ブシロードブースレポート
「ブシモ」で展開するオリジナルスマホゲームを大量出展
株式会社ブシロードのブースは例年、カードゲーム講習と物販という形で展開されていた。しかし今年はがらりと内容が変わり、今冬開始予定のスマートフォン向けゲームコミュニティ「ブシモ」で配信するゲームタイトルを並べ、ゲームショウっぽい出展内容となった。さらに今年子会社化した新日本プロレスリングのリングを用意して試合を行なうという、前代未聞かつ非常に目立つパフォーマンスも用意し、今回のゲームショウで話題になっている。
本稿ではそのブースで展開されている「ブシモ」のタイトル6本と、新日本プロレスを題材にしたブラウザゲームの試遊レポートをお届けする。「ブシモ」はブシロードとしては初のスマートフォン向け展開となるが、タイトルはいずれも経験豊富なデベロッパーと組んで開発している上、最初からプラットフォームをスマートフォンのみに絞ったことで、クオリティの高さも売りにしている。
なお今回会場に並べられた「ブシモ」のタイトルは、いずれも今冬配信予定とされており、ほぼローンチ合わせのタイトルになると思われる。基本プレイ料金は無料で、アプリ内課金を用意するというところも共通している。各ゲームの情報は20日に開催されたカンファレンスでも発表されているので、こちらの記事も合わせてご覧いただきたい。
プロレスをゲームショウで見られるという前代未聞の企画。本物の新日本プロレスだけあって迫力満点 | そのプロレスリングの脇で、「ブシモ」のスマートフォン向けゲームを試遊できる |
■ リアルカードゲームをそのまま再現!「ChaosTCG」
同社の同名カードゲームをそのままスマートフォン上で再現するというカードゲーム。会場ではCPUを相手にしたシングルプレイモードを体験できた。ゲームでは枝分かれするマップのようなものから、次に進む位置を決めてタップしてやると、カードバトルが発生する。
ゲームの進行や配置は、リアルカードゲームの「ChaosTCG」に則ったもので、原作のルールを理解している人ならば、マニュアルなどを見ることなくプレイできるはず。逆に言えばルールがわからないとどうしようもないが、基本的には場においたカードの攻撃力と体力を削りあうという一般的なカードゲームのスタイルなので、ルールを覚えるのはそれほど難しくはない。
難しいのはその先で、強いデッキやプレイングはどうすればいいかというところだが、言うまでもなくそれがカードゲームの醍醐味。本作ではCPU戦だけでなく、オンラインで他のプレーヤーと対戦も可能。新しいカードはシングルプレイで入手可能なので、まずはカード資産を集めてある程度デッキを作ってから、オンラインで対戦という流れになりそうだ。
カードゲームだけにカードの入手方法は気になるところだが、今のところ課金でのカード販売をどうするかなど詳細は未定としている。基本無料でも遊べる形にはなるので、原作カードゲームを知らない人も、これをチュートリアルとして試してみるという場にはなるだろう。
原作カードゲームをスマートフォン上で再現。他のプレーヤーといつでも対戦できるのが魅力 |
■ 手軽なアクションでカード集めも楽しめる「大疾走! ミルキィホームズ ターボ」
PSP用ゲームやテレビアニメなどメディアミックスで展開されている「ミルキィホームズ」を題材にしたアプリ。「ミルキィホームズ」の主役4人を操作して、怪盗帝国や謎のモンスターを相手に戦う。
ゲームでは左側に「ミルキィホームズ」の4人、右側に敵キャラクターという配置でバトルを行なう。ターン制のゲームシステムとなっており、キャラクターの頭上の数字が0になったキャラクターを操作できる。攻撃するには、操作したいキャラクターにタッチし、そのまま攻撃したい敵まで指を滑らせるだけ。後は相手の体力ゲージを0にすれば倒せる。
各キャラクターには必殺技が用意されており、画面下のキャラクターカードに描かれたゲージが満タンになると発動可能な状態になる。その状態で行動可能になった時、カードをタッチすると必殺技を出せる。技はキャラクターごとに異なり、今回のバージョンでは「エルキュール・バートン」のみ回復、他3人は強力な攻撃となっていた。スキル発動時にはキャラクターのカットシーンが入り、技名のセリフも聞ける。
また攻撃には属性があり、相性のいい属性で攻撃すれば大ダメージを与えられる。これは敵においても同様で、ボスキャラクターのラットが放った全体攻撃で、譲崎ネロだけが大ダメージを受けて倒されてしまった。ステージをクリアすると、報酬としてカードを入手できる。描き下ろしイラストも多数用意されるそうで、このカードをコレクションするというのも1つのゲームの目的になるようだ。
ゲーム内容は他のタイトルと比べてもシンプルで、「ミルキィホームズ」のファンが「ブシモ」を覗いて、真っ先に遊んでもらう位置付けのものになりそうだ。
「ミルキィホームズ」のキャラクターを使ったカジュアルなゲーム。オリジナルのイラストやボイスも収録している |
■ スロットでバトルするSFファンタジーRPG「神狩デモンズトリガー」
バトルシステムにスロットゲームを使ったRPG。バトルシーンでは画面上部に敵キャラクター、画面下部にはスロットリールが表示されている。下部のボタンを押すとスロットが回り、もう1度押すとスロットが止まる。スロットが揃えば攻撃できるという仕組みだ。
スロットには単純な色だけのパネルと、キャラクターパネルがある。色だけのものが揃えば通常攻撃、キャラクターが揃えば必殺技を放てる。ある程度戦っていると「EX Mode」が発動可能になり、これを使うことで一定回数はスロットのハズレがなくなる。攻撃が必ず発動するので、安定してダメージが与えられることになる。
また画面右にある数字のボタンをタップすると、「Soul」という値を消費してスロットのレートが上昇する。この状態でスロットが揃うと、攻撃力が上昇する。「EX Mode」と合わせて使うことで、ボスキャラクターなど強力な相手も倒しやすくなっている。ボスモンスターを倒せばステージクリアとなり、シナリオが進行する。
ゲームの舞台としては、ARワールドに現われる幽霊の噂や、突如現われた悪魔(デモン)など、街に渦巻く陰謀を少年少女達が暴いていくという設定が用意されている。最初は訳もわからず戦いに巻き込まれる主人公が、最終的にはどういった結末を迎えるのか。バトルシステムだけでなく、シナリオの面でも楽しみなゲームになっている。なおキャラクターボイスも収録されており、佐々木未来さん、徳井青空さん、神谷浩史さんらが参加している。
スロットを回して攻撃するというRPG。演出の作り方も今時のスロットっぽさがある |
■ ブロック崩し風カジュアルRPG「バウンドモンスターズ」
一見普通のRPGのように見えて、実際は仲間をモンスターをぶつけて倒すという、変わったバトルシステムが特徴のゲーム。仲間のモンスターをパチンコのようなイメージで弾き飛ばし、画面奥にいるモンスターにぶつけるとダメージを与えられる。
まず画面に表示される仲間にタッチし、そのまま飛ばしたい方向と逆の方に、引き絞るイメージで指を滑らせる。指を離すと仲間が発射される。仲間は画面端に当たると跳ね返り、さらに敵に攻撃を仕掛けられる。いわゆるブロック崩しの要領で、うまく多段ヒットするように角度を付けて撃ち出すのがポイント。
仲間と敵モンスターには属性があり、相性のいい相手に当てれば大ダメージになるが、悪い相手だとほとんどダメージを与えら得ない。次に出てくる仲間は画面下で示されているので、どの順番で、どの角度に打ち出すのが最も効率的なのか、考えてプレイすることになる。また連続ヒット数が増えると特殊な技が発生し、敵全体にダメージを与えられる。
仲間になるモンスターは200体以上だそうで、それらをコレクションするのがゲームの大きな目的になる。それ以外の部分は今回のバージョンでは見られなかったので、どういった形のゲーム進行になるのかが楽しみだ。
仲間のモンスターを撃ち出して敵を倒すというゲーム。撃ち出す操作の簡単さと気持ちよさも本作の魅力 |
■ 喋る、動く、触れる。やけにリアルな恋愛シミュレーション「恋愛リプレイ」
自分のことを兄と呼んで慕う幼馴染3人との恋愛を楽しめるシミュレーションゲーム。テキストベースのアドベンチャーゲームではあるのだが、スマートフォンならではの機能がいくつかある。
まず1つは、2Dイラストが動くところ。「Live2D」という技術を採用することで、2Dイラストに生きた動きをつけている。まばたきや口パクというのではなく、プレーヤーが画面を触った方に目線をやると同時に体も少し向きが変わる、といった具合だ。拡大縮小も可能で、ほぼ全身が見える状態からバスとアップまで自由に寄れる。
もう1つは、キャラクターにタッチすると、その場所に応じて反応するという仕掛け。手や髪に触れると、それぞれ異なるしぐさとセリフを返す。ちなみに胸に触ると怒られるので注意。
今回のバージョンでは、アドベンチャー部分の一部も体験できた。基本的にはシナリオを読む形なのだが、セリフはきちんと喋るし、「Live2D」によってある程度のモーションも付けられている。記事では静止画しかお見せできないが、実際に遊ぶと静止画のゲームよりも格段にリアリティや没入間が増しているように感じられる。
キャラクターボイスは、今回のバージョンで登場している及川優奈役を三森すずこさんが担当。他に佐賀みずほ役を橘田いずみさん、八雲志乃役を石原夏織さんがそれぞれ担当している。
2Dイラストの女の子を、様々な手法で生き生きとしたリアルな女の子へと昇華させている |
■ カードゲーム+タワーディフェンス風ゲーム「禁断召喚! サモンマスター」
集めたカードで戦略性の高いゲームに挑戦するという、ストラテジーカードゲーム。今回出展されたバージョンでは「召喚戦」というタワーディフェンス風のゲームをプレイできた。
ゲームを始めると、画面右側から次々と敵が現われるので、カードのキャラクターを召喚(配置)してそれを防ぎ、倒していく。カードは種類ごとに攻撃範囲や特性が異なるので、敵の進行を見ながら適切に召喚していく必要がある。ただし召喚できるカードは「魔力ゲージ」により制限される。魔力は時間によって回復するので、適切なタイミングで必要な場所にキャラクターを召喚するのが重要になる。
召喚されたキャラクターは、しばらくすると頭上に星マークが現われる。この時にそのキャラクターにタッチすると、魔力を消費してスキルを発動できる。また画面左端にあるボタンを押すと、1戦ごとに1回だけ、魔力を使って敵全体を攻撃できる必殺技を発動できる。
キャラクターが敵に倒されたりして進行を遮るものがなくなり、画面左まで到達されてしまうとダメージを受ける。一定のダメージを受けると敗北となるので、召喚する位置と敵の進行具合を見定めつつ、適切にスキルや必殺技を使う……という、カジュアルな見た目の割にかなりスピーディに頭を使うゲームになっている。
キャラクターの能力を覚えておき、適切に配置するのが重要。カード集めと戦略性の両面を楽しめる |
■ ネット対戦型プロレスTCG「キング オブ プロレスリング」
新日本プロレスのレスラーが多数登場するトレーディングカードゲーム。こちらは「ブシモ」ではなく独自にサービスするブラウザゲームとなっており、PCとスマートフォンからプレイできる。
まず最初に、シングル、2人、3人のタッグで構成された5試合の出場選手をカードで決める。いわゆるデッキ構築だが、本作では選手のカードのほかに、選手に対応した必殺技カードも用意されており、それを組み合わせてオリジナルのチームを作っていく。
試合は誰とでも対戦できる練習モードと、参加者を絞った形で一定期間内に対戦を行ない順位を競うリーグ戦の2つが用意されている。いずれも試合は自動で進み、試合結果を後で確認できる。試合は最初はチョップやキックという小技から、デッキで設定した必殺技の発動などが、実況解説の音声とともにカットシーンで表示される。実際のプロレスの雰囲気や臨場感を、ブラウザ上でできる限り表現したという印象だ。
カードはリーグ戦を戦うことで入手できるボルテージポイントを使って入手できるもののほかに、市販されるリアルカードからも入手できる。カードは3枚330円のパックで販売され、各カードに書かれているシリアルナンバーをゲームで入力することで、そのカードを入手できるという仕組み。なおリアルカードだけではゲームとして遊べない。だったらゲーム内でデジタル販売すれば……と思うところだが、リアルカードとして売るところがカードゲームカンパニーであるブシロードのこだわりなのだそうだ。
第1弾カードパックは10月20日発売予定だが、10月8日に両国国技館で行なわれる新日本プロレスの興行「KING OF PRO-WRESTLING」(本作と同名に合わせてある)で先行販売される。ゲームは9月19日よりオープンβテストを実施しているが、先行販売の10月8日をもって正式サービスに移行する予定。
なおスマートフォン版は現在、PC版と同じブラウザ画面を見てプレイする形になっているが、Android版は正式サービスにやや遅れる形でアプリ版が提供される予定。iOS版については現時点では未定としている。
新日本プロレスがついにカードゲーム化。リアルカードは販売されるが、プレイはあくまでブラウザゲームというこだわり |
「ブシモ」のゲームを体験するともらえるスタンプで、グッズがもらえる | リアルカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」の講習は今年も行なわれている |
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(2012年 9月 21日)