東京ゲームショウ2012、ゲームデバイス関連レポート
“スティックのないスティック”にスマホ用ゲームパッドほか、面白ゲームデバイスをチェック!
9月23日まで開催された東京ゲームショウ 2012では、期待のゲームソフトと並んで新作ゲームデバイスの数々も来場者を楽しませてくれた。
会場内には「ゲームデバイスコーナー」がホール2に設置され、各ゲームデバイスメーカーが新製品をアピール。またホール4の入場口付近に立ち並ぶミニブースの数々でも、個性的なゲームデバイスのあれこれを見つけることができた。
本稿ではそれらをひとまとめにして、TGS 2012で見つけた奇抜で面白いゲームデバイスの数々をご紹介していこう。
■ 今年のハードコーナーはアーケードスティック百花繚乱。“スティックレスのアーケードスティック”とは!?
Razerブースでは開発中のアーケードスティックを展示。なおRazerでは本製品のβテスターを9月31日まで募集中(応募はコチラ) |
マッドキャッツブースではアーケードスティックを使った対戦会 |
エヌケー貿易ブースで紹介されていた「hitBOX」、開発者のダスティン・ハファー氏とともに |
例年はマウス、キーボードなどを多数展示するRazerのブースでは、昨年発表されたXbox 360専用アーケードスティックの“β版”が並べられ、トッププレーヤーによる格闘ゲームチャレンジが開催された。同じくPCゲームデバイスに幅広いラインナップを揃えるマッドキャッツのブースでもアーケードスティックを使った格闘ゲームのプレイデモが行なわれたりと、ゲームデバイスコーナーは“アーケードスティック”推しの雰囲気。
その中にひっそりと小型のブースを出展していたエヌケー貿易のブースにもアーケードスティックが展示されていたのだが、なんとこちらの「hitBOX」は“スティックのないアーケードスティック”という奇抜なもの。
アメリカの格闘ゲーマー、ダスティン・ハファー氏が開発したこの製品は、スティック部分をボタン化して、格闘ゲームにおける各種のコマンド入力を「100%確実に、しかも圧倒的に速く入力できる」(ハファー氏)という画期的なものとなっている。
通常ならスティックが配置されている部分には4つのボタンがあり、左側から順に「左ボタン」、「下ボタン」、「右ボタン」の3ボタン、そして下部に「上ボタン」が配置されている。なんとも奇抜なボタン配置で混乱しそうだが、下部の「上ボタン」を「ジャンプボタン」と考えれば、キーボードでFPSをプレイする感覚に近い。
このボタン構成により各種の必殺技コマンドが、シンプルなボタンコンビネーションと化す。例えば「ストリートファイター」で左側キャラ操作中に波動拳を撃つなら「下」、「右」、「パンチ」でOK。昇竜拳も「右」、「下」、「右」、「パンチ」と、余分な斜め入力が不要となって間違いなく発動できる。
開発者のハファー氏のアシストを受けながら筆者も試してみたが、最初の5分は混乱したものの、波動拳、昇竜拳、竜巻旋風脚などの基本的な必殺技を出せるようになった。
本製品は昨年アメリカで発売され、一部の大会でも使用が許可されるようになっているほか、今年春からはエヌケー貿易株式会社の販売サイト「ゲームエクスプレス(楽天市場内)」から正式代理店版を購入可能となっている。エヌケー貿易で本製品を担当する高木子平氏は「日本でも各種の公式大会で『hitBOX』を使えるように働きかけていきたい」と、本製品を使用するプレーヤーを支援していく意向のようだ。
また、秋葉原の一部ショップでも展示・販売されているとのことなので、より腕を上げたい、根本的な部分で操作レベルを上げたいとお考えの格闘ゲームファンの皆さんなら、『hitBOX』を試す価値がありそうだ。
【hitBOX】 | |
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筆者も実際に使用してみた。最初の5分は混乱したが、波動拳や昇竜拳のコマンドの“押し方”を把握すると確実にワザが出せるようになった |
■ 「スマコン」であなたのスマートフォンを本格ゲーム機に!
シンテックのブース |
単体の「スマコン」。ゲームパッドサイズだ |
スマートフォンをマウントしてゲーム機ライクに変化 |
スマートフォンコーナーの一角では“スマートフォンをゲーム機化する”アイディア商品が展示されていた。福岡に本拠を置く株式会社シンテックが開発・製造する「SMACON - Smart Phone Controller for Android(スマコン)」は、一見すればシンプルなゲームパッド型のデバイスだ。
「スマコン」はAndroid端末とBlutoothで接続することが可能で、無料の専用ソフト「SMACON IME」と組み合わせることで各種の対応ゲームをゲーム機ライクな操作性で楽しむことができる。端末を付属のマウントに装着すると、見た目は完全に携帯ゲーム機だ。もちろん離して使うことも可能で、大型のタブレットなどなら据え置き型ディスプレイのような格好でプレイすることもできる。
「スマコン」を使って遊べるゲームは現在100タイトルあまり存在しており、特に最適化されたゲームも続々登場中であるそうだ。そのラインナップはアクション、アドベンチャー、レース、スポーツなど幅広いジャンルにまたがり、主に海外ゲームの品揃えが充実している。
またシンテックでは開発者向けの情報提供を行なっており、「スマコン」向けのゲームを誰でも自由に作れることもウリのひとつ。既存のPCゲームに似て自由なプラットフォームに標準的なゲームインターフェイスが登場したことのメリットは大きそうだ。
本製品は今年の4月20日から発売を開始しており、価格は12,800円。これまでほとんどプロモーションをしてこなかったそうだが、この東京ゲームショウをきっかけに、ゲームユーザーへ積極的に製品の魅力をアピールしていきたいという。
株式会社シンテック、スマコン事業部のジェネラルマネージャーを勤める美澤光慶氏は、「弊社は半導体製造を専門とする企業で、『スマコン』も基盤から一貫開発していることが強みです。今後は積極的に改良版を投入していきたいと考えています」と意気込みを語ってくれた。
将来はアナログスティック搭載型や、追加バッテリーを搭載して端末の稼働時間を延ばす製品などが構想に入っているようだ。スマートフォンの性能は急ピッチで向上中で、最新世代のハイエンド端末なら据え置き機にも負けないクオリティのゲームが実現可能なだけに、ゲームを自在に操れる手段を提供してくれる「スマコン」への注目度は今後急上昇していく予感がある。
小さくて手軽なスマートフォンをゲーム機として使えるようになる「スマコン」。筆者としてはアナログスティック搭載タイプの登場が楽しみだ |
■ 本格的環境で楽しみたい人のためのゲーミングチェア各種
●セクトインターナショナル Playseat
プレイシート「Redbull Racing F1」。コードマスターズブースで「F1 2012」の試遊にも使われていた |
ゲーミングデバイスとしては“大型商品”であるプレイシート各種もTGS会場で見ることができた。まず超ハイエンドのシートを出展していたのはセクトインターナショナル。Playseatブランドの販売を手がける同社のブースでは、F1チームを所有するレッドブルとのコラボレーションで実現した「Playseat Redbull Racing F1」をプレイアブル展示。
本製品は129,000円と非常に高価だが、レッドブルからの細かい注文にも応えた仕様ということで品質も高い。F1マシンと同様のドライビングポジションが実現されているほか、実際に体を沈めてみるとシートへの“ハマり”や安定性の良さを感じられ、非常に快適。激しい操作にもビクともしない剛性の高さも特筆すべきポイントだ。
レッドブルのデザインが格好いいのはもちろん、作りも丁寧。シートへ沈み込み、マシンと一体化するような感覚が特に良かった |
●ムナゾヲ パーソナル・フライヤー
ムナゾヲ「AstroWings-Cu」のブース |
フライトシミュレーター関連製品を手がけるムナゾヲ株式会社は、同社が製造・販売する駆動チェア「AstroWings-Cu」を出展。本製品のチェア下部には駆動メカニクスが装備されており、ゲームの操作に併せてチェア全体を前後左右に揺り動かすというものだ。
この「AstroWings-Cu」モデルは特に家庭用として軽量化・省スペース化したものだそうで、重量は約65kg、設置スペースもおよそ畳一畳分と、一般的な家屋やマンション内での使用が可能なスペックになっている。現在、ムナゾヲのWebサイトで受注を受け付けており、価格は30万円程度になりそうだ、とのこと。
ちなみに対応するゲームはフライトシミュレーターが主で、チェア周りのマウントレイアウトもそのようになっているが、レースゲーム向けのカスタムも可能であるそうだ。なお、ご家庭にコンクリート打ちの大部屋などがあるという方には、重量100kgを超える業務用シリーズ「タイプ L」、「タイプ S」もある。
フライトシミュレータの動きに合わせてチェアが前後左右に動く。かなりのパワーがあるようで、消費電力がちょっと気になるところかも? |
●ロッソモデロ
ロッソモデロ「GTD-RS」特別版モデル |
車両パーツの製造販売をベースにドライビングシートも手がけるロッソモデロ株式会社は最新ドライビングシート各種を展示。その中で標準モデルと位置づけられているのが「GTD-RS」だ。非常に剛性の高い筐体に、ハンドル設置用のアームとリクライニング機能付きの専用シートを装備している。価格は44,800円で、現在注目受付中。10月下旬の発送開始を予定しているとのことだ。
実際に座ってみると、チェアのポジションがかなり低く、レーシングマシンに乗車したかのような雰囲気を味わえる。作りはかなり頑丈で、スラストマスターの大型ハンコン「T500RS」を激しく操作してもビクともせず、元々車両パーツを手がけるメーカーらしくシートのつくりにも頼もしさを感じる。
各種の調整機構も充実している。ペダル角度、ハンドルアームの高さ、シート位置、リクライニング角度などが調整可能で、さらにはハンドルアームを分離して別の椅子と一緒に使用したり、シート部分だけを取り外して普通のリクライニングチェアとして使うことも可能だとか。なお、シフトレバー用のマウントユニットは別売りとなっている。
このほかロッソモデロでは、上位版の「GTD-SPECi」(62,790円)、フラッグシップモデルの「GTD-code:ALFA」(77,700円)を販売中だ。
各モデルとも作りは非常に頑丈で、ちょっとやそっとのドライビングではビクともしない。構成パーツもシンプルにまとめられており、設置作業の苦労もそれほどではなさそうだ |
■ 最新キャプチャーカードで快適ゲームプレイ配信
AVerMediaブース |
ビデオキャプチャー専門企業のAVerMediaは、ゲーマー向けのキャプチャーカードの最新製品を出展。今年4月に発売されたボックス型「GAME CAPTURE HD」のほか、PC用拡張カード型の「LIVE GAMER HD」、「GAME BROADCASTER HD」の3製品を見ることができた。
ブース内ではプロゲーマーによる格闘ゲームの対戦会や、弊誌連載でおなじみのテクニカルジャーナリスト西川善司氏によるゲーム配信講座なども行なわれ、最新ゲームキャプチャー製品の魅力をアピール。終日来場者でごった返していた模様だ。
●「GAME CAPTURE HD」
「GAME CAPTURE HD」。リモコンも付属 |
「GAME CAPTURE HD」(12,980円)は単体で使えるボックス型のビデオキャプチャーデバイスで、SATA 2.5インチHDDを内蔵でき、USB接続でUSBメモリーや外付けHDDの使用もできる。
ゲーム機との接続はコンポーネント端子で、パススルー出力によりそのままテレビで映像を見ながらプレイ。ワンボタンで録画を開始すると、H.264形式でHDDにフルHDの動画が保存されていくというわけだ。保存した動画はPCなどに転送することで編集が可能。
●「LIVE GAMER HD」
「LIVE GAMER HD」 |
ゲーム機とPCを同時に使える環境なら、9月20日に発売されたばかりのビデオキャプチャーカード「LIVE GAMER HD」(19,800円)がオススメだ。HDMIでの映像入力が可能で、ハードウェアエンコーダによりPCに負荷をかけず高画質の録画、リアルタイム配信が可能で、「ニコニコ生放送対応」を謳う。
従来のキャプチャカードに比べ特に優れているのは、HDMI出力端子も装備し、パススルー出力が可能である点だ。遅延を低減するために回路にも工夫が凝らされているとのことで、ほぼラグ無しの映像を見ながらゲームをプレイ・録画・配信することができる。さらにマイク入力端子も装備しているので、実況プレイ動画の録画・作成が容易な点もゲーマーにありがたい部分だ。
HDMI端子はHDCP実対応のためプレイステーション3では使えないが、Xbox 360およびHDMI出力端子を備えたPCで利用できる。PCならプレイと録画を1台で完結できる点もうれしいところだ。
●「GAME BROADCASTER HD」
「GAME BROADCASTER HD」 |
年内の発売を予定しているという「GAME BROADCASTER HD」は、ライブ配信に特化したキャプチャカードだ。ハードウェアエンコーダを搭載しないかわり、入力端子としてD-Sub 25ピンを採用しており、プレイステーション3での使用も可能など対象機器を選ばない点が差別化のポイントとなっている。
上記「LIVE GAMER HD」とともに、本製品にはAVerMediaオリジナルのゲームキャプチャー専用ソフト「RECentral」が付属。専用のインターフェイスで初心者にもわかりやすく、わずかな操作ステップで録画・配信を行なうことができるようだ。
(2012年 9月 24日)