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「真・女神転生IV」クローズド体験会を開催

2時間の体験プレイで見えてきたシリーズ最新作の姿をレポート

5月4日 開催

 いよいよ5月23日に発売される3DS用RPG「真・女神転生IV」。このクローズド体験会が都内某所にて開催された。この体験会は、事前に募集をかけ、当選したプレーヤーのみが参加できるもので、体験会用の特別バージョンのソフトを使用し、1人あたり約2時間の体験プレイができるというもの。実際にプレイしての本作のファーストインプレッションをお届けしていこう。

 なお、ストーリー方面はネタバレを避けて記述していない。本作の世界観や概要においては、以前に掲載されたこちらの記事をご覧頂ければ幸いだ。

体験会の会場の様子。時間をわけて3回がこの日に行なわれ、15人ずつ約2時間プレイできた。座席にはプレイの簡単なガイドと、アンケート用紙が用意された
夢の中で、何者かに呼ばれ、名を名乗る主人公。シリーズの伝統的なオープニングだ

 プレイは冒頭から“これぞ「真・女神転生」”というシークエンスから始まる。夢の中、謎の声に誘われ名乗り、そしてラフな言葉遣いの人物、丁寧な言葉遣いの人物と出会う。そして……プレイ全体を思い返してもそうだが、“奇妙な非現実感”があり、テイストの面でも「真・女神転生」らしさを随所に感じさせる。

 イベントシーンの会話では主要キャラの姿がバストアップで、それ以外の例えば街の人などは、遠目の立ち姿で描かれている。表情が微妙に見えないぐらいの距離になっていて、どことなく不気味さを感じさせる。これもまた「真・女神転生」や「II」を感じさせる見せ方だ。なお、イベントシーンでの主要キャラクター達の会話はフルボイスだ。

 ゲーム冒頭、東のミカド国でのエリア間の移動は、全体マップから施設や場所を選ぶという形式。移動するとそこにいる人物が表示され、「誰と話しますか?」と問われる。「真・女神転生」や「II」でバーなどに入った時を思い浮かべてもらうと近い方式だ。ここからダンジョン構成の場所に入ると3Dフィールド表示になる

 3Dフィールド表示になると一転して、画面構成や操作は「真・女神転生III-NOCTURNE」に近いものになる。主人公の姿が表示され、スライドパッドで前方、左右、後方へと移動させていく。上画面が移動している様子を映すメイン画面、下画面はミニマップが表示される。

 操作をまとめると、L/Rボタンで視点回し(左右)、Bボタンで視点位置リセット、Yボタンでメニュー画面、Xボタンで敵シンボルへの攻撃アクションを行なう。攻撃アクションは、敵のエンカウントシンボルに当てると戦闘開始時に先制ダメージを与えられるというものだ。

 3Dフィールド画面では、周囲が腕に装着しているガントレットによって自動でスキャンされ、何か調べられるところなどがあれば、アイコンが出るようになっている。調べられるものには色々とあるが、「魔法遺物」というランダムにアイテムがもらえる箇所は、1度取得してもしばらくすればまたアイテムが取れるようになっているようだ。

 調べる箇所には、人がギリギリくぐれるような抜け穴であったり、乗り越えられる段差といった、高低差のある通路などもあった。これは十字ボタンで上下左右に視点を変えてチェックさせると通れるようになる。このような場所がマップのところどころにあり、それがショートカットになっていたりもする。これまでのシリーズになかった十字ボタンでの操作はちょっと独特で、前方に見えている段差を降りる時にも1度下を押すという操作になっているので、慣れればとスイスイ操作できるようになった。

ゲーム冒頭、東のミカド国でのエリア移動は全体マップの中から場所を選んで移動する方式。主要キャラ以外の会話は画像のように引き気味の立ち絵になっている。これが表情までは見えず、想像をかき立てる見せ方になっている
主要なキャラクターとの会話は、画像のようにバストアップに。イベント会話はフルボイスだ
ダンジョンでは「真・女神転生III-NOCTURNE」に近い3Dフィールド画面に。スライドパッドで移動し、L/Rで視点を左右に操作する。十字ボタンを使った高低差のあるルートを行く操作もあった
デジタルデータのように表示される敵シンボル。ぶつかると戦闘に入る
戦闘は弱点属性を上手くつくことで有利になる「プレスターンバトル」。右上に行動数を示すアイコンがあり、画像だと弱点を上手くついているのでターンが増えている
仲魔にするための会話では、会話相手の悪魔がグッと近寄ってきてアップになる。会話の流れはシリーズ作を踏襲しているが、選択肢やその反応もさらに豊富に

 戦闘は、敵を示すシンボルとぶつかると戦闘になる「シンボルエンカウント方式」。シンボルは青いデジタルデータのような姿になっていて、大きさや形作っている姿に違いはつけてあるものの、どんな悪魔なのかはおおまかにしかわからない。こちらを見つけると猛然と迫ってくるアクティブスタイルだ。前述のように、それを上手くXボタンで攻撃すると先制ダメージ、背後をつかれると先制攻撃されてしまう。

 戦闘システムは「真・女神転生III-NOCTURNE」からシリーズ作の代名詞とも言える“プレスターンバトル”。行動数が常に表示され、それが尽きたら相手のターンへと移っていく。弱点属性をつけば行動数が1回減らずに済んでもう1度行動できるようになるが、逆に攻撃をミスしたり、相手の耐性をもつ属性(ブロックや吸収できる属性)の攻撃をした場合、行動数が大きく減ってしまう。

 このあたりは「真・女神転生III-NOCTURNE」をプレイした人ならお馴染みのもの。独特だったのは、弱点をうまく突いた時に、敵・味方ともに「ニヤリとした」という、不敵さを表現する演出が加わっていたこと。これが憎らしく、仲魔がニヤリとしたら「いいぞ!」と思うものの、敵にニヤリとされるとたまらない。

 パーティーメンバーは主人公を含めて4人と、ゲスト参加枠があるのか、もう1人参戦した5人の時もあった。仲魔のストックできる数はプレイした範囲だと8枠で、そこから召喚したり、戻したりと入れ替えができる。

 悪魔との「会話」ももちろん健在。会話する悪魔を選ぶと、ググッとその悪魔がズームアップされて、会話が始まっていく。相手の問いかけに答えていくお馴染みの流れで、問いかけには、悪魔それぞれに性格や価値観の違いがあるのを感じさせてくれる。ひねくれた性格の悪魔には、「その答えにそういう反応をするのか!?」と驚かされつつ、攻撃されてしまうなんていうことも起きる。仲魔になるかどうか迷っているところからの交渉も、相変わらずえげつなく魔貨(マッカ)や魔石などのアイテムを要求してくる。

 ただ、会話のバランスは「真・女神転生」や「II」ほどのシビアさはなく、例えば持っていないアイテムを要求された時でも、「ごまかす」という選択や、素直に「持っていない」と答えても、それで会話が終わってしまわずに、他の要求品に変えてくれることが多かった。先々はどうかはわからないが、プレイした範囲では仲魔は作りやすいと思えた。

 一方で、戦闘のシビアさはこれぞ「真・女神転生」と思わせるものがあった。先制攻撃されて一気に仲魔が倒されたり、弱点属性を突かれて敵の行動が続き、何もできないままピンチに追い込まれたりと、シビアで気が抜けない。そうした場面でこそ、会話で上手く切り抜けたりと、プレーヤーの機転を効かせたプレイが求められる。

 実際のところ筆者も、この約2時間のプレイの中で何度も全滅した。全滅すると亡者が山ほどいる画面が映り、その先に「カロン」という人物がいる。カロンはマッカさえ払えば、死ぬ直前まで戻してくれる。復活後にマッカを徴収され、足りなければツケにもしてくれる。ただし、ツケのある状態でまた全滅したりすると、問答無用でゲームオーバーになってしまう。これが救済策と言える要素となっている。

 セーブも今作ではイベント中以外はどこでもセーブできる(セーブスロットは2個あった)ので、こまめなセーブを心がければ大幅なやり直しは回避できる。また、主人公がバトルで死亡しても、仲魔が残っていれば戦闘は続き、戦闘が終われば主人公はHP1で復活してくれるところも優しい(仲魔は復活しない)。バランス的なシビアさはあるものの、めげないようにする救済は多いという印象だ。

仲魔がスキルを全て修得すると、主人公に教えてくれる「ウィスパーイベント」が発生。主人公はこれでスキルを自由に身につけていく
悪魔合体はシリーズ作の組み合わせ表ではなく、検索条件を入れると結果が一覧で出るという新方式に。オススメ合体という手軽なものもある

 レベルアップによる育成面を見ると、まず主人公はレベルアップ時に各パラメーターに自分でポイントを振っていくシリーズ伝統のスタイル。パラメーターは「力」、「技」、「魔」、「速」、「運」。仲魔もレベルアップがもちろんあり、新たなスキルの修得や、スキルの進化や変化といった突発的な現象も起きる。

 本作で独特だなと感じたのは、仲魔が全てのスキルを修得した際にできる「ウィスパーイベント」というもの。これは主人公に仲魔のスキルを覚えさせることができるというもので、これによってレベルアップではスキルを覚えない様子の主人公も、それらを使えるようになっていく。ウィスパーイベントでは主人公に覚えさせるスキル数に制限等はないようで、仲魔のスキルを全て覚えさせることもできた。これにより、主人公の育成もどのパラメーターを伸ばすべきかは自由度があると思える。

 悪魔合体も独特な進化を遂げている。邪教の館もガントレットの中の“アプリ”となり、ポリゴンライクに表示される邪教の館の主“ミドー”はボイスありで喋り、どことなくシリーズのおどろおどろしさは薄れて、ポップなものを感じさせた。合体の進め方も独特で、シリーズ作の組み合わせ表ではなく、条件を検索(合体させる悪魔指定など)して、合体結果予想がすぐに表示される。どことなく現代的というか、スマホで検索エンジンを使っているような印象だ。

 オススメ合体という、イチオシのような組み合わせも悪魔合体の画面の最初に表示される。3つほど候補が表示され、これを選べばすぐにストックしている悪魔の組み合わせでオススメの悪魔が作れるようになっている。これもどこか、ネット通販などでの「あなたへのイチオシ」的なテイストだ。シリーズ未経験者でもすんなり入っていけるように工夫されている。

 主人公の装備を購入できるショップもあった。今作では武器は近接と銃(と弾薬)、防具は、頭、上半身、下半身、アクセサリと装備枠があり、装備は近接武器、頭、上半身、下半身が3Dフィールド画面での外見に反映される。携帯機だからと簡略化されることなく、抜かりなく作られていた。

画像のように、装備品は全て外見に反映される。装備箇所も多く、本格的な育成や装備品選びが楽しめる
物語の舞台は東京へ。中世ヨーロッパを思わせる東のミカド国とは対照的な、荒廃した現代だ。どのような展開でサムライ達が東京を訪れるのかはまだ定かでないが、何か大きな2面性を感じさせる

 最後にプレイしての全体的な印象等をまとめるが、各要素やシステムはここまでで紹介してきたように様々な変化、進化が見られたが、芯の部分やバランス感覚には「メガテン」らしさを感じさせる。世界設定がファンタジーライクで、会話の見せ方などもバストアップの絵が表示されるなど現代のプレーヤーになじみのある形に進化しているが、全体にどこか流れる奇妙さ、非現実感、不気味さを感じた。何か、今公開されている設定等だけでは判断はできない展開が待っているように思わせる。

 ネタバレを避けるが、プレイ後半にはその一端を見る事もできた。「あれ、これってもしかして……わざと○○に似せている……?」と思えた場面も。トレーラームービーにもあった、白と黒、ファンタジーテイストな東のミカド国と崩壊した現代の東京。本作全体に2面性が潜んでいるように思える。

 プレイの手触りはとても好印象だ。グラフィックスのクオリティは充分に高く、携帯機ならではの手軽さ、自由な姿勢で遊びこめる良さがある。また、3D立体視も自然で、悪魔との会話など、1歩前に迫ってくるところなど、上手く使われていた。

 特筆すべきは読み込みの無さだ。少ないとか速いのではなく、ほぼ感じられないほど。バックグラウンドでの読み込みを工夫しているのか、「気づくとムービーシーンに入っている」というぐらいにスムーズだった。レスポンスが良く、リズムを壊されずに没頭してのプレイが楽しめた。

 もうひとつ特筆したいところに楽曲の魅力がある。小塚良太氏の手がけた本作の曲は、静かな不気味さを漂わせている。筆者の感じた“奇妙な非現実感”には楽曲によるところも大きい。戦闘では一転して、「真・女神転生」や「II」のロックテイストなメロディーを思い起こさせる曲になっていた。どの場面の曲も、シリーズ作のどれとも異なる新しい曲だが、どこかシリーズ作をプレイした時の記憶を呼び起こさせるところがある。今はまだ、その世界に触れただけの状況だと思うが、先々のシーンでの楽曲にも大いに期待したい。

 約2時間のプレイではあったが、本作のシリーズ作としては独特で新しさと「真・女神転生」らしさを併せ持った、新しい1作であることをひしひしと感じさせてくれた。難易度選択もいつでも可能なようで、シリーズ作未プレイの人でもすんなりと入っていける“今時な丁寧さ”もあった。操作の手触りや、レスポンスも良く快適。本格的に奥深く遊びこめそうな様子も感じさせ、発売が一層、待ち遠しくなった。

 なお、店頭体験会も今月に東京、名古屋、大阪で予定されているので、今回ほどの時間は取れないかもしれないが、いち早く触れて確かめてみたいという人は、そちらもぜひチェックして頂きたい。

【店頭体験会】
実施店舗開催時間
東京:ソフマップ秋葉原アミューズメント館5月16日 11時~19時
名古屋:ソフマップ名古屋駅ナカ店5月18日 11時~17時
大阪:ソフマップなんば店 ザウルス1 ソフト館5月11日 13時~18時
Amazonで購入

(山村智美)