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【特別企画】香港・マカオゲームショップレポート 完全保存版

健全な正規ビジネスが育む、安全で楽しいゲームマーケットを見た!


2012年6月取材



 今回、広東動漫城の取材から、「中国のゲーム市場はどのようなものなんだろうか?」という疑問から、広州、深センと中国の大都市を巡り、そしてさらに南下して香港とマカオのゲームショップを訪れた。

 広州、深センははっきり言えば、イリーガル(不法・非合法)な世界だった。売られている商品は国も、メーカーも保証をしていないものであり、売り手はカメラを向けられれば露骨に警戒する。それは、彼等自身が正当なビジネスをしていないと自覚しているからだ。しかし、不幸なのは、その地域に住む、“ゲーム好きのユーザー”はこの方法でしかゲームを手に入れられないことだ。ユーザー自身は、本当にこんな信用できないビジネスが良いんだろうか、不法にゲームが遊べると言うことに、喜びを感じているのだろうか? それは違うと思う。

 今回、我々が最後の取材に選んだ地は香港とマカオである。香港は海賊版・ハードウェア改造は厳しく取り締まられ、日本と同じように、世界中のメーカーが正規市場と認知してビジネスを展開している。ゲームの広告が建物の外を飾り、ユーザーは告知される発売情報で新作ゲームの存在を知り、特典を求めて店に予約する。我々の馴染み深い、ゲームビジネスがそこに展開している。ここのユーザーと市場を見ることで、改めて中国本土とのゲームビジネスの違いが見えてくると思う。

 本稿では香港のゲーム売り場に加え、ホビー関連のレポートも行なっていきたい。というのも、実は香港はバンダイが独自の商品を展開していたり、日本でも人気の高い香港メーカーがあったりと、実はホビーファンにとって注目の地である。香港のホビーファンの“熱意”を見ることができた。

 さらに、深センからフェリーで訪れたマカオのダウンタウンで見つけた“おもちゃ屋”も紹介したい。マカオのおもちゃ屋もまた、子供が安心して訪れることができる楽しい場所だった。そして、今回紹介するところは、日本にあったとしても話題になるに違いない、インパクトのある場所だった。もしマカオに行くことがあれば、探してもらいたいお店だ。広州ゲームショップレポート深センゲームショップレポートと合わせてご一読いただきたい。



■ パートナーショップ、中古の量、ラインナップの特化……正常な市場が生み出す、売り方の模索

パートナーショップはSCEH(Hong Kong)から青いカラーや、旗などのサポートを受ける
中古品はダンボールに詰められて、店頭に無造作に置かれている
女の子イラストが描かれたパッケージ。他の地域ではあまり見かけなかった
山内氏のサイン入りのPS3。こういったディスプレイができるのも、パートナーショップならではだろう

 香港は人口700万を超えるアジア有数の大都市であり、1997年にイギリスから中華人民共和国に主権を移譲されたという過去を持つ。現在は特別行政区に指定されている。古くから交通・流通の要所であり、ユニークな発展を遂げた街だ。

 香港も過去はハードの違法改造による海賊版の流通などが見られたが、現在はこれらは厳しく取り締まられている。違法改造を店頭でアピールすれば、その店には罰則が科せられるという。このため海賊版は多くの人の目に触れることはなくなった。ただ、全くなくなったというわけではなく、日本と同じようにネットを通じて隠れて行なわれている例もあるようだ。

 香港では、SCE、マイクロソフト、任天堂のほか、EAやUBI、カプコンなど多くのゲームメーカーの支社があり、様々なタイトルの派手な広告を多く目にすることができた。香港に入る前に、広州広州取材を巡ってきたが、ようやく、筆者に馴染み深いゲームがきちんと販売されている場所に“帰ってきた”気がして、何となく安心感のようなものを感じてしまった。

 そして香港もまた、“小売店が密集する”場所という特徴がある。アジア地域、筆者が知っているところで台湾、韓国、シンガポール、中国でもそうだったのだが、アジアはほとんど同じ品揃えの店がそれぞれ固まって商売を展開する。PCならPC関連、家電なら家電でひとくくり、というように、1フロア、場所によってはビルそのものが1ジャンルの商材を扱う。同じような店ばかりだと競合して、共倒れになってしまうんじゃないかと思うのだが、このスタイルで独自の発展を遂げているのである。

 そしてユーザーは、各店舗の商品を見て、値段を検討しつつ、ぐるぐると建物内を回る。購入を検討する人は、少しでも安いところを探す。各店舗の微妙な違いを細かく検討し、“掘り出し物”を探す人も多い。また、“自分だけの店”を探しだし、店員と懇意になり、親しげに会話を交わす人もいる。今回訪れたのは日曜日と言うこともあって、これらの人が混じり合い、人を押しのけながら進むような、活気のある空間となっていた。

 最初に訪れたのは香港の中心地域から少し南の、シャムスイポーという地域。ここはPCパーツのビルがあったりと、マニアックな地域だという。ここには「黄金電脳商場」というゲームとPCパーツ専門の場所がある。中は左右に店舗のある通路なのだが、その長さが数百メートルあるのだ。ゲームショップは割合で3分の1以下だが、それでも20以上の店舗がある。つまり、60以上の店舗が、1本の通路の左右に展開している場所なのだ。

 各店舗は、数人が入ったらいっぱいになる売り場とカウンターという構成で、規模は小さい。品揃えは、「ドラゴンズドグマ」や「マックスペイン3」といった最新タイトルだけでなく、「アンチャーテッド」シリーズや、「龍が如く」シリーズなど人気の高いタイトルを目立つように配置する、という形だった。「ワンピース海賊無双」のポスターを大きく貼りだしているメーカーが多く、「Prototype 2」のポスターも目立った。

 全体的に、最新タイトルを大きくアピールするという方法ではなく、数カ月〜1年以上前でも人気タイトルを展示する、という形だった。そして唯一PCタイトルで紹介されていたのが「Diablo III」。こちらは複数のパッケージが並べられていて、香港での人気の高さがうかがえた。また、香港で正式に流通しているものだけではなく、英語版や日本語版の並行輸入品らしい商品も確認できた。

 レーティングも存在し、中国語版の場合、CEROのような対象年齢を分ける区分が漢字表記で、「普」というのが、CERO:Aに当たり、CERO:Zは「限」という文字が割り振られていた。商品の値段は600香港ドル(約6,000円)〜270香港ドル(約2,700円)と日本の定価より少し安めの設定という感じで、小売店の販売価格としては、それほど変わらないと感じた。1店だけ「Red Dead Redemption Undead Nightmare」や「VANQUISH」に880香港ドル(約8,800円)とプレミア価格をつけて販売している店もあった。

 面白かったのが、店にはっきりと「PlayStation」というロゴが描かれた看板を掲げた店舗が数店あったところだ。これは実はSCEH公認のパートナーショップを結んだショップで、並行輸入品を扱わない、むやみやたらな値下げをしないなど、SCEHが定める方針に従ってくれた場合、パートナーショップとして認定し、店舗の改築などの際に協力し、販促グッズも提供するという。黄金電脳商場のパートナーショップには、「グランツーリスモ」シリーズを手掛ける山内一典氏のサインの入った限定版のPS3を展示している店舗もあった。つまり、これも特典のひとつということのようだ。

 オフィシャルのロゴと、PS Vitaのイメージカラーである青を基調に店を飾り立てたデザインは、多くの小売店がひしめく通路でとても目立つ。競合店と差をつける方法で面白い戦略だと感じた。ちなみに、マイクロソフトや任天堂では、このように店を目立たせる協力はしていないようだった。

 今回はシャムスイポーに黄金電脳商場に加え、モンコック地区の「好景商場」と、「信和中心」という2つの場所を巡った。モンコック地区は香港でも人通りが多い地域で、東京で言えば、渋谷や池袋のような場所だという。好景商場と、信和中心は、規模としては、黄金電脳商場よりも小さいのだが、どちらも店ではなく、“地域”で特色が出ているのが面白かった。ちなみに、モンコック地区の場所はシャムスイポーから、さらに南になる。

 好景商場は、モンコック地域の南の方にあり、大きく名前をアピールしている看板が目立つ場所だ。いざ入ると入口が薄暗くて、少し怪しい雰囲気がある。ここは海賊版が盛んだった場所だという。こちらもPCパーツを扱う店が多いのだが、休日でシャッターを閉めている店が多かった。好景商場にある店舗が積極的に扱っていたのが「二手」と書かれた中古品だ。中古品は新品のようにガラスケースに展示しているのではなく、ダンボールに立ててまとめて並べてあり、1個1個パッケージを見なくては商品が確認できない。

 中古品は、中のディスクを抜いてパッケージのみ置くところもあれば、ビニールに1つ1つ綺麗に梱包しているところもあった。乱雑に積み上げているだけで、タイトルの確認すら困難なところもあった。値段は250香港ドル(約2,500円)〜60香港ドル(約600円)とまちまち。店によって同じタイトルでも値段にばらつきがあった。黄金電脳商場と比べるとマニアックな雰囲気の客が多かったように感じた。

 もう1つモンコック地区の「信和中心」は、女の子のキャラクターを大きくアピールした、いわゆる“萌え系”のタイトルをアピールする店が多かったところに興味を惹かれた。店の近くには日本の漫画なども扱う店舗や、アニメ作品のDVD等を売っている店もあり、フィギュアなどを扱っている店舗も多かった。建物全体で、“日本のアニメ・コミック系”を好む人達が集まっていると感じさせる場所だった。

 今回見たゲームの販売店は、どの店舗も売り場は小さいため、ゲームタイトルをつぶさに見ていくと、「もっとたくさんゲームがあったよな」という気持になる。例えば店によっては、欧米系のタイトルのシリーズものが多いが、それ以外はなかったり、ニンテンドー3DSタイトル以外はほとんど置いてなかったり、自分の求めるゲームを探すためには多くの店を回らなくてはいけないところがある。「欲しいソフトを探すための指針は、何だろう?」という疑問を持っていたのだが、この信和中心の店を見て合点がいく部分があった。信和中心の店は、他の地域に比べ、“萌え系タイトル”を多く扱っている。こう言ったジャンルのゲームが欲しければ、ここに来れば良いのだ。香港のユーザーはこのように、“地域”でゲームを選んでいるのではないだろうか。

 この考えから、3つのゲーム小売店が集まる場所を見てみて、“特色”がそれぞれ出ているということに改めて気付かされた。香港の小売店は、店構えや雰囲気は、台湾の「光華商場」に似ているものの、光華商場は、もっと各店舗が雑多な雰囲気を持ち何でも置いてある店が多かったのに対し、香港では、各地域がそれぞれ独特の雰囲気を持たせた店舗展開をしていると感じた。中古が欲しければ好景商場、最新タイトルや限定版が欲しければ黄金電脳商場、昔のタイトルでも萌え系タイトルを探しに行くなら信和中心、というように、求めるゲームによって、香港のユーザーはまず“地域”を選択しているんだろうな、と感じた。

 香港は歴史的な背景が大きいとは言え、広州、深センと同じ中国の1都市である。しかし、ユーザーの風景はあまりに違う。イリーガルながらゲーム市場が広州、深センにあったのは、そこにユーザーの需要があったからだ。そして香港のように正常なメーカーの参入、正常な市場があれば、各店舗の品揃えは段違いに増えるし、ユーザーは自分の欲しいゲームを求めて各店舗を回る。店主と「どんなゲームが好きか」を熱く語る、楽しいゲーム風景がそこに展開するのだ。

 中国政府は法律によってゲームを規制した。結果として生まれたのは、不正な方法で利益を得ようとする業者の横行という、メーカーにも、ユーザーにも不幸をもたらす、イリーガルな状況だった。そこではゲームが好きという熱いユーザーの想いはもちろん、ユーザーとゲーム体験を分かち合いたいという販売店の想いも、不正行為でしか満たせないという、極めて不幸な状況が生まれてしまっている。

 香港は、正当な商売を、正常に行なう市場を作り上げることで、ユーザーも売り手も、メーカーもきちんと努力し、そして独特の進化をしていくと言うことを証明している。「まず、正常な流通を」と国に対して働きかけるメーカーの想いは、商売による利益確保という側面だけでなく、「楽しさを求める人に、安心を」という大前提があることを、筆者はこの取材で痛感した。

ガラスケースの中には、ソフトやグッズが陳列されている。他の地域の店と比べると、洗練されている印象だ。右下は、マックスペインの広告
好景商場は薄暗く、ちょっと怪しい雰囲気。ゲームマニアが少しでも安いゲームを数多く手にするため、一生懸命パッケージの山をあさっていく、という感じだった
信和中心は、キャラクター者や、恋愛ゲームなどをアピールしているコーナーが多かった。漫画の専門店や、グッズを置いているところも




■ こだわりを色濃く打ち出した、香港の2つのホビーショップ

兆萬商場は今回取り上げた店舗の他にもホビー系の店が集まっている
HOT TOYSの商品が販売されている、TOY HUNTERS

 “ホビー”はゲームファンにとって親和性の高いコンテンツである。筆者は以前台湾でホビーレポートを行なっており、今回もゲーム市場だけでなく、ホビー関連の店も見ていったのだが、広州、深センでは、“お土産屋”のような小さなお店しか見つけられなかった。そこであつかわれていたおもちゃは、ぬいぐるみなどが中心だが、作りも粗く、ゲーム以上に商品の少ない状況だった。

 アジアでは“ホビー”といえるような、マニア層向けのおもちゃの海賊版は生まれにくい。特に日本の精巧なおもちゃをコピーするのはコストと流通量でバランスが取れないため、結果として、濃いホビーファンは日本や欧米の商品を取り寄せてしまう。ゲームと比べ並行輸入品はあるが、その量は少ない、というのが取材で得た感覚だ。

 一方、香港は、“ホビーファン”にとって注目の場所だ。バンダイ香港はアジア市場の拠点として、オリジナルの商品も展開し活発な活動を行なっている。今年の4月20日には「プレミアムバンダイ香港」という通販ショップもオープンしている。他にもタカラトミー等の日本メーカー、LEGOやHasbroなど欧米のメーカーも香港を重要な拠点と位置づけている。さらに、映画を原作としたマニアックなアクションフィギュアを作る「HOT TOYS」や、「threeA Toys」といった、香港生まれのメーカーも生まれ始めている。日本のホビーファンにとって、香港のホビー市場は、どうなっているのか、というのは興味のあるポイントなのだ。

 ホビー系は、モンコックの「兆萬商場」という小売店の集まったビルに興味深い2店舗があった。1つめが「SUPERMAN TOYS」。ここは日本のおもちゃがぎっしり詰まった店で、香港のホビーファンに知られた店だという。店の入口には大きく「正」と書いたマークが提示されており、下に「NO FAKES」と書かれている。海賊版を扱っていないのが大きなセールスポイントだという。

 店の中に入ると、メディコム・トイ の「リアルアクションヒーローズ」や、バンダイの「聖闘士聖衣神話」など、コアファン向けのアクションフィギュアが、日本のホビーショップもここまで、という量で展示されている。日本では品薄になってしまっている商品も展示してあり、商品のチョイスにこだわりを感じた。先日おもちゃショーで発表されたばかりの「DX 超合金魂 マジンガーZ」の資料も展示されており、情報の発信も熱心だった。

 店のスタッフに話を聞いてみたのだが、SUPERMAN TOYSでは“速さと品揃え”に最大の注意を払っているという。特に品揃えに関しては、「品数と人口比率を考えれば、うちは日本に負けないよ」と自信たっぷりのコメントだった。その品揃えは、じつは“中国”のユーザーを考えに入れている。香港は中国のホビーマニアにとって、中国国内では展開していない日本のキャラクターグッズを入手できる場所である。

 バンダイが香港のみの限定商品を販売することがあるが、香港にファンが多いことはもちろんだが、香港は中国や、東アジアの“窓”として、古くから展開しているためだ。SUPERMAN TOYSは創業から20年という歴史のあるショップで、中国国内のファンも多いという。日本のホビーファンにも興味深いショップだろう。

 もう1店、「TOY HUNTERS」は、HOT TOYSのオーナーが経営している直営店だ。HOT TOYSは香港のホビーメーカーで、特撮映画のスーツをそのまま縮小したような高品質のフィギュアを作るメーカーとして日本でもファンが多い。ホットトイズジャパンが設立され、原宿にはショーケースもある。元々は、各国の軍隊を再現するフィギュアを展開していたが、「ムービー・マスターピース」というブランドで、「スター・ウォーズ」や「バットマン」、マーヴルのヒーローのフィギュアで人気を集めている。

 通路側のショーケースは多くの人が商品を見つめている。ムービー・マスターピースは高さが約30cmで、スケールは1/6、価格は2〜3万円という高価だが、映画そのままの実在感を持っている。ムービー・マスターピースは基本は限定の注文生産で、生産量も少ないが、ここではある程度の在庫もあり、その場で細かくチェックできる。また、自社以外の日本のおもちゃも店内で販売しており、こちらも人気だった。

 モンコックにはこの他にもかわいらしいグッズだけの店を集めたところもあり、細かくチェックしていけばまだまだ面白い店に出会えそうだ。女人街と呼ばれるマーケットでは、ちょっと著作権的に怪しい商品が販売されているのだが、抱き枕やキャラクターの胸部を強調したいわゆる“おっぱいマウスパッド”まで扱っているお店があったのは驚かされた。

 香港はマニア向けの商店では、日本のホビーファンに劣らない熱さがあった。トイザらスなど一般向けのおもちゃ屋には、戦隊ものや仮面ライダーの変身グッズなど、バンダイやトミーの正式な商品がきちんと展開しており、こちらも日本と変わらない風景だった。並行輸入品も多く見かけたが、“輸入雑貨”を扱うレベルであり、強いて言えば女人街で海賊版グッズが見れるかな、というくらい。日本の市場では見かけなくなったグッズや、香港だけでの流通など、“掘り出し物”を探しに行くには良い場所かもしれない。


かなりマニアックな品揃えの、SUPERMAN TOYS。日本の情報を積極的に張り出していた。かなりマニアックさを感じさせられる品揃えだ
TOY HUNTERSでは、HOT TOYSのフィギュアを購入できる。在庫状況だけでなく、再販の予定なども確認できる。展示を見るだけでも楽しく、店の前は常に多くの人がいた
こちらは港にあるトイザらス。非常に規模が大きい。中国からの観光客に人気とのことだ。日本に比べるとアメリカの玩具の割合が大きかったが、「戦隊もの」のおもちゃなども確認できた。右は港にある豪華客船を表現したレゴ
こちらは、女人街。様々な商品を扱っているが、萌え系グッズのお店まであったのは驚かされた。右はモンコック地区の、ぬいぐるみなどのキャラクターグッズを扱う店




■ マカオでは、おもちゃが“たわわに実る”不思議なおもちゃ屋に遭遇

新龍玩具。壁にもベタベタとゲームなどの情報を張り、ショーケースにもおもちゃがたくさん並べられているが、中はさらにカオスな空間が広がっている

 今回、広州を出発してから、数日間中国を巡った。深センの次に訪れたのがマカオである。マカオもまた中華人民共和国の特別行政区であり、かつてポルトガルの植民地だった。現在はギャンブルの地として特に有名であり、港周辺は宮殿のように巨大なカジノやホテルが建ち並び、圧倒される。香港に行くために立ち寄ったというところで、時間はあまりとれなかったが、住宅地で、とても興味深い“おもちゃ屋”を見つけることができた。

 カジノからトンネルを1つ越えたマカオの旧市街地域には高層アパートが建ち並ぶ、雑然とした街並みが広がる。観光客も減り、グッと落ち着いた雰囲気だ。この一角にあった「新龍玩具店」はとても興味深いお店だった。とにかく品揃えが、凄まじいのだ。香港から仕入れた商品が中心とのことだが、日本のおもちゃ、英語のゲームなど、並行輸入品も多く見られた。

 このお店の凄いところは、最新のおもちゃから、過去の商品まで、詰め込むだけ詰め込んだようなお店で、しかも陳列の仕方が面白い。プラスチックの紐で輪を作り、あたかもブドウのようにつり下げていく形なのである。それを繰り返すウチに商品は“堆積”して、下の商品は見えなくなる。しかし、筆者はこのスタイルこそ“おもちゃ屋”だと思う。何があるかわからないからこそ、“宝物”が隠されているような感じがして、とてもワクワクするのだ。

 日本の古いおもちゃ屋さんにもこういう傾向があるし、しかも店が大きく、そこにあらん限りのおもちゃが詰め込まれているのだ。お店の店主自身の「おもちゃ箱」のようで、とても楽しい空間だった。このお店は、マカオの子供達にとても愛されているに違いない、と確信できるお店だった。

 マカオは香港からのおもちゃが流通する場所のようだ。もう1件のおもちゃ屋でもそうだったが、作りのしっかりした香港からの正規のおもちゃがメインで、一部に並行輸入が入っているという感じだ。新龍玩具店ではワンピースなどの日本のキャラクターのカードダスが人気で、タミヤのプラモデルもまた違った客層のファンをつかんでいるということだ。

 今回見た風景は、マカオならでは、というところではなかったが、何となく新龍玩具店は“商品が流れ着く場所”という印象を持った。日本で生まれた商品の一部が、巡り巡ってマカオまで来て、ゆっくり堆積していく。子供達に掘り返されることもあれば、そのまま店を作る要素になったりもする。新龍玩具店は雑然と見えながらも、商品がしっかりしており、大事に扱われているから、現在のような空間になっていると思う。マカオという、カジノという巨大産業があり、国民の生活が東アジアの中でも豊かなところだからこそ、おもちゃも“保存”されているのかもしれない。

ここはお国柄というよりも、お店の人のセンスに圧倒された場所だ。“おもちゃ屋”は商品がぎっしり詰まった空間こそが楽しいが、このお店のレベルの“積み重なり”は他国にもそう無いだろう。ワクワクさせられる場所だ
こちらはマカオで見かけたもう1店のおもちゃ屋「至富商業中心」。香港からのおもちゃが多かったが、ハングルのパッケージのニンテンドーDSなどもあった。1階が文房具などを扱い、2階がスポーツ用品と玩具を販売していた
マカオ有数のカジノ「ベネチアン」。ホテルにカジノ、そして巨大なショッピングモールがある。訪れたときは滝のような豪雨で、前も見えないような状況だった

(2012年 6月 26日)

[Reported by 勝田哲也]