Taipei Game Show 2011レポート

Chinesegamer、IGS、CayenneTech、Fullerton Technologyら台湾メーカーをまとめてレポート
本格的カジノゲーム「Diamond Club Online」、2D風演出が楽しいアクションRPG「藍星戦記Online」など7タイトルを紹介!


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


 本稿では台湾オンラインゲームメーカー、Chinesegamer、IGS、CayenneTech、Fullerton Technologyの4社を一気に取り上げたい。中国の民間伝承をテーマにした「群仙伝Online」や、西遊記の世界をMMORPGにした「西遊釈厄伝Online」など、インパクトのあるゲームも出展されていた。

 Taipei Game Showでは年々オンラインゲームメーカーの出展が減っている傾向にあるが、来場するユーザーは非常に熱心で、積極的だ。オンラインゲームメーカーはコンパニオンのアピールにちょっと熱を入れすぎている感じもするが、そこもTaipei Game Showの味であるといえる。ブースの模様と、出展タイトルを紹介していきたい。



■ Chinesegamerは民間伝承がテーマの「群仙伝Online」と、カジノゲーム「Diamond Club Online」を出展

派手なステージイベントを繰り返していたChinesegamer

 Chinesegamerは、MMORPG「群仙伝Online」と、オンラインカジノゲームの「Diamond Club Online」の2本のみの出展だったが、会場でも1、2を争うほどの派手なブースとなっていた。「群仙伝Online」のコーナーでは、ステージとゲームの試遊コーナーが一緒になっていて、ステージの左右に、中央を囲む様に試遊台を設置し、中央では盛んにコンパニオンのダンスイベントが行なわれていた。

 「群仙伝Online」は「白蛇伝」や「織り姫と彦星」、「梁山伯と祝英台」といった中国の民間伝承をテーマとしたオリエンタルファンタジーMMORPGで、頭身の低い、かわいらしいキャラクターが多数登場する。キャラクターが乗る乗り物なども頭が大きく、虎なども子猫のようでかわいらしい。

 ゲームはクエストを中心として進行していくタイプだ。重要なNPCは会話グラフィックスが用意されていて、ストーリー要素も充実している印象を持った。フィールドは古代中国らしい幻想的な雰囲気がある。キャラクターの動作は快適で、MMORPGを開発し続けるChinesegamerらしい質の高さを感じた。デザインは基本ラインは丸くかわいらしいのだが、キャラクターの目鼻はくっきりとして“濃い”ところがあり、独特の味をもたらしていると感じた。

 「Diamond Club Online」のコーナーは、ゲームの題材そのもののようなカジノをイメージとしていて、落ち着いた雰囲気だった。来場者は入れ替え制で人数を制限しているため、ゆったりとした空間でゲームに触ることができた。「Diamond Club Online」は麻雀やポーカー、スロットマシンがオンラインで楽しめるゲームで、グラフィックスが美しく、大人な雰囲気がある。特に麻雀は画面の雰囲気に何となく“気品”があり、力を入れて作られているのが伝わってくる。

 本作はアバター要素も充実しており、試遊台ではキャラクターを自由に着せ替えができた。着飾ったキャラクターでビジュアルロビーを歩くことも可能で、MMORPGのような、ユーザー達の交流が楽しめそうだ。会場ではカードゲームや麻雀をプレイする人がいる一方で、着せ替えに夢中になっている人がいたのも面白かった。

 Chinesegamerは昨年武侠もののMMORPG「天子オンライン」が好評を博し、36万の同時接続を記録したという。この記録は台湾オンラインゲーム業界でも最高値だとのことだ。ぜひ会場で見てみたかったのだが、今回は出展されていなかった。


MMORPG「群仙伝Online」と、オンラインカジノゲームの「Diamond Club Online」の2本を展開していた。カジノコーナーの方のコンパニオンの衣装も凝っていた

【群仙伝Online】
「白蛇伝」や「織り姫と彦星」、「梁山伯と祝英台」といった中国の民間伝承をテーマとしたオリエンタルファンタジーMMORPG。2011年1月から正式サービスを行なっている。かわいらしいキャラクターが、派手な仙術を使うのが大きな特徴だが、悲しい恋の物語が描かれるストーリー要素にも注目だ

【Diamond Club Online】
ポーカー、スロットマシン、麻雀といったテーブルゲームがオンラインで対戦できる。カジノゲームは台湾ではポピュラーだが、グラフィックス面を特に強化した。3Dロビーが特徴で、プレーヤーは自分のキャラクターをロビーで動かし、MMORPGの様に他の人と交流ができる。アバター要素も大きセールスポイントだ



■ 2D風演出の「藍星戦記Online」など、ユニークなタイトルも登場したIGS、CayenneTech、Fullerton Technology

IGSのステージイベント。チアガールを思わせるセクシーな衣装でのダンスが中心だった
CayenneTechは自社が運営する様々なタイトルをイベントでアピールしていた
Fullerton Technologyは「魔晶之印」を10台以上の試遊台を設置していた

 続いて、この他の台湾オンラインゲームメーカーIGS、CayenneTech、Fullerton Technologyをまとめて紹介したい。IGSも派手なイベントでユーザーを盛り上げていたメーカーだ。ステージで踊っていたのは、チアガールをイメージした白いシャツにチェックのミニスカートをはくコンパニオンだ。

 IGSでは、日本でもサービスされている「星空恋曲(Luvinia Online)」の他、「西遊釈厄伝Online」、「藍星戦記Online」という、オンラインゲームメーカーとしては今回1番多くの新作タイトルを出展していたメーカーだった。

 しかし、「星空恋曲」では、実際には試遊できるのは序盤部分だけで、来場者は近日行なわれるクローズドβテストの申し込みと、もらえるグッズを目的にしているという感じだった。このため試遊台ではほとんどゲーム画面が出ず、ブラウザの画面ばかりが表示されていた。「西遊釈厄伝Online」はゲームのスタート地点では、足下に炎が上がるインパクトの強い場所で、巨大な敵がいるのだが、開発中のためか、この敵に対してどうアクションをしていいのかかがよくわからないのだ。何かが始まる予感はあるのに、ゲームとしてのカタルシスを得られなかった。

 韓国ではNC Soft やNEXONなどはゲームショウ専用コンテンツを制作している。しかし多くのメーカーは、会場用の強いキャラクターでフィールドを歩かせるだけというのがほとんどだ。MMORPGではこのタイプの出展の仕方では、魅力を伝えるのが難しい。このため、結局来場者は会場のゲームで何をしていいかわからず、少しだけキャラクターを動かした後、離れてしまう人もいた。今回では、CayenneTechの「ALLODS ONLINE」と、Fullerton Technologyの「魔晶之印」も同じようにユーザーがとまどっている場面が見られた。会場での試遊専用コンテンツを用意するのは難しいかもしれないが、それでも巨大ボス対決イベントや、インスタンスダンジョンに挑戦するといったゲームの魅力を引き出す出展もあるのではないだろうか。

 試遊台ではゲームが進まなかった「西遊釈厄伝Online」だが、ムービーでは孫悟空や猪八戒、西遊記に出てくるフィールドの3Dグラフィックスはゲームの壮大な世界を感じさせられた。また、Fullerton Technologyの「魔晶之印」はブラウザーベースのMMORPGながら、背景の書き込みが非常に美しく、プレイしたくなる魅力を確かに感じられた。

 そして、今回筆者が取材した中で1番魅力を感じたのが、「藍星戦記Online」である。横スクロールのアクションオンラインRPGで、まだまだ開発中という感じだったが、敵が画面の奥から拡大しながら迫ってきたりと、日本の2Dアクションゲームの演出を取り入れているところが楽しかった。細かいパーツが結合した敵など、スーパーファミコン時代のスプライトを使ってキャラクターを描いていた時代のゲームの“匂い”を3Dグラフィックスでわざわざ表現しているのが面白かった。

 また今回出展されていないだけで、台湾のメーカーは様々なタイトルを開発しているし、日本市場とはひと味違うオンラインゲームがサービスされている。もっともっとこのゲームショウで台湾タイトルの新作が見たいと感じた。


左がIGS、中央はCayenneTechのブース。どちらも試遊台が多数設置されているが、訪れるユーザーはテストアカウントの登録がメインといった感じだった。右は「ALLODS ONLINE」のアバターをイメージしたコンパニオン

【星空恋曲(Luvinia Online)】
IGSがサービス、開発はShanda Gamesが担当し、日本では「LuviniaSaga」の名前でゲームオンがサービスを2011年春に予定している。台湾ではクローズドβテストを近日実施する予定だ。1,800ものクエスト、収集が楽しいカードシステムや、称号などやり込み要素を重視したMMORPGで、かわいらしいキャラクターデザインと、世界観も魅力だ

【西遊釈厄伝Online】
IGSがサービス、北京有限公司が開発を担当するMMORPG。西遊記をテーマにしたMMORPGだ。IGSは「西遊釈厄伝」という西遊記のキャラクターが戦うスクロールアクションゲームを展開しているが、本作は巨大なボスモンスターや、聖獣に変身できるといった要素を盛り込む。2011年春にクローズドβテストを行なう予定だ

【藍星戦記Online】
IGSが自社開発を行ない、2011年4月にクローズドβテスト予定のオンラインスクロールアクションゲーム。敵が画面奥から拡大縮小で現われたり、幾つものパーツで作られた機械の触手がぐねぐねと動いたり、ひと昔前の日本の2Dアクションゲームのような演出が楽しい



【ALLODS ONLINE】
CayenneTechがサービスするMMORPG。ロシアのMAIL.RUが開発し、日本ではゲームオンがサービスしている。台湾では申し込んだユーザーのみがプレイできる「VIPテスト」を開催中だった。ロシア的な雰囲気を持った独特の作風が大きな特徴だ。プレーヤーは2つの種族にわかれて戦い、キャラクターを強く育てると宇宙船に乗れるようになる。何人ものプレーヤーで船に乗り込み、艦隊戦を繰り広げることができる

【魔晶之印】
WEBブラウザでプレイできる本格MMORPG。Fullerton Technologyが1月11日より正式サービスを開始している。精霊の大樹を巡る神秘的なストーリーと、美しく描き込まれたフィールドはクライアント型のMMORPGに引けを取らない。2つの勢力に分かれて戦う対決。ペットや攻城戦といったシステムも充実しているという

(2011年 2月 22日)

[Reported by 勝田哲也]