームモードになっている。

 このコンクエストモード、「バトルフィールド」シリーズで多くのユーザーに支持されたゲームモードだけあって、良くできている。それだけに「スター・ウォーズ バトルフロント」のゲームとしてのおもしろさは折り紙付きで、いつまで遊んでいても飽きのこないゲームシステムだと言えるだろう。プレーヤーは、そういった安定したおもしろさを持つゲームシステムを使って「スター・ウォーズごっこ」をガッチリ楽しめるというわけだ。

このポスト周辺を一定時間確保すると、HUD右側に表示されているサークル表示が赤から白に変わり中立状態になる。そして、さらに確保していると白から緑へ変わり、占領完了というわけだ

AT-TE
スター・ウォーズ世界で初めての歩行兵器となった共和国のAT-TE。6本足での移動速度はあまり速い物ではないが、その強力な火力は一気に戦局をひっくり返す力を持っている。敵として相対したら、対車輌武器で一気に沈めよう
ガンシップ
共和国の攻撃用ガンシップ。兵員輸送に加え、地上への爆撃や射撃を行なうことができる。ヘリコプターのようにスライド移動もできるので、地上掃射を行なうにはうってつけだ
スパイダー・ウォーカー
独立星系連合のスパイダー・ウォーカー。強力なレーザーを照射することができる、対車両用に威力を発揮する。ただ、足の付け根を狙われると受けるダメージが増加するという弱みもある

ドッグファイト
ベスピン上空でのドッグファイトの様子。XウィングやTIE-ファイターといった飛行機系の乗り物は、すぐにマップ外へと飛び出してしまうことが多く、なかなか乗りこなすのが難しい
TIE-ボマー
やはり乗り込むときには、パイロット姿で乗った方が気分が盛り上がる
AT-AT
最強陸上兵器であるAT-ATの勇姿。やはり弱点は首ということで、下から上手く対車輌兵器を撃ち込むと効率的にダメージを与えることができる


■ ゲームモードは3種類。歴史をたどるか、銀河を征服するか、IFを楽しむか

 さて、ゲームシステム自体は「バトルフィールド」と同じ「スター・ウォーズ バトルフロント」だが、ゲームモードにはいかにもスター・ウォーズモノらしい独自の工夫が凝らされている。それでは以下、3種類のゲームモードの内容について紹介していこう。

・ヒストリカル・キャンペーン
 映画や各種資料などによってこれまで語られてきた"スター・ウォーズ正史"をたどっていくゲームモード。Episode Iの冒頭からEpisode III冒頭のクローン戦争終結までを描く「クローン戦争」と、Episode IVからEpisode VIの終盤であるエンドアの戦いまでを描く「銀河内乱」の2つの時系列が用意されている。

 プレーヤーはこの歴史の流れの中に登場する一兵士として、ゲームに参加することになる。要所要所では映画内のワンシーンも挿入され、いやがおうにも気分を盛り上げてくれる。ちなみにクローン戦争では、Episode IIとEpisode IIIにおいて展開されるクローン戦争に関しても少しだが描かれているので、Episode IIIまでに少しでも情報を集めたい方はぜひ遊んでおこう。

原作と同じく、ドロイディカは強力なブラスターと強固なシールドを備えており、一定量の攻撃に耐えることができる。これが2機も3機も出てきた日には、突破困難な防衛線を築かれる羽目になる

占領した星によって使えるプラネット・ボーナスが違ってくる。これを敵に使わせないためにも、とりあえず全部の星を中立にして後からゆっくり敵を攻める方法がお勧めだ
・ギャラクティック・コンクエスト
 用意された8つのシナリオに沿って、8つの星々を占領していくゲームモード。シナリオによって占領しなければならない星の数が変わってくる。敵に占領された星に攻め込んで勝つと、攻め込まれた星は中立になる。そして、もう一度戦えばその星は自陣の物というわけだ。

 自陣に組み込まれた星の数に応じてゲームスタート時に味方の兵士が強化されたりピンチになると増援が派遣されたりという、「プラネット・ボーナス」を選択することができる。筆者の場合は1人でどんどん戦っていくスタイルなので、他の兵士を強化するボーナスを選択している。自分の戦闘スタイルに合ったボーナスを持った星は真っ先に攻めたいところだ。

 また、4回連続で戦いに勝つとコンクエストボーナスを使用できる。これは敵陣営だろうが、中立の物だろうが、星を1つ戦うことなしに自陣へと吸収できるというもの。「スター・ウォーズ バトルフロント」における1つの戦いは長く大変な物なので、コンクエストボーナスを使えると非常に展開が楽になる。ちなみにこのコンクエストボーナスを帝国側で使うと、オルデランに向けられたアレが使える。

・インスタントアクション
 こちらは2つの時系列と好きなマップを選び戦えるフリーモードだ。とにかく戦いたい! 負けた時のペナルティを考えずに好きなだけ世界を堪能したい! という時に向いている。ちなみにナブーの宮殿で銀河内乱時代の戦い、という設定もできるので、スター・ウォーズ正史では見られないような戦いをすることもできる。


■ ジェダイを初め、グンガンやイウォークなどおなじみのキャラ達と一緒に戦える!!

 さて、スター・ウォーズのゲームというからには、当然ジェダイの存在抜きには語れない。しかし、今回プレーヤーはジェダイとしてゲームに参加することはできず、ジェダイはプレーヤーを助けるヒーローキャラクタとして登場する。

 「ヒストリカル・キャンペーン」の場合、時代がクローン大戦なら映画でジェダイが大挙して参加したジオノーシスでの戦いのような、スター・ウォーズ正史でジェダイが参加していた戦いにはジェダイがヒーローユニットとして参加する。また、「ギャラクティック・コンクエスト」であれば、プラネット・ボーナス「ジェダイ・ヒーロー」を選択すればジェダイがヒーローユニットとして参加することになる。

 しかし、このジェダイがメチャクチャ強い。敵のジェダイに向かって武器を撃つと、その武器がマシンガン系だろうがロケットランチャー系だろうが、全部はじき返すのでプレーヤーには倒す方法がないのだ。手榴弾を上手く足下に投げつけた後に全力で射撃をしてジェダイの足を止め、ふっ飛ばすぐらいしか対処法が無い。敵ジェダイにターゲットされたらまず逃げられないと覚悟した方が良いだろう。

ジェダイは光り輝くライトセーバーをもって戦っているのですぐにわかる。攻撃が一切きかないその姿からは圧倒的なフォースの力を感じさせる。味方にすると頼もしい限りだが、敵に回すとこれほど恐ろしいユニットもない。彼らは基本的には独自に行動するのだが、ジェダイとともに移動すると激しい敵の攻撃も難なく突破してくれるので非常に楽だ

 また、ジェダイ以外にもグンガンやイウォークといったエイリアン達も味方として登場する。特におもしろいのがイウォークで、彼らはエンドアでの戦いに登場するのだが映画版でも見られたように左右から大木をぶつけてAT-STをつぶすといった行動を見せてくれる。ファンにしてみると、こういった映画で見られたシーンが眼前で展開されるだけで、震えが走るというものだ。これ以外にも、こういったファンサービスシーンはそこかしこに見られるので、それを楽しみにゲームを楽しんでみるのも良いだろう。

タトゥーインの砂漠に生息するタスケン・レイダー達も登場する。彼らが登場するマップでは勢力が3つにわかれることになるので、タイミングを計って攻撃しないと二面作戦を強いられることになる

ホスの戦いにおけるAT-ATというと、スノースピーダーのワイヤーで足を絡め取られて倒れるシーンが有名だが、これもゲーム内では再現されている。ゲーム内でも映画と同様の威圧感を感じさせるAT-ATがワイヤーで倒れていくのを見るのは、なかなか快感だ


■ スター・ウォーズ世界の再現性は完璧!! だがマルチプレイは及第以下

GameSpay Arcadeをゲーム内ブラウザとして取り込んでいるが、必要最低限の機能しか盛り込んでいないため、使い勝手が悪い
 「スター・ウォーズ バトルフロント」で使用されているゲームエンジンは、本作の為に新たに作り起こされた物だ。特にグラフィックス面ではスター・ウォーズ専用エンジンといっても過言ではないぐらいに、映画で見たスター・ウォーズの世界を再現している。これに関しては実際にスクリーンショットを見て頂いた方が早いだろう。

 ただ、そんな専用エンジンにも問題がある。マルチプレイが現状ではゲームになっていないのだ。筆者が今回のレビューのためにマルチプレイに接続すると、まだ海外でしか発売されていないため多くのサーバーはPingが平均して200以上と高かった。しかし、ADSLを初めとした高速回線が普及した現在、普通のゲームならばレビューをするぐらいならば十分にゲームを楽しめるはずだ。

 しかし、本作のマルチプレイは当てたはずの弾が当らないわ、キャラはことごとくワープするわでまるでゲームにならなかったのだ。このような状態だったため、「バトルフィード」シリーズの醍醐味である多人数(PC版では最大32名)での乱戦は味わえていない。ISDNで対戦をしていた64kの時代ならばいざ知らず、ブロードバンド環境が当たり前の現在、これはさすがにひどいと感じてしまった。

 US版に関しては、こういったマルチの惨状を解決するためのパッチがリリースされており、日本語版を含むインターナショナル版のパッチも日本語版の販売までにはリリースされるとのこと。今回は日本語版でレビューを行なったため、実際にパッチを適用した状態でのマルチプレイは体験することはできなかったが、このパッチによって状態が改善していることを期待したい。マルチプレイを楽しむことを目当てに購入されるようなら、パッチの状況がはっきりするまで様子見をしたほうがいいだろう。

 とはいっても、シングルプレイのできの良さに疑う余地はない。これまでリリースされたスター・ウォーズタイトルの中でも一二を争う完成度といっても良いだろう。スター・ウォーズファンならばぜひとも購入しておきたい1本ではある。

氷の惑星「レン・ヴァー」での戦闘の様子。狭い洞窟と開けた平地という組み合わせのマップだ。乗り物を使えば効果的に敵を排除できる平地と違い、狭い洞窟内では出口付近での撃ち合いが続くことが多い。多少の犠牲を覚悟で突っ込もう

森の惑星「エンドア」での戦い。スピーダーバイクに乗るとモーションブラー効果によって周囲の景色が後方へと流れる。また、木々の葉や倒木など障害物が多いので敵を発見するのも一苦労だ。木々の間から差し込む木漏れ日もなかなか綺麗に表現されている

ジオノーシスでの地上戦の様子。独立星系連合のヘイルファイア・タンクや共和国のAT-TEの姿を見ることができる。ここでは乗り物に乗るよりも、Episode II 最後の戦いのように、歩兵として参加した方が正直おもしろい

視点は3人称視点と1人称視点の2種類。キャラ好きとしては3人称視点がお勧めだが、正確な狙いをつけたいときには1人称視点に切り替えたいところだ ダース・ヴェイダー卿の後を追ってモス・アイズリーの街の中を走り回る。ジェダイヒーローユニットがいると、いい弾避けになってくれる 惑星ベスピン上空で繰り広げられる、XウィングとTIE-ファイターとのドッグファイト。従来のバトルフィールドシリーズもそうだったが、やはり飛行機系の乗り物を使うときはジョイスティックが欲しい

AT-ATのコックピット画像。通常乗り物に乗ると、こういったコクピット画面から操作することになるが、AT-STの写真のようにQキーを押して三人称視点で乗った方が周囲の状況がわかっていいだろう ペスピンのカーボナイトチャンバーを巡った戦い。狭い通路や見下ろせる位置で移動砲台的な要素が強いドロイディカを使うとおもしろいように敵が狩れる タスケンキャンプに近づくと、当然のごとくタスケンレイダーが襲ってくる。しかし、それに気を取られていると、大穴に生息するターラックに一気に飲み込まれてしまう

(C) LucasArts and the LucasArts Logo are trademarks of Lucasfilm Ltd. Star Wars Battlefront is a trademark of Lucasfilm Entertainment Company Ltd. (C) 2004 Lucasfilm Entertainment Company Ltd. or Lucasfilm Ltd. & TM as indicated. All rights reserved.
※画面はすべてWindows版にて撮影したものです


□「スター・ウォーズ バトルフロント」の公式ページ
http://www.japan.ea.com/battlefront/

(2004年10月6日)

[Reported by Tyokuta@ukeru.jp]


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