ニュース

「ミニ四駆ジャパンカップ2013」東京大会開催

ブレーキのセッティングが攻略の鍵 決勝はわずかなスピードの差が勝利に

ブレーキのセッティングが攻略の鍵 決勝はわずかなスピードの差が勝利に

東京大会を征した選手
こちらはジュニアクラスの上位者

 「ジャパンカップ2013」東京大会は予選、第2予選、準々決勝、準決勝、決勝と進んでいったが、その中で「上に進むためのセッティング」がはっきりと見えてきた。選手達の車の挙動がはっきりと異なるのはスーパーデルタバンクから、急角度で坂を駆け上るヘルクライムに移るところ。ここでしっかり減速している車は水平に移る部分で飛び出さず、安定した形でナイアガラスロープに向かっている。大ジャンプでパスすする車は準々決勝、準決勝と進んでいく中で減っていった。

 それまで高速で走っていた車が、ヘルクライムでがくんとスピードを落とす。ミニ四駆はラジコンではないので、選手が走行中に手を出すことはできない。それではどうしているかと言うと、車体前後のステーの底部に樹脂を貼り付け、ここをコースとこすらせることでブレーキとしているのである。

 何人かに話を聞いてみると車体後部のステーを2重にして床に触れそうな所に樹脂製のブレーキをつけているという。しかしブレーキはダウンフォースなど車体の姿勢で床に触れるか触れないかが変わってくる。あまり効かせすぎると通常の部分でもブレーキがかかってしまう。このため前面のブレーキ用の樹脂をどの位の大きさでつけるか、というバランスで試行錯誤しているとのことだ。

 準々決勝から先では安定したコースクリアは必然で、そこから先の高度な戦いが繰り広げられた。加速重視か、最高速を求めるかといったセッティングの方向性や巧みさが問われる試合展開となった。安定した走りを見せて先行していた車が最後の最後で最高速重視の車に抜かれるといった展開も見られた。ヘルクライムでの減速も、しすぎると後続との距離を縮めることになってしまう。昨年以上の激戦が繰り広げられていると感じた。

 決勝戦は先行していた車に2位の車が徐々に距離を詰めていくという実力伯仲の緊迫した試合となった。レース中盤はほとんど併走し、終盤ついに逆転。見ているだけで力の入る戦いだった。わずかなセッティングの差が距離をつめさせ、逆転を生んだ。上級者同士のぎりぎりの戦いを実感できたレースだった。

 優勝車がどんなセッティングを行なっているかは、今後ジャパンカップに挑戦する人にとってとても重要なヒントとなる。そこで撮影をお願いしてみたのだが、断られてしまった。2位の選手は表面は撮影させてくれたが、「裏面は秘密」ということだった。「まだ始まった段階で手の内は明かしたくない」のだという。裏面はブレーキのパッドが取り付けられている。前と後ろをどんな配置でつけているのか、そこが最も気にかかる場所である。この工夫こそがレースでの鍵となる。だからこそジャパンカップが始まったばかりの今は公開したくないとのことだ。「とにかく、ヘルクライムでさえ減速できればいい。それ以外の部分ではスピードを追求していく。1位の人は速かった」と2位の選手はコメントした。

 安定した姿勢でどこまで早くできるか、そしてヘルクライムでしっかり減速できるか、「スーパークライムサーキット2013」は選手達のセッティングの腕が問われる、ぎりぎりのバランスを目指しながら速さを求めることができるコースだと感じた。「ジャパンカップ2013」は今回がスタートで、10月27日まで様々な会場で行なわれる。東京大会はさらに2回行なわれる予定で、再挑戦する選手も多い。これからの戦いが楽しみだ。

【ジャパンカップ2013 東京大会 準決勝】

【ジャパンカップ2013 東京大会 決勝】

【2位入賞者】
撮影させてもらった2位のマシン。裏面に秘密があるという

(勝田哲也)