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「Yahoo! Japan」のプロモーション力を活用して1億総ゲーマーを目指す!
GameBank設立。同時接続にこだわったスマホ用ハードコアゲームを中心に展開
(2015/4/8 21:19)
GameBankは都内で事業説明会を開催し、現在開発中のスマートフォン用ゲームタイトル4本を発表した。GameBankは、Yahoo! Japanとインキュベイトファンドのサポートを受けて設立されたゲーム会社。Yahoo!の全面的なバックアップの元、ゲームをパブリッシュしていく。
発表会の冒頭、GameBankの取締役でありヤフーの取締役副社長COOでもある川邊健太郎氏が登壇。ここ数年でYahoo! Japanは、スマートフォンデバイスにシフトを完了しスマートフォン用アプリケーションの分野でもその圧倒的な知名度からNo.1を獲得したと説明。しかしユーザーの利用傾向のグラフを示し「ユーザーが(スマホで)使っているのはゲームとSNS」と語り、ゲームアプリに至っては32%にも及ぶことからYahoo! Japanとしてこの分野に力を入れていくことを明言した。
同時に川邊氏は「Yahoo! Japanのプロモーション力を活用する」と語り、圧倒的な会員に、リリースするゲームをアピールしていくと共に、Yahoo! Japanの100以上のサービスとの連携も考えているという。
続いて同社代表取締役CEOの椎野真光氏と北山俊輔プロダクション部部長が事業説明を行なった。同社では「コミュニケーションこそが最大のエンターテイメント」を理念に同時接続でコミュニケーションを取りながら協力/競争要素の持つゲームを「コアゲーム」と定義し、これに沿ったゲームを提供していく。もちろん単独ではなく、Yahoo! Japanの元で環境を整備しながらグループの強みを武器にパートナーを集め総合力で攻めていく。
なぜハードコアゲームに力を割くのかというと、すでにアジアのマーケットではハードコアゲームが主流となっており、アジアとのコンテンツマーケットの融合の中で日本のハードコアゲーム市場も伸びると分析しているためだ。また、ゲーム参入に後発となるため、「他社にかなわないので、リスクを取ってでも(新しいゲームを作り上げ)イノベーターを目指す」と抱負を述べた。こういった方針から、人材についても開発力と運営力を強化している。
さらにソーシャルゲームの世界ではごく一部のユーザー(ロイヤルカスタマー)が課金を繰り返しタイトルを支えている傾向があるため、こういったロイヤルカスタマーときちんとコミュニケーションを取ることで勝負していきたいとした。2本で10タイトルのリリースを予定しており、7本は既に着手しているという。今回はその中から4本が紹介された。
このほか、SoftBankグループとも連携を取っていく。その計画の1つとして今回明らかになったのは、独占体験版をSoftBankのユーザーにプレイしてもらうというもの。グループとしての強みを最大限に発揮していきたい構えだ
「オービットサーガ」
本格3D召還アクションRPGとして制作が進められているのが「オービットサーガ」。プレーヤーは星島(スターアイランド)の守護者となり、独自の世界観を持つ6つのステージを冒険していく。世界を冒険することで入手できる地形パネルを集め、自分だけの星島を作ることができる。星島は一種の拠点として存在し、他のプレーヤーの星島を攻め勲章ポイントやアイテム、資源を獲得できる。攻めることができるということは、もちろん攻められることもある。
ここで重要なのが、ガーディアンと呼ばれるキャラクター。このガーディアンを自分の星島に配置することで守ることができる。さらにはガーディアンは冒険のお供にもなる、多くの役割を持つ非常に役に立つ存在。ゲームでは、かわいい妖精タイプから巨大なドラゴンまで様々な種類が存在し、総勢350体以上のガーディアンが登場する。
冒険には最大6体のガーディアンを引きつれ出発。ガーディアンと共に、敵と戦うことになる。
さらにはギルドによるユーザー同士のコミュニケーションを行なうことができるほか、ギルドメンバーと協力して専用ミッションにチャレンジすることもできる。ミッションをクリアするとギルドポイントを得ることができ、集めて一定量をギルドに寄付するとプレイが有利になる特殊効果が発動する。
2015年春以降サービス開始予定で、基本プレイ無料のアイテム課金制。
「Soul Gauge(ソウルゲージ)」
「Soul Gauge」は、パーティを組んで冒険を進めていくタクティカルMMORPG。「ラパン」と「エトラ」と呼ばれる2つの国に分かれ、国をとり合っていく。パーティは、オートマッチングで自動的に組まれ、いつでもどこでもゲームに参加することができる。
ゲームではリアルタイムに大人数のバトルが巻き起こり、参戦することになる。フィールドは幾千もの碁盤のような「ゾーン」で構成され、この中で仲間と共に戦い、敵の拠点を制圧することで勝利となる。プレーヤーは戦局に応じて「斥候」、「防衛」、「補給」、「支援」、「殲滅」などの役割を負うことになるが、前線で戦うだけではなく、バックアップでもきちんと評価されるシステムを導入していくという。
簡単操作でコンボを出すことができ、打ち上げから叩き付け、吹き飛ばすといったコンボをいかに組み立てられるかがゲームの醍醐味になるという。武器や防具にセットされたスキルを使用することでコンボを構築。世界に散らばるレアアイテムを集めていくこともゲームの目的の1つとなる。さらには一定以上の条件を満たすことで覚醒する特殊スキルも存在するという。
発表会でサービス開始時期については「2015年の夏には間に合わせたい」と語っていた。基本プレイ無料のアイテム課金制。
「みんなの釣りバカンス」
最大8人のプレーヤーが、1つのステージで協力したり競争しながら釣りを楽しむという釣りゲーム。大きなボスクラスの魚などは何人かで釣り上げなければならないという。釣った魚をその場でみんなに自慢するといったソーシャルゲームの要素もあり、わいわいと楽しめそうだ。
釣り大会の開催も行なわれ、早さや大きさを競い合うこともできる。ステージでは時間経過や天気の変化も用意されており本格的な側面もある。もちろんそれぞれの状況に応じて釣れる魚も変わってくる。釣れる魚は1,000種類以上でコンプリートするためには相当のプレイ時間を要しそうだ。
またアバター要素も用意されており、100種類以上の服装や釣り竿が用意されており、見た目が変わるのはもちろん、強力なスキルを持つものもあり、釣りたい魚に合わせて組み合わせを変えるといった戦略要素も用意されている。
2015年夏のサービス開始を予定しており、基本プレイ無料のアイテム課金制となっている。
「大集合!ワイワイパーティ(仮)」
「大集合!ワイワイパーティ(仮)」はいわゆるパーティゲーム集だが、最も大きな特徴はプレイすることでポイントが貯まる仕組みで、Yahoo!ショッピングで使用できるクーポンと交換することができる。
用意されているミニゲームは、ターン制4択クイズや大富豪など誰もが知っているゲームばかり。4人1組となりワイワイ楽しめる。アバター要素も用意されており、ガチャやミッション攻略などでアイテムを集め自分だけのスタイルを作り上げることができる。
基本プレイ無料のアイテム課金制で、2015年のサービス開始を予定。
パネルディスカッションでは興味深い話題も
発表会の後半ではパネルディスカッションとして、「国内モバイルマーケットにおけるコアゲームアプリの潮流と展望」と題して開発者による対談も行なわれた。参加したのはスクウェア・エニックスの安藤武博氏、Aimingの椎葉忠志氏、NHN PlayArtの馬場一明氏、GameBankの椎野真光氏。
いくつか興味深い話題も飛び出した。「コアゲームとは?」という話題からスタートしたが、椎葉氏は「ゲームに対して積極的に探していっているのがコアゲーマーで、カジュアル層は人がプレイしているからとか、テレビCMで見たからとかそういった理由でプレイしているそう」と分類し、「ハマっている人にとってはコアゲーム」と認識しているようだ。
一方でソーシャルゲームの場合、コアな内容を取り扱ってもデイリー接続2万人程度で「億単位」の売り上げを見込むことができると「ミリオンアーサー」を手がけた安藤氏は語り、そういった意味では、コアなテーマでも熱狂的なユーザーを捕まえれば、運営していけるという一種の可能性が生まれたということもできそうだ。
椎葉氏は「剣と魔法のログレス」のヒットについて、「ゲームは地道にやってきた」としながらも、「ハマった人がやめないという長く遊べるゲーム性のため、どんどんハマったユーザーが積み上がった結果だと思う」と分析。「剣と魔法のログレス」はMMOだが、「MMOと気付かずにプレイしている人が多いと思う。人生で初めてのMMOが『ログレス』という人が多い」と語った。つまり、スマートフォンで既にMMORPGといったコアなゲームが主流となりつつある現状を証明して見せたことになる。
もちろん、PCのMMORPGは1度家でプレイし始めたら3時間ほどぶっ通しで遊ぶことになるが、スマートフォン用ゲームでは「5分から10分で繰り返し遊べるよう、構造は変えている」と椎葉氏は語った。
そしてラストに今年ゲーム業界で話題になっている話題の1つe-Sportsについても語られた。椎葉氏は「競技性が高ければ高いほど、お金を替えれば勝てるというアイテム課金制は使うことができず、収益性をどうするかが日本ではむつかしい問題」と制作者側として問題提起された。この解決策の1つが全世界的なタイトルとして爆発的手なユーザー数をバックに運営するとういう手があるが、なかなか難しいのが実情。
一方で「ヒント」として1つの見解を述べたのが安藤氏。「スクウェア・エニックスにもアーケード部隊があるけど、長い間、人を競わせるゲームを作り上げてきたアーケードの制作者はその技術を持っている」とし、「(市場規模が大きいため)最後はすべてスマホに飲み込まれる。すでにアーケードゲームを作ってきた人たちが制作を始めている」と語り、日本でも競技性の高いゲームが大きな潮流を作っていくと予想した。
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