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PS Vita「英雄伝説 碧の軌跡 Evolution」インタビュー
豪華声優陣によるドラマチックなフルボイス!
キャラと世界観とシナリオが、音によってつながれる!!
(2014/6/12 00:00)
- 6月12日 発売
- 価格:
- 6,264円(税込:Vitaカード版)
- 5,184円(税込:DL版)
- 8,424円(税込:限定版)
- 10,584円(税込:キャラアニ限定BOX)
- CEROレーティング:C(15歳以上対象)
本日、2014年6月12日、PlayStation Vita用ソフト「英雄伝説 碧の軌跡 Evolution」が発売された。数々のゲーム賞を受賞した日本ファルコムの人気RPG「英雄伝説 碧の軌跡」(PSP版)を、大幅にバージョンアップ。メインシナリオのフルボイス化、ビジュアルの総リファイン、サブイベントの追加などを施し、新たなゲームとして再構成した。
企画・製作を手掛けたのは、「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」でコンシューマーゲームに参入し、高い評価を受けたキャラアニ。開発は「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」同様、ピラミッドが担当している。
そもそも「軌跡シリーズ」の魅力とは、いったいどんなところにあるのか。「英雄伝説 碧の軌跡 Evolution」はどのような進化を遂げたのか……。キャラアニの平賀忠和プロデューサー、ピラミッドの中野 賢代表取締役社長、そして本作の大ファンであり楽曲のアレンジャーでもあるFalcom jdk BANDリーダー・岡島俊治氏に、たっぷりと語っていただいた。
「軌跡シリーズ」の魅力は、どこからプレイしても楽しめる“つながり感”にあり!
――まずは皆さんがお感じになっている「軌跡シリーズ」の魅力についてお聞かせください。
平賀忠和氏(以下、平賀氏): なんといっても、世界観にずっしりとした重みが感じられるところですね。「碧の軌跡」単体でも十分に楽しめるのですが、その前の「零の軌跡」や「空の軌跡」から、物語や世界設定が脈々と引き継がれている。「碧の軌跡」をプレイすることで、これまでの歴史を振り返ることができるようになっているんです。特にすごいと思うのが、その設定が後づけではないところ。「碧の軌跡」に登場する人物が、過去の作品で大きなテロ事件に関わっていたり、実は敵だったり……。
また、一見関係ないように見えるキャラ同士が過去・現在・未来において密接につながっていた、なんということも少なくありません。まるで一冊の分厚い歴史書を読んでいるような重厚感がある。僕のような“年表大好き”な設定マニアにとっては、たまらないゲームだと思います。
岡島俊治氏(以下、岡島氏): まさに大河ドラマですよね。僕は、「零の軌跡」から「空の軌跡FC」、「閃の軌跡」、「空の軌跡 the 3rd」そして「碧の軌跡」という、かなりめちゃくちゃな順番でプレイしていったんですが(笑)、それでもたっぷり楽しめました。世界設定が緻密で矛盾がないこともあって、どこからプレイしても必ず物語がつながるようになっている。
例えば、「零の軌跡」に登場するエステルとヨシュア。わけあり感満載で登場するんですが、最初は“わけあり感”しかわかりませんでした(笑)。ところが、遡って「空の軌跡FC」をプレイすることで「これがあの人たちか!」と深く納得できるようになっているんです。どこからプレイしても楽しめるし、好きな順番でプレイすることで、ユーザーひとりひとりが作る新たな「軌跡シリーズ」が生まれ出す。「スター・ウォーズ」のような大作感と、どのシーズンから観ても楽しめる「24-TWENTY FOUR-」のようなリアルタイム感のある、とてもよく練り込まれたRPGだと思いました。
中野賢氏(以下、中野氏): もちろん「碧の軌跡 Evolution」から入っても、違和感なく遊べますしね。僕は開発を担当しているため、最新作からオンタイムでプレイすることが多いんですが、たまに必要に迫られて過去の作品をプレイすると、「あれ、『碧の軌跡』で脇役だったのこの人、主人公じゃん!」みたいな驚きに出会うことが多くて。出てくるキャラクター全員が主役級で、ひとりひとりに物語がある。だからこそ、シリーズを通して支持され続けているのでしょう。
岡島氏: いやもう、「どのタイトルも、どのキャラも、愛さずにはいられない!」みたいな(笑)。どれか1作品プレイしたら、結局全部やりたくなっちゃうと思いますよ。
――その“つながり感”が、多くのファンを虜にしている理由なのでしょうね。では、「碧の軌跡」単体で見たときの魅力とは、どういったところなのでしょうか? どんなつながりや、特徴があるとお感じになっていますか?
中野氏: 前作に当たる「零の軌跡」で仲間だったキャラクターが、各々の事情でバラバラになり、そこから物語がスタートする……というところが面白いと思いますね。離れ離れになっている間にいろんなことが起きていて、新しい人間関係や気持ちの変化が生まれていたりする。また、キャラの過去が明らかになるようなシーンも多く、より人物の深みが感じられるような内容になっていると思います。もともと好きだったキャラクターをより好きになったり、逆に好きだったはずなのにちょっと憎らしく思えたり。そういう、複雑な心境(笑)が味わえるゲームだと思いますね。
岡島氏: そう、しかも個人に寄ったところから始まって、気が付いたら物語がぐんぐんハードになっていくんです。ジェットコースターのような勢いでストーリーが核心に近づいて、やがてひとつの大きな出来事へとつながって行く。後半は歴代キャラが入り乱れ、息つく暇もないほどの、怒涛の展開が続きます。それから、インターネットや携帯電話があったり、車があったりと、かなり現代に近い世界設定になっているところもポイントですね。「軌跡シリーズ」の中でも異色な、ちょっとサイバーパンクっぽい空気感が漂っている。そういう独特の雰囲気の中で、「零の軌跡」とは比較にならないぐらい大きなうねりが、とんでもない勢いで起こっていくという、その不思議な感覚も面白いなあと感じました。
開発スタッフの愛情と声優陣の熱意が、本作にしかない“声の世界”を生み出した
――最新作「碧の軌跡 Evolution」(以下、「碧Evo」)は、どういった作品なのでしょうか?
平賀氏: PSP版の「碧の軌跡」を、全面的にパワーアップさせています。メインシナリオのフルボイス化、オリジナル曲のフルアレンジ、ビジュアルの総リファイン、サブイベントやイベントイラストの追加などなど……。今、PS Vitaでできることをめいっぱいに盛り込みました。単なる移植作ではありませんので、新しい作品としてプレイしていただけると幸いです。
――メインシナリオのフルボイス化というのは嬉しいですよね。あの豪華な声優陣がたっぷりドラマを聞かせてくれると思うと、それだけでワクワクします。
中野氏: 実は、メインシナリオだけでなく、サブイベントの一部にもボイスを付けているんですよ。先ほどお話ししたように、「碧の軌跡」は、仲間たちがバラバラになった状態でスタートします。シナリオが進むと、ひとり、またひとりと集まってきて、パーティが集結するのですが、中にはサブイベントでさりげなく初登場するキャラもいたりするわけで。弊社の開発スタッフから自然と「初登場なのにボイスがないというのはおかしいんじゃないか」という声が上がりました。メインシナリオをフルボイス化するだけでもいっぱいいっぱいだったので、1回は「それは難しい」と突っぱねるようなことを言ったのですが、それでも「開発スタッフ全員の想いなので、どうにかしたい」と強く主張されまして……。最終的に僕も「よし、わかった。キャラアニさんに提案してみよう」とOKした次第です。
平賀氏: 中野さん、自分で自分の首を絞めてますよね(笑)。いやしかし、この提案には、開発の皆さんの本気といいますか、強い愛情を感じました。そこまで思っていただけるというのは僕にとっても本当に嬉しいことで、担当者冥利に尽きますよね。
岡島氏: 僕は体験版を遊んでみて、オートプレイに感激しました。PSP版のときは、声優さんのセリフを待ってから、「終わった、よし次」といちいちボタンを押さなければならず、この作業に、ちょっとしたストレスを感じていたんです。でもオートプレイがあれば、ボタンを押すタイミングを気にすることなく、声優さんの演技や物語に集中できる。ドラマCDを制作しているキャラアニさんだからこそできた、「碧Evo」の真骨頂だと感じました。
平賀氏: ありがとうございます。声優さんの中には「空の軌跡」からボイスを担当してくださっている方も多く、物語やキャラを十分知った上で、イメージを持って演技をしてくださっていると感じました。
例えばオリビエ役の子安武人さん。演奏家オリビエのときと、皇子オリヴァルトのときで喋り方を変えていて、アフレコのときも積極的に「ここはオリビエだから奔放に行きましょう」とか「オリヴァルト皇子はこんな喋り方はしないはず」など、意見を出してくださいました。そこまで考えて演技をしてくださっているので、ボタンを押すことで遮ってしまうのは、あまりにももったいないと思ったんです。中野さんに無理を言ってオートプレイを搭載してもらって、正解だったと思っています(笑)。
――声優さんといえば、「碧Evo」からヴァルド役の声優さんが龍谷修武さんになったと聞きました。声優さんのチェンジというのは、なかなか難しいところがあると思うのですが……。
平賀氏: 今までヴァルド役をやってくださっていた滝下毅さんが不慮の事故で亡くなられて、同じ事務所の同僚でもあった龍谷修武さんが、ヴァルド役を買って出てくださいました。初めてのアフレコでの龍谷さんは、まるで滝下さんが降りてきたかのように、これまでのヴァルドそのままで……。同席していたスタッフが「驚きと感動で鳥肌が立った」と言っていたことを覚えています。
ただ一方で、僕らの中には“龍谷さんのヴァルド”を見てみたい、という気持ちもありました。声優さんが変わるというのはファンにとっても大きなことですし、僕らにとってもある種のチャレンジです。それなら思い切って、これからヴァルドを演じ続けるであろう龍谷さんの、龍谷さんらしいヴァルド像を作ったほうがいいのではないかと考えたのです。ご本人とも相談し、ボイスを撮り直して、最終的にはこれまでの色っぽいヴァルドとは違う、ちょっと不良っぽくて男くさい新しいヴァルドが生まれました。自信を持ってお届けできる出来栄えになっていますので、ぜひ“新生ヴァルド”を楽しみにしていてくださいね。特にヴァルドとワジの対決シーンは必見・必聴です!
中野氏: 同感です。僕らは、平賀さんや声優さんたちの思い・演技を大切にするため、とことん音質にこだわりました。アフレコの度にマスタリングを行ない、さらに後日、前後のつながりを見ながらリマスタリングを繰り返して。約2カ月、ほぼ休みなく行なわれたアフレコと並行して、手作業でボイスの微調整を行ないました。日本ファルコムさんのゲームって、“キャラクターと世界観とシナリオが、音によってつながれている”ように思うんですよね。ですから、絶対に音のクオリティは落としたくなかった。そこはこだわりを持って取り組んだつもりです。
岡島氏: なるほど。だから、キャラクターがあれだけ喋りまくっているのに音が綺麗なんですね。これだけ豪華な声優さんたちの、しかも長尺のセリフが、素晴らしい音質で聞けるなんて。デモで、リーシャが「シャーリィ・オルランドォォォッ!!」と叫ぶシーンを見たときは、あまりの迫力に全身が震えました。おまけに2枚組みでもおかしくないものが1枚に収まっているというお得感。これはありがたく、噛みしめてプレイしなきゃいけませんね!
目指したのは、PCエンジン版「イース」の、絶妙な楽曲アレンジ
――楽曲もフルアレンジされたとのこと。どういったことを意識してアレンジをされましたか?
岡島氏: あまりガラッと変えないように気を付けました。主役はあくまでもゲームなので、奇をてらったアレンジをしてゲームの世界を壊すようなことは、絶対にしてはいけないと思ったんです。それに、オリジナルの楽曲が、もともととても素晴らしかった。ですから、僕が実際にゲームをプレイして感じた「碧の軌跡」の世界観像に、楽曲のほうをほんの少しだけ寄せる、というアプローチをしていきました。
例えば、生楽器の音をベースに作られていたジオフロントの曲を、ゲーム中のサイバーなイメージに合わせてシンセサイザーの打ち込み音に変更したり、音色を広げて曲に深みを与えてみたり。意外と地味なアレンジをしているので、もしかしたら「あれ、大して変わってないじゃん」って思う方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)。
――確かに、曲が変わったというよりは、より豊かになった、という印象ですよね。
岡島氏: 僕が最強だと思っているのが、米光亮さんが手掛けられたPCエンジン版「イース」の楽曲アレンジなんです。より世界観をくっきりさせるような、絶妙なマイナーチェンジ感。出しゃばらず、かといっておとなし過ぎず、主役であるゲームを見事に盛り立てていると感じました。そういう、バランスのいいアレンジを目指したつもりです。
中野氏: 岡島さんから上がってきた楽曲を聞いて、「そうきたか」と思いました(笑)。僕ら開発の特権が、岡島さんの手掛けたアレンジを誰よりも早く聞けるということ。現場のスタッフもものすごく楽しみにしていて、「早くデータを整理して次に回してね」と言っても、なかなか回してくれないんですよ。聞きこんじゃうみたいで(笑)。
で、これをゲームに乗せると、ボイスやビジュアルのリファインと相まって、いい意味で、同じシーンが同じシーンじゃなくなって見えるんですよね。より共感できるというか、感情が動かされるというか。ゲームの持つ強烈な世界観が、より伝わりやすくなったと感じました。
平賀氏: 唯一ガラッと変わったのは、オープニングでしょうか。まさかここまでポップなものになるとは思っていなかったので、ただただびっくり。今までの日本ファルコムゲームにはない方向性で、「え、ここまでやっちゃうの!?」と衝撃を受けました。日本ファルコムの加藤会長も驚いたようでしたが、同時に「あのオープニング、いいねー!」と大絶賛でしたよ。
岡島氏: おお、それは嬉しいですね。PSP版の「碧の軌跡」では、序章の途中でオープニングが入る構成になっていたんですが、「碧Evo」では冒頭に入ることになったと聞いて、「そうか、ここだけは思いきり変えてもいいところだな」と(笑)。自由にやらせていただきました。ムービーも一新されていますので、まったく新しいオープニングとして可愛がっていただければなによりです!
ティオとみっしぃが踊っちゃう!? ほかにもまだある、「碧Evo」の魅力
――グラフィックスについてはいかがでしょう? どのような点が進化していますか?
中野氏: PS Vitaというハードに合わせて、ビジュアルを総リファインしています。また、光源からの距離で影が伸び縮みしたり、池や川に広がる波紋のゆらぎを表現するなどの演出も施しました。もっとも力を入れたのが、雨粒の表現ですね。雨がはねてレンズにつき、じわっとにじむような効果を取り入れています。にじんだ雨粒によって、向こう側の景色が揺らいで見える、というところまで表現しているんですよ。
岡島氏: 体験版で雨のシーンをプレイしたんですが、海外のFPSみたいな、カッコイイ仕上がりになっていました。こういう細かな工夫が、ユーザーのプレイ体験を変えていくんでしょうね。音楽もビジュアルも、決して劇的に変わっているわけではありません。でも、確実に深みが増していて、プレイしていると、じわじわ「違うぞ」ということがわかってくる。このじわじわ感も、「碧Evo」の魅力だと思います。
平賀氏: ほかにも、サブクエストやミニゲームが追加されています。追加された5本のサブクエストの中には、ティオがみっしぃとダンスするという、ファン垂涎のシーンがあるものも! それから、CEROのレーティングがBからCに変わっていますが、これはプレイしてみてのお楽しみです(笑)。
中野氏: 僕、イチオシのシーンですね(笑)。がんばれば嬉しい特典に出会えるかも……!? 個人的には、導力車のペイントパターンが増えているところも楽しいなと思いました。本集めやレシピ集めが好きな方なら、グッとくること請け合いです。物語とはほとんど関係ありませんが、こういうちょっとした追加要素も、ぜひ見落とさずに拾っていただければと。
平賀氏: あとは、使い勝手の良さにも注目していただきたいですね。オートプレイだけでなく、MAP画面や戦闘シーン、いろいろなところでかなり操作がしやすくなっていると思います。「零の軌跡 Evolution」でできなかったことを「碧Evo」に盛り込んでいますので、「零Evo」から「碧Evo」の進化にもご期待ください。
岡島氏: 「碧Evo」は、間違いなく移植作ではなく新作です。すべてにおいて今までとは違う「碧の軌跡」が体感できますので、ぜひ自分の持っているイメージをリセットして、フレッシュな気持ちで楽しんでみてください。そしてなにより、ボリュームを大きくして遊んでほしい!!(笑) 音量を上げても邪魔にならないようなBGMですので、楽曲の微妙な変化と、声優さんと中野さん渾身のボイスを、がっつり堪能しちゃってください!!
――お話を伺って、一刻もはやく「碧Evo」をプレイしなければ、という気持ちになっています。お忙しいところ貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました!
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