PCゲーミングデバイスレビュー「ASUS PG278Q」
ASUS PG278Q
G-Sync駆動でワンランク上の滑らかさを実感可能。表示遅延も低減
(2014/9/9 00:00)
G-Sync駆動でワンランク上の滑らかさを実感可能。表示遅延も低減
本製品最大のウリは144Hzという高リフレッシュレートそのものではない。WQHDという高解像度にG-Syncを組み合わせたところにその真価がある。以下、詳しく説明しよう。
筆者はすでに120Hz環境に慣れきっているので、本製品の最大144Hzというリフレッシュレートによる違いはあまり感じていない。筆者のPCにはいまのところハイエンドに属するGeForce GTX 780が刺さっているが、そもそもこの環境でも144HzきっかりのフレームレートがWQHD解像度で出せるゲームがそんなにない。
この環境では大半のゲームが100fps前後、いっても120fpsちょっとで頭打ちになるので、例えば「Team Fortress 2」や「Counter-Strike: Global Offensive」のようなそもそも軽量に作られているものを除けば、144Hzという高リフレッシュレートそのものは体験できない状態だ。これをフルで活かすには今世代のハイエンド機もしくは1つあとの世代のハイエンド機が必要になるだろう。
そこで役に立つのがG-Syncである。NVIDIAコントロールパネルでG-Syncを有効にしてからゲームを起動すると、モニターのリフレッシュレートはゲームの映像更新に同期するようになる。96fpsで動いてる瞬間は96Hz、54fpsで動いている瞬間なら54Hz、144fpsで動いている瞬間なら144Hz……と、1フレーム刻みで映像のパネルの更新・表示が完全に同期するのだ。
これによる最大の効能は、動きの滑らかさの劇的な向上だ。100~120fpsで動くゲームは144Hz相当の滑らかさに見え、80fps以上で動いていれば120Hz相当の滑らかさに見える。60fps以上80fps以下の中途半端なフレームレートで変動していても60Hz・VSYNCありの状態よりはるかに滑らかに見える。45~60fpsまで落ちても、60fps相当の滑らかさに見えるのだ。
つまり、WQHDという解像度では144fpsなんてフレームレート出ないよ、という環境でも、144Hzというリフレッシュレートに匹敵する滑らかさで映像を目にすることができるのだ。従来、ネイティブリフレッシュレートに足りないフレームレートでプレイするさいにはVSYNCをオフにするケースが多かったが、その際に発生するティアリング等の問題も、G-Sync駆動ではゼロ。ゲームをWQHDでプレイする際に、何も犠牲にしなくていいのだ。
さすがにゲームの動作が45fpsを下回るとだんだんカクカクに見えてきて、30fps近辺になるとG-Syncの見た目の恩恵はわからなくなってくる。が、低フレームレート状態で逆によくわかるようになるのが、入力遅延の少なさである。
G-Syncはゲームとパネルのリフレッシュを同期させる。つまり、どんなフレームレートであれ、ゲーム映像の描画が終わった瞬間に必ずパネルがリフレッシュされる。G-Sync以前の垂直同期ソリューションでは、パネルが一定のリフレッシュレートで動作するがゆえに、リフレッシュ待ちのタイミングがどこかで必ず発生していたのだが、G-Syncではそれがない。このため、操作→表示までの遅延が短縮され、より良いレスポンスが得られる。
この効果はゲームのフレームレートが低ければ低いほど顕著に現れ、30fps前後では強く体感可能だ。ゲームの中には状況によってフレームレートがガタ落ちになるものもあるが、そういったシチュエーションで、操作の快適さが大きく崩れてしまうことが避けられるのだ。これはG-Syncによるもうひとつの有難い効果であるといえる。
ちなみに、WQHD以上の解像度でヘビーなゲームを144Hzで動作させるには、現行のハイエンドGPUを複数枚SLI動作させるという手があるが、複数のGPU間で同期待ちが発生する原理上、この方法ではラグが増える。であるので、GPU1枚の環境で滑らか映像を見せてくれるG-Syncさまさまである。
というわけで、G-Syncの効果は充分に体感可能なレベルで、その恩恵を受けることができた。滑らかさの向上やティアリングの根絶だけでなく入力遅延の低減という効果もあるとなれば、これはますますコアなPCゲーマーのおメガネに叶うというものだろう。筆者にとっても本製品は、これが欲しかったんだ、という一言が出てしまうようなパーフェクトな一品である。
WQHDという高解像度環境をフルに活かし、快適にゲームをプレイする。そんな贅沢を楽しみたいなら、本製品を使うしかない。確かに値は張るが、その価値は大いにある。