「CEDEC 2011」パシフィコ横浜で開幕

業界外のセッションが増えるも「はやぶさ」基調講演は満席に


9月6~8日 開催

会場:パシフィコ横浜



 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催によるゲーム開発者向けのカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2011(CEDEC 2011)」が、パシフィコ横浜にて開会した。9月6日から8日までの3日間に渡って、約170のセッションが開かれている。

 これまでCEDECは「CESA Game Developers Conference」の略とされていたが、今年から名称が改められた。それもあってか、今年はソーシャルゲームやSNS関連のコンテンツ、サービスなどの新しい分野のセッションが増えているほか、アニメ業界を始めとしたゲーム業界外からの講演も複数開かれている。

 特に目を引くのが、毎日朝の最初のセッションとして開かれる基調講演で、今年はいずれもゲーム業界外からの講演となった。初日は宇宙航空研究開発機構(JAXA)で、小惑星探査機「はやぶさ」に積まれたイオンエンジンを開発した國中均氏が講演。内容はイオンエンジンの開発と「はやぶさ」のプロジェクトについてのもので、ゲーム開発の話と直接絡むものは特になかった。しかしそれにも関わらず、1,000席ある会場は満席で立ち見が出るほどで、来場者の数は例年を上回っているようにも感じられた。


初日の基調講演「未踏宇宙を拓く『はやぶさ』探査機搭載イオンエンジン」。講演したJAXAの國中均氏は、1992年から始めたイオンエンジンの研究や、苦難の連続だった「はやぶさ」のミッションを紹介しながら、「技術革新によって行けなかったところに行ける、見えなかったものが見える」という研究者としての幸せを繰り返し説いた。「はやぶさ」のミッションを紹介する動画で話題を呼んだ「こんなこともあろうかと!」のイラストを説明に使うというユーモラスな一面も見せた
ゲーム業界外からの講演が目立つ今年のCEDEC。こちらは株式会社竜の子プロダクションのアニメーター橋本敬史氏。アニメーションで使われるエフェクト作画テクニックを紹介することで、ゲームのエフェクト制作にも新たな視点を持ってもらおうという趣旨で開かれた

 また今年は3月に東日本大震災が発生したことを受けて、震災復興支援技術特別セッションもいくつか開催されている。ゲーム業界の持つ技術を使って震災の復興支援ができないかという趣旨で、ゲーム会社はもちろん、大学や流通関係などからも幅広いアイデアが語られている。


初日の震災復興支援技術特別セッションでは、ゲームデザイン技術の応用をテーマに、自販機にゲーム開発技術を投入した災害情報端末や、ソーシャル防災ゲームの企画が挙げられた

 そういった例年のCEDECとはやや違った雰囲気も感じられる部分もあるが、CEDECらしい部分が消えたわけではない。初日から株式会社バンダイナムコゲームスの「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON(エースコンバット アサルト・ホライゾン)」や、株式会社カプコンの「ドラゴンズ ドグマ」など、発売前のタイトルに関するセッションも開かれた。2日目には海外からの講演となるEpic Gamesの「Gears of War 3」のセッションもあり、ゲームユーザーにとっても注目度の高いカンファレンスであることは間違いない。

 GAME Watchでは注目のセッションを順次レポートしていくのでご期待いただきたい。


「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON」などの発売前タイトルの講演も開かれた。他にもSCEの「週刊トロ・ステーション」や、DeNAの「忍者ロワイヤル」など、幅広いタイトルのセッションが開かれている
会場では講演のほか、ゲームに繋がる最新技術を紹介するミニブース「インタラクティブセッション」や、囲碁AI対決など開発者のスキルを競う「CEDEC CHALLENGE」といった企画も行なわれている。また企業の展示コーナーでは、SCEが11月2日に発売する「3Dディスプレイ」と「3Dメガネ」の実機を展示し、2人の使用者に異なる映像を見せる「SimulView」のデモを行なっている

(2011年 9月 6日)

[Reported by 石田賀津男]