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NVIDIA、ティアリングやカクつきから完全解放する「G-SYNC」を発表

無負荷で1080p録画・配信を可能にする「ShadowPlay」ほか、豪華ゲストを招いて重大発表を連発!

10月17日〜18日開催(現地時間)

会場:Marriott Montreal

NVIDIA共同設立者兼CEO ジェンスン・フアン氏
今回発表された内容のまとめ

 現地時間10月18日、NVIDIAはカナダ・モントリオールにて開催中のプレスイベント「NVIDIA Editor's Day」にて、NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏が登壇し、PCゲーミングを次世代に引き上げる革新的な3機能の発表を行なった。NVIDIAのトップ自らがプレゼンテーションを行なうという力の入れように比例し、いずれもゲームシーンにおいて非常に重要な機能の発表となっている。

 1つ目は、ゲーミングモニターの垂直同期システムを根本から変革する新技術「G-SYNC」。これは従来のVSYNCオフ環境と同様にGPUパワーをフルに引き出しつつ、ティアリングやフレームドロップによるカクつきを原理的に根治するという画期的な新発明だ。

 2つ目は、かねてより近日中の登場がアナウンスされていたゲーム動画の録画・配信機能「ShadowPlay」。Keplerアーキテクチャ以降のGPU搭載PCにて、ゲームのパフォーマンスを全く低下させることなく最大1080p/60fpsの録画・配信を可能とする新フィーチャーが、まもなくβアクセスを開始する。

 3つめは、PCゲームをどこでも/いつでも/どんなモニターでもプレイを可能とする包括的なストリーミングゲーム環境ソリューション「Game Stream」。サーバーシステムのNVIDIA GRID、GeForce搭載PC、携帯ゲーム機NVIDIA SHIELDとPCモニタ/リビングTVにより構築されるエコシステムの総称だが、今回はPCゲームをSHIELD経由にて大画面テレビでプレイする機能の詳細が明かされている。

 プレゼンテーションの最後には新GPU「GeFroce GTX 780 Ti」もチラリと紹介されるなど、PCゲーマーにとってのビッグニュースが連発した形となった今回の発表。上記3つの重大機能を順番に詳しくご紹介していこう。

さよならVSYNC問題。ゲーム描画とモニタ表示を完全同期させる「G-SYNC」

PCゲーミングの3大エネミー

 良質なゲーミングモニタを使用することは、PCゲーム環境の品質を高める上で決定的な要素だ。現在、こだわり派のゲーマーは120Hz〜144Hz駆動のモニタを利用することで高いレベルの滑らかさを手にしているが、そんな贅沢な環境でも切っても切れない縁にあるのがVSYNCをオフにすることで発生するティアリングや、オン時のフレームドロップによる顕著なカクつき、入力遅延である。

 これは、ゲームを描画するGPUと、完成したフレームバッファをスキャンして表示するモニタとが、非同期に動作していることから、必然的に発生する副作用だ。

 つまり、GPUを休ませず最大パフォーマンスを出すためにVSYNCをオフとすれば、前後のフレームが混ざってティアリングが発生する。それを避けるためVSYNCをオンとすれば、垂直同期待ちのためのラグが発生したり、1フレームの描画がリフレッシュレート内に行なわれなかった場合に表示タイミングが2倍となりカク付きと、ひどい入力遅延が発生する。

従来型モニタの理想はこうだが
実際にはこうなりがち
かといってVSYNCをオフにすると
こうなる

「G-SYNC」で一挙解決
GPUドリブンで表示タイミングを決定、完全浮動リフレッシュレートを実現する

 VSYNCをONにすればこっちがダメ、OFFにしてもそっちがダメというパズルを完全に解くにはどうすればよいのだろうか。この難問を画期的な発想で解決するのが今回発表された「G-SYNC」である。

 これは、GPUとモニタを連動させるための新しいパネルリフレッシュの仕組みだ。「G-SYNC」対応モニタは、NVIDIA GPUがフレームバッファを完成させたタイミングを検知し、画面のリフレッシュを開始する。そして、GPUが次のフレームバッファを描画し終えるまで画面をそのままホールドし、描画が終われば次のリフレッシュを開始するのだ。つまり、液晶パネルが60Hz、120Hzといった固定リフレッシュレートをやめ、GPUドリブンで“完全浮動リフレッシュレート”動作を実現する仕組みなのである。

 この仕組みにより、特にこれまで60fps前後でフレームレートが浮動していたようなゲームで顕著な見た目の改善が実現する。具体的には、描画処理が16ミリ秒で終われば、16ミリ秒後に画面がリフレッシュを開始し、次のフレームで描画に20ミリ秒かかれば、20ミリ秒後に画面がリフレッシュする。

 だから、絶対にティアリングが起きないし、描画時間がちょっぴり長引いた際に、従来型モニタのように突然フレームレートが1/2に低下してカクつきを生じたり、垂直同期待ちによる操作ラグが発生ることもない。40〜60fpsあたりでフレームレートが浮動する環境でも、従来の常時60p描画と変わらぬほどの完璧な滑らかさを得られる。

 しかも表示遅延は常に最小限にとどまるのだ。何しろ、描画完了後、即画面をリフレッシュするという最速の表示タイミングが100%保証されているのである。このため、従来のVSYNCオフ環境よりも入力→表示までの遅延が少なくなることにもなる。

【G-SYNC実機デモ】
ASUS製の「G-SYNC」対応モニタと、非対応モニタにて違いをチェックできた
45fpsで描画。非対応の60Hzモニタでは盛大にティアリング発生中
「G-SYNC」モニタでは全くティアリング無し。動きもぬるりとした滑らかさ

 ジェンスン・フアン氏はこれを「コンピューターグラフィックス界における根本的な変革」とする。従来、ゲームグラフィックスは、特にアーティスティックな理由もなく決められた60Hzのリフレッシュレートに全てを縛られていた。それが根本から否定されたのだから、まさにそのとおりだ。ゲーマーはティアリングやチラつき・カクつきから完全解放され、クリエイターも、映像品質やゲームプレイ上の必要から自由にターゲットフレームレートを設定することが可能となる。

 ハードウェア的には、「G-SYNC」はモニタ側に搭載するOEM回路となるため、対応ゲーミングモニタの発売が待たれる。出荷時期はざっくり来年2014年中とのことだが、既にASUS、BENQ、PHILIPS、ViewSonicといった錚々たるメーカーが対応の名乗りを挙げている。市場に登場すれば、その後のゲーミングモニタが「G-SYNC」対応か、非対応かで価値が全く変わってしまうほどのインパクトを持つことは間違いない。

【スペシャルゲスト】
セッションの最後に「G-SYNC」の実現を後押したゲーム業界のキーマン達が登場した。EPIC Gamesのトップであるティム・スウィーニー氏、DICEの技術責任者ヨハン・アンデルソン氏、FPSの生みの親として知られるid Softwareのジョン・カーマック氏である。特に出不精と言われるスウィーニー氏と、カーマック氏というFPS界の重鎮両氏が一同に介するのは超レアケース。スウィーニー氏、アンデルソン氏は今世代のゲーム機までにクリエイター・ゲーマー双方を苦しめてきた“30fpsしばり”からの解放の喜びを力説。カーマック氏は現在取り組み中のVRデバイスについて、「G-SYNC」ライクな技術の応用が成されれば臨場感の確保と向上に絶大な効能があることを示唆し、その技術的重要性を強調した。

(佐藤カフジ)