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タミヤ、ミニ四駆全日本選手権「ジャパンカップ2012」の東京大会を開催

13年ぶりの開催に1,000人以上が集結! 完走率20%以下の難関コースに挑む


7月15日開催

会場:品川シーサイドフォレスト・オーバルガーデン



 株式会社タミヤは7月15日、品川シーサイドフォレスト・オーバルガーデンにて、ミニ四駆全日本選手権「ジャパンカップ2012」の東京大会を開催した。この東京大会で勝ち進んだ選手は、9月30日に開催される「チャンピオン決定戦」に参加することができる。「ジャパンカップ2012」はこの大会を皮切りに、全国12カ所で大会を行なう予定だ。

 ミニ四駆とは、タミヤが発売しているモーターを搭載した四輪駆動の模型で、現在の主流は実車の1/32スケール。全長約16cm、幅約10cm、車体重量は90g以上。単三電池で動く。誕生は1982年だが、1996年に“ミニ四駆”という商標が登録され、その後何度もブームを巻き起こしている。ラジオコントロール機能はなく、選手はマシンのセッティングでコースを攻略、最速を競っていく。

 タミヤのミニ四駆全日本選手権「ジャパンカップ」は13年振りの開催となるという。ジャパンカップが休止している間も、様々な大会は行なわれていたが、久しぶりの大きなイベントと言うこともあってか、中学生以下の「ジュニアクラス」を含め、1,100人を超える選手のエントリーがあり、会場には選手の家族を含む大勢の人が集まる大盛況となった。今回は動画と共に、東京大会の様子を紹介していきたい。





■ 安定性は最低限に、ひたすら速さを求めセッティングを重ねる選手達

公式のコース解説。6の芝からヘルクライムはパワーが求められるが、ナイアガラスロープでは一気に急降下。コースアウトの可能性が高い
ナイアガラスロープは今回のコースでの最難関。リタイアする車が続出した
1位はチームみずほのハルちゃん選手、2位はチームアルファ連合のミヤ選手、3位はチームワイルド&スピードのカメ選手となった

 ミニ四駆は、奥深いホビーである。多彩なボディ(車体)は、“肉抜き”と呼ばれる軽量化や、補強を行なうだけでなく、空力特性も考えなければならない。モーターやタイヤを支えるシャーシは、各部品の位置を決め車体のバランスを調整する重要な役割を担う。モーターはトルク重視、高速度重視などの多彩な種類があり、電池の残量などでも走行の特性は変化する。

 ギアはもちろん、タイヤ、タイヤ軸のベアリング、様々な素材のシャフト、車とコースの接触部位につけるローラー、ダンパーや、スピードが上がりすぎたときタイヤや車体に接触するように考えて取り付けるブレーキなど、部品は多彩で、コースに合わせてどうセッティングするかがテーマとなる。自分のアイデアとテクニックで、設定されたコースにあった最高の車を作り上げることが、ミニ四駆の楽しさだろう。

 小学館のコロコロコミックとのタイアップによって第1次ブームとなったのが、1980年代後半、その後の1990年代中〜後半の「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」はコミックのみならずアニメ化も行なわれ、さらに大きなブームとなった。そしてこの2つのブームの時子供だった層がさらに知識と経験を集約させ、現在は当時のファンの子供も含む、親子2代の人気を獲得するホビーとなった。「ジャパンカップ2012」は“親子の共演”も見所で、実際子供と一緒にセッティングを行なう、お父さん、お母さんの姿が多く見られた。

 「ジャパンカップ2012」では、「ジャパンカップ2012 公式コース」が用意されている。東京大会では、2つコースが用意され、選手達は次々とこのコースに挑んでいった。今回のコースは全長200m以上、S字カーブや、アップダウンなど様々な仕掛けがある。特に芝生と急な上り坂、そして「ナイアガラスロープ」と呼ばれる急角度の下り坂によって、極めて完走が難しくなっている。

 この1次予選を突破する条件は “トップゴール”である。このコースを5周コースアウトせずにトップで走り切りることができれば、2次予選に進める。ところが、1度に5台の車が走るのだが、最初の1周で5台全てがナイアガラスロープでコースアウトという例も少なくなかった。完走できても、その車は1台だけということがほとんどだった。会場で話を聞いてみたのだが、「色々な大会に出場してきたが、こんな難しいコースは初めてだ」という声も多かった。

 このナイアガラスロープを安全に抜ける1つの方法は低速のセッティングだが、遅すぎるとその前の芝生や、上り坂を越えられない。このスピードとパワーを両立しながらナイアガラスロープでの安定した走りを求めるというのは極めて難しい課題のようだった。しかし、実は運営側の狙いでは、この難しいコースは、“初心者向け”も視野に入れたものとのことだ。

 フラットなコースでは速さだけが勝負の要素になってしまう。あえて急な上り坂とナイアガラスロープを組み合わせることで、アクシデント要素を多くすることで、初心者の低速のマシンも、運で生き残れるように設計したという。実際、遅いながら安定した走りでクリアした女性は、最も低速な「ノーマルモーター」で完走し、ノーマルモーターが有効ではないか、という声も聞かれた。

 この1次予選の面白いところは、午前と午後にそれぞれ1回ずつ、合計で2回挑戦できるところだ。1回目でダメでも、2回目で完走すればいい。また、1,000人以上が参加したこの戦いでは、前の人の走りが貴重な資料となる。実際、競技が進むごとに完走する人が増えていった。しかしそれでもついつい速さを求め過ぎて、コースアウトする人も少なくなかった。

 見ていて、「何故完走を優先しないのか?」という質問をしてみたのだが、返ってきた答えは「安定だけ求めても、それでは勝てない」というものだった。予選の通過は、トップでの完走である。“できるだけ速いスピードで完走する”ことを求めなくては勝てないのだ。

 会場では様々な試みがなされていた。低速セッティングをする人、ジャンプ時の安定性を求めたパーツ選びをする人、ジャンプしてからの着地のバランスを追求する人……。特に着地の様子をシミュレートするため、マシンを持ち上げ下に落とすのを何度も試す人は多かった。マシンそのものも、選手達の個性が良く出ていた。ボディを綺麗に飾り立てる人、無塗装の人、高価なパーツをたくさんつけて重さを増やしている人、車のボディと同じ色の服を着ている人もいた。

 競技では1,000人のうち、20%くらいが中学生以下の「ジュニアクラス」だったが、親子で積極的に取り組む姿も見られた。お父さんばかりが夢中だったり、母さんが息子を応援したり、その姿も様々だった。カップルで参加している人も多かった。セッティングに対して熱く議論をしている人、1人でじっくりと考えている人、選手達の風景も様々だった。

 2度の予選のどちらかで完走した選手達だけで争われた「2次予選」でもクラッシュが相次いだ。1次予選と違うのは、レース後半、4周目、5周目でのリタイアが多かったことだ。安定性を犠牲にぎりぎりまで速さを求めるセッティングによるもので、後もう少し、というところでリタイアする選手が多かった。早い人は大きく他の人を離しながら安定した走りを実現し、セッティング能力の高さを見せつけていた。

 1次予選を勝ち抜いた2次予選では、1位の人のみが次の戦いに進める。この時、ジュニアクラスをのぞく900人近くの“オープンクラス(年齢制限なし)”の選手も15人までに絞られていた。ここからの戦いでも、やはりクラッシュが多かった。これまでの戦い以上に速い車が多く、本当に選手達は安定性を最小限にしてスピードを追い求めているんだなと、実感させられた。

 この戦いを勝ち残った3名による決勝戦が行なわれ、1位はチームみずほのハルちゃん選手、2位はチームアルファ連合のミヤ選手、3位はチームワイルド&スピードのカメ選手となった。1位と2位は女性選手だった。チームというのは、ミニ四駆を趣味とする集まりで、全国にいくつもあり、知り合いで作るものから、ネットを介しているものまで様々だという。運営スタッフによれば、今回のようにチームに所属している人達が上位を占めることもあれば、個人の選手が勝ち残ることも多いと言うことだ。

 今回、筆者は初めてミニ四駆のレース競技を見たが、安定性をぎりぎりまで削って速さを求める選手達の気迫や、愛車を祈るように見守るときの表情、仲間や子供と熱くセッティングを語り、そして突き詰めていく様子など、様々な場面を見ることができた。とても楽しい触れあいだと感じた。この地方大会は全国12カ所で行なわれ、そして東京大会は計3回、9月30日の決勝大会まで、あと2回行なわれるという。引き続き注目していきたい。


【ジャパンカップ2012東京大会 予選】


【ジャパンカップ2012東京大会 準決勝/決勝】


試合を実況したタミヤのMC ガッツ氏、熊谷勇希氏、声優の櫻井那琉さん
選手達は合図と共にマシンを離してスタート、ウェーブセクション、バーニングブリッジを越え、難関であるダブル芝セクション、ヘルクライム、そしてナイアガラスロープへ
中学生以下のジュニアクラス。1位はチームアルファ連合チームひとみレーシングのあおい選手、2位はユウキ選手、3位はナナミ選手
1,000人を越える選手と家族が集まった会場では、限定販売のショップも長い列が。右は試合が終わった直後。選手達がコースに群がり、細かいところをチェックしていた。特にナイアガラスロープは、スゴイ勢いで、手で触ったり、写真を撮ったりしていた。大会での定番の光景だという
会場の周りでは、選手の家族や仲間達はシートを広げ、ひたすらセッティングを繰り返していた

(2012年 7月 17日)

[Reported by 勝田哲也]