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SCEJ・河野弘プレジデント ミニインタビュー

プレイステーション 4で「ゲームの楽しみ方」を提案していく

2月20日 収録

会場:The Hammerstein at Manhattan Center

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は現地時間の2月20日、ニューヨークのThe Hammerstein at Manhattan Centerで「PlayStation Meeting 2013」を開催した。この場では「プレイステーション 4」がついに発表となった。発売は2013年末の予定。

 本稿では、「プレイステーション 4」発表会後に同会場で行なわれた、SCEI関係者および報道関係者を対象としたカクテルパーティの席上で、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの河野弘プレジデントにお話を伺う機会があったので、その模様をお届けする。

「様々な遊びの提案をしている」

短い時間ながら精力的にいろいろと応えていただいた河野 弘プレジデント

GAME Watch編集部:ついに「プレイステーション 4」が発表されました。発表会の反応など、どのように感じられましたか?

河野 弘氏: まずは、みなさん、「PS4」の発表会で良かったと(笑)。肩すかしではなく良かったなと。安堵感を感じました。でも、1番、安堵しているのは僕やソニー・コンピュータエンタテインメントの面々だと思うんです。あれだけ憶測が流れている中で、言うことができず、どこかから変な伝わり方をすると、それこそ問題ですから。これでやっとPS4をやっているということを言っても問題が無いということでつっかえが取れました。

編集部:開発はいつ頃からスタートしたのでしょうか?

河野 弘氏: マーク・サーニーも言っていましたが、5年くらい前からアーキテクチャをデザインしていましたからそれくらいかかっていますね。

編集部:今回の発表会ではBLIZZARD ENTERTAINMENTの「DIABLO III」や、BUNGIEの「DESTINY」といったタイトルがPS4用タイトルとして発表されました。こういったビックタイトルが発表されたことで、SCEIの「本気」を感じたのですが。

河野 弘氏: そうですね。特に米国はコンソールの市場が非常に大きく、ポータブルよりはコンソール中心の市場ですから、いわゆるAAAのタイトルの持つ意味は大きいので、やはり気合い入っていますよね。

編集部:やはりメーカーさんに足繁く通われているのですか?

河野 弘氏: それは当然です。日本だって同じです。日本でポータブルであれだけ売れたのにってタイトルあるじゃないですか。それだって僕らは常に秋波を送っていますし、いろんな提案もしています。でもまぁ、いろいろな戦略もある中で難しくて、ユーザーのみなさんにそういうニュースをお届けできていないのですが、僕らとしてはゲーム会社さんに足繁く通って……私も相当行っています。責任者だけでなく、現場の方にも。

 ただ、「作ってください、お願いします」というだけではしょうがなくて、やはり「このマシンで、こういう世界を実現しませんか?」という話しですよね。

編集部:そういった意味では、PS4は1つの武器となり得ると?

河野 弘氏: そうですね。「拡がり感」があると思います。ゲームの本質の部分の追求ってあるじゃないですか? リアルな世界とのつなぎ目がわからなくなったり、高精細なグラフィックスで臨場感が素晴らしかったり。特に米国はそういった部分を追い求めるので。そこってどこまで行くのって感じもあって、それをやりながらも、一方で、プラスアルファの部分……「(ゲームの)楽しませ方、楽しみ方」って言うのがあると思うんですよ。スペック追求も良いけど、僕は、日本ではそういった部分が重要だと思うんです。

 たとえばファーストパーティのタイトルであれば、「GT5」や「みんなのGOLF」といった既存のタイトルをPS4でやったら、「こんなことができちゃうんじゃない?」っていうようなところを、(ファーストパーティに限らず)各社さんにお話をしているところです。バンダイナムコさんやKONAMIさんとか、彼等が持っているヒットタイトルがあるじゃないですか。それをPS4でやったら、こんな遊び方の提案ができるかもしれない。そうしたらこちらとしてもビジネスの用意があるといった提案もあります。

 いわゆる追加コンテンツの課金とか、プレイステーション・プラットフォームではすごく活況なんです。我々はユーザーのみなさんとの信頼関係を守ってやっているのですが、今回のPS4もいろいろなチャンスがあって、それをメーカーさんに提案していきます。いわゆる「お願い」ではなくて、一緒にこういった世界を作りませんかと。それによってゲームタイトルがより活況を増し、お客さんの層を広げることができ、ビジネスとしてのリターンも得られるといった提案ですね。

「クリエイターさんにPS4の反応は非常に良いです」

会場となったThe Hammerstein at Manhattan Centerのパーティルーム

編集部:クリエイターさんの反応はいかがでしょうか?

河野 弘氏: PS4はすごく良いと思いますね。それは1つには、(x86アーキテクチャやPCアーキテクチャがベース)作りやすさと言うところが担保されていますので、彼等にしてみれば、それはすごくウェルカムですよね。プラス弊社がしている提案は、ビジネス提案だったり、ゲームの要素だったりするのですが、具体的な提案を各社さんにしています。

 グラフィックスが美しくなるのは、デモで見ていれば「おぉっ」て思うのですが、それだけでは物足りない。ユーザーのパイを広げようと思うと、グラフィックスの美しさだけでは拡がらないんです。やはり「面白い!」って言ってもらえるような仕掛けや、幅広い年齢層に広げていかないと、コアな層だけだと縮んでいきますよね。日本は今、拡がることをやらなければいけないと思うので。

編集部:では、そういった人たちに向けて、パイが拡がるような要素がPS4にはあると言うことでしょうか?そういった部分を今後アピールしていけると言うことでしょうか。

河野 弘氏: ゲームの遊び方提案という意味では、(PS4には)たくさんあります。

編集部:なるほど、そういった意味では、コントローラーは気になる部分が多いのですが?

河野 弘氏: そうですよね! 今後徐々に明らかになるかと思います。

編集部:GAIKAIの技術を使用したサービスについても同様でしょうか? そもそも、PS4はネット接続が必須のマシンとなるのでしょうか?

河野 弘氏: いえ、そんなことはありません。ソフトとしては、きちんとディスク版(BD)も出ますし、PS3と同じようにオフラインでも楽しめますが、ネットを利用するとより面白いですよという提案をたくさんさせていただくということです。

 たとえば、実名でプレイするといった話も発表会で出たかと思うのですが、仲間内でプレイするのであれば、その方が盛り上がるなど、実名でやるのもいいかとおもうのです。その“輪”はかなり強固な“輪”ですよね。そういったゲームプレイが面白くなるような提案をやっていくつもりです。

 技術追求と遊び方追求、新しい楽しみ方の提案。「そういう楽しみ方があったのか」といった、そういったクリエイティビティの部分で日本には世界を牽引して欲しいんですよね。

編集部:ひとつ伺いたいのですが、今の時代、1つのマシンをワールドワイドで売るのは非常に難しい時代だと思います。日本ではリビングに人を戻せなくて、ポータブルマシンが中心となり、一方で米国ではきちんとリビングで楽しむ文化が根付いてます。欧州ではネットのインフラが日本などほどは良くなかったりします。各地域で状況が違う中で、PS4というマシンを売るときに、最も重要視したことはなにでしょうか?

河野 弘氏: (各地域とも状況が違っても)共通項があると思うのです。これまでプレイステーションが培ってきた技術レベル、グラフィックスの美しさですとか、PlayStation Networkとの親和性ですとか、そういった部分はうちの基本のストラクチャーですから、そういった部分は譲れません。

 そうしたうえで、日本はコミュニティ機能をかなり重要視していこうと思うんですね。そこをきちんと広げていけるのがPS4というマシンなのです。そこをマーケットの特性に合わせて展開していこうと思います。

編集部:それではPS4を待っているユーザーのみなさんに一言お願いいたします。

河野 弘氏: プレイステーション・プラットフォームは、常にユーザーさんの期待感を集めるプラットフォームじゃなければならないと思うんです。「最近プレイステーションって丸くなってきたよね」みたいにならないよう、いろいろなチャレンジをしていこうと思っています。PlayStation Vitaの値下げの発表もしましたけども、これはまだ日本だけなんですね。日本はかなりアグレッシブにやろうと思っています。

 プレイステーションの生まれた国は日本ですから。プレイステーションのOSは、日本が持っている数少ないOSですよ。PCはMicrosoftだし、携帯やタブレットはAndroidでしょ? まずOSがあるので、自分たちでロードマップを敷けないんです。でもゲームは、ソニーも任天堂さんも自分たちのOSを日本発で持っているわけです。その分、責任感も感じているのですが。だからこのゲーム・インダストリーを活性化させないでどうする! ですから頑張ります。

 我々は面白い提案をしていきますし、(ユーザーのみなさんにも)「もっと面白くなくてどうする?」ともっと言ってもらって、叩かれても叩かれてもそれに応えていきたいと思います。

編集部:PS4期待しています!

(船津稔)