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「FFXIV: 新生エオルゼア」発売記念イベントが開催

“新生”を成し遂げた開発陣が大集合! 応援し続けたユーザーと共に祝う新たな第1歩

8月27日開催

場所:Hikarie Hall

 スクウェア・エニックスは、8月27日、渋谷Hikarie Hallにてプレイステーション 3/Windows用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」の発売記念イベント「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア 発売記念イベントin 渋谷ヒカリエ」を開催した。

 このイベントは「出張プロデューサーレターLIVE in 渋谷」として生中継が行なわれ、会場には抽選で選ばれた200名以上のユーザーが集まった。「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクター吉田直樹氏に加え、本作に関わった開発のコアメンバーが集まり、開発秘話や各開発者のこだわりが語られた。

 「FFXIV: 新生エオルゼア」は1度リリースされた作品を“再生”した作品である。開発スタッフは、開発期間が短く、要求水準は高いという前例ががないほどの難しい環境の中、開発を進めていった。ユーザーも仲間が減っていく中、ゲームをプレイし続け、テストに参加し意見を贈り応援し続けた。イベントでは“新生”を果たしたタイトルを祝う、喜びに包まれたものとなった。

苦労と苦闘の末に「新生エオルゼア」を作り上げた開発スタッフ

FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクター吉田直樹氏
コミュニティチームの室内俊夫氏
スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋佑氏
抽選で選ばれた200名以上のユーザーが集まった

 「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア 発売記念イベントin 渋谷ヒカリエ」では最初に、スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋佑氏が挨拶した。松田氏は、「『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』は『FF』本編の最新作であり、皆さんのおかげで再生した希有なタイトルです。開発陣は一丸となって本当にがんばってくれました。これもみなさんの支えがあったからです。開発・運営陣には私の方からも感謝したいと思います。今日から新しい冒険が始まります。是非本作の世界を心ゆくまでお楽しみください」と語った。

 松田氏の挨拶の後は「直樹の部屋」として、「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏と、コミュニティチームの室内俊夫氏が、開発のコアメンバーを呼び、様々なテーマで開発秘話を語っていくことになった。吉田氏は最初に「今話すと泣いちゃいそうだから、後で話します」と短くコメントし、開発者を招いてトークを繰り広げていった。

 1番に登壇したのは「ゲームデザイン&バトル部門」として、リードUIアーティストの皆川浩史氏と、リードゲームデザイナーの河本信昭氏。提示された質問は「FFXIVを作り直すと聞いたときどう思ったか?」。皆川氏は「大変なことになっちゃったなと。作るのが大変だし、ユーザーの信頼を取り戻すのは大変だと。しかも最初の吉田さんの出してきたスケジュールがすごかったんです」と語った。皆川氏は思わず最初は頭を抱えたという。吉田氏も「確かに最初に僕が出したスケジュールはひどかった」と語った。

 吉田氏は開発で1番きつかったことは、2011年6月くらいに、それまでケアルガを連発してもMPが枯渇しなかったゲームのバランスを変えたときだと語った。この時はユーザーからの反発が大きく、しんどかったという。しかしその変わったゲームバランスこそが吉田氏が指し示したかった「FFXIV: 新生エオルゼア」の最初の姿だったとのことだ。

 河本氏は「あと3カ月開発期間が長かったら何に手を入れたいか?」という質問に「それならば新しいコンテンツを入れたい」と答えた。河本氏は開発内で“バグ大臣”と呼ばれるほどにゲームの修正、調整に尽力したという。今後もまずはユーザーの要望に対応し、支えていきたいという。

 次に「テクニカル部門」としてテクニカルディレクターの橋本善久氏が登壇した。本当はメインプログラマーの春日秀之氏も登壇予定だったが、サービス開始日のために現場に張り付いているとのこと。春日氏は会社の近くに引っ越し、緊急時にいつでも対応するようにしているという。

 橋本氏への質問は「DirectX 11に対応するとどこが変わるか?」。「FFXIV: 新生エオルゼア」は現在DirectX 9ベースで開発されている。これが新たにDirectX 11に対応すれば、パフォーマンスが上がり、ライティングが良くなったり、皮膚やフォグ、水の表現など様々なグラフィックスが向上できる。しかし、「何をするか」というその選択こそが大事だという。選択肢は無数にあるが、快適なゲームプレイのためには選択が必要となる。

 これはこれまでも繰り返してきた作業であり、これまでも技術を実際に使って“実験”を行なって開発を進めている。目で見なくてはわからないものを試しながら取捨選択して開発を進めていくというのが本作に限らないゲーム開発の仕方だという。

 「FFXIV: 新生エオルゼア」では、PS3版において、シャドウをきれいにするか、ティアリング(線のようなちらつきが出る問題)を抑えるか、画面の解像度を上げるかという3つの選択に迫られた。吉田氏はリーダーとしてシャドウを選択したが、ユーザーからの反応でティアリングへの対応も行なった。DirectX 11でもこのように選択と、ユーザーからの反応で方向性を決めていくという。

 「プログラマーは魔法使いだと言われるが、魔法を使わないと無理、といえるような無茶ぶりをされたことはあるか?」という質問に橋本氏は、「このプロジェクト自体がまさにそれ」と答えた。特にPS3の最適化は春日氏のミリ単位の調整によってなしとげられたもので、まさに魔法を見るかのようながんばりようだったという。

 橋本氏の次には「デザイン・アート部門」としてアシスタントディレクターの高井浩氏と、リードデザイナーの鈴木健夫氏が登壇した。「装備品やエフェクト、モーションやデザインなどへのこだわり・気をつけていることは?」という質問に鈴木氏は「ゲーム体験への連動」と答えた。吉田氏の発注は派手なデザインが多く、ユーザーもかっこいい装備品や派手なモーションを求める。その傾向を意識してデザインしているという。

 「エフェクトにも装備品やモンスターのようにコンセプトアートが存在しているのか」と言う質問には髙井氏が答えた。エフェクトは現実では存在しないものが多く、コンセプトアートなどはなく、デザイナーに一任されることも多い。このため発注する側も具体的なイメージを伝えられない場合も多く、髙井氏が見た目のいい会心のエフェクトを作ったのに、プランナーから「かっこいいけど、自分のイメージとは違う」と言われてしまったこともあるという。

 「装備品はイメージから作るのか、性能から逆算してデザインしていくのか」と言う質問に髙井氏はクラスイメージ、ジョブイメージがあり、そこからデザインしていくと答えた。そこからレベル帯に合わせて作っていくが、この時点でストーリーやクエストの細部ができていない場合もあるので、「このクエストならばデザインはもう少し変えられたのに」と思う様なこともあるとのことだ。

 「正直吉田Pに『メテオ落ちろ!』と思ったことは何回ぐらいあったか?」という質問に髙井氏は「第18霊災までは数えていた」と答えた。それ以上は忙しくなって数えていられなかったという。特に後半は髙井氏はPVも手がけ、編集をほぼ1人で担当していた。吉田氏はかなりPVにこだわり、髙井氏に無理なお願いを重ねたとのことだ。

【登壇者】
リードUIアーティストの皆川浩史氏
リードゲームデザイナーの河本信昭氏
テクニカルディレクターの橋本善久氏
アシスタントディレクターの高井浩氏
リードデザイナーの鈴木健夫氏
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(勝田哲也)