ニュース
NVIDIA、「NVIDIA GAMEWORKS」発の新ゲームテクノロジーを発表
ゲームの視覚効果は映画品質へ!Ubisoftの次世代ゲームもよりリッチに!?
(2013/10/18 12:00)
NVIDIAは現地時間の10月17日、カナダ・モントリオールにて新しいゲームテクノロジーを紹介するプレスイベント「NVIDIA Editor's Day」を開催した。
通常、NVIDIAが主催するプレスイベントは、ゲームメディアが対象になることは少なく、どちらかといえば技術・産業・学術系の媒体がまんべんなく招待されるケースが多いのだが、今回はゲームメディアのみが対象となっており、珍しいケースだ。俄然、発表の内容は新GPUなどハードの話題ではなく、非常にゲームコンテンツそのものに特化した内容となった。
本イベントは現地時間17日、18日の両日にかけて実施される。本稿ではまず、PCゲーム開発向けの新テクノロジーの発表が行なわれた初日の模様をお伝えしよう。
ゲームVFXの専門集団「NVIDIA GAMEWORKS」が提供する、映画品質の新機能
各国のゲームメディアを集めて行なわれたメインプレゼンテーションでは、NVIDIA、コンテンツ&テクノロジー担当シニア・バイス・プレジデントのトニー・タマシ氏が登壇し、NVIDIAにおけるゲーム技術の研究開発への取り組み、ゲームデベロッパーとの協力体制構築への取り組みをアピールした。その中で、NVIDIAは“地球上で最も多くのゲームデベロッパーと協力体制を築いているテクノロジー企業”だと言い切り、ゲームへの力の入れようと自信のほどが伺えた。
NVIDIAではゲームデベロッパー各社との協業体制を築いてきたなかで、「GAMEWORKS」という開発者向けのサービスプラットフォームを組織している。これは、第一線のVFX(視覚効果)エンジニア、研究者、アーティスト総勢300人あまりからなる研究開発組織と、その成果として生まれてゲーム開発者向けに提供される数々のSDKやライブラリ、ツールキット、エンジン技術等を総称するものだ。
例えば、500タイトル以上で使われUnityやUnreal Engineにも搭載されている有名な物理エンジン「PhysX」や、そのオーサリングシステムとして活用されてきた「APEX」は、「GAMEWORKS」によるライブラリおよび開発者向けツールキットのひとつだ。
このほかGPUを用いたリアルタイムレイトレーシング技術であるOptiX、最近のPCゲームで次第に使われるようになってきた高品質なアンビエントオクルージョン技法であるHBAOなども、「GAMEWORKS」が普及に務めるゲーム向けの最新技術である。
その「GAMEWORKS」から提供されるソリューションの一環として今回、3つの新たなテクノロジーが発表された。PhysXの活用法を更に広げる物理シミュレーションフレームワーク「FLEX: UNIFIED GPU PhysX」、リアルタイムのグローバルイルミネーションを実現する「GI WORKS」、ボリューメトリックでリアルな炎を描画するVFXエンジン「FRAME WORKS」である。
いずれの技術もNVIDIAが強調するのは、技術的な水準と表現の中身において、映画業界で用いられる技術に匹敵する品質を提供するテクノロジーである、ということだ。
その中でも映像だけでなく物理を扱う「FLEX」は、これまでの技術では不可能だったゲームプレイを実現することになるかもしれない技術だ。これは、従来別々に処理されてきた、剛体物理、軟体物理、流体物理の各シミュレーションを統合したソリューションなのである。
例えば、水風船に穴を開けると中から液体が吹き出てきて周囲に散逸し、亀裂の入った風船がシワシワにしぼむといった表現が可能になる。これは、「FLEX」でクロスシミュレーションと流体シミュレーションを複合的に扱うからこそ可能になる表現だ。
これ以外にも「FLEX」では剛体・軟体・流体を組み合わせた様々な表現が可能となるため、例えばカーシミュレーションに応用されるとすれば、車体、タイヤ、燃料等のコンポーネントが持つ物理的なメカニクスを適切な方法で再現できるはずで、これまでとは全く違ったレベルのシミュレーションが可能になりそうである。
この「FLEX」を含め、今回新たに発表された各テクノロジーは、来年の第1四半期からゲームデベロッパー向けに提供が開始されるとのことだ。したがって、これらを活用したゲームの登場は早いものでも来年の夏以降になるだろう。