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【必見! エンタメ特報】美少女の恐怖を描くもう1つの“零”「劇場版 零~ゼロ~」

中条あやみさんの今後にも期待! 怖さと美しさが同居するミステリー作品

9月26日 全国公開

 コーエーテクモゲームス屈指のホラーゲームとして名高い「零」シリーズが、この度実写映画「劇場版 零~ゼロ~」として9月26日より劇場公開される。9月27日にはWii U「零 ~濡鴉ノ巫女~」が発売される予定となっており、この週末は「零」関連のコンテンツが続けざまに登場することとなる。

 「劇場版 零~ゼロ~」は、批評家で作家の大塚英志氏による小説「零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い」をもとに、「バイロケーション」などで知られる映画監督の安里麻里氏が監督・脚本を務めており、ゲーム版「零」とはまた違った“美少女たちの恐怖”を描いた作品だ。

【「劇場版 零~ゼロ~」予告編】

ぐぐっと近づいてくる中条あやみさん(左)。怖いけどかわいい

 舞台は山間の街にたたずむ女子学園「聖日女学園」。「今日でも明日でもない午前0時に女の子の写真とキスをすると、その女の子と一緒になれる」というおまじないが学園中に流れる中、ミステリアスだが学園の憧れの少女・アヤ(中条あやみ)が寄宿舎の部屋に籠もるようになっていた。

 一方で学園では、アヤに思いを寄せるミチが失踪するという事件が起きていた。生徒の1人であるカスミ(森川葵)がミチの部屋を訪れると、そこにはアヤの写真があった。カスミを写真を自分の部屋に持ち帰るが、その写真を見て以来、「私の呪いを解いて」と囁きかけてくるアヤそっくりの幻を見るようになってしまう。

 やがてアヤの写真が他の生徒の知るところになると、段々と失踪者が増えていき、ついには失踪した生徒が水死体で発見されるという事態にまで発展してしまう……。

少女たちの不安、恐怖、憧れなど、色々な感情が作品を構成している

“射影機”もかなりの再現度で登場
ホラー要素はゲームに比べれば薄いが、所々でじわっとくるような怖さがある

 本作は、「零」の“美少女ホラー”というコンセプトに着目し発展させたホラーミステリーとなっている。ゲームでもキーとなる“射影機”をゲーム版のデザインを元に忠実に再現させて登場させるなど細部に「零」の匂いを感じさせるものの、基本的には別物の作品だ。

 本作では閉鎖的な空間の中で「百合」要素も普通に入ってくるような少女たちの独自世界が構築されており、この少女たちの生活を見守る意味でもある種のアイドル映画に近いものとなっている。アヤを演じる中条あやみさんは人間だけなく「幻」も演じており、無表情のまま近づいてきたり空中から舞い降りたりと浮世離れしたシーンも含めて映画中のインパクトは最大。今後も要注目の女優だ。

 他に女生徒役にはテレビドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」の子役として一世を風靡した美山加恋さんも出演しており、茫然自失となって山を歩きまわったり、ジョン・エヴァレット・ミレーの描いた悲劇「ハムレット」の少女「オフィーリア」(この絵画は劇中にも登場する)オマージュの水死体となったりと、おいしい役どころを演じている。

 ホラー要素は薄めなもののミステリーとしてもちゃんと着地点があり、その辺りはよくできているのだが、残念なのは作中に漫画「黒鷺死体宅配便」のキャラクター「唐津九郎」と「槙野慧子」が登場すること。唐津は漫画同様“イタコ”として女生徒から重要な情報を聞き出す役回りとなっているが、せっかく映画全体を絵画「オフィーリア」同様の怖さと美しさが同居する雰囲気で包んでいるのに、このシーンだけあまりに唐突で漫画的になっている。キャラクターの見た目も浮いており、急に登場する意味もない。映画中でははっきりと蛇足としか言い様がないので、大塚英志ファンが喜ぶとしても止めた方がいいサービスだっただろう。

 なおミステリーという作品の構造上詳細を語るのはネタバレになるので避けるが、“射影機”もストーリー上で大事なポイントとして機能している。ゲームとは使われ方は異なるが、それが故に「そう使うのか」と思わされる場面もあって、ゲーム版のファンもニヤリとできる。GAME Watch的にはWii U「零 ~濡鴉ノ巫女~」も期待大だが、映画版の方もチェックしておくことをオススメする。

美山加恋さんも体張ってがんばってます!

(安田俊亮)